【飲食店開業M&A 第3弾】M&Aを利用した
飲食店開業の相談・支援先

事業計画

執筆者: 萩原洋

サラリーマンが、いわゆる「脱サラ」をして飲食店を開業する場合にとる方法には、次のようなものがあります。

まず、最初に浮かぶ方法としては、すべてをゼロから自分で始めるというものです。
月々の給料や賞与をコツコツ貯めて自己資金を確保し、店舗物件も街の不動産屋を回って探します。
調理技術やノウハウも基礎から覚え、人事・労務、財務・税務といった店舗オペレーション全般を自分で全部行って開業します。

次に、FC(フランチャイズ・チェーン)に加盟する方法です。
自己資金を貯めたり店舗物件を探したりするのは、原則自身で行うことになりますが、すでに成功実績のある商品ブランド、店舗オペレーション、そして取引業者などを、一式パッケージングして提供してもらうという方法です。

そして、最近注目されているM&Aを利用した開業です。
M&Aを利用して飲食店を開業すると聞くと、「居抜き」で店舗を譲り受けることを連想しますが、M&Aと居抜きには大きな違いがあります。
居抜きは、店舗と付随する設備や什器といった「モノ」だけを引き継ぐものです。
これに対してM&Aは、店舗関連の「モノ」だけでなく、商品とその調理技術、従業員、取引先、顧客などを全部まとめて、「経営権」といった有形無形の財産を引き継ぐものです。

このようにM&Aによる飲食店の開業は、「経営権」と言われる抽象的なものを対象とした売買取引ということです。
そのため、M&Aを利用して売手側の店舗オーナーと買手側の当事者だけで売買を行ってもなかなかうまくいかず、外部の事業者などに相談したり支援してもらうことが必要となります。

この時、どのようなM&Aの相談・支援先があり、誰に依頼すれば効果的なM&Aによる飲食店の開業ができるのか、詳しく解説していきたいと思います。

M&Aを利用した飲食店開業は誰に相談し依頼するのがよいか

飲食店のM&Aに限らず、M&Aとは売買の対象が企業や事業といった捉えどころのないものですから、そのプロセスも複雑で多くの専門的な知識やノウハウが要求されます
M&Aは「合併・買収」とも呼ばれていますが、一般的には「合併」と「買収」では、その内容や手法(スキーム)がかなり違います。

「合併」は合併により片方の企業が消滅し、存続する企業と統合してひとつになるものです。
近年では、大手の都市銀行やデパートなどで実施されています。
一方、「買収」は、買収された企業は消滅しないで、買収した企業の子会社などになって存続します。
大手自動車メーカーが、経営不振のメーカーを救済する場合や同じく経営が思わしくない大手電機メーカーが、海外の電機メーカーに買収され、その傘下で再生を目指すような実例があります。

飲食業界でも、大手FC本部が中小FCや個人店舗などを買収したあと、大規模なFC化を図っていくといったビジネスモデルも多く見られます。

業種を問わず、こうした大規模なM&Aを相談から始まり、リードしていく支援先は、多くの場合、取引銀行などの金融機関や証券会社といったところです。
では、「スモールM&A」などと呼ばれる個人がM&Aを使って飲食店などを開業するような場合、誰に相談したり、支援を求めていけばよいのでしょうか。以下、見ていきます。

M&Aによる飲食店開業の相談・支援先

脱サラしたサラリーマンなどが個人でM&Aを利用した飲食店を開業するには、単独で売手側の店舗を探すには、多くの時間や労力がかかってしまうため、一般的のM&Aと同じように、外部の事業者に依頼するのが賢い方法でしょう。
主な相談・支援先としては、M&AアドバイザーといったM&A専門の事業者、顧問の公認会計士・税理士などの専門士業、そして取引先の中小の金融機関などです。
では、各々の相談・支援先について、詳しく解説します。

M&AアドバイザーなどのM&A専門事業者

M&Aは古くから合併などの手法を中心に行われてきましたが、バブル期あたりから盛んになり、2000年代に入ると法や制度も整備され、大企業から中小企業、そして個人事業までもがM&Aによる合併や買収を行うようになってきました。
それに伴い、多くのM&AアドバイザーなどのM&Aを専門に扱う事業者が増えてきました。
大手のM&Aアドバイザーともなると、何百人という営業スタッフが全国くまなく、さらに海外にまで、売却を希望する、事務所、店舗を探して営業しています。

飲食業界も、こういったM&Aアドバイザーにとっては有望な業種で、大手の総合アドバイザーから飲食業専門のM&A仲介会社までたくさんあります。
スタッフも元銀行員や証券マンといった人たちや、経営コンサルファーム出身者に至るまで、さまざまな人たちが、前職で培った知識やノウハウを駆使して、M&Aの成約に向けてクライアントの支援をしています。

ただ、業界そのものの歴史が浅いため、大手を除くと実績に乏しいM&A事業者も少なくありません
一部ですが悪徳業者がいることも否めません。
幸い私の知っているM&Aアドバイザーのスタッフの方々は、みなさんクライアントの立場で支援しているのですが、ネットなどを見ると「完全報酬制のみ」というものや「手数料のみ、報酬なし」といった甘い謳い文句を掲げている業者もいます。

M&Aの成否は事業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。
特に、脱サラで飲食店を開業しようと考えている方にとっては、限られた予算の中で事業者の選択を誤ると、M&Aによる開業といったプランそのものが成り立たなくなってしまいます。
その結果、ゼロからコツコツ始めて開業したほうがよかったと後悔することにもなりかねません。
では、M&Aによる飲食店開業の際の相談・支援先として、M&Aアドバイザーを選ぶ時のポイントをいくつかあげておきましょう。

⚫︎ポイント1…飲食業に精通したM&Aアドバイザーか

飲食業界は、流行などトレンドが変わりやすく、予測しづらいもの。立地に大きく左右されるわりにその条件を判断することが難しいなど、特殊な業界です。そこで、このようなさまざまな条件を総合的に判断できる能力を持ち合わせているか、事前相談等を通して十分確認する必要があります。

⚫︎ポイント2…飲食業界の将来の視点に立ったM&Aアドバイザーか

目先の自社の利益のみを優先して、不利な条件でM&A案件を成約させるのではなく、クライアントの利益を最優先し、業界全体の成長・発展までを考えている事業者かどうか見極めます。

⚫︎ポイント3…クライアントの立場を理解して支援するM&Aアドバイザーか

クライアントの経営理念、基本コンセプトを理解し、寄り添いながらM&Aによる店舗開業から成長・発展するまでを支援してくれる事業者なのか、特に担当スタッフとの相性がカギになります。

その他の相談先・支援者

M&Aアドバイザー以外のM&Aによる飲食店開業での相談・支援先としては、前述のように顧問税理士などの士業や取引先の銀行、信用金庫といった金融機関がありますが、M&Aを利用した飲食店を開業する場合には、相談者・支援者としてのメリットは少ないかもしれません。
それよりも商工会、商工会議所などの公的相談・支援機関のほうがメリットはあるようにと思います。

さいごに

脱サラしてM&Aを利用した飲食店を始めるには、相談者・支援者は必須です。
まず、公的支援機関の無料相談により予備知識を得たあと、本格的なM&Aアドバイザーなどへの相談そして支援といったプロセスをお勧めします。
これと並行して自身が考える飲食店と同じ業種・業態の店に客として何度も足を運びます。
店主が高齢で、後継者がいない場合には、M&Aを打診してみるというのも効果的な方法かもしれません。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 萩原洋(有限会社銀河企画 特定行政書士)

外食FC立ち上げへの参画や自らも複数店舗の経営を行った後に独立。
フードビジネスコンサルタントとして20年のキャリアをもつ萩原アドバイザー。
飲食店等を長年経営し引退を考える経営者が、事業を他者に譲り渡す「事業承継M&A」に複数携わるなど、ゼロからの出店ではなく立地や顧客を引き継ぎながら経営を始めるという分野のご経験を豊富にお持ちのアドバイザーです。

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ドリームゲートアドバイザー萩原洋

 

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