スタートアップ期にこそお薦め。
最大1,000万円が交付されるものづくり補助金に挑戦!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 森口 智志

ものづくり補助金とは、中小企業庁がここ数年毎年のように公募している補助金です。中小企業向けの設備投資を主な対象とした補助金であり、用途が広いこと、補助金額が1,000万円と大きいこと、採択数が多いことなどから大変人気のある補助金です。ものづくり補助金は略称で、募集年度により正式名称が違います。現在(2019年3月現在)公募中の正式名称は平成30年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。

ものづくり補助金という名称から、ものづくり企業=製造業向けの補助金と思われている方も多いのですが業種に制限はなくほぼどんな企業であっても利用できます。また対象は中小企業、小規模事業者であり個人事業主の方であっても応募できます。逆に一定規模以上の資本金や従業員数がある大企業は対象外です。

補助金とは?助成金との違い

国や地方自治体の政策目標達成のためや企業の支援を目的として支給される返済義務のないお金です。地方自治体が募集するものでは定義が曖昧なものがありますが国が募集するものでは助成金は厚生労働省、補助金は経済産業省がほとんどです。

助成金は要件を満たせば給付されることが多く、企業が活動の上で努力したことに対するご褒美という意味合いが強いものです。例えば雇用条件の改善であったり社員教育を行ったりという会社の本来の事業とは別のものが対象となることが多く、インセンティブの働きにくい部分に支給されます。

それに比べて補助金は会社の事業に直接必要なものに対してその事業資金をサポートするという性格のものです。そのため、補助金の場合は事前に審査があり、応募したからといって採択されるとは限りません。しかし、採択されれば自社の事業強化に使えるものが多く、上手に使えば強い会社作りにとても役立つものです。

補助金交付までの流れ

ものづくり補助金は応募して審査の上、採択とならないと受けることができません。採択を目指す上で必要なことは後ほど解説しますが、まずは応募から実際の補助金交付までの流れを確認してみましょう。

① 公募

現在公募中のものづくり補助金は公募の締切りが5/8です。

② 事業計画書申請

事業計画書とともに申請書を作成し応募します。

③ 採択通知

審査は公募締切り後に一括して行われ一斉に採択発表となります。

④ 交付申請

採択となった事業者は改めて事務局に対し交付申請を行います。

⑤ 交付決定

交付申請が行われた補助事業に対して交付決定が出されます。
交付決定以後にはじめて補助事業に着手できるようになります。

⑥ 事業実施・実績報告

実際の事業を行い事業終了後にかかった経費とともに実績報告を行います。

⑦ 確定検査

補助金事務局が事業終了と費用などの確認を行います。
ここで実際の補助金交付額が確定となります。

⑧ 補助金の支払

確定した金額に対して補助金請求を行うことで補助金の支払いが行われます。

上記⑥~⑧の流れからわかるように、補助金の支払いは実際の事業が終了し、支払まで終わった後となります。必要に応じて資金計画を立てておきましょう。

採択をめざすには

ものづくり補助金は審査のある補助金です。昨年度は予算額が大きく採択数も多かったことから採択率が約50%となりましたが、今年度は採択率が少し下がるのではないかと思っています。ではどうすれば採択を目指せるのか、ポイントごとに解説していきます。

事業計画書

採択されるかどうかの審査は申請時の事業計画書が中心となります。まずはしっかりとした事業計画書を作ることが必要です。その際に気を付けて欲しいポイントを挙げていきます。

審査項目

事業計画書に何を書くべきかについては公募要領に審査項目として書かれています。ここにある内容は取捨選択ではなくすべて書いてください。書くべきことが書かれていないとそのまま減点になってしまいます。事業計画書は点数を稼ぎに行く姿勢も大事ですが取れるはずの点数を落とさない意識も重要です。

ストーリーを考える

事業計画の中でなぜ今回の資金が必要なのかというストーリーも重要です。

当社は~~~という経歴があり、なかでも~~~に強みを持っています。しかし現在(当社or業界)では~~~といった課題があります。そこで~~~という(事業or設備投資)を計画しています。当社ならではの強みを活かした~~~を行うことで~~~が解決されて~~~ができるようになります。これにより(売上or収益性)の向上が見込め、~~~というよい状況につながります。

この穴埋めができますか?こういったストーリー建てを行って、そのストーリーに説得力があるとなぜ今回の補助金が必要なのかということが審査員に伝わりやすくなります。最初にこのストーリーを考え、先ほどの審査項目に沿って内容を肉付けしていきます。

わかりやすく書く

今回の公募から事業計画書は15ページ以内という制限がつきました。ものづくり補助金は応募件数も多く1件当たりの審査にかけられる時間がとても短いと言われています。その中で審査員に少しでもよい点数をつけてもらうにはわかりやすい内容であることが求められます。図やグラフを使う、箇条書きを行う、重要語句には下線を引くなどわかりやすく伝える工夫が必要です。

加点項目

事業計画とは別に審査に対する加点項目も公募要領に記載されています。事業計画で点差を稼ぐのは考えるより大変です。加点項目で可能なものは必ず使ってください。

法令に基づく各種取得計画について

①先端設備等導入計画 ②経営革新計画 ③経営力向上計画 ④地域経済牽引事業計画、の4つが加点項目として示されています。これはすべて取得しなければならないわけではなく1つ取得していれば加点になります。何か取得済みの計画があればよいのですが取得済みの計画がない場合は次のように考えてください。

一般型での申請の場合→先端設備導入計画の取得

小規模型に小規模企業で申請の場合→経営力向上計画の取得

いずれもものづくり補助金の事業計画書と同様の内容で申請できるのでものづくり補助金の事業計画書ができていれば申請は難しくはありません。

総賃金の1%賃上げ等の実施状況について

賃上げを行っている事業者に対して加点されるものです。実際にはこれまで賃上げを行っていなくても新年度で賃上げを計画している、といった内容でも加点されますのでこれもぜひ検討しましょう。

小規模企業者・小規模事業者

後述の【小規模事業者こそ狙い目】でも説明しますが小規模事業者には加点があります。この加点を受けるには従業員名簿の提出が必要になります。

購入型クラウドファンディング

これは今年度はじめて盛り込まれた項目です。現在から申請までにこの加点項目を満たす行動をとるのはかなり難しいかと思います。新しい要素なのでどれぐらいの事業者がこの加点項目を使うのか注目されるところです。

平成30年北海道胆振東部地震

激甚災害等の被災地企業を優遇する項目です。例年の公募でも災害被災地の優遇項目が盛り込まれています。

4、5は難しいのですが1~3(一般型は1と2)は必ず使って欲しい加点項目です。加点項目を使っているかどうかで採択される可能性は大きく変わります。

専門家に相談

ものづくり補助金は人気が高く、採択にいたるのはけして簡単ではありません。申請書の作成に悩んだら専門家に相談することも検討してみましょう。よろず支援拠点や商工会議所、経営革新等支援機関などをあたってみましょう。申請にあたってのアドバイス、支援、ものづくり補助金に詳しい専門家の紹介が受けられるはずです。

ものづくり補助金はある程度規模もあってしっかりとした会社じゃないと難しいですよね、といった質問をよく受けます。しかし実は小規模事業者こそ狙い目なのがこの補助金です。

まず、個人事業者であっても応募することができます。そして補助額が最大500万円となる小規模型に応募する小規模事業者(製造業で20人以下それ以外の業種で5人以下)であれば補助率は2/3にアップされます。またこの条件に当てはまると審査時に加点されることが公募要領にも明記されています。実際に私がこれまで支援してきた中でも小規模型に応募する小規模事業者は採択されやすいと感じます。

スタートアップ期の小規模事業者であれば補助額が500万円でも大きな金額です。小規模事業者こそ、ぜひ採択を目指してチャレンジして欲しいと思います。

この記事の監修:ドリームゲートアドバイザー 森口 智志氏
有限会社アダプト代表取締役、中小企業診断士・ITコーディネータ

2000年に有限会社アダプトを設立、Web制作会社として業務を開始。中小企業診断士、ITコーディネータ等の資格を取得し、中小企業のシステム導入、経営効率化など幅広い支援を行っている。また製造業からサービス業までさまざまな業種において「ものづくり補助金」、「IT導入補助金」など各種補助金の支援を多数行っている。

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アドバイザー:森口 智志

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