サービス業が資金調達をするための
「3つのやるべきこと」

資金調達

執筆者: 坂本 洋

資金調達

あらすじ

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、全国各地で観光PRが大変な盛り上がりを見せており、多くの外国人旅行客(=インバウンド)の来日が予想されます。そこで、日本の「おもてなし」の中心となるのが、ホテル・旅館・レストラン・マッサージ・体験ツアーなどのサービス業です。

これらのサービス業、特に中小零細サービス業経営者から最も相談が多いのが、「資金調達」です。本章では、金融機関への事業計画作成支援や、5年で200件以上の補助金申請書類作成支援、1000件以上の補助金審査を務めた経験から、中小零細サービス業経営者が事業計画作成や金融機関対応において、「資金調達」に必要な「3つのやるべきこと」についてお伝えします。

サービス業の特徴を理解しているか?

サービス業の3つの特徴
同時不可分性=提供と消費が同時に行われる(原材料を保有できない)
非均一性=人によって差が発生し、品質を一定に保てない
無形性=形がないので、支払い時の納得性が低い

この3つの特徴からわかること
・繁忙期・閑散期など、お客様の状況により、売上が大きく変動する
・サービスする人により、上手下手があり、不公平感が生まれやすい
・形がないため、納得感は、お客様の価値観や経済状況に左右される

しかしサービス業では、以下のような取り組みを行うことで、不公平感を平準化することができます。

サービス業を平準化する

盆・年末年始・GW、土曜日や祝前日など、繁忙期の収益を最大化する
繁忙期・通常期・閑散期という年間スケジュールの設定をし、需要が高い日程を把握して価格コントロールを行う。

年間のスケジュールを設定し、それに合わせた経営体制を構築する
「閑散期(冬季や平日)=投資期」のように考え、大規模修繕や従業員への研修教育を行うとともに、営業日・人員・経費コストを管理することで、収支コントロールを行う。

繁忙期に本業以外の副業を行い、さらなる売上最大化を図る
例えば繁忙期の観光地レストランにおいては、テイクアウトメニューの設定、駐車場の有料化など。

従業員の業務をマニュアル化し、一定の品質を確保する
カフェであれば、最初の挨拶は「こんにちは」と言う。おじぎの角度は30度。常にお客様の目を見て笑顔で話すなど。

「時間」や「回数」のように、納得性の高い基準を設定する
60分間XX円などのマッサージのように、「時間」や「回数」を設定することで納得性の高いサービスが提供出来る。

ただし、逆に言えば「ここにしかない」「今しかない」「この人しかできない」などの希少性を伝え、より高い付加価値を提供することで、高い対価を頂けるのもサービス業の特徴でもあります。

サービス業が資金調達をするための3つのやるべきこと

ここ数年、地方金融機関の方々とお話をすると、「貸し先を探している」や、「貸し先がいなくて困っている」といったことを聞きます。一部の金融機関では、貸したくて仕方ない状況ですが、“貸せる条件”を満たしている企業がいない、というのが実情です。では、“貸せる条件”とはどのような条件なのでしょうか?

まずは“貸せる条件”を満たすために、資金調達に必要な、「3つのやるべきこと」についてお伝えします。

【1】資金調達の目的と金額を明確にする

まずは資金調達を行う目的と金額を明確にしておきます。例えば、日本政策金融公庫の制度に、創業資金融資があります。その融資申請の事業計画を作成する中で、事業目標、事業資金内訳、必要投資額、取引先や経験などを記入する必要があります。創業の場合、融資目的・融資額は創業時の設備投資や当面の運転資金など、ある程度明確にできます。すでに何年も経営している企業の場合でも、この融資理由が、「設備投資」であれば、受注先の確保や生産能力の向上など、目的・金額が明確にでき売上拡大が予測できるため、比較的融資は実行されやすいです。
しかし、資金調達が最も難しい動機が「運転資金不足」です。
理由として、日々の運転資金が不足している、ということは、すでに事業のビジネスモデルが崩れている、あるいは、経営者が売上と経費の収支をコントロールできていない、という点が考えられるためです。
また、運転資金の資金調達の場合、「どれくらいの期間に対して、いくら必要なのか」という点を明示することが難しく、仮にある一定期間の資金調達に成功したとしても、数ヶ月後に同じことが起きる可能性が極めて大きいため、金融機関としても、貸し出すには相当な信用や大義名分が必要です。

この場合には、以下の2つの方法を検討する必要があります。
・ビジネスモデルを変える(新規事業・新商品開発・新市場開拓など)
・事業承継を行う(事業継続の意志があることを金融機関に示す)
言うは易し、行うは難し、ですが、ここまで抜本的に取り組まなければ、資金調達は難しいです。

【2】金融機関の視点を理解する

金融機関は、夢ややる気ももちろん考慮してくれますが、それらのみでお金を貸し出すほど甘くはありません。よって、以下のような視点で見ていることを理解する必要があります。

・経営者のプロフィール・経験・人柄(ちゃんとビジネスを立ち上げられるか)
・ビジネス領域(ビジネスとして成り立ち、継続的な市場はあるのか)
・ビジネスの地域貢献度(雇用を創出できるか、地域を活性化できるか)

金融機関にもそれぞれの使命があります。日本政策金融公庫であれば、創業者を支援する使命があるため、創業予定者は、まず公庫へ相談に行くのが良いでしょう。地元の信用金庫も地元産業を活性化する使命があります。これらの使命を理解し、ビジネス展開の大義名分と重ね合わせて、最適な金融機関を選択することも重要です。

【3】優秀な財務アドバイザーを活用する

私は、ホテル旅館専門のコンサルタントですが、顧問先には自動車整備業や農家もあります。しかし、どの業種業態においても、経営不振になる経営者には、2つの特徴があります。「できない理由を並べる」と「経理経費管理がおろそか」です。上記の2点はどちらも意識の問題が大きく、資金調達において、計画的な資金調達や経費コントロールを行えていない中小零細企業は、できるだけ早く、税理士など、優秀な財務アドバイザーに相談すべきです。

特に農家や飲食店などは、この財務アドバイザーを活用することで、劇的に本業に集中する時間を創れるとともに、様々な節税対策や補助金・助成金情報を得ることも可能になります。

私の経験ですが、優秀な財務アドバイザーは、いつも「何か提案してくれる」「次に起こすべき行動を示してくれる」方が多いです。既に財務アドバイザーや顧問税理士がいる経営者の方々も、この視点で見直すことも必要です。

資金調達における心構え

資金調達は、「できるときにできるだけ借りておく」ことも重要です。なぜなら、本当にお金が必要になったとき、日々の資金繰りに困ったときに、金融機関から融資を得る可能性が非常に低いからです。融資は、借金であることから、過分な借金は日々の事業運営の重りになりますが、借りられるときに分相応の融資を得るとともに、融資の活用内容や効果の検証などを行い、次回の融資申請時に、金融機関など関係者へ報告できるように、まとめておくことが重要です。

資金調達は、企業にとって、非常に重要な生命線です。金融機関対応や事業計画の作成などは、従業員に任せず、経営者の仕事として積極的に取り組み、経営者の“本気の姿勢”を示すことで、円滑な資金調達を行い、さらに素敵で素晴らしい事業展開ができるようにしてください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 坂本 洋氏
(合同会社GreenOceanz 代表社員)

京セラ株式会社で海外営業、国内営業を経験後、中小企業診断士を取得し、株式会社星野リゾートへ転職。

星のや軽井沢・京都にてマネージャー職を経験後、ホテル旅館専門コンサルタントとして独立開業。
民泊運営からリゾートホテル総支配人、経営から清掃業務まで、広く深く経験した上での具体的で実践的なアドバイスは顧問企業から絶対の信頼を得ている。

創業補助金・ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金の採択件数は60 件以上、審査員もつとめている。

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