マニュアル - 事業計画書作成

ここでは、起業家・ベンチャー経営者へ「事業計画書」について解説していく。ゴールは事業計画書の完成だが、ただペーパーを作るためのテクニックではなく、何故それが必要なのか、どうしてそのように考える必要があるのかなど、事業を始めにあたっての計画そのものを作り上げるノウハウ・フレームワークとして機能する内容になっている。 

第1章 事業計画の動機

1. 動機を固めよう

起業を検討する前に考える事はなんだろうか。

それは「動機」だ。

起業を考えたら、まず、
・なぜ起業するのか
・起業して何をするのか
・それはどうしたら実現できるのか
等々、これらの問いに納得のいく答えを出せるよう、取り組んでいくべきである。その後に、いつどのような形で会社を設立するのか、あるいは他の方法で起業すべきか、という具体的な行動・選択に進む。まずは動機をしっかり固めて欲しい。

2. 独立資源について

仕組みがあってこそ、経営資源は資源足りうる

独立資源とは、起業を実現するための原資であると同時に、事業を継続・発展させていくために必要な最初の経営資源だ。もっとも、独立資源は文字通り「資源」であって、そのままの状態では事業に役に立たない。石油が石油のままでは何もエネルギーを生み出さないのと同じで、石油は「燃焼させる」ことによって初めて動力資源となるのだ。これを、起業の場合に置き換えてみよう。

たとえば、何らかの資格を持っている場合を考えてみる。就職であれば「資格」を持っていることが一つのアピールポイントとなり、面接などで活用することができるだろう。しかし起業においては、ただ資格を持っているという事実など何の役にも立たないのだ。
必要なのは、その資格を今考えている事業において「いつ」「どこで」「どのように」使うのか。資格の具体的な活用プランを組み立てることによって、初めて資格は経営資源となるのだ。

こう説明すると、「独立資源なんて、自分にはないのでは」などと不安に思う方もいるだろう。しかしこれは、むしろ逆のことが多い。
一見、たいしたことがないように思われる資源でも、それを投入する市場との相性が良ければ、大きな宝物になるケースもある。資源の形態はお金や人脈のようなわかり易い独立資源から、目では見えない様々な経験値やブランドなど様々だ。まずは、全てを書き出して整理をすることが大切なのである。

では、具体例を挙げてみよう。

Aさんは資格こそないものの、経理実務25年の実績を持っている。しかしリストラされてしまい、他社に転職しようとするがダメだった。ではこの実績を、経理部員を雇えないような小さな会社に対して、一人分の給料の10分の1、あるいは20分の1の料金で提供するとしたらどうだろうか。作業を絞れば件数をこなすことも可能であるから、結果として経理代行サービスが誕生する。

Bさんは、駅から離れた住宅地に築35年の住宅を持っている。不動産として見れば価値は低いが、飲食店開業を目指してこの住居を店舗として使えば、結果は「レトロ感覚あふれる隠れ家的な店」が誕生する。

このように独立のための資源は、それを何に対し、どう使うかさえきちんとイメージできれば、想像以上にたくさん自分の身近なところに存在するものなのである。

3. 起業する市場・分野を探る

「起業はしたいが、やはり経験のある業界のほうがいいのか、それとも、未経験でもやりたいことをやったほうがいいのか……」と悩む人は決して少なくない。

起業する市場、ジャンル、テーマの選定は非常に重要である。

一般に「畑違い(未経験業種)は難しい」といわれるが、しっかり研究し、むしろ部外者だからこそ見えたアイデアを生かせば、事業展開できる可能性は十分ある。

また、未経験分野の場合は、FC(フランチャイズチェーン)システムを活用する方法もある。FCとは、本部企業が、業界経験のない人でも事業を成功させられるノウハウを、パッケージにして提供する仕組みのこと。したがってFC加盟を検討する時は、どの本部を選ぶかが重要になる。
対して、現在と同じ業種や近い分野で独立する際は、他者との差別化が甘くなりがちだ。

4. 事前に調査すべきこと

起業にあたっては、まずその事業について様々な調査・トライアルを実施する必要がある。そもそも事業を行うにあたって、許認可や届出、免許の取得などは必要ではないか。また、計画上で想定している実際の顧客ニーズが本当に存在しているかなど、様々な観点から事業について必要な知識・情報を集めることが大切なのだ。

第2章 事業アイデアの考え方、アイデアの具体化の方法

「事業アイデアの考え方、アイデアの具現化の方法」と題して、具体的な方法論について解説する。アイデアの出し方から、それを事業という形にするたろめの必要な要素、考え方のヒント、押さえておきたいアイデア発想法について解説していく。

1. 事業アイデアの考え方

起業する市場、テーマ、分野などが決まれば、次にどのように実現していくかを考える。しかし、闇雲にアイデアをひねり出そうとすれば時間ばかりがかかる。試行錯誤するのは結構だが、アイデアの出し方、具現化には様々なテクニックがある。時間は有限である。先人の知恵を拝借して、効率よくアイデアを練り上げたい。

2. さまざまなアイデア発想法を活用しよう

ここでは、代表的な12の発想法をご紹介しよう。

第3章 事業計画書の作り方

第3章はいよいよ「事業計画書の作り方」についての解説だ。具体的な事業計画書のフォーマットも用意したので、その内容を埋めていく形で解説を進める。一言で「事業計画書」といっても、必要なシーンによってその内容は変化する。A4-1枚の簡易なものから、数十枚に及ぶ大作が必要になるケースまで様々だ。

1. 立案に必要な項目・要素

起業のアイデアが固まれば、いよいよ実行に移すための計画作成に入る。事業計画書等作った事がない方が大半だろう。事業計画書には抑えるべきポイントがいくつかある。ここからは、それらを解説する。

2. 事業計画書が必要となるシーン

事業を開始する際に事業計画書(ビジネスプラン)を作成することは、事業の全体像をただまとめるということだけではなく、自らの事業に抜けや漏れがないか確認することにも繋がる。また事業計画書という1つのアウトプットを出すことにより、他者に対して見てもらうことが可能になる。そのため、識者の意見を募る上でも非常に有益なツールとなるのだ。

事業計画のないビジネスは、地図やコンパスを持たずにジャングルの奥地に入っていくようなものである。これから起業される方にとって、事業計画書はあまり馴染みのないものかもしれない。しかし事業計画書の活用範囲は広く、会社設立時や新規事業に活用するのはもちろんのこと、会社を売却する時まで利用される。自社内の人間が見るだけではなく、新たな取引先やファンドなど幅広い人に提示できるツールになり得るのだ。つまり業界や立場が異なる人が見ても、事業の内容を理解でき、経営活動がどう行われているか把握できる事業計画書が必要になるということである。

ではどんな時に、事業計画書(ビジネスプラン)を作成する必要があるのだろうか。

事業計画書は前述の通り、経営活動の様々な場面で使われ必要不可欠なツールである。実際に作成するにあたっては、「何の場面で使うのか」「何の目的で使うのか」によって書き方や重点を置くポイントが異なってくるだろう。ここからは必要となるシーン別に、事業計画書で記載すべきポイントについて説明しておこう。

3. 「人の心を動かす」事業計画を作成するために

事業計画書を作成するうえで、注意していただきたい点がある。それは「人の心に刺さる事業の使命(経営理念)を掲げること」

事業の使命を考えるといっても、言葉遊びになってはだめだ。ミッションを語る時にとても大切なことはパッション、すなわち情熱。熱い想いをもって高い志で事業を立ち上げる、そうした姿勢を持つ起業家でなければ、どんなに精緻な事業計画書を見せられても、投資家や協力者はついてこない。

どんなにいい言葉で飾っても、そこに強い想いがなければ他人から見抜かれるだろう。事業を進める上で、たくさんの困難が経営者には待ち受けている。そうした苦しいときに、熱い想いをもって最後まで責任と勇気を持って事業に望める人物かどうか。計画の上だけでなく、そうした魂が事業計画にも入っているかどうか、それがとても大切だ。

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