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まだ間に合う「ものづくり補助金」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 森口 智志

我が国では、事業所数のほとんどの割合を中小企業が占めています。そのため、現在の日本経済は中小企業によって支えられているといえます。
「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(以下、ものづくり補助金と呼ぶ)」とは、そんな中小企業の新たな取り組み、またその設備投資などを支援する補助金です。
中小企業の革新的な事業投資を支援することによって、足腰の強い経済を構築することを目的としております。

補助対象となる条件

「ものづくり補助金」は、国内の中小企業・個人事業主のみが補助対象となり、補助対象者はあらかじめ“認定支援機関”で事業計画などの確認を受ける必要があります。この“認定支援機関”とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関です。
具体的には、商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として認定されています。認定支援機関は事業計画の作成から実際の事業化までさまざまな面での支援をします。
また、補助金の申請をする際には補助区分があり、補助区分は「革新的サービス」と「ものづくり技術」にそれぞれ分かれます。
「革新的サービス」を選んだ事業者は、“中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン”に基づいた計画を行う必要があり、「ものづくり技術」を選んだ場合は、“中小ものづくり高度化法”に基づいて計画を実施しなければなりません。

補助額・補助率・補助経費

原則、補助上限額は1000万円、補助率は1/2ですが、これらは補助対象事業者の事業類型によって異なります。事業類型には、「一般型」、「小規模型」、そして今年新設された「企業間データ活用型」があり、条件によってはそれぞれ大幅な増額も可能です。事業類型以外にも、要件によって補助額(・補助率)を増加する方法がありますので、くわしくは公募要領をご確認ください。
また、補助対象経費には以下のようなものが該当します。

・機械装置費
・技術導入費
・原材料費(小規模型で試作開発を行う場合)
・外注加工費(小規模型で試作開発を行う場合)
・その他多数

注意点として、補助事業を行う際には他事業と区分して経理管理をする必要があります。
くわしくはこちらをご確認ください。

http://www.chuokai.or.jp/hotinfo/29mh_koubo_201802.pdf

“新設された類型”

平成30年の公募で大きく変わった点は、「企業間データ活用型」という類型が新設されたというところです。
「企業間データ活用型」とは、複数の事業者間でデータ情報を共用(共有)し、連携して行う取り組み、プロジェクトに対して支援する制度です。
補助率は2/3で、補助上限額は関しては、連携(協業)して取り組みを行う1事業者当たりの上限額が1000万円までとなり、さらに連携(協業)する事業者数につき、200万円が上限額に加算されます。この200万×事業者数の加算分は、連携(協業)する事業者間で自由に分配することができます。
つまり5名(社)での連携だとすると、

5000万円(各社1000万円の上限額)+1000万円(事業者間で自由に分配)=6000万円

が補助額になります。
また、生産性向上に資する専門家を活用した場合は、さらに全体に30万円が加算されます。
複数名で大規模なプロジェクトを行う事業者にとっては、非常にメリットが大きいものになります。

先端設備等導入計画と経営革新計画

今回の公募でもう一つ大きく変わった点はこれまで補助率が2/3だった「一般型」と「小規模型」の補助率が1/2へと変さらになった点です。
しかし、現在国会で審議中の「生産性向上特別措置法」に基づく固定資産税ゼロの措置をした市町村において、「先端設備導入計画」の認定を取得した場合(申請の段階では予定でも可)、これまでとおり2/3の補助率となります。
また今回の補助金が閣議決定された、平成29年12月22日以降に「経営革新計画」を承認された場合も補助率は2/3となります。
どちらも審査時の加点項目であり、補助率の引き上げ以外にも採択において大きく有利になります。
特に「先端設備導入計画」は加点が大きく、地方自治体によってこの条件は使えない可能性もありますが(2018年3月中に公表予定)ぜひ検討したい項目です。

採択(加点)のポイント

多くの補助金には、交付申請時の申請書類に加点項目があります。加点項目に該当する事業や取り組みを行う者は、審査時あるいは補助金交付時に優位になります。
平成30年の「ものづくり補助金」に関する加点項目は以下になります。

1. 総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
2. 小規模型に応募する小規模企業者
3. 九州北部豪雨の災害指定を受けた市町村に所在し、被害を受けた企業
4.「先端設備等導入計画」の認定企業
5. 有効な期間内に下記いずれかの認定を受けた企業(申請中を含む)
 ・「経営革新計画」の承認取得
 ・「経営力向上計画」の認定取得
 ・「地域経済牽引事業計画」の承認取得

補助金の申請時に一番重要といわれているのは、事業計画書です。
この事業計画書は、“なぜ補助金が必要なのか“、”どう使うのか“、また、”どのような成果が得られるか“といった、補助金の必要性を説く嘆願書のようなものになり、事務局はこの事業計画書を見て採択するかどうかを判断します。

事業計画書の注意点

(1)自社の紹介(なぜ補助金が必要なのか)

・ポイント1 自社の強み・他社との差別化・市場での位置付けがはっきりしているか
・ポイント2 現在の課題は何か・補助金によって解決できるものであるか

(2)明確性・妥当性(補助金をどう使うか)

・ポイント1 補助金の使い道が妥当であるか
・ポイント2 使い道やスケジューリングなどに不鮮明な部分がないか
・ポイント3 解決策が実現性および妥当性の高いものであるか

(3)どのような成果が得られるか

・ポイント1 補助金の受給後の経常利益が実現性の高いものであるか
・ポイント2 解決策が一時的なものでなく、継続性があるか
・ポイント3 成果が公募要領に沿っているか

他の補助金と何が違うの?

「ものづくり補助金」は他の補助金と比べて特徴が大きく2つあります。
一つは、“補助対象となる事業”です。以前から「ものづくり補助金」では「革新性」が大きなテーマとして重要視されてきました。具体的にどのような革新性が求められるかというと、「革新的な商品(試作品)」「革新的なサービス」の開発、またそれを生み出すための「設備投資費」などです。一般的に補助金の多くは、既存事業の生産性・経営力の向上が主たる目的です。もちろん「ものづくり補助金」もこれらに該当しますが、それだけに限りません。自社の強みをしっかり理解し、如何にして「革新性」のある事業(商品・サービス・生産プロセスなど)を生み出すかが問われます。「ものづくり補助金」の主たる目的は、その名のとおり“作り出す”ことにかかる経費の補助です。
もう一つは、“補助上限額”です。「ものづくり補助金」の補助上限額は500万円〜1,000万円以上と、多くの補助金と比較して圧倒的に高いです。これは前述した、事業者による革新性に沿った事業投資を促し、経済効果を促進させることが狙いであるからです。

ものづくり補助金に必要な革新性?

「ものづくり補助金」では一般的に「革新性」が大事だと言われています。しかしこの革新性という言葉にとらわれすぎて「新しく変わった事業を始めないといけない」などと考えてしまう事業者も少なくありません。
「ものづくり補助金」では必ずしも新しい事業を始めないといけないわけではなく、例えば、これまで製品の生産工程においてボトルネックとなっていた部分に新しい工法を用いる(またはボトルネックを解消する)ための生産設備導入を行うといった計画でも十分に認められます。類型や対象の種類も多くさまざまな事業に当てはめやすいこともこの補助金の特徴です。

最後に

ここ数年までの採択率の傾向をみると、およそ4割前後といえます。通常、継続して公募が行われる補助金は、応募数の増加などにより、年々採択率が低下していく傾向にあります。しかし「ものづくり補助金」は、公募数は多いものの、そこまで著しい採択率の低下が見られません。したがって、平成30年の採択率も同程度と捉えて良いでしょう。
今回の「ものづくり補助金」の公募締切は4/27(金)と、残りおよそ1ヶ月程度です。あまり余裕はありませんが、補助金は返済不要のお金ですので、必要な方はぜひ今から準備しましょう。
今回は「一般型」で補助率の引き上げのために他の申請を併用しなければならないなど、申請書の作成は複雑になった部分もあります。早めに専門家に相談してみることもお薦めです。

この記事の監修:ドリームゲートアドバイザー 森口 智志氏
有限会社アダプト代表取締役、中小企業診断士・ITコーディネータ

2000年に有限会社アダプトを設立、Web制作会社として業務を開始。中小企業診断士、ITコーディネータ等の資格を取得し、中小企業のシステム導入、経営効率化など幅広い支援を行っている。また製造業からサービス業までさまざまな業種において「ものづくり補助金」、「IT導入補助金」など各種補助金の支援を多数行っている。

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