塾の起業が成功する3つの秘訣と年収・資金を塾コンサルタントが徹底解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 戸高 一穂

私は大分県で個人塾を運営しながら、小規模塾で開業したい方や、すでに開業しているけど集客に困っている塾長さんを対象にコンサルタントとして活動をしています。

これから塾を始めたい、教育事業に携わりたいという方は多いと思います。本記事ではこれから学習塾を開業しようと検討している方々に向けて、学習塾業界の現状と起業のプロセスについて私の経験からお伝えします。塾を開業するのに必要な準備、資金もわかります。

- 目次 -

学習塾を取り巻く環境は「少子化・市場は横ばい・倒産増加」

2020年以降、新型コロナウイルスが猛威を振るい、2023年でようやく落ち着きを見せましたが、その間にオンライン塾が大きく成長すると同時に少子化問題も深刻化してきています。このような状況下で、学習塾業界はどのように変化しているのでしょうか。

総務省人口推計調査によると、15歳未満の人口は2020年に1503万人、2021年に1478万人、2022年に1450万人、2023年に
1424万人とわずかこの4年で6%近く減少しています。1年で1%以上減っていることになります。


一方、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2020年にコロナ禍で落ちた学習塾の売上は2021年には回復し、受講料収入や教材料売上高も増加し、受講生数も増加しています。その後の2022年も前年比101%でほぼ2021年とやや増加傾向ではありますが、横這いといったところです。

なぜ少子化なのに市場規模は下がらないのでしょうか?

たしかに少子化は進んでいるのですが、その分、子供1人当たりの学習費用は増加しており、学習塾に通う子供の数も増加しているため、市場規模としては拡大していると言えそうです。ここ最近では外国(特に中国)からの需要が高まっており、日本の大学に入学するために塾を活用する傾向が高まっています。

また、高校の指導要領が新しくなり、英語教育の見直しや「情報」という教科が入試に追加されて、小学生のうちから、プログラミングや発展した英語教育などが導入される中、全体としては学習塾の需要が高まっています。

1人の子どもにかける教育費は増加しているということですね。

とはいえ、学習塾の経営状況は厳しい側面もあります。帝国データバンクの2023年の1月から6月まで上半期報において、『サービス業』においては倒産件数が、前年同期774件が958件になっており、23.8%も増加しています。2023年の経済産業省の調査によれば、『サービス業』では学習塾など教育関連業者の倒産が目立ち、どちらの調査からも学習塾業界は競争率が高い業界と言えます。

私自身の周りで言えば、多店舗展開している創業30年を超えるような地元の大手塾が一番苦しそうです。一方でオンラインに上手く対応できている塾は集客に困っている様子がありません。集まる塾には集まっています。つまり二極化が起きているということです。

今後はニーズに応えられる塾、変化に対応できる塾しか生き残れない流れを感じざるを得ません。

参考:総務省人口推計(令和5年(2023年)8月確定値、令和6年(2024年)1月概算値)

参考:特定サービス産業動態統計月報/経済産業省

参考:帝国データバンク2023年上半期報

塾講師の平均年収は575万円だが・・?

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると塾講師の平均年収は575万円程度となっています。

日本人労働者全体の平均年収は約443万円であるため、塾講師の平均年収は日本人労働者の平均年収に比べてやや高めと言えます。ただ、これはあくまでも平均値ですので、かなり差があると考えた方が良いです。

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類

大手FC個別指導塾の教室長でも300万円から600万円くらいの差はあります。大手塾のエリア長くらいになると1000万を超えるかもしれませんが、ポストに限りがあるため誰もが目指せる収入とはいえないでしょう。

中小個人塾の経営者の場合はもうその塾の売上次第なので、本当にピンキリです。私の知っている範囲では生活するのがやっとの人もいますし、高級車を乗り回して羽振りの良い人もいます。年収は300万から2000万円以上まで幅広いです。

塾経営者の年収についての質問が多いのですが、経営者というのは単純に年収だけを見ても意味がありません。個人事業主や法人には経費にできるものがかなりあります(法人の方がより経費にしやすいです)。自分の収入を自由に決められるというのも起業の醍醐味と言えます。

塾の起業で高収入を狙いたいという方は、こちらの記事で年収1000万円を目指す塾起業についてノウハウを書いていますので参考にしてみてください。

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塾の起業は個人塾か?フランチャイズか?

塾で起業すると言っても、塾にはさまざまな形態があります。大きく分けるなら個人塾として自分のブランドで塾を起業するのか、それともノウハウが充実しているフランチャイズで塾を起業するのか、それぞれのメリット・デメリットを知ることで、自分に最適な塾が見えてくるはずです。

個人塾で起業するメリット

自分のオリジナルの塾を作りたいのであれば、個人塾がおすすめです。大きなメリットは2つあります。

個人塾のメリット①コストを最小化できること

講師を誰も雇わずに自分だけで始めるなら、人件費もかからず、自宅で開業するなら家賃もかかりません。ほぼリスクなしで塾を開くことができます。塾講師としての経験が豊富で実績があり、自分で生徒を集められる自信がある方ならこれが今は一番良い選択肢かもしれません。

個人塾のメリット②自由に経営できること

もう1つのメリットは「圧倒的に自由である」ということです。何もかもを自分の裁量で決められ、自分の理想の教育を実現できるはずです。

売上もすべて自分に入ってくるわけですから、生徒が増えれば増えるほど、自分の収入が増える喜びがあります。サラリーマン塾講師からすれば自分の月収が一気に2倍、3倍になっていくことになります。これも起業の醍醐味です。

個人塾で起業するデメリット

個人塾のデメリット①知名度がなく、集客に苦しむ可能性が高い

個人塾というのは知名度ゼロで始まります。よほど集客の勉強をして自信がない限り、最初の1年間の集客は苦しむことになります。チラシをまけば生徒が集まるという時代ではありません。大手塾から独立した人ほどサラリーマン時代と比べて、いかに大手塾の看板の力が大きかったかということに気づきます。

私自身も個人塾として開業した当初は集客に苦しみました。そこから集客の勉強を必死になってした結果、1年後には満席になっていましたが、そのまま何もしなければ失敗する可能性もかなり高かったと今になっては思います。

会社員時代は広告費のことを考えなくてもよかったのですが、自分は身銭を切って、入るかどうかもわからない広告にお金を出すことの難しさを身をもって味わいました。その当時から見ても、今の塾業界は集客が非常に難しくなってきています。

楽観的な方はその辺を甘く見積もって高い家賃の物件を借りて、広告を出しても集まらず、何か月も売上がゼロのままお金だけがどんどん出ていくことになるので注意が必要です。

個人塾のデメリット②:塾を運営するノウハウは自分で作るしかない

この場合のノウハウというのは単純に集客だけでなく、指導についてもです。どのようにして成績を上げるのか、経験がない場合はとにかくありとあらゆることを試して最適なものを探っていくことになります。

集客にしても、チラシを考えたり、WEB広告を始めたり、ブログを書いたり、SNSで情報発信をしてみたりとするべきことは多岐にわたります。もちろん、失敗も多くすることになります。

ここに手間と時間とお金がかかってしまうため、資金的に余裕がある人、集客に自信がある人、実績と経験を積んだ人以外はいきなり個人塾で起業するよりはどこかの塾でノウハウを身に付けるまで修行をすることをお勧めします。

フランチャイズ塾に加盟して起業するメリット

一方、フランチャイズの塾に加盟することを検討している人も多いと思います。特に退職して未経験で子どもたちの教育に携わりたいと考えている方はフランチャイズを検討することが多いでしょう。フランチャイズにもメリットはあります。

フランチャイズのメリット①専門ノウハウや教材、システムを活用できる点

フランチャイズ契約を結ぶことで、フランチャイズ本部が提供する専門ノウハウや教材、システムを利用できます。これらはすでに確立されており、新規開業時に自力で構築する必要がないため、時間と費用の節約になります。

また、フランチャイズ本部が提供する教材はすでに効果が出ている品質の高いものであることが多く、経験のない塾講師のレベルアップにも寄与します。動画やアプリを使った生徒指導など、オーナーが1人でも多くの生徒を指導できるノウハウがあります。

個人塾で始める場合と違ってトライ&エラーの手間がなく、開業までの時間や費用を削減できます。立地選定から内装工事、採用など多くの面倒な仕事を楽に進めることができます。

さらに、開業後もフランチャイズ本部が提供するサポート体制により、経営や運営のアドバイスを受けることができます。すでにシステムが出来上がっているため、多店舗展開をしやすいのも大きなメリットです。経営者として複数の教室のオーナーになりたいという方はフランチャイズの方が向いていると言えるでしょう。

フランチャイズのメリット②高い知名度やブランド力を活かせる点

フランチャイズ本部が提供するブランド名や広告宣伝活動により、塾の知名度を高めることができます。既に確立されたブランド力を持つ塾であれば、生徒数を増やす可能性が高くなります。また、フランチャイズ本部が展開する広告宣伝活動により、自社での広告費用を削減できます。

フランチャイズ契約を結ぶことで、既に成功しているビジネスモデルを踏襲することができるため、トライ&エラーの手間がなく、開業までの時間や費用を削減できます。立地選定から内装工事、採用など多くの面倒な仕事を楽に進めることができます。さらに、開業後もフランチャイズ本部が提供するサポート体制により、経営や運営のアドバイスを受けることができます。

フランチャイズ塾に加盟して起業するデメリット

一方、フランチャイズには大きなデメリットがあります。このデメリットを許容できるかどうかがフランチャイズに加盟するかどうかの判断を決めることになります。

 フランチャイズのデメリット①資金的な負担が大きくなってしまう

フランチャイズ契約を結ぶと、フランチャイズ本部に対して100万~300万ほどの加盟金と、毎月のフランチャイズ料を支払う必要があります。教室も見栄えのする内装を求められることも多く、教室の準備に1000万から2000万の資金が必要になります。

さらに売上によってロイヤリティが加算されることも多く、売上が上がってもロイヤリティも増えるため、支払う金額が増え、利益が思ったより少ないということもあります。また、フランチャイズ本部が展開する広告宣伝活動の費用を加盟側が負担するケースもあり、これにも費用がかかります。これらの負担は自社で行う場合に比べて大きくなる場合があります。

本部が毎月の月謝をまとめて徴収して、天引きされた売上が入ってくるような場合は現金がすぐに入ってこず、広告費も自分でコントロールできなかったり、そのせいで資金繰りが苦しくなったりすることもあります。少し前にある大手塾でも広告宣伝費をめぐって訴訟になっていました。

ただし、フランチャイズ本部が行う広告宣伝活動によって生徒数が増加することが期待されるため、長期的には投資に見合ったリターンが得られる可能性があります。

個人塾と比べると売上が大きくなる可能性もありますが、その分、資金面で苦しくなる可能性があるというのは大きなデメリットであると言えます。

フランチャイズのデメリット②自由度が制限される点

フランチャイズ契約を結ぶことで、フランチャイズ本部の定めたルールやシステムに従う必要があります。これによって、授業内容や営業時間、価格設定などについて制約が生じます。

また、独自のアイデアや取り組みを実施することが制限されるため、経営者の自己実現が制約される可能性があります。

せっかく自分でリスクを取って起業したのに、実際は自分の思った通りにできない不自由なものになるとしたら、不本意なものになる可能性があります。

大事なことは、フランチャイズに加盟したからと言って成功することが確約されているわけではないということです。全国的に有名なフランチャイズの塾は少なくて、大手フランチャイズの看板だけで集まるということはほとんどないと思ってください。

つまり、個人塾にしてもフランチャイズにしても、結局は宣伝広告費が必要だということです。資金が少なく自由に始めたいなら個人塾、システムや多店舗化を考えていて資金的な余裕があるならフランチャイズという選択肢もありでしょう。

最近では私の塾のように資金が少なくても始められるフランチャイズもあります。その他にも指導システムだけを月額で利用できるサービスもありますので、個人塾とフランチャイズの良いとこどりをしたい方はそういうサービスを利用してみるのも検討してみてください。

塾の起業プロセス

それでは塾の起業のプロセスについてお話しします。実はこの塾の起業のプロセスについては非常にお問い合わせが多いのです。塾をしたいけど、何から手を付ければ良いのかわからないという人が多いということでしょうね。あくまでも一例ではありますが、この順番で考えていけば良いというのは私の経験からお伝えします。

①開業届を提出し、事業用の銀行口座を作る

個人事業主として開業する場合、開業の日から1カ月以内には、所管税務署への開業届けの提出が必要です​​。これを最初にしておきましょう。開業届の控えがないと事業用の口座は作れないからです。個人口座と事業用の口座は必ず分けましょう。

法人から開業する場合は最初の手続きが複雑なため、専門家に任せることをおすすめします。法人登記には20万円程度が必要となります。書類は専門家に外注すると1万円程度で作成してもらえます。

銀行口座は審査に時間がかかるのでかなり早めに用意しておき、その審査の間に他の準備を進めるとスムーズです。

②事業計画を立てる

まずは事業計画を立てましょう。単純に売上の見込みや資金繰りのことだけではなく、一番最初に考えたいのはあなたがこれから始める塾は

  • どのような人に
  • どのようなサービスをして
  • どうなってもらうのか

を考えてください。授業時間や料金などはそれが決まってから考えましょう。

例えば、私の塾の場合は

  • 受験国語の成績が上がらずに悩んでいる難関大合格を目指す人に
  • 1対1の週1回の個別指導で読解のための公式や100字要約のコツを伝えることで
  • 国語の成績が上がり、学校のテストや入試で志望校に合格し、これからの時代に真に必要な論理的思考力と表現力を身につけた社会で活躍する人材になるための素養を育てる

ということを考えました。

当然、難関大を目指している人は教育熱心な方が多いわけですから、そのような人に響くようなメッセージを考えて、サービスの内容や料金設定をしていきました。

その後、1年間の集客のための広告費は月ごとの経費と目標の売上の計画を立てましょう。最初の3か月は売上ゼロでもおかしくないです。甘く見積もらずに1年間の運営資金をどのように使うかを検討しましょう。

③開業場所を決める

教室としての実店舗を契約するのか、自宅で開くのか、オンラインのみにするのか、ご自身の提供したい相手がどこにいるのかを考えて開業の場所を決めましょう。

注意したいのはライバルが少ない場所で開業しようと考える人が多いことです。しかし、多くの場合、それは失敗します。塾がないということはそれだけ市場が小さいということです。塾の需要がその地域にないから塾が少ないのです。

理想を言うなら大手塾が多く展開している地域を積極的に出していきたいです。そうすれば少なくとも生徒を集めることがしやすい状況を作れます。競争が激しいところにこそ商機があるということを覚えておいてください。

また、近年は塾講師や学校の教師による性犯罪が大きく報道されるようになりました。特に男性の場合はその辺りに注意して開業しましょう。一人暮らしのマンションに生徒が安心して通えるか、ということを本気で考えなければいけません。

講師と1対1にならないような工夫、保護者が自宅から監視できるカメラを設置する、教室を外から見える路面の店舗物件を借りるなど、対策は必要になるでしょう。

この点、オンライン指導は最初からクリアできているのが強みです。しかし、コロナ以降、オンライン塾は乱立しており、競争も激化しています。集客の難易度で言えば、オンライン塾が最も難しいです。マーケティングに長けていない場合は集客に苦しむことになりますので、慎重に判断しましょう。

④収支計画を立てる

1年間の収支計画については金融機関に創業融資をしてもらう場合には必ず必要となります。事業計画と同時進行でも問題ありませんが、ランニングコストが確定しないと利益の試算もできませんので、家賃などがある程度決まってから考えましょう。

事業を考えるのに難しく考える必要はありません。要は売上から経費を差し引いたものが利益なわけですから、売上を上げて、経費の割合を下げていけばずっと事業は継続できるわけです。無駄な支出をさけて、必要な広告費を確保しつつ、生徒を集めていきましょう。

ここ数年特に、去年あたりからかなり集客が難しくなってきています。最初から生徒が集まるという楽観論は危険です。時間をかけて集めるつもりで計画を立てましょう。

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塾の開業資金と運営資金

塾の開業資金について、個人塾とフランチャイズを比べると次のように違います。

個人塾の開業資金と運営資金について

塾を開業する際に必要な資金は、その形態や規模、地域によって大きく異なりますが、個人で塾を開業する場合、費用は比較的低く抑えられる傾向にあります。

  • 物件取得費:60~100万(場所と広さによってかなり差が出ます)
  • 内外装費:30万~100万
  • 備品:30万~50万
  • 広告費:50万

物件を借りるなら、最低でも200万円は必要になるでしょう。その際は内装費や看板などの外装費用もかかります。費用を抑えるために中古のオフィス家具を利用し、高価なプリンタ複合機は最初は使わずに費用を抑えましょう。

また、自分でホームページを作成することで、外注に比べて大幅にコストを削減できます。開業後の運転資金として、教室家賃や水道・光熱費、広告費、講師の人件費など、6ヶ月分を用意しておくことが望ましいです。半年は売上がなくても耐えられる生活防衛資金も必要です。

自宅の1室で行うのであればかなり初期費用は抑えられます。私自身は自宅の1室で開業しました。備品もホワイトボードに机と椅子が2セットとプリンターくらいです。

費用を抑えるために中古のオフィス家具を利用しましたし、高価なプリンタ複合機は最初は使わずにビジネスインクジェット複合機を買いました。自分でWordPressのサイトを作りましたし、広告も自分で考えてデザインまでしました。

自分でできることを増やしておくと外注費を削ることができます。起業初期は時間はあっても資金は少ないことが多いので自分の時間を使うことでコストを削減することをおすすめします。

私の知っている塾の経営者の方は内装までご自身でされていて、大幅に教室開校のコストを下げています。さすがにそれは難しいと思いますので、ご自身でできることをするようにしてください。

フランチャイズ塾の開業資金と運営資金について

一方、フランチャイズの場合は個人塾より金額が大きくなり、400万から1000万の資金が必要です。

  • 加盟金:100万~300万
  • 物件取得費:100万~150万
  • 内外装費:100万~200万
  • システム導入費(研修費):10万~30万
  • 備品:50万~100万
  • 広告費:50万~100万

フランチャイズの場合はかなり広めの物件が必要になることが多く、机や椅子なども多く購入することになりますし、動画やアプリなどのためにパソコンやタブレットも必要です。

また、本部スタッフからの研修費やシステムの導入費もかかるため大幅にコストがかかります。開校してからのランニングコストも個人塾と比べると高くなるため、赤字に耐えられるだけの運転資金や生活防衛資金も含めると2000万はほしいところです。

自己資金だけでは厳しいでしょうから、金融機関の融資が必要になるでしょうし、補助金や助成金も積極的に活用するようにしましょう。そのためにもより綿密な事業計画が必要となります。

塾開業でやりがちな失敗

大手塾の真似をしてしまう

塾で起業する際には大手塾の真似を絶対にしないでください。なぜなら大手塾と同じ教育プログラムやカリキュラムを提供することで、自塾の独自性や競争力が失われるからです。同じものなら生徒や保護者は大手塾を選びます。生徒・保護者にとって魅力的な選択肢となるためには、独自の教育理念や特色あるプログラムが必要です。

また大手塾は一般的に幅広いニーズに応えるための教育サービスを提供しています。しかし、それを真似しても人員が足りずに幅広いニーズに対応することはできません。ある地域や特定のニーズに特化したサービスを提供することで、大手塾のサービスが行き届いていない市場ニーズを掘り起こし、成功する可能性があります。

そもそも大手塾の運営スタイルを真似ると、高額な初期投資や運営コストがかかる可能性があります。小規模な塾では、コスト効率よく運営することが重要であり、無理な経済負担は避けるべきです。

競争を避けて過疎地で塾を開業してしまう

塾を考えるときに、ライバルのいない塾の少ない地域に出そうと考える方が多いです。しかし、それは絶対にしてはいけないことで、塾が少ないということは塾の需要も少ないのです。結果的に生徒が集まらず、撤退してしまうことになります。

少子化で人口減少中の地域で出すと、年々集客が難しくなります。

生徒や保護者が通いやすい立地を選ばないことも、生徒数が増えない一因になります。交通の便が悪い場所だと競合塾と比べられて選ばれにくい塾になってしまいます。家賃の安さだけで教室を選ばないようにしましょう。

生徒単価の低い安い塾にしてしまう

塾の先生をしたいという方は教育熱心な方が非常に多く、それだけに月謝を払える余裕がない人を助けたいという思いで月謝を周囲の塾と比べて安く設定してしまう傾向があります。

しかし、その結果何が起こるかというと、値段だけで決める人が集まってしまい、クレームが多く発生したり、より安い塾ができた途端に退塾して、より安い塾に移ったりするということになってしまいます。

また、「安すぎる塾だから逆に信用できない」と言って避けられることもあるのです。しっかりしたサービスを提供するにはそれ相応のコストがかかります。それを理解してもらい、お互いが納得できる価格設定で生徒保護者だけでなく、経営者であるあなた自身も余裕をもって生活できるだけの利益を得るようにしましょう。

それが長い目で見たときにはより良いサービスの提供へつながります。

市場調査の不足

塾を開業する前に、対象とする市場や顧客層のニーズ、競合他社の状況を十分に調査しないことがあります。これにより、市場に適した教育プログラムや価格設定ができず、生徒の獲得に苦労することになります。

資金計画の不備

開業資金や運転資金の見積もりが不正確で、資金が不足することがあります。これにより、運営が困難になったり、質の高い教材や教育環境を提供できなくなる場合があります。

マーケティング戦略の欠如:
効果的なマーケティング戦略を立てずに開業すると、塾の存在を対象顧客に知ってもらうことができません。特に、デジタルマーケティングやSNSを活用した宣伝が不足していると、新規生徒の獲得が難しくなります。

こちらの記事でも詳しく解説をしています。

学習塾起業が成功する3つの秘訣

秘訣1 低コスト、高単価な塾を目指す

個人塾で100人の生徒を集めるというのは難しいため、少人数制にして単価をあげることが重要になります。私の場合は、生徒が20人いれば、十分食べていける仕事として成り立つように設計しました。低コストにするための対策としては、教室を自宅にするか家賃5万円以下の場所にすることで、必要コストを下げていきます。

次に、高単価でも選んでもらえるサービスの検討ですが、私の場合は椅子と机と黒板にコストをかけて機能性の高いものを選びました。個別指導なので、用意する椅子や机も少なくすむため、良い机や椅子を選ぶことができます。

また、ブログで私自身の考えや人柄を知ってもらうことで、「この人に教えて欲しい」と思ってもらえるように心がけました。生徒や親に「この人に教えて欲しい」と思ってもらうことは非常に重要で、そう思ってもらうことができれば、費用が高くても入塾していただくことができ、そのような理由で入った方は簡単にはやめません。

もし、講師を別で雇う場合は、その講師にブログを書いてもらうといいでしょう。とにかく教える人の考え方や、人柄を知ってもらうことは、高単価でも選んでもらうためには大切になってきます。

秘訣2 人口の多い地域に教室を出す

あなたは塾を出す場合どちらに出しますか?

  • A 大手塾がひしめく激戦区
  • B 大手塾のないライバルの少ない地域

正解は大手塾がひしめく激戦区です。

Bを選んだ人は危険です。失敗する確率が高い選択肢なのです。

理由はあきらかで、Aには生徒がたくさんいるからです。

よく大手塾がいない場所を狙ってちょっと田舎の方に塾を出す人がいるのですが、大手塾がそこに塾を出していないのは「生徒がいない」ということを忘れないでください。

そもそも優秀な生徒やその保護者は「遠くても良い塾に行かせたい」と考えて選んでいるので、近くの小さな塾には通わず遠くの大手塾に通うケースがほとんどです。

だから「大手と場所をずらすことで選ばれる」ということは基本的にありません。

むしろ大手塾がひしめく場所の近くで、賃料がかからない場所を選びましょう。

していることは同じだし、出しているメッセージや広告も同じです。しかし、生徒が多い地域で出せば全く反応が違ったのです。

私の塾が2年目でキャンセル待ちの状態を作り出せたのも人口の多い県庁所在地で教室をに出したからです。

秘訣3 集客の仕組みを構築する

集客の仕組みは3つのステップを踏んですすめていきましょう。

  • ①情報発信して信頼を獲得する
  • ②お試し商品(体験授業や短期講座)を販売する
  • ③本命商品(入塾)を販売する

この段階をふむだけで、売れやすさは変わっていきます。

本命商品(入塾)の前にお試し商品を体験してもらうことを、ツーステップマーケティングといいますが、購入前にお試しをしてもらうと、買われやすいだけではなく、納得して購入するので長続きしやすいというメリットもあります。

分かりやすい例で言うと、通販のサプリをイメージしてください。最初はお試し商品を安く買ってもらって、そのあとに本命を売る流れになっていますよね。

このステップを踏むのを面倒臭がっていきなり「入塾」を売る人が多いのですが、いきなり知らない塾に入ろうというお客さんは少ないため、チラシを入れても反応は薄くなり逆に遠回りになってしまうのです。

だから、面倒臭がらずにこの順番で集客を仕組化していきましょう。

塾の開業や経営でよくある質問

質問1 フランチャイズの成功率は?

フランチャイズ塾の成功率については、具体的な数字を示すことは困難です。これは、成功率がフランチャイズのブランド、立地、市場の需要、経営者の運営能力、地域の教育ニーズなど、多岐にわたる要因に依存するためです。

一般的に、フランチャイズビジネスは既存のビジネスモデル、ブランドの認知度、本部からのサポートなどを利用できるため、独立してビジネスを始めるよりは成功率が高いとされていますが、その分コストも増すため投資した金額を回収するまでに時間がかかります。資金的な余力がどれだけあるかにもよります。

フランチャイズは成功を保証するものではないので、加盟すれば生徒は集まるだろうと考えている人は大抵失敗します。フランチャイズ塾を成功させるためには、フランチャイズ本部との良好な関係を維持し、提供されるサポートを最大限に活用して積極的に生徒募集をすることが重要です。

質問2 オンライン塾の宣伝方法は?

オンライン塾の集客方法には、様々なアプローチがあります。以下に、効果的な集客戦略をいくつか紹介します。

1. SNSを活用して役に立つ情報発信をする

YouTube、Instagram、X(Twitter)、Meta(Facebook)など、ターゲット層が多く利用しているSNSを活用して情報発信します。キャラクターに自信があるならぜひ動画を使いましょう。

2. ウェブサイトを最適化する

検索エンジンで上位に表示されるよう、SEO対策をしてサイトをキーワード選定やコンテンツの質を高めることが重要です。教育に関する有益な情報やブログ記事を提供していくのはSNSと一緒です。

3. オンライン広告を出稿する

ターゲット指定が可能な広告:Google広告やMeta(Facebook)、Instagram、LINE広告など、特定のターゲット層に向けた広告キャンペーンを実施します。各広告媒体に応じたランディングページを作成し、顧客リストを増やしていきましょう。

4. ウェビナーや無料体験授業を提供する

オンライン塾の品質を直接体験してもらうため、無料または低価格で体験授業を提供したり、保護者や生徒を対象に、教育や学習方法に関する無料のウェビナーを開催します。LIVEでも良いです。成績の上げ方、子育てについてのお悩み相談、様々なテーマで信頼を得ることが大事です。

5. メルマガやニュースレターを送る

広告やSNSで手に入れた顧客リストに教育情報や塾の最新情報を定期的にメールで配信し、関係性を築いていきましょう。信頼関係を構築し、関心を持続させます。入塾後も生徒の学習進捗や関心事に基づいたカスタマイズされたメールやLINEを送ることで、顧客満足度を高めましょう。それが口コミにもつながりますし、定期的に友人紹介キャンペーンの告知もできるようになります。

質問3 塾経営において人件費はどのくらいの割合ですか?

これはとても良い質問で、塾の経営において最も割合の高い運営資金は人件費になります。塾は労働集約型のビジネスモデルですので、人件費を増やさないと売上の上限が決まってきます。そのため塾が大きいほど人件費も大きくなります。1ヵ月あたりの人件費は売上の20~30%だと言われています。これ以上の人件費は経営を圧迫するため、そうならないように月謝を設定する必要があります。

計算式は簡単で、講師の時給を人件費率で割ると出ます。

例えば、時給が2,000円の講師を雇うのなら、人件費率を最高の30%とすると、

  • 2000÷0.3≒6667円

となるので1時間あたり6667円の授業料が適正となります。

講師については正社員なのか、時間講師なのか、社会人や学生など講師の指導レベルなどによっても変動するので、計画的な採用が必要です。

学習塾の起業相談は専門家に

私自身が個人塾で開業し、自分の塾をフランチャイズ化したことで、どちらのメリットデメリットも分かったうえであなたに最適なアドバイスをいたします。塾で開業することを考えている方はぜひドリームゲートよりご相談ください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 戸高 一穂(個別指導LOGIQUE)

学習塾専門のコンサルティングを行なっている戸高アドバイザー。集客に悩む個人塾の経営者を中心に、ご自身の経験をもとにした成功メソッドを提供しています。 集客に悩むことなく、
教える楽しさに集中できる塾講師を多数輩出。

プロフィール | 無料オンライン相談受付中

ドリームゲートアドバイザー戸高 一穂

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