経営者として必要な融資を受けるための
心構えと金融機関との付き合い方

資金調達

執筆者: 加賀谷 豪

事業を行っていくにおいて、金融機関との取引は必要不可欠と言えます。

一部のサービス業など、ほとんど先行投資が不要な業種などの場合は、融資を受けずに事業拡大が可能なケースもありますが、店舗ビジネス、製造業、卸売業、建設業など、投資金額の大きい業種については、日々の資金繰りのためはもちろん、長期的計画の中で事業拡大を目指す場合にも、重要な取引先は銀行です。

今回は、日本政策公庫や、都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合などの金融機関と円滑に取引をするために、どのようなことを考慮すべきか一緒に考えてみましょう。

特に今回は、銀行、信用金庫・信用組合、日本政策公庫などを含めた、金融機関との包括的な付き合い方について考えていきたいと思いますので、細かい制度活用や、テクニカル的なお話は割愛したいと思います。


銀行担当者も「人」である!

まずポイントは、銀行の融資担当者も「人」であるということです。よく銀行は、雨が降ったときには傘を差しだしてくれないなどと比喩されたりします。しかし、金融機関という母体は巨大な組織体であるものの、直接経営者とやり取りする担当者は、あくまでも血の通った人間です。

そのため、あまり相手を「銀行員」と意識しすぎて、警戒して固くなりすぎず、「人」と「人」との、人情味あふれるコミュニケーションを心がけることも重要かと思います。

例えば、会社を立ち上げた経緯、会社名の由来、これまでの苦労話、成功話など、出来るだけ自社に興味と親しみをもってもらうようなお話をすることで、融資担当者も「この会社、この経営者を応援したい」と思ってもらえることが理想です。

あまりにも経営者様が、銀行担当者にドライにビジネスライクで接すると、担当者側もビジネスライクのスタンスで接するようになるため、いざというとき、融資というかたちで手助けしてくれる優先順位としては、低くなるかもしれません。

あまり金融機関の方は、経営者とプライベートなどでも積極的に付き合うということは少ないようですが、場合によっては一緒に食事などをして、親睦を深めることもよいでしょう。

金融機関の担当者は異動が多い

金融機関の融資担当者は、支店間の異動が多いのも特徴です。せっかく付き合いが続いて、自社のことをよく知ってもらえたと思っても、5年前後で担当異動となるケースがほとんどです。

そのため、担当者と仲良くなったところで、すぐ担当が変わるから意味がないと思っている経営者の方もいるかもしれません。

ただし、銀行担当者は担当異動の際には、必ず顧客の引継ぎがなされます。その際に、前任者との関係が良好な顧客に関しては、引継ぎに際しても、貴社への好意的な印象を情報という形で伝え、引継ぎしてくれるかもしれません。あくまで銀行員は「人」なのです。

また、直接の担当者が変わっても、融資の際に決裁権のある融資課長、支店長などの役職者はそのままのケースが多いため、その融資課長などが貴社に良い印象をもっていれば、担当者が変わっても、引き続き円滑な取引ができるかもしれません。

よく、金融機関は顧客ごとにランクなどで評価しておりますが、そのランクを設定するのも「人」です。もちろんランクは決算書上などの数値的な指標に基づいて評価されるのですが、数値のみならず、会社の将来性や経営者の資質なども評価の対象になるため、経営者がいかに銀行との取引のなかで、有益な情報交換や、将来性があるという印象を与えているかも重要になるのです。

さらに補足すると、日本政策金融公庫も担当者の異動があることは他の金融機関と同様ですが、異動しない職種として採用されている融資担当者も一部いるため、そのような担当者と付き合うことができれば、長期にわたってお付き合いが可能となり、大きなメリットとなるケースもあります。

銀行担当者の希望も一部応えてあげよう。

実は銀行担当者は、日々ノルマに追われています。融資件数、融資額はもちろんのこと、最近は保険販売、社債販売、投資信託販売、M&Aなどの手数料収入に重きをおいている銀行が多いことから、これらのノルマも各担当者に課されます。

継続的にお付き合いのある銀行担当者から、上記のような商品販売の提案があった場合は、無理をしない範囲で、自社にとってメリットのある案件であれば、協力してあげることが円滑な関係を維持することにつながることにもなります。ただし、あくまでも「無理のない範囲で」です。

必要に応じて、無理のない範囲で協力してあげることで、銀行側に恩を売ることになるとも言えますので、融資の相談の際は一生懸命に対応してくれるかもしれません。これも「人」と「人」との付き合いであるが所以です。

もちろん、自社側が融資を特に必要としていないタイミングで、担当者が融資を受けてほしい旨の連絡がくるときもあります。これも、融資におけるノルマが月ごとに設けられているが故、ノルマに届いていない担当者が協力をお願いしているのです。

このように、銀行側が融資をお願いしてくる場合は、担当者もなんとか融資を実行できるよう、一生懸命に協力してくれるため、融資を受けやすいタイミングであるともいえます。もし融資を受けるメリットが少しでもありそうでしたら、資金繰り状況なども検討した上で、協力するか検討しましょう。

さらに言及すると、取引のない銀行の融資担当が飛び込みなどで融資の営業にくることがあります。このような場合も、担当者が融資実行のためより協力的になってくれるタイミングであるため、メリットがありそうでしたら、活用してみましょう。

金融機関を使い分けてみましょう。

金融機関との取引は、何社くらいが良いかという質問をよく受けます。一概に何社くらいがベストという答えはないのですが、リスクヘッジという観点で考えると、日本政策金融公庫、銀行、信用金庫又は信用組合の3種類との取引を併用していくのがよいかと思います。

なぜかというと、それぞれの特徴があるため、状況に合わせて使い分けることが可能であるからです。

まず日本政策金融公庫の特徴は、保証協会の保証を受けない融資であることです。そのため、会社の業績により、保証協会が保証に難色を示した場合、民間の銀行等では融資を受けられないケースがありますが、日本政策金融公庫は、保証協会を通さない独自の審査基準で融資をするか否かを決めるため、保証協会の審査で難しかった場合でも、日本政策金融公庫で融資を受けることができた、というケースは多いです。

また創業前、創業後すぐは日本政策金融公庫が一番積極的に融資対応してくれるという特徴があります。加えて、日本政策金融公庫は株式会社であるものの、国の方針に基づいた外郭団体に近い種類のものであるため、災害時の復興のための融資なども積極的に対応してくれます。

一方、銀行や信用金庫・信用組合は前記と比較して、民間色が強い金融機関ですが、銀行と、信用金庫・信用組合とでも特徴に違いがあります。

まず銀行は、信用金庫・信用組合と比較して、保証協会の保証なしの独自の融資(いわゆるプロパー融資)を行っているケースが多いです。取引を始めたばかりの場合などは難しいですが、継続的に特定の銀行と取引が続くと、例えば自社の融資希望額の内、保証協会が保証できる金額が一部であった場合、その残りは保証協会なしで対応してくれることになります。あと信用金庫・信用組合より相対的に金利が低いです。

一方、信用金庫・信用組合は銀行と比較すると、プロパー融資の対応は少ない傾向があります。しかしながら、信用金庫・信用組合も、メリットの高い特徴があります。

特に地方の信用金庫・信用組合などは、規模の小さい支店なども多いため、規模の小さい事業者でも、支店長と直接付き合いができるケースがあります。場合によっては、支店長自らが飛び込み営業をしているケースもあるのです。

そのように、支店長と直接やりとりできるようになると、融資を実行するか否かの決裁権は通常支店長にあることから、融資に柔軟な対応をしてくれたり、対応が早かったりすることがあるので、他の金融機関にはない特徴といえるのです。

このように、金融機関といってもいろいろ特徴が異なるため、それぞれ必要に応じて使い分けるためにも、複数の種類の金融機関と取引することは、有益であると考えられます。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員

1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした「10-million-school」の共同開催を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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