自宅でできる、年収1000万を達成する個人塾の開業方法

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 戸高 一穂

はじめまして。私は大分県で個人塾を運営しながら、小規模塾で開業したい方や、すでに開業しているけど集客に困っている塾長さんを対象にコンサルタントとして活動をしています。

開業当初はお金もないし、できるだけリスクを低くしたいですよね。私自身も開業当初は資金に余裕がなかったため、自宅の1室を使って個人塾を開業しました。今もそれは続いています。同じように自宅でリスクなしで開業する個人塾で年収1000万を達成する方法をお伝えします。

2022年に「塾で起業して年収1000万を目指す人のための行列のできる塾の創り方」を出版しました。こちらの記事でその内容についてインタビューを受けています。

個人塾は1部屋あれば開業できる

4畳半の書斎で始めた1年目

塾はいわゆる箱物商売と呼ばれていますが、塾で良く言われるのが物件探しの重要性です。

多くの場合はテナントを借りて、敷金・礼金を払って契約するわけですが、それってすごくお金がかかってしまいますよね。広ければ広いほど内装の費用や机や椅子などの備品代も膨れ上がっていきます。

しかし、開業してすぐに生徒が集まる保証はありません。下手をすると数か月以上、反応がない場合もあります。もし、最初に家賃の高い店舗を借りて集まらなかったら、とんでもなく資金繰りが厳しくなります。

赤字が続くと精神的にも参ってしまいますし、生徒指導どころではなくなってしまいます。ですので、最初に店舗を借りるのは余程資金に余裕があるとき以外は避けるべきです。

当然ですが資金に余裕のなかった私はどうしたかというと、自宅の一室である4畳半の書斎で開業することにしました。書斎の壁にホワイトボードと長机を置いて、ホワイトボードの反対の壁に本棚を設置。それで終了です。

家賃も必要ありませんから、余った予算を備品に使うことができました。椅子を学習効果の高い良いものにして、プロジェクター型の電子黒板を設置しました。さらに空気清浄機もおけば見栄えも良くなります。

4畳半はとても狭いわけですが、狭いとはいっても同時に2人までは指導できるので、立派な個別指導塾の完成です。大事なのはこの狭さをマイナスに捉えるのではなく、どのように強みに変えていくかです。

ちなみに開業初年度で十分食べていけるだけの生徒は集まりました。狭くても工夫しだいで、生徒は来てくれるということは間違いありません。

6畳のワンルームで開いた2校目

次は2校舎目についてですが、塾を自宅で開業して半年ほど経つとしだいに遠くからお問い合わせが入るようになってきました。わざわざ30分以上かけて車で通ってくれる生徒までいたので、2年目からは激戦区でテナントを借りることにしました。

とはいえ、4畳半で成立する個人塾なので、広いテナントを借りる必要はありません。ワンルームのマンションで良い物件を探していたところ、理想的な場所に6畳のオフィス物件が見つかったため、すぐに見学予約をして、内覧したその瞬間に決めました。場所、条件、建物の見た目と設備、すべてが理想的だったのです。何よりも家賃が安かったことも良かったです。

良い物件との出会いはタイミングもありますので、自分の候補地の物件は常にチェックするようにすることをおすすめします。良い物件が見つかるまでは無理に借りない方が良いです。資金が乏しいときは立地・見た目・広さの何を優先するかを考えて借りるようにして、少しずつ改善していくのが大事なポイントです。

無料かつ自宅を使わずに個人塾を開業する方法

さて、これまで自宅とテナントを借りて塾を開業する方法を語ってきましたが、自宅は使えないし、借りるほどの余裕がない方もいらっしゃると思います。

どうしても教室を用意するのが難しい場合におすすめなのは、フリーの家庭教師として自分が生徒の家に行くということです。開業してすぐは生徒も来ないので時間にも余裕があります。1日3人くらいだったら、地域を絞れば可能です。もしくは貸会議室を借りたり、カフェなどで教えたりという手もあります。

さらには、インターネットを利用すれば教室すら必要のない塾を創ることも可能です。この方法ならパソコン1台さえあれば、塾は開業できます。

年収1,000万の塾をつくるために必要なこと

安近短では戦えない個人塾

安近短というのは、「安い」「近い」「短期間」ということです。まず絶対にやってはいけないのが、「安」つまり、月謝を安く設定してしまうことです。なぜ駄目なのかというと、月謝を安くすることにおいてはスケールメリットのある大手塾には絶対に敵わないからです。

大手塾は店舗も多く、生徒数も莫大な人数を抱えています。大量の仕入れをすることで教材費やその他のランニングコストも交渉で最安値にすることができます。しかし、われわれ個人塾にはそれはできません。つまり、値段で戦ったら負けるのはこちらです。むしろ月謝は高くしてください。

それじゃみんな大手塾に行ってしまいませんか、とよく言われますが、実際は逆です。

高くても通わせたい

そう思わせる塾を創ることが重要だということです。ちなみに私の塾は近隣の競合の塾と比べると2倍以上の価格に設定しました。しかし、毎年春の時点で満員になります。価格に関しては高くすることに抵抗がある方も多いと思いますが、少なくとも競合より安くするのはやめましょう。

「近い」も基本的には同じですね。学校の近くなど、条件の良い立地は家賃も高く、しかもすでに大手塾が良い場所は獲っているし、「近い」だけで通ってくれている生徒はもっと「近く」に良い塾が出来たらすぐに辞めてしまいます。

「近い」ことが悪いわけではありません。近くて便利なのは立派な入塾理由の1つではありますが、それは簡単に競合に真似できる強みです。大事なのは「近い」だけでなく、たとえ遠かったとしても通ってくれるような魅力のある塾にするにはどうするか、それを個人塾は考える必要があるということです。

また、「短期間」しか通わない生徒も個人塾にとっては望ましくありません。できるだけ長く通ってもらえれば、新しく生徒を集める必要もありませんから広告宣伝費も減り、塾の経営も安定します。

最近よく聞くようになったのが、「入塾時期が遅くなった」「みんな中3の夏以降に入塾して、合格したら辞めてしまう」「中3になったと思ったら大手塾に行ってしまった」といった内容です。これは個人塾の先生に本当に多いお悩みです。

そうなってしまう原因は外的な要因もいろいろあるのですが、一番の問題はその塾が「早めに入って長く在籍するだけの価値がない塾」と判断されていることです。

例えば中3の時点ではもう入塾できないような状況であれば、少なくとも2年は通ってもらえる塾になります。他にも高校生になっても通えるようにすれば、通塾期間は伸ばせます。生徒に長く続けてもらうためのな仕組みづくりをしていけば、そのような悩みもなくなるということです。

個人塾で100人集めることは難しい

個人塾というのは基本的には塾長自身が教える塾が多いため、抱えられる生徒数には限りがあります。スタッフを雇った上で瞬間的に100人集めることは可能ですが、私の経験上、講師1人あたり50人を超えるとかなり大変になります。

結果的に指導の質が下がり、塾の評判も下がってしまうため、個人塾で100人を目指すのはお勧めしません。動画授業などを使って、先生が授業をしないような塾もありますが、これだけ動画授業が安く見ることができるようになった今、設備的な面では大手塾に勝てませんし、長期的に集めるのは難しいと考えています。

また、生徒数が増えるというのはもちろん利益を考えれば嬉しいのですが、容量をオーバーすれば体力的にもキツい上に、悪評も起こりやすく、塾内の秩序も乱れがちです。

さらに言えば、子どもの数が減り、塾が増えている中でそれを維持していくのはまず不可能だと言えます。目安としては生徒が30人程度で十分利益が出る塾を目指しましょう。30人程度であれば、集めるのも維持するのも簡単です。

少人数で利益が出る高単価の塾を創る

以上のことから、ありがちな月謝が安く、生徒数を集めないと収益が上がらない塾にしてはいけないということになります。さきほど個人塾ほど月謝は高くした方が良いと書いたのも、生徒が少なくても収益の上がる塾でなくては後々苦しくなるからです。

例えば月謝10,000円で100人集めるより、月謝40,000円で25人集めた方が良いし、個人塾が目指すべきなのは後者だということです。

これから10年、20年と事業を継続することを考えても「生徒数が少なくても利益が出る塾」を創る必要があります。そのためには単価を上げた上で、「あそこは高いけど良い塾よね」といわれるような塾を目指しましょう

コストを最小限にして利益を最大限にする塾運営

最初から余計な物は買わない

これは初期コストを削減しましょうということです。

開業してから生徒が増えて黒字になるまでには少し時間がかかります。初期にかかるコストを低くして、運転資金にするために、必要最低限の物しか買わないようにしましょう。特に開業の初期段階では、必要最低限の設備だけにしましょう。

よくあるのが、開業当初、まだ生徒が集まっていないにも関わらず設備投資をしようとする方がいますが、どうしても設備投資をしたい場合は生徒が集まってから徐々に良くしていけば良いだけです。その方が、だんだんサービスが向上していくわけですから、通ってくれている生徒や保護者の満足度も高くなります。

毎月請求されるサービスを契約しない

当然のことですが、毎月かかるお金が大きいと月の粗利が減ります。ランニングコストは最小限にするのが小さな塾で生き残るための鉄則です。

例えば塾といえばコピー機ですが、業務用コピー機は高額なため、多くの塾はリース契約を結んで毎月お金を支払っています。しかし、本当にコピー機が必要なのかも考えた方が良いです。ちなみに私の場合は3年間、業務用コピー機は使いませんでした。家電量販店で売っている数万円程度の複合機で十分だったからです。

4年目で業務用のコピー機を置きましたが、それも営業の熱意に負けての話です。かなり安くしてもらった上で買い取りで購入したので、経費は毎月の1,000円未満のトナー代のみです。余裕が出るまではランニングコストを下げて、毎月の利益を最大化しましょう。

必要のないことはしない(時間的コストの削減)

塾の業務は多岐に渡ります。小さな塾はほとんど塾長1人ですべての業務をこなす必要があります。細かい仕事はいくらでもあるため、すぐに時間が足りなくなります。そうならないように塾の業務として最低限必要なことをすべて書き出して、必要のない業務は外注し、あるいはあえてやらないように切っていくのも大事なことです。

時間もコストだということをしっかりと意識して、生産性の高い仕事、利益を生み出すために必要な業務のみにエネルギーを使いましょう。

年収1000万の塾を生み出すために

ここまで述べてきたように、個人塾で年収1000万にするためには、高単価で売上を最大化、さらにコストを下げて利益を最大化し、人数を絞ることで質の高い指導を目指し、遠くからでも通ってもらえるような高い価値のある塾を創る必要があります。

そうすることで、通ってくださる生徒・保護者の満足度も上がり、あなた自身も充実した日々を送ることができるようになっていきます。せっかく塾を始めるわけですから、開業して良かったと思えるようになっていただきたいと思います。

もしあなたが塾で開業しようと思っているなら、その前にぜひ一度ご相談ください。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 戸高 一穂(個別指導LOGIQUE)

学習塾専門のコンサルティングを行なっている戸高アドバイザー。集客に悩む個人塾の経営者を中心に、ご自身の経験をもとにした成功メソッドを提供しています。 集客に悩むことなく、 教える楽しさに集中できる塾講師を多数輩出。

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ドリームゲートアドバイザー戸高 一穂

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