コロナ倒産する飲食店と生き残るお店の違いとは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: フードビジネスコンサルタント 萩原洋

東京商工リサーチによると8月25日時点でコロナ関連破たん全国累計432件に達したということです。業態別にみるともっとも多いのが飲食店です。

しかし、この数値は「負債1000万円以上」「担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたもの」とあり、じっさいにはもっと多くの経営破綻、いわゆる「コロナ倒産」が起こっているものと考えます。現に家の近所やオフィス近くの飲食店など知っているお店のなかで、ここ数カ月で閉店したのは1~2軒どころではないはずです。

このような状況ですから、しばらくは日本政策金融公庫(以下日本公庫)や信用保証協会を利用した保証付融資、補助金・助成金・給付金などにより、今までのように少しでも多くのキャッシュフロー(現金)を確保しておく必要があります。

しかし当面の資金繰り対策だけにとらわれているといずれ倒産してしまうのがこのコロナ不況の特徴です。

今回は長引く不況で生き残るための対応策について説明します。

当面の資金繰りだけでは行き詰まる

今回の新型コロナウイルス感染症による自粛と急激な景気の悪化により、多くの飲食店が深刻な経営に陥ったわけですが、国や都道府県などの自治体も公的融資や補助金・助成金・給付金、制度融資など、さまざまな面から支援を行っています。

まず当面の運転資金としては、日本公庫や信用保証協会あるいは自治体の制度融資による、長期の据置期間を含む貸付期間、実質無保証・無利子などの手厚い支援策です。これにより、従業員への給与、家賃、取引先などへの支払いもいくらか楽になったようです。ただ、いつまでも資金繰りのための運転資金にばかり目がいってしまうと、いずれいき詰まってしまうのは明白です。

中長期的な事業計画の策定と設備資金の調達が必須

そこで、本格的な回復期に向け、設備投資のための中長期的な事業計画の策定と、設備資金の調達方法について十分検討しておくことが必要です。

本格的な回復期における設備投資については、新型コロナウイルス対策としての空調設備の見直し、3密解消としての店内レイアウトの見直しといった大規模なものが考えられます。また、本格的な店頭でのテイクアウト用弁当などの販売カウンターの設置などもあります。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代での飲食店経営は、このような設備投資をしないとお客様は安心して来店できないため、コロナ以前のような来客数、売上・利益は望めないでしょう。こうした大規模な改装となると、安く見積もっても数百万円はかかります。場合によっては1千万円以上かかってしまうこともあります。

当面の運転資金については、日本公庫のような政府系金融公庫や信用保証協会の保証付融資などが主な資金調達先でした。これに対して、設備資金に関しては、これらの調達先以外にも、国の補助金や助成金、または自治体独自の助成金・給付金などがあります。ただ、補助金や助成金などは国や自治体が決めた補助事業を行ったあと、それに要した経費の一部を補填するもので、後払いになります。

そのため、最初は運転資金と同様に、日本公庫などの政府系金融機関、信用保証協会を利用して設備資金を運転資金とは別に、借り入れることになります。

業態転換と設備資金の調達ルートを確保する

消費者の不安感が払拭されない限り、飲食店の来店数や売上の本格的な回復はまだまだ先になることも予想されます。何か手を打たなければ、いくら運転資金を借り入れても早晩いき詰まってしまい、遠からず倒産や廃業に追い込まれてしまいます。いずれは本格的な設備投資の検討になりますが、当面はテイクアウト・デリバリー・移動販売など、業態転換のための設備投資をおこない、この状況から抜け出すことが大切です。

テイクアウトなど非対面型への設備投資も、本格的な設備投資ほどではないにしろ、ある程度の設備資金が必要です。すでに日本公庫や信用保証協会を通して、相当な運転資金を借り入れており、今後も本格的な設備資金の調達も考えているならば、他のルートからの資金調達を検討してみる必要があります。

テイクアウト・デリバリー対応は25万円程度で始められる

テイクアウトに関しては、私もむかし店長時代に売上低迷対策として、またその後、自分の店でも売上を少しでも上げるために行ったことがあります。かかった費用は、販売用の折りたたみ式テーブルとクロス、パラソル、保温・保冷ケース、弁当容器一式で購入代金としては10万円前後。また、この時は、店内と併用でしたから、テイクアウト専用のパート・アルバイトが必要でした。

しかし、今回のコロナ禍の場合、昼のピークタイムでも店内の客数が減っているわけですから、テイクアウト専用スタッフが必要ということはなく、今までのスタッフだけでもまわせます。さらに、調理の面でも、店内の仕込みと同時に弁当の準備も負担なくできるでしょう。余裕をもって弁当作りができ、見栄えのよい本格的なテイクアウト用弁当を作ることで、リピーターに結びつけることもできます。

こうした店頭テイクアウトとともに、デリバリーを行うことも可能です。デリバリーにはバイクや電動自転車などを使用するところが多いですが、経験上、電動自転車のほうが、小回りがきき、近場のデリバリーには向いています。1台あたり5万円前後、これに保温ケースやバッグを自分で取り付ければ、10万円〜15万円もあれば2台くらい確保できます。テイクアウト・デリバリー合わせて、初期費用は20万円から多くても25万円ほどです。これにより、店内、店頭テイクアウト、デリバリーと3つの販売形態が可能になります。

持続化給付金は業態転換のための投資に回そう

さて、事業計画が決定したところで具体的な資金調達です。これらの費用については、わざわざ面倒な手続きを経て金融機関から借りいれる必要はないでしょう。前回のコラムでも紹介した「持続化給付金」を利用すれば十分まかなえると思います。この持続化給付金は、事業再生のために利用できる使い道が自由な給付金です。飲食業も対象業種で、法人の場合は上限200万円、個人事業主の場合は上限100万円ですから、当面の業態転換のための設備資金の調達先としては十分な金額です。

自治体の業態転換のための助成金を利用する

また、いまだに新型コロナウイルス感染者が多い東京都や近隣の県などでは、独自に飲食店の非対面式業態への転換のための助成金制度を設けています。東京都の場合、業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業というものです。新たなサービスとして、「テイクアウト」、「宅配(デリバリー)」、「移動販売」を始める方、このような取り組みにより売上確保を考えている飲食店経営者の方を資金面から支援する助成事業です。

助成限度額が100万円、助成率が助成対象経費の4/5以内となっています。すでに「感染拡大防止協力金」、「持続化給付金」を受け取っている場合も、助成対象者となります。この助成事業は、東京都中小企業振興公社が行っている事業です。ちなみに私は同公社の支援専門家でもありますので、この助成事業については相談から申請手続きの指導も行っています。いつでも問い合わせてください。

また、東京都以外にも神奈川県などの都道府県や市区町などの自治体でも同じような支援を行っています。

まとめ

まだまだ先の見えない新型コロナウイルス感染症ですが、いつもこのコラムで述べているように、当面の支払いのための資金繰りにばかり目を向けていてはいけません。いずれはこの混乱も収束し、飲食店の経営もV時回復は困難にしても緩やかに戻っていくはずです。その時になってから設備投資をはじめとした本格的なアフターコロナ対策をしても、すでに先を行くライバル店も少なくないでしょう。時間の取れる今のうちに、中長期までを見通した「事業計画」、運転資金、設備資金のための「資金計画」の作成をおすすめします。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 萩原洋(有限会社銀河企画 特定行政書士)

外食FC立ち上げへの参画や自らも複数店舗の経営を行った後に独立。
フードビジネスコンサルタントとして20年のキャリアをもつ萩原アドバイザー。
飲食店等を長年経営し引退を考える経営者が、事業を他者に譲り渡す「事業承継M&A」に複数携わるなど、ゼロからの出店ではなく立地や顧客を引き継ぎながら経営を始めるという分野のご経験を豊富にお持ちのアドバイザーです。

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ドリームゲートアドバイザー萩原洋

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