アフターコロナの店舗経営–まだまだもらえる補助金・助成金・給付金

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 萩原洋

前回のコラムでは、ウィズコロナ、アフターコロナ時代における店舗経営について述べました。

新型コロナウイルス感染症に対する不安や恐怖もだいぶ軽減されてきましたが、完全に払拭するまでには至っていません。こうした状況下でお店を再開、再建していくために何をすべきかについて、資金調達の面にスポットをあてました。会社組織にしろ、個人経営にしろ飲食店を再生させるためには、まず資金調達、つまりお金をどうやって確保するかが重要だからです。

主な調達方法は、金融機関からの融資をうける、国や自治体などの補助金・助成金・給付金をもらう、増資、ファンドを行うといった他者から出資を受けるものなどがあります。これらの中で最も身近な調達方法が金融機関からの融資です。そのため、前回は日本政策金融公庫を中心とした政府系金融機関と信用保証協会を利用した民間の金融機関からの融資を中心に解説しました。

今回は、国の第2次補正予算の成立により、さらに給付内容が拡充された補助金・助成金・給付金の中の、特にメディアで盛んに取り上げられている、「持続化給付金」、「雇用調整助成金」、「家賃支援給付金」について見ていくことにします。

いま最も注目されている、店舗経営でもらえる助成金・給付金

連日のように、テレビや新聞などのメディアに取り上げられている助成金や給付金が、冒頭に上げた3つです。申請する上でのポイントなどを含め、とくに、「持続化給付金」と「雇用調整助成金」を中心に解説します。

持続化給付金

持続化給付金の趣旨、概要などについては前回コラムでも述べましたが、おさらいしておきましょう。

まず、趣旨について経済産業省のパンフレットには、次のように書かれています。

感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付します。農業、漁業、製造業、飲食業、小売業、作家・俳優業など、幅広い業種で、事業収入(売上)を得ている法人・個人の方が対象となりますので、本制度の活用をご検討ください。

ここで、飲食業についても明確に対象業務とされています。実際、個人・法人問わず、飲食店の約75%がこの給付金の申請を行っているようです。

概要については以下の通りです。

給付額

法人=200万円(上限) 個人事業主=100万円(上限)

給付対象の要件

1)新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者

2)2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者

3)法人の場合は、①資本金額または出資金の総額が10億円未満、②①の定めがない場合、常時使用する従業員の数が2000人以下である事業者

売上減少分の計算方法

前年の総売上(事業収入)−(前年同月比▲50%以上の月の売上×12カ月)

申請期間

令和2年5月〜令和3年1月15日まで

申請する上でのポイント

飲食店の約75%が申請しているといわれる持続化給付金ですが、実際に支給されるまでには1カ月以上かかっているようです。本来ならば2週間程度で支給されるはずのものが相当遅れているのは、主に添付書類の不備にあるようです。

申請に際して必要となる書類には次のようなものがあります。

  • ①確定申告書別表1の控え
  • ②法人事業概況説明書の控え(2枚)
  • ③申請対象とする月の月間事業収入がわかるもの(売上表、売上台帳など)
  • ④法人名義の振込先口座の通帳の写し

この中で不備が多いものは、③の申請対象とする月の月間事業収入がわかるもの(売上表、売上台帳など)です。申請時、指摘される点としては、何の表なのか明確でない、いつの売上かわからない、記載されている金額が何の金額なのかわからない、誰が表を作成したのかわからない、といったものです。逆に、これらの点をクリアすれば補正の必要はなくなり、最短で支給を受けることも可能になります。

そのためには、まず、売上表、売上台帳等のタイトル、いつの売上かわかる年/月、何の金額なのか、その細目、そして誰が作成したのかがわかるよう申請者名をきちんと記載することです。なお、これらは手書きでも構わないとのことです。

そのほか、申請手続きが遅れてしまう原因として、電子申請に不慣れなため、手間取ってしまうこともあげられるでしょう。これに対しては、各地に商工会・商工会議所などを中心に「申請サポート会場」を開設しています。事前予約制で、必要書類の現物、もしくはコピーを持参しすればサポートが受けられます。会場など詳細については経済産業省のホームページで公開しています。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、景気変動等、経済上の理由から事業の縮小を余儀なく行うことになった企業が、雇用を維持するため、従業員を休業、出向させたり、教育訓練などを行った場合に支給される助成金です。

主な支給要件は以下の通りです。

1)雇用保険適用事業主であること

2)直近3カ月の生産量や売上が前年同期比▲10%以上であること

3)直近3カ月の従業員の月平均値が前年同期比、大企業は5%超かつ6人以上、中小企業で10%超かつ4人以上増加していないこと

4)雇用調整について労使協定により決定していること

また、支給額については、1日の上限額は8,330円などとなっています。ただし、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大のため、雇用調整助成金の拡大措置が取られることになりました。

  • 助成額(支給額)の上限を対象労働者1人1日あたり15,000に引き上げられます。企業規模は問わず、一律の引き上げです。
  • 解雇を行わない中小企業の助成率は10/10となり、100%助成されます。
  • すでに申請済みの事業者についても、令和2年4月1日に遡って適用されます。

以下、わかりやすく拡大前、拡大措置を比較した表にまとめました。

拡大前 雇用調整助成金の拡大措置
申請期間 令和2年4月1日〜6月30日 令和2年4月1日〜9月30日
対象 雇用保険被保険者 雇用保険被保険者以外も適用
生産指数 直近3カ月の生産量や売上が前年同期比−10%以上 直近1カ月の生産量や売上が前年同期比−5%以上
助成率 大企業1/2、中小企業2/3 大企業3/4、中小企業10/10
日額上限 1人1日あたり8,330円 1人1日あたり15.000円
計画届 事前提出 5月19〜提出不要
対象時間 短時間一斉休業のみ 短時間休業の要件を緩和
休業規模要件 大企業1/15、中小企業1/20 大企業1/30、中小企業1/40
支給限度日数 1年100日、3年150日 左+対象期間(令和2年4月1日〜9月30日)
残業相殺 あり 残業相殺を停止
出向期間 3カ月以上1年以内 1カ月以上1年以内
教育訓練助成率 大企業1/2、中小企業2/3 加算額1,200円 大企業3/4、中小企業10/10
加算額 加算額1,200円 加算額 大企業1,800円、中小企業2,400円

申請する上でのポイント

手続きの簡素化が図られているとはいえ、提出する書類が多く内容も難しいものが多いので、専門家である社会保険労務士に依頼することをおすすめします。対応する窓口も大変混雑しているため、直ちに支給される保証はありません。従業員の給与等を確保するためには、他の融資や助成金・補助金・給付金なども合わせた資金計画を事前に練るとよいでしょう。

支給までにある程度時間はかかりますが要件も大幅に緩和されていますから、確実に給付を受け、雇用を維持したいものです。飲食業界は慢性的な人手不足ですから、今後のことも考え、従業員をつなぎとめておかなければなりません。可能な限り利用したい助成金です。

家賃支援給付金

新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の急減に直面する事業者の事業継続を支えるため、地代・家賃(賃料)の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して支給するものです。

6月12日の第2次補正予算により確実に実施はされますが、実施時期が7月にずれ込んでしまいました。このコラムを執筆している6月20日時点では前回のコラムと大きな違いはありません。具体的に実施されてから、飲食店としてどのように活用すべきかについて詳しく解説したいと思います。

飲食店の場合、立地に大きく左右されますから、固定費である地代・家賃の負担はかなりのものです。私もかつて新宿区に店舗を構えていたとき、最も大きな固定費が家賃でした。立地のわりに法外な家賃を請求されていたため、撤退を余儀なくされた苦い思い出があります。

今回の家賃支援給付金は、法人で最大600万円、個人事業主で300万円の支給ですから、大変ありがたいものです。賃貸契約書、賃貸領収書など必要書類を早めに準備しておくと、申請開始時の手続きがスムーズにできます。

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まとめ

飲食業界では、まだまだ新型コロナウイルス感染症の影響は続くと思われます。公的融資などとともに、返済不要なこれらの助成金・給付金を有効活用し、当面の人件費、家賃、仕入代金といった運転資金を確保しながら、店舗を維持していきましょう。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 萩原洋(有限会社銀河企画 特定行政書士)

外食FC立ち上げへの参画や自らも複数店舗の経営を行った後に独立。
フードビジネスコンサルタントとして20年のキャリアをもつ萩原アドバイザー。
飲食店等を長年経営し引退を考える経営者が、事業を他者に譲り渡す「事業承継M&A」に複数携わるなど、ゼロからの出店ではなく立地や顧客を引き継ぎながら経営を始めるという分野のご経験を豊富にお持ちのアドバイザーです。

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ドリームゲートアドバイザー萩原洋

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