融資を得るために必要な事業計画書。しかし、経験なしでいきなり計画書を書くのはむずかしく、なんとか書いても実際に融資を獲得できるとは限りません。
実は、事業計画書に書くべき項目や書き方は、ある程度決まっているので、テンプレートや見本のパワーポイントがあり、事業プランの考え方も定番の方法があります。
そこで今回、6万件以上の起業相談にのってきたドリームゲートが事業計画書の書き方について紹介していきます。無駄な時間をかけずに、相手にしっかり伝わる事業計画を作れるので、ぜひ参考にしてください。
・事業計画書の書き方と無料テンプレートの使い方
・事業計画書に必要な項目
・完成したあとのチェック項目
事業計画書とは? なぜ作る必要がある?
融資を得るために書くと思われがちな事業計画書ですが、きちんと作りこめば起業の成功確率を上げてくれるものでもあります。また、資金調達を目指すにもきちんと作りこむ必要があるので、まず事業計画書自体について簡単に解説しましょう。その後、6万件の相談にのってきたノウハウを詰めこんだ無料作成ツールなどを紹介します。
事業計画書とはアイデアや計画を具体化したもの
事業計画書とは頭の中にあるアイデアや売上を出すまでの計画を形にしたものです。具体例を出すと、下の図のようになります。
本来は上の図以上に書きこまないと融資を受けたり、事業を成功に導いたりするのは難しいです。しかし、いきなりすべての項目をうめるのも難しいので、無料のテンプレートや作成ツール、業界に詳しい専門家と相談しながら作成するのがおすすめです。
ちなみにドリームゲートも無料の事業計画作成サポートツールを提供しているのでご活用ください。これまで8万人が利用した実績のあるツールで、下の図のように12の業種別に事業計画書を作成できます。
事業計画書を書くのは融資獲得と起業の手順書にするため
事業計画書を作る理由は、主に以下の2つです。
- 他人に事業の概要や魅力を伝えるため
- 成功する起業のおおまかな手順書にするため
他人に事業の概要や魅力を伝えるため
他人に事業の概要や魅力を伝えるために事業計画書は必須です。実際、銀行から融資を受ける場合や、ベンチャーキャピタルなどの投資家から資金調達をする際に必ず求められます。そして、事業計画の良し悪しによって、融資や出資が受けられるかどうかが決まるのです。
また、どのくらいの融資が必要かも事業計画書を作れば明確になります。たとえばドリームゲートの事業計画書作成サポートツールを使うと、すでに成功している企業と比べての安全率を出せます。無料で使えるので、資金不足におちいらないためにも使ってみてください。
成功する起業のおおまかな手順書にするため
事業計画書には起業家自身が事業を進めていくための見取り図やおおまかな手順書としての役割もあります。今までなんとなく、あるいは個別に検討したことをテンプレートに落としこんでまとめると不足点が明確になり、起業の成功確率が上がるわけです。また、いつまでに何をすべきかも具体的になってきます。起業のパートナーがいるなら、方向性を共有しながら動けるでしょう。
事業をすすめている場合は、これから何をすればよいかや、計画とおりに進捗しているかどうかを管理することもできます。
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全部マネはNG! 定番の事業プランの考え方を知ってから書こう
テンプレートや例があるとはいえ、事業計画書をほとんどマネして作ってしまうと融資の獲得も事業の成功も遠のいてしまいます。
ここで「全部マネではいけない」ということを理解していただくために、ひとつの例を挙げます。極端なイメージですが、下の図のような状況で両方のコンビニが成功しそうに思えるでしょうか?
引用元:セブン-イレブンの隣にセブン-イレブンができた!? ビックリ光景、その理由は|ねとらぼ
上の図は建て替えの途中なので現実には競合しませんが、近くに似たような既存事業を営む店があると厳しいというイメージはつかめるでしょう。
実際、融資の審査担当者に「同じ地域に似た事業が展開されていますが、何で差別化をお考えですか?」と聞かれないですむような事業計画書がないと、融資は遠のきます。競合に負けて廃業する人は多いからです。
事業計画書はマネや適当な作成をしてはいけません。
では、テンプレートなどを上手に使いつつ、オリジナルの事業プランを組み立てるには、どうしたら良いでしょうか?
ふんわりした考えを具体化するには「6W2H」で組み立てよう
「事業プランを考える」と言うと少し難しく思えるかもしれませんが、これにも基本があります。具体的には「6W2H」というフレームワークです。ここではわかりやすく、「カフェ開業」を例として挙げながら6W2Hの使い方を紹介していきます。
なお、6W2H自体がどんなものかをざっくり知っておかないと理解がはかどらないので、先に全体像を図で紹介します。
※要素ごとに説明していくので、なんとなく全体像がつかめれば十分です。
上の図のとおり、6W2Hとは8つの要素を考えることです。
- why
- what
- Where
- whom
- how to
- when
- who
- how much
頭の中にあるイメージと、上記8つの要素すりあわせることで他に負けないものに自然と近づくので、各項目の詳細をカフェの開業を例に出しながら説明していきます。
なお、ひとまず事業計画書やおおまかなプランを作って専門家のチェックを受け、効率的に起業したい場合は、事業計画書作成サポートツールを活用してつくるのがおすすめです。知識がなくても最低限のポイントをおさえた事業計画書ができやすくなります。
①Why:なぜ、この事業をやる?
はじめに、事業をなぜやるのかを考えます。好きなことや起業しようと思ったきっかけは重要だからです。後で困難にぶち当たったときの精神的バックボーンにもなり得ます。また、事業として成功するものは社会から歓迎される事業である場合が多いので、客観的に事業の「社会的存在意義」を確認しておきたいです。
カフェ開業のWhyを例に出すと、
- 「自分がおいしいと思えるコーヒーや料理を喜んでもらえるのがなによりうれしい」
- 「流行りを追うのではなく、使いこまれた家具があるような空間で自然と人が集まる店を持ちたい」
といった想いで良いでしょう。
②What:商品・サービスの具体的な内容
商品・サービスの具体的な内容を、端的にまとめます。顧客に対してどんな商品やサービスを提供しようとしているのか、あるいはあつかう商品やサービスが市場や顧客に受け入れられるものかを考えるのです。
カフェならコーヒーなどは当然として、ランチやディナー、お酒なども候補に入るでしょう。whyから離れないようにしつつ、提供するものを列挙します。
③Where・④Whom:想定する市場と顧客
思いだけでは成功確率はどうしても下がりがちです。事業の展開先(市場=where)で顧客(whom)に受け入れられる必要があります。想定する市場はどこで、ターゲットとする顧客は誰なのかを考えましょう。
カフェの場合なら、平日の日中帯は会社員や軽食目的の人が多いでしょうし、夜はファミリーやカップルも顧客になるかもしれません。しかし、開業する場所にいる人は地域によって大きくことなります。Whyで喜んでくれる人はどこにいるのか探さないといけません。また、同じ思い思いを抱いた人がすでに開業していれば競合になります。次のhow toを考えて、差別化をしないとカフェにお客さんが流れてこないリスクがあります。
⑤How to:どんな特徴で、どんなノウハウを使う?
商品やサービスを提供する市場・顧客には、競合(他社・店)がいるので、競合優位性や独自性を築かなければいけません。そうでないと、先に紹介した隣り合ったコンビニのようになってしまいます。以下の要素を考えると良いです。
- 販売力
- 商品のユニークさ
- 物流の効率性
カフェなら商品のユニークさで勝負するのはもちろん、
- 24時間開店して、競合が取りもらしている層を取りこむ
- あえて高めのテナントに入って夜景を楽しめる店舗にする
といった方向性でも競合優位性が築けます。もちろん、開業する地域に住まう人などに喜んでもらえる要素でないといけませんし、whyから離れても事業自体を続けられなくなる恐れがあります。
⑥When:どのようなタイミングで行うか
どのようなタイミングで事業を行うのかも考える必要があります。事業の特徴となるノウハウ獲得には、「人」と「金」をどのようなタイミングで投入するのかが重要となるからです。どの時期にどのような人。あるいは、どれくらいの資金が必要かを考えないと、事業の実行計画ができあがりません。
カフェ開業ならいつまでにいくらを使ってスタッフを集め、内装などをいつから整えるかといった概念が必要です。開店するのに良い時期などもあるでしょう。
⑦Who:誰が事業をやるのか
誰が事業に関わるかを考える必要もあります。
事業内容と計画を実行する上で、どのような人材が必要になるかを考えるわけです。まずは自分やパートナーの能力を判断し、事業を進めるうえで、他にどのような能力・経験を持った人が何名必要なのかを検討してください。
カフェならいわゆる家族的な経営から従業員を多く雇っての大きな店舗経営まで考えられます。また、食品衛生責任者が必要といった法律のしばりがあるのは見逃せません。先のhow toを実現するのに必要な人材・経営規模を考える必要があります。
⑧How much:資金や売上高、利益の目標
開業前、そして開業後に事業を運営していくうえで、どれだけの資金が必要になるのか試算します。また資金がどのようなタイミングで必要になるのか、事業フローや売り上げ見込みと合わせて検討し、具体的な資金計画、資金調達手段につなげてください。
利益がでるまでの返済に耐えられるだけの資金が、必要なときにあれば問題ありません。しかし、よく検討しておかないと倒産するリスクが高まってしまいますし、資金はショートしがちです。
さらにこれらの6W2Hを考えやすくする方法があるのですが、それはさいごの章で説明します。
事業計画書のテンプレートと書き方のポイント6つ
われわれドリームゲートが用意する事業計画書のテンプレートは下の図のようなものです。エクセル、PDF、パワーポイントでダウンロードができます。
エクセルとPDFのテンプレート
エクセルとPDFのテンプレートはこちらです。※このテンプレートは「会員登録(無料)」にてダウンロード可能です。(Excel、PDF)
パワーポイント形式のテンプレート
パワーポイント形式はこちらです。(2020年6月更新版)
このテンプレートを使って項目を埋めたあと、かならず次に説明するチェックポイントに沿ってチェックしてみてください。
※ダウンロードの際はドリームゲートの無料会員登録が必要です。会員の方はダウンロードの際、ログインしていただく必要があります。
上のテンプレートから良い事業計画書を書くには、以下6つのポイントをおさえる必要があります。
- 事業計画書に必要なの8つの項目
- 内容は魅力的・根拠・緻密を意識
- 書き方は明瞭・簡潔・平易を意識
- 多くの人に、複数の視点で見てもらう
- 誰に見てもらうかで、アレンジする
- 批判や意見はためて、まとめて修正する
それぞれ具体的に解説していきます。
なお、質問に答えていくだけで自然と上記6つのポイントをおさえやすくなるのが、ドリームゲートの「日本政策金融公庫 融資申込書作成ツール」です。無料の事業計画作成サポートツールを使った後に、融資獲得を目指せる形式の書類を作成できるので、ぜひお試しください。
①事業計画書に必要な8つの項目
事業計画書の中に書きこむ主要項目というものがあり、具体的には下の表の8つになります。各項目には、それに則した表現方法で書きこむ必要があるので、よくご確認ください。
事業プラン名 | 事業プラン名は事業の顔。簡潔かつ魅力的に設定し、これだけで何を計画しているか伝える。副題をつけても良い。 |
---|---|
事業内容 | どんな市場・ターゲットに、どんな魅力や特徴がある商品・サービスを提供するかをできるだけ端的に説明。 |
市場環境 | 市場規模や成長性、競合相手の評価などを各種統計データで分析する。表やグラフが有効。 同じ地域の似た事業者との差別化も考える。 |
競合優位性 | 競合がマネできない点を説明。同ターゲットの異業種競合も意識し、優位性や差別化を訴求する。 |
市場アクセス | 計画している事業を、どう市場に認知させるか、どう販売網を築くかなど、事業の実現プロセスを伝える。具体的な計画をアピールする。 |
経営プラン | 売上計画、仕入れ計画、開発・生産計画、人員・組織計画、設備投資計画など、事業を継続的に運営するためのシステムを紹介する。 |
リスクと解決策 | 想定されるリスクや問題点を抽出し、危険度と発生頻度の観点からを分析すると共に、リスクレベルに応じて対処方法や解決策を先行的に提示する。 |
資金計画 | 詳細な収支予測に加えて資金繰り計画も立案。設備資金、運転資金に分けて考える。また、資金調達案や返済・配当計画も提示しておく。 |
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これらの項目は、業種や業態、規模の大小にかかわらず、必ず設定しておくべきものですが、「各項目に則した表現方法」というものがあります。つまり、自らの専門分野の知識のほかに、マーケティングや経営、会計などの知識が必要になるわけです。ここに事業計画書作成の難しさがあります。
しかし、計画書が書けないということは、プランが立てられないことを意味しており、ひいては事業の実施に不安があるということになってしまいます。しかし、ただ悲観して起業をやめるのはもったいないことです。
基礎的な知識は、書籍や短期のセミナーなどでも十分に学べますし、ドリームゲートでも専門家を探せます。大事なのはむしろ、それらの知識がなぜ必要なのかを理解していることです。それさえわかっていれば、細部については、各項目の専門家と相談しながら進めることで何とかクリアできます。
②内容は魅力的・根拠・緻密を意識
事業計画書は、先の主要項目の説得力によって、融資の可否などが決まります。では、具体的にはどんな内容を書けば良いのかというと、 「何を、なぜ、誰に、どんな市場で、どんな特徴を持って、どのように知らせ、どのように提供するか。そして、それは、いつ、誰と、どんな方法で、どんな数字にもとづき、どんな数字を目指して行うのか」ということになります。
実際にはボリュームが増えるため、冊子として仕上がるケースが多いのですが、その場合、全項目に記述するだけでなく、山場を設けることが大切です。内容の魅力を伝える部分、その根拠を示す部分、そして計画の緻密さ、これらには特に注力したいものです。
③書き方は明瞭・簡潔・平易を意識
事業計画書の作成上、注意したい点はわかりやすく書くということです。内容がわからないプランに賛意を示す人はいません。もちろん、難解な専門用語の羅列や外国語表記の連発も逆効果でしょう。長すぎる前置きや、多すぎる参考資料も考えものです。
金融機関も融資担当者や投資家は忙しいので簡潔に書くことが重要になります。とにかく、明瞭かつ簡潔が鉄則です。もし、プランが壮大ならば、一言でわかるタイトルやサマリー(事業プランの要約)を用意しましょう。
事業計画書も「エレベータートーク」と同じ精神で、簡潔・明瞭に魅力を伝えることを心がけてください。
さらに、データの使い方もポイントになります。相手を説得するためには、山場となる部分で裏付けデータが必要になります。数値データは、表やグラフを活用して煩雑にならないよう表記します。また、前書き部分などに、たとえば「資金を提供してほしい」「パートナーになってほしい」といった作成目的を示すことも大切です。そして、他人に物事を依頼するための書類だと考えれば、文章は「ですます調」でまとめるのが妥当でしょう。
④多くの人に複数の視点で見てもらう
ついに事業計画書が完成したと思ってからが実は勝負の始まりです。さまざまな視点から検証をはじめなければいけません。「完成品」をたたき台にして、自分自身でチェックすることはもちろん、そのテーマに詳しい人や、反対にまったく詳しくない人に見てもらいます。
できれば、普段から事業計画書を見慣れている人や、計画書提出相手の立場に近い人なども探し出して、ぜひ見てもらいましょう。自分では完璧だと思っていても、間違いなく「ミス」「抜け」「弱点」「矛盾」「無理」「難解」などと思われる個所があるからです。
人に見てもらった時は、必ずいい点と悪い点の両方を指摘してもらうように依頼することです。詳しくない人であれば、理解できるところと、理解できないところ、という反応でも十分な収穫といえます。悪い点を修正していく際、いい点を規範にして、いい点との整合性や相乗効果を狙うかたちで作業ができるからです。
⑤誰に見てもらうかで、アレンジする
誰に見てもらうかでアレンジすることも大切です。例えば、融資を受けるために事業計画を金融機関に提出する場合を考えてみましょう。金融機関が審査をする際に重視するのは、お金を貸した場合にきちんと返済されるかどうかです。
そのために金融機関は、売上計画の根拠や費用の妥当性、数字上の整合性などを厳しくチェックし、そのうえで資金繰り予測から期間内に元本・利子を返済できるかを検討していきます。そこで金融機関に提出する事業計画書では、以下の点に留意が必要です。
金融機関に提出するさいのポイント
- 事業の実現性の高さをきちんと説明すること
特に売上計画において、「すでに大口契約の見込みが立っている」など相手が納得できる根拠を示す必要があります。 - 財務計画の数字の整合性を確認し、利益は保守的に計画すること
融資判断において数字は命であるため、計算間違いがあれば信用を失なってしまいます。
また高めの利益計画を作成してそれに合わせて返済額を設定した場合、計画が達成しなかった場合返済ができなくなってしまうので、確実に達成できる水準で保守的に利益を計画する方がいいでしょう。 - 借入金額、資金使途の妥当性を明確にすること
事業計画から必要な借入金額を導き出し、設備資金と運転資金に分けてその妥当性を示します。
金融機関は貸したお金が何に使われるのかに高い関心を持っています。 - 返済予定額を十分超えるだけのキャッシュフローを有していること
創業の場合、当初は赤字になるケースも多いですが、その場合でも「当初は資本金から返済し3か月目からは黒字化して返済に充てる」「6か月間は返済を据え置き、その間に黒字化する」など根拠を示して返済が可能であることをアピールする必要があります。
次に、ベンチャーキャピタルなどの投資家に事業計画書を提出する場合は、以下の点に留意します。
VCなど投資家に提出するさいのポイント
- 高い「成長性」「収益性」があること
ベンチャーキャピタルは会社に資金を投資して、「株式公開」「事業売却」等によって資金を回収し利益を得ます。
そのため、株式公開が実現できるだけの高い成長性や、高額で売却できるだけの高い収益性が求められます。 - 経営者の実績や素質、リーダーシップのアピール
財務計画も重要ですが、金融機関と比べれば重要度はそれほど高くありません。
金融機関は貸したお金がきちんと戻ってくることに一番関心がありますが、ベンチャーキャピタルは投資した会社のうち数社が大きく成長し、大きなリターンを得ることが目的になっているため、事業の将来性の方がより重要な要素となります。 - 資本政策をきちんと行うこと
ベンチャーキャピタルから得るお金は「融資」ではなく「出資」です。
そのためベンチャーキャピタルの持つ株式比率が高くなり過ぎると経営の自由度が制限され、場合によっては乗っ取られてしまいます。
このように相手によって重視するところが違いますので、事業計画もそれに合わせてアレンジする必要があります。
⑥批判や意見はためて、まとめて修正する
事業計画書を見てもらっている最中には、相手から質問が出る場合があります。質問に関する考え方や計画が書類に提示されていないということなので、その場は口頭で説明するにしても、後で該当項目を追加しましょう。
なお、意見を聞くたびに修正するのではなく、いったん蓄積して多数派のものと少数派でも鋭いと思えるものなどの評価分類をしてから修正作業に取りかかると効率的です。
●累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
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仮完成した事業計画書のチェックポイント10個
ドリームゲートをはじめとした専門家に事業計画書の確認を依頼したときに、チェックされがちなポイント10個を紹介していきます。客観的な視点での事業計画書の確認に役立ちますが、マーケティングや事業企画のスキルが必要になってくるのも事実なので、参考にしてみてください。
なお、本などで勉強してチェックポイントを確認できるようにするのも1つの手ですが、時間がかかります。実際に専門家に相談して勉強と確認を兼ねると効率的です。
勉強してチェックも自分でしたい場合は、「資金調達に成功した事業計画書3つの記入例を紹介【無料ダウンロード可】」などが参考になるでしょう。実際に、融資を得られた事業計画書の実例なので、参考にする見本にもなり得ます。
①実現不可能な計画や売上高をぶちあげていない?
事業計画書の冒頭に「1年後上場」などと書かれているケースがあります。夢が大きいことはいいですが、「この人物は現実が見えているのか」と思われるような表現は避けたいです。また、各種の予測数字も、勢いだけで書かず、裏付けを取ることが必要になります。
②すぐにマネされないよう対策は考えている?
独創的なつもりでも、同時期に似たプランを考える人は意外といるものです。事業を稼働させるまでの速度が早そうなら後発にマネされるリスクもあります。できれば、特許を含む権利対策も意識したいところです。
③対象とする客層を極端に絞りこみすぎていない?
広すぎるターゲットでは訴求力がありませんが、狭すぎるターゲットを設定してしまうと、市場規模が小さすぎて、収益力が弱まったり、非効率になったりします。マーケティングの知識がないなら、レッドオーシャンやブルーオーシャンという言葉が理解できる人に相談すると良いです。ちなみに、投資家向けの事業の場合は客層を絞りすぎていると、リターンが期待できずにメリットがないと思われる危険もあります。
④事業を稼働させるスタッフを実際に確保できる?
事業を遂行するための技術や知識、資格、経験は自分にあるか、持っている人材を確保できるかは重要です。まだのようなら、獲得方法や協力・提携関係などよって、外部に求める方法はないかを検討してください。
⑤流通・販売方法を無視していない?
流通・販売方法が具体的かも重要です。たとえば、
- 問屋に卸す
- 小売りに卸す
- 通信販売などで直接売る
- それらを複合的にやる
- そのほかの方法
といった具合です。2020年のコロナショックを経て、市場が希望する流通・販売方法もガラリと変化しています。どんなルートなら確保できるのか、コストもにらみながら検討してください。
⑥特許や商標、著作権などを侵害していない?
アイデアは盗用などしていなくても、すでに特許や実用新案が認められている可能性はありますし、出願中ということもあります。また、ネーミングやデザインなどが商標や意匠を侵害していないかも要注意です。知的所有権や著作権にも気をつけるべきでしょう。
⑦事業計画書の内容が専門的になりすぎていない?
事業計画書を読む人は、ビジネスのプロであっても、提案事業に造詣が深いとは限りません。内容や表現が専門的になりすぎないよう注意し、できるだけ平易な表現をつかってください。理解しない相手を責めるよりも、どう理解させるかを考えることが大切です。
⑧事業計画書の量が膨大になりすぎていない?
事業計画書は厚いほどいいと考えるかもしれませんが、長すぎる計画書ほど理解させるのは難しいのが現実です。10~15分程度で概要とポイントがつかめる量が標準と考えてください。どうしても量が多くなるなら、別紙や別冊にして分けて見てもうと良いです。
⑨書くべき内容の比重を間違っていない?
事業計画のどの項目を一番伝えたいのか、あるいは相手はどの項目を一番知りたがっているのかで記述の比重は変わります。たとえばマーケットの将来性が魅力的なら、くわしく説明すべきでしょう。ただし、読み手が理解しやすい順に書くのを忘れてはいけません。
⑩プレゼンテーションとの役割分担を意識している?
事業計画書は、それだけを見てもらう場合と、プレゼンテーションしながら見てもらう場合とがあります。プレゼンするにしても映像や模型などのツールを使える場合と使えない場合があります。どういう環境で見てもらうのかを意識して、内容やボリュームを決めるのが重要です。
事業プランを考えやすくするポイント4つ
ここまでの情報で、たいていの人はオリジナリティあふれる、しっかりと相手に伝わる事業計画書が書けるはずです。
しかし、もっとも重要な事業プランがなかなか考え出せない、アイデアがまとまらない、もっと自分の思いを明確に形にしたいという方向けに、さらに事業プランを考えやすくするポイントを4つ紹介していきます。
- 「6つのS」というテクニック
- 売上を出せそうか、自分にできそうかは常に往復して考える
- 競合との差別化は念入りに!できれば専門家と相談
- 他の人に見てもらう
すべて実行できればより良い事業計画書を書けるので、詳細を解説していきます。
①「6つのS」というテクニック
先に解説した6W2Hを考えるのが難しければ、いったん6つのSというテクニックで考えると良いです。具体的には下の図に答えるだけです。
一部ピンとこない表現もあるかもしれなので、補足します。仕組みは他にはマネできないなにか(厳密には特許など)であり、市場は顧客のことです。
開業するのは簡単です。問題は、開業して仕事をどうやって継続・発展させるかだといえます。日々の努力が大事なことは当然として、開業前にもしっかり準備しておくべきことがあります。それをどう考え、どう準備し、どう動かしていくのかを綿密に計画したものが事業計画書になるので、6W2Hは念入りに考えてください。
②売上を出せそうか、自分にできそうかは常に往復して考える
自分のビジネスで売上を出してくれる人はいるのか、人がいても自分のビジネスで売上を出せるかは往復して考えると良いです。失敗するリスクを減らせつつ、妥当なプランを考えやすくなります。
なお、6W2Hは解説してきたとおりの順番、つまり下図の上から下へと考えるのが一般的です。
WhatとWhere・Whomは同じ高さにあるので、どちらから考えても良いですが、多くの場合Whatから入って、次にWhere・ Whomへと進んでいきます。しかし逆の順番、先に狙う市場やターゲットを定めて、そこに提供できる商品やサービスを考案する方法でもかまいません。前者は動機先行型で、後者は根拠先行型といいます。
マーケティング的には後者が有利ですが、WhatとWhere・Whomの2つを往復してプランを深めていけば、順番は大きな問題ではありません。いずれにしても、Whyには、たえず立ち返ることが大切です。なぜ、自分はそれをやるのか、なぜ人々(市場)はそれを必要とするのか、その回答が曖昧なプランは「空理空論」でしかありません。
③競合との差別化は念入りに!できれば専門家と相談
最初は箇条書きなどでも良いので、事業プランの競合との差別化に当たる部分(How to)は、とくに念入りに考えるのがおすすめです。実際に起業したとして自分は最後発になるわけですし、あとになってより資金のある大手が参入してくるかもしれません。事業を営みつづけるには、差別化をした上で、顧客に選ばれ続ける必要があるわけです。
具体的な要素は商品やサービス自体の工夫でも良いですし、販売・提供方法の工夫でも良いです。あるいは、生産段階の工夫や流通の工夫、販売後のフォローの工夫などでも良いでしょう。
そして、できれば業界にくわしい専門家の意見を得たいところです。考えた差別化ポイントが現実的か判断してもらいましょう。たとえばカフェ開業の場合は、物件で集客力がある程度決まるという現実があります。自分で理想を思い描ける場所を見つけてもお客さんがこないとカフェを続けられなくなってしまいます。ドリームゲートには各業界での事業計画書作りの経験が豊富な専門家がいるので、ぜひ相談してみてください。
④他の人に見てもらう
他の人に事業計画書を見てもらい、客観的な意見をもらえると起業の成功確率があがりますし、仕上がりも早くなります。もちろん、起業経験者やコンサルタントに見てもらうのが重要です。
特に見てもらいたいのは、事業プランを考える6W2Hの最後3つ(When・Who・How much」)です。事業計画書のなかでもまさに事業をおこす計画に当たる部分で、資金やいつだれに何をしてもらうかに穴があると失敗確率が上がってしまいます。
構想自体がどんなに良くても、実行のための計画があまければ、「絵に描いた餅」になってしまいます。実際、ツメが甘い人は少なくないのが実情です。たとえば、事業を1年間するとして、必要資金はいくらでしょうか? 資金はどうやって用意するでしょうか?スタッフは何人必要でどうやって集めるのでしょうか?自分だけで考えるのも大変ですし、複数人でチェックするのが妥当です。
ただし、人の意見ばかり聞いていても自分が楽しめない起業になってしまうので、まずは事業計画書をざっくりとでも作ってみるのもおすすめです。6W2Hが完璧でなくても、先に紹介した、最低限の事業計画書をつくれるテンプレートと書き方のポイントを参考に、オリジナルの事業計画書を作成してみてください。
事業計画作成サポートツールでは、健全経営をしている先輩経営者を独自調査した結果と、あなたが作成した事業計画とを比較・判定が出来ます。
開業資金と売上見込みを入力するだけで、あなたの事業計画の安全率を測定することが可能です。
さらに、作成した事業計画はCSV形式、Excel形式、PDF形式でデータをダウンロードでき、日本政策金融公庫の融資申請時の事業計画書としてご利用頂けます。
あなたの事業計画は成功する計画かどうか、ぜひチャレンジしてみてください。
株式会社さあ頑張ろうぜ 代表取締役 1960年生まれ。東京都出身。経営コンサルタント歴20年のベテランが、アイデア出しから起業までを支援します。
著書『芸能人に学ぶマーケティング戦略』ほか
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総合起業コンサルティンググループV-Spiritsに在籍する。特に補助金・助成金については元補助金事務局員だった経験、実績をフル活用し、95%以上という非常に高い採択実績を記録するなど、実績を豊富にお持ちです。
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