【閉店させない!】長期経営できる店舗運営の戦略とは?

経営改善・成長戦略

執筆者: 加賀谷 豪

前回のコラムでは店舗ビジネスを取り巻く現在の環境や初期投資に対するリスクなどについて述べさせていただきました。

【前回のコラム】
店舗ビジネスはなぜ早期撤退するか

前回の内容も踏まえ、今回は店舗ビジネスで長期経営するためにはどのような戦略を立てていくべきかについて一緒に考えていきましょう。

長期経営するための戦略を以下の3つのポイントに分けて順番に解説していきます。

戦略1.借入を行う際の借入先とそのタイミングを見極める!
戦略2.フランチャイズ制度の検討や活用をする!
戦略3.大手との差別化を図るための「店舗展開戦略」と「ニッチ戦略」を立てる!

  

戦略1:借入を行う際の借入先とそのタイミングを見極める!

前回のコラムで開業時の初期投資における金融機関からの借入について触れさせていただきました。

長期経営を目指す上で、店舗の維持や多店舗展開など先々の事を考えると日本政策金融公庫や銀行といった金融機関からの借り入れは避けては通れません。
そのため、金融機関との円滑な取引は、最も重要な要素といえる1つです。

ここで考えなくてはいけないポイントは、「借入先や借り入れを行うタイミング」です。

借入先は日本政策金融公庫を先ずは検討しよう。

新規で開業を考える場合、既に他の事業を行っているなどではない限り日本政策金融公庫以外からの借入(つまり民間の銀行、信用金庫、信用組合からの融資)は難しい傾向があります。
そのため、新規開業時は日本政策金融公庫からの借入を受ける事をまずは検討しましょう。
日本政策金融公庫から借入を受けるためには、申込時に一定の自己資金があることが理想です。
出来れば、開業時の投資金額の1/3以上を目途に自己資金で賄うことが理想です。

申込タイミングは「開業直前」に。

次にお金を借りるタイミングですが日本政策金融公庫へ借入を申し込む場合、「開業直前に行うこと」がポイントです。

なぜかと言いますと、もし開業して何か月か経過してから、または1年くらい経ってから申し込みをしたとした場合、日本政策金融公庫からの見方としては、「見切り発車で開業してみたものの、予定より資金繰りが苦しくなったため融資の申し込みをしてきたのではないか?」
という解釈をされてしまう可能性があります。

つまり、資金に関する計画性が乏しい事業者であると評価される可能性があるのです。

そのため、「開業した後の早い段階で業績が良く新たな投資が必要となった」など特段の理由がない限り開業後の融資申し込みは、2年ほど期間をあけて実績を残してからの方が理想と言えます。

民間の金融機関から借入をしたい場合は?

前述で新規開業時の借入は、民間の金融機関より日本政策金融公庫の方が受けやすいとお話しました。
実際に日本政策金融公庫では新規事業者を応援するという方針の下、公的機関に近いサービスとして融資を行っていることに対し、民間の金融機関はリスクを避けるため開業後2年以上の実績がなければ、融資の実行に消極的である傾向が強いのです。
ですが、「保証制度」を活用して新規開業時でも民間の金融機関から融資を受ける方法はあります。

信用保証協会が一定の要件を満たす創業者の融資に関して保証する「創業関連保証」「創業等関連保証」という制度があります。
今まで全く事業を行っていない開業予定者や、創業後5年未満の個人事業者、法人が対象となります。

これらの制度を活用して融資を申し込むことで、民間の金融機関でも、新規事業者の融資に対応してもらえる可能性が高まります。

民間の金融機関からの融資には事業計画書が重要!

しかし当該制度を活用するためには事業計画書の提出が必須であるため、自社の強みなどを研究して、「確実性の高い事業計画を作成すること」が重要です。

事業計画書を作成することは自社の開業後のビジョンを計画的に実行することや、自社の分析、外的環境の分析なども行うことで事業の円滑な活動に大きなメリットになるため「創業関連保証」や「創業等関連保証」を活用しない場合でも、事業計画書を作成することを強くお勧めします。

戦略2:フランチャイズ制度の検討や活用をする!

店舗ビジネスで店舗を増やしていくと、その都度投資額に応じて借入額も増えることになり業績不振になった場合のリスクも大きくなります。

これらのリスクをできるだけ分散し縮小するための戦略の1つとして、「フランチャイズ制度の活用」が考えられます。

店舗の一部をフランチャイズ化して他の方に経営してもらうことによって、当該店舗からは一定のロイヤリティ(商品や運営ノウハウの利用料)が収入として入ることになるため、直営店と比較して、店舗業績がプラスだった場合の本部の利益額は少ないものの、収入の安定化に繋がります。
加えて、店舗業績がマイナスだった場合のリスクヘッジにもなります。

また通常店舗に係る賃貸借契約なども店舗のオーナーが契約するため、店舗廃業に係る本部のリスクを少なくすることができるのです。

さらにフランチャイズ店舗での展開は、直営店での展開より本部の事業規模がそれほど大きくならないため税金負担を抑えるという側面もあります。
その他、雇用人数が少ないことで、人件費や雇用による訴訟リスク、社会保険料負担の軽減にもつながります。

フランチャイズ契約を結ぶ際のポイントとは?

フランチャイズ契約を結ぶ際のポイントとして、「ロイヤリティの設定方法」があります。

店舗ビジネスの場合、店舗の粗利益に対して一定の割合でロイヤリティ収入を設定するケースが一般的です。
粗利益に設定することで、業績が芳しくない店舗においても、ロイヤリティ収入がゼロになることはほとんどありません。

また、「店舗の最終利益に対してロイヤリティ収入を設定する」ケースもあります。ただし、この場合は店舗の業績が赤字の場合、ロイヤリティ収入がゼロになってしまうため、一定額の最低ロイヤリティ金額を設定することが必須と言えます。

フランチャイズ契約以外の方法とは?

フランチャイズ契約の他に、代理店契約や店舗運営委託契約などの方法もあります。
それぞれの契約の長所、短所を考慮しながら、それぞれの店舗で契約を使い分けてリスクヘッジをしながら店舗展開をしていくことが重要です。

そのため店舗展開のタイミングにおいては、契約に関する法的専門家や税理士、経営コンサルタントなどの助言も受けながら展開していきましょう。

また単純に利益率が高く、かつ安定性の高い店舗においては直営店とし、リスクの可能性が高い店舗についてはフランチャイズ店舗とするなどが理想であるため、新店舗を検討する際に、新店舗の候補地周辺にあるライバル店のリサーチや見込み客層のリサーチなどを綿密に行いリスクの度合いを判定し、市場調査を徹底することがフランチャイズ展開においては重要なポイントです。

戦略3:大手との差別化を図るための「店舗展開戦略」と「ニッチ戦略」を立てる!

店舗ビジネスを円滑に事業展開していくためには、既存の大手チェーン店舗との差別化が重要となってきます。

店舗を1店舗から2店舗、3店舗と増やしていきたい初期の段階では、大手チェーン店に知名度では到底及びません。

そのため「店舗をどのように展開していくか」という戦略を選択していくことになります。

少数店舗で知名度を上げるためのコツとは?

少数店舗展開の段階で、出来るだけ知名度を高めるために、店舗の展開場所を市場がバッティングしない範囲で出来るだけ近くに複数構えるという戦略があります。

これはコンビニなどでも行われる戦略なのですが、広い地域の範囲では、知名度は見込めないにしても一部の地域の利用者にとっては周辺に店舗が複数あることで記憶に残り認知されやすくなるという効果があります。

しかし、全く同じコンセプトの店舗を近くに複数構えると、市場のバッティングが生じる可能性が高いため、例えば周辺のライバル店舗と差別化しつつ出来るだけ店舗ごとのコンセプトを変えて、且つ店名はグループ店とわかるようにそれぞれ工夫するなどの方法も考えられます。

中期展開(10店舗以上)の際にはコンセプトの統一化が有効

一方、10店舗以上の中期展開を行う段階では、ある程度チェーン店のコンセプトを統一して店舗の質の平準化や店舗の持つイメージを統一する必要が出てくるため、店舗展開の地域範囲を広げ、かつ店舗コンセプトを近づけていく戦略も有効となっていくでしょう。

店舗コンセプトを統一すると、各店舗の仕入材料などの種類も類似するため、仕入れコストを抑えられるというメリットもあります。
さらに補足すると同一コンセプトの店舗展開を行いつつ、その大枠の同一コンセプトを2種類以上確保しながら展開するというリスクヘッジの方法もあります。

例えば焼き肉店のみでチェーン展開を行うと、以前あったようなBSE問題(俗に、狂牛病とも言われています。)などが発生した場合、一気に全店舗の運営が危機にさらされてします。
そのため、焼き肉店チェーンと海鮮料理店チェーンの2種類を展開するなどの戦略が考えられます。

競争戦略を考える際に抑えておきたい考え方

マイケル・ポーターによって提唱された競争戦略で、「コスト・リーダーシップ戦略」、「集中化戦略」という有名な戦略カテゴリがあります。

「コスト・リーダーシップ戦略」とはその名の通り、コストを抑えることで優位性を確保する戦略で、資本力がある大手が可能な戦略です。

「集中化戦略」とは、特定の顧客層や特定地域などのセグメントに対象とする市場を集中して優位性を確保する戦略で、そのうち選ばれたセグメントの中でコスト優位を目指す戦略です。
例えば、軽自動車というセグメントに集中する戦略をとっている、スズキなどが代表例としてあります。「コスト集中戦略」ともいわれます。

この場合の「集中化戦略」は、やはり資本力が必要であるため、ある程度の大手が行う戦略といえます。

一方、「集中化戦略」の内、特異な市場セグメントに資源を集中するという方法があり、これがいわゆるニッチ戦略と言われるものです。「差別化集中戦略」とも言われますが、当該戦略だと、優位性を確保できる市場を見つけることが出来た場合、高単価であっても競争が可能であるため、中小事業者でも可能な戦略と考えられます。

一般的には、「差別化集中戦略」→「コスト集中戦略」→「コスト・リーダーシップ戦略」という順番で、資本力が上がる段階ごとに、実行可能な戦略と想定されるため、自社の事業規模の段階に合わせて、戦略を立てて行きましょう。

さいごに

長くお客様に愛される店舗を作ること・作っていく事を考えた場合、しっかりと戦略を立てることや、考えられるリスクに対してどのように立ち向かっていくかを事前に検討しておくことは非常に重要です。
事前に検討しておくことで初動が早くなり素早い対処が可能となります。

しかしこのような戦略を考える場合、個人の知識や経験のみでは限界があります。
われわれ専門家にご相談ください。
今まで100件以上の創業支援実績を基に、あなたの抱えるお悩みの解決に向けてサポートさせていただきます。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員

1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした「10-million-school」の共同開催を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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