コロナショックの乗り越え方 人はなぜデマを信じるのか?

この記事はに専門家 によって監修されました。

前回の新型コロナウイルス関連の緊急コラムで、飲食店経営者として今やるべきことは、自店の見直しをすること。そして、様々な情報が氾濫するが、悪意の情報に惑わされないことなどについて述べました。

その後3週間ほどが経ち、状況は深刻になっていますが、基本的なスタンスは変えるべきではないと思います。

忙しくてできなかったこと、今できることをする

毎日、朝から晩まで調理や接客に追われ、手が回らなかった店舗の清掃を、まず徹底的に行うことです。店前、トイレ、テーブル、カウンターなど、お客様に最も目がいくところを磨きあげましょう。

昔私が店長をしていた店では、テーブルやカウンターの隙間を「つまようじ」を使って、ゴミやカスが挟まっていないかチェックしていました。店を磨きあげるということは、ここまでやることだと当時の経営者にいわれたものです。

めんどうな計数管理にチャレンジする

そして、面倒な係数管理に挑戦してみることです。今回の新型コロナウイルス関連融資はよい機会といえます。普段は税理士任せの決算書をチェックしたり、自分で事業計画書を作成してみるのです。わからなければ、税理士や私たちのような専門家に支援してもらうとよいでしょう。ただし、作成はあくまで自分自身で行うことです。

コロナ終息後を見越して事業計画書を作る

また、当面の運転資金のための事業計画書だけではなく、新型コロナウイルスによる混乱終息後の事業展開のため、中・長期的なビジョンからも事業計画書を作ることは有意義なことです。現在、苦しいのは皆同じで、今日、明日のお金をどう工面するかに頭を悩ませています。ここで一歩先行く事業計画を考えておくことで、混乱終息後、競合他店に差をつけることも十分可能です。

デマに惑わされないよう過ごす

一方、もうひとつ重大な問題である風評、とりわけデマという悪評に惑わされないことについては、確固たる姿勢で臨むことです。

毎日どこの県で何人感染者が出たといった報道に、その都度不安を感じること、あるいは各テレビ局の番組で様々な専門家が、バラバラな見解を述べているのを聞いて、ますます不安になっても何も解決しません。

今やるべきことは、これら専門家が必ず発言する、手洗い、マスク、うがい、できれば洗顔を徹底すること。パチンコ、カラオケ、接客サービスをおこなう深夜営業のお店等の密閉空間に長時間滞在しないことなど、できることを実行すればよいのです。

以前から不思議に思っていたことなのですが、今回の新型コロナウイルスによる混乱だけでなく、国際紛争による混乱、景気変動による混乱、あるいは自然災害による混乱など、混乱のたびになぜデマが流れるのか、そして後を断たないのかということです。

デマ(悪評)情報による混乱の実例

私が記憶している風評被害としては、昭和48年(1973年)に起きた、第4次中東戦争によるオイルショックのときです。

今でも時々放映されますが、トイレットペーパーや洗剤などの買い占めによる品不足です。どこから流れ出たのかわかりませんが、中東からの原油供給がストップし、紙もプラスチックも洗剤も、何もかも無くなってしまうとか、極端に不足するといった風評が出回ったのです。主婦たちが先を競うようにスーパーで、トイレットペーパーや洗剤その他の生活必需品を買いあさっていきました。今なお鮮明に当時の光景が目に浮かびます。それほど、当時子供だった私にはすさまじいものでした。

飲食業界が被った風評としては、平成8年(1996年)のO-157による食中毒と、平成13年(2001年)の狂牛病の時です。

O-157の時は、“かいわれ”が原因ではないかという疑いが、“かいわれ”が原因だ、という断定的なものになってしまいました。これにより、飲食店ではかいわれを使ったメニューは消えてしまいました。その後、かいわれはまったく無関係であることは判明しましたが、この時最も被害を受けたのが、かいわれ栽培農家でした。

狂牛病の時は、狂牛病を発症したのは外国の牛で、当面安全性が確認できるまでの輸入禁止でした。安い外国産牛肉を使っていた牛丼チェーンからは、当然牛丼は一時販売中止になりました。ところが、どこから発生したのか、「今後牛丼が食べられなくなる」というデマが流れ、一時販売中止する前日、若いOLが泣きながら牛丼を食べている光景が放映されていました。インタビューでも、「もう牛丼が一生食べられなくなるので来店しました。今まで一度も牛丼店で食べたことがなかったのですが、初めて食べました」と答えていたのには、思わず吹き出してしまいました。

この時も、何と一般大衆は、こうも簡単にデマ情報に乗せられてしまうのかと思いました。その後もいろいろなデマにより、1年ほど外食業界は被害を受けました。

東日本大震災のような自然災害の時も、様々なデマが飛び交いました。そして、今回“パンデミック”などと呼ばれる世界的な流行病でのデマ情報です。

新型コロナウイルスに関する様々な見解の中、不安でたまらないのに、さらにトイレットペーパーその他のものが不足するとか、無くなってしまうなどパニック現象を引き起こすデマを流して何が楽しいのか。こうした者の心理を少々調べてみたので以降、簡単に述べておきます。

人がデマ(悪評)情報を流し、大衆が簡単にだまされるその心理は?

私は心理学を学んだことがないので、今回の混乱を機に、風評を流す人の心理について調べてみました。なお、ここでいう風評とは悪意のある風評、デマであって善意から出た風評ではありません。ただ、善意の風評が悪意のデマに変わってしまうこともあります。

このような悪意のある風評、デマを流す人達に共通している動機は、①注目されたい、②ストレス発散したい、③自己の利益のため、といったものがあるようです。

①、②については“おもしろいからやった”とか、“スカッとしたかった”という、いわゆる愉快犯といったものです。また、③については、同業者が競合する他者や他店を落としいれるために行うものなどです。

愉快犯については、今回の新型コロナウイルス関連で混乱を引き起こした事件もありました。「俺はコロナウイルスに感染している」といって、しばらく電車を止めてしまった男の事件です。

自己利益のために他者を陥れた事件としては、経営危機に陥ったある地方銀行の顧客に対し、隣の県の銀行が「近々倒産しますから、当行へ預金を移したほうがよいですよ」といって顧客引き抜きを行ったことが、20年ほど前の金融危機の際にありました。

しかし、人はなぜデマに流されたりだまされたりするのでしょうか。これは、皆がやっているから自分もやらなければ、とか、今買っておかないと無くなってしまうからといった大衆心理や不安心理が原因のようです。

先日、近くのスーパーに行った時のことですが、いつもは山のように積んであるトイレットペーパーが激減しているのを見て、また、パニックになるのではと一瞬不安になりました。皆が大きなトイレットペーパーの袋を両手に持っているのを見て、これが大衆心理や不安心理なのかと思いました。国やメーカーがあれだけ在庫は十分あります、増産していますといっても、目の前の光景を見てしまうと、つい買っておこうと思ってしまうのです。

デマ(悪評)情報に流されない、だまされないために何をすべきか

デマに流されない、だまされないためには、人々は何をすべきでしょうか。それは真実と真実でないものを見極める目を持つことです。今回の新型コロナウイルスによる直接の不安原因は、このウイルスの実態がまだ完全に解明されていないこと、いつまでこの状況が続くかわからないことにあります。

しかし、デマ情報が引き起こす不安・混乱といったものはまったく別物です。“お湯を飲むとよい”とか、“納豆がいい”といった根拠のない情報を信じて、他人に最もらしく話し拡散させるのか、一笑に伏して相手にしないかでは大きく違います。前者の場合は、善意で教えたつもりでも、伝言ゲームのように話が広がっていくうちに違うものになってしまい、結果としてデマ情報の加害者になってしまうということを、もっと自覚すべきです。

今回は、飲食店経営とは一歩距離を置いたデマについて述べてみました。新型コロナウイルスによる混乱で、最も大きな被害を受けている業種のひとつが飲食業界です。直接の混乱原因は、このウイルスによる恐怖や不安ですが、もうひとつの原因は、デマといった悪評です。

残念ながらデマはなくなることはないでしょう。それどころか、SNSが普及した現代はますます情報が氾濫します。だからこそ、このようなデマを流す側の心理や、だまされてしまう一般大衆側の心理を知ることで、一人ひとりがデマによる風評に対し、冷静に対処することができ、その被害を小さくすることはできると思います。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 萩原洋(有限会社銀河企画 特定行政書士)

外食FC立ち上げへの参画や自らも複数店舗の経営を行った後に独立。
フードビジネスコンサルタントとして20年のキャリアをもつ萩原アドバイザー。
飲食店等を長年経営し引退を考える経営者が、事業を他者に譲り渡す「事業承継M&A」に複数携わるなど、ゼロからの出店ではなく立地や顧客を引き継ぎながら経営を始めるという分野のご経験を豊富にお持ちのアドバイザーです。

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ドリームゲートアドバイザー萩原洋

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