起業アイデア Vol.02 新しいかたちの運転代行

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

今回のコラムから事業プランを紹介し、そのアイデアの優れている点などを紹介していきます。第1回目の事業プラン提案者は森哲也さんで、事業プランは折りたたみバイクを使用した運転代行サービスです。

事業プランの概要

 公道走行可能な折り畳み式バイクを使用する低料金運転代行サービス。現行の運転代行サービスは客の車を運転するスタッフと随伴車を運転するスタッフの計2名が必要だが、このサービスは折り畳み式バイク1台とスタッフ1名で提供可能。スタッフは折り畳み式バイクで現場に向かい、現場到着後バイクを畳み、依頼者の車のトランクなどに積み込む。そして依頼者を自宅まで送り届けた後、バイクを立ち上げ帰還する。

低料金化の根拠は、
1 必要なスタッフが1名となり人件費を節約できる。
2 バイクはケースに入れて持ち運べるため駐車場が不要となる。
3 車内に積み込めるため消費ガソリンを大幅にカットできる。また燃費も自動車よりも良い。 

 従来の代行業では、2種免許取得・公安委員会の認定(代行運転許可書)・安全運転管理者の配備が必要である。それに対し、バイク代行サービスは新規ビジネスであるがゆえに、法的規制が存在せず、実施がしやすい。ただし現段階では誰でもこのビジネスを実行できるため、特許などの法的保護が必要。低料金のサービスを実現することにより運転代行サービス市場の拡大を図り、飲酒運転撲滅に寄与する。
 

ここがナイス・アイデア!

 この事業プランの競争力は、言うまでもなく現行の運転代行ビジネスよりも低料金でサービスを提供できる点にある。必要人員の削減などがコスト低減の根拠となっており、説得力も高い。またこの構造を反対から見れば、料金設定によっては現行の運転代行サービスよりも高い利益を獲得することも可能ということがわかる。実に経営のしがいのある事業プランである。

 さて、スタッフ少数化=低料金化を担保するのが「折り畳み式バイク」の存在だ。つまり、『通常の随伴用自動車の代わりにこれを使用する』という発想である。こうした考え方を「代替・転用アイデア」と呼ぶ。

 今ある物や事よりも優れたものを提供することで、新たな市場や顧客、あるいは他者が有利に展開する市場や顧客を獲得しようとするのがビジネスの本質である。そのために新商品や新サービスの開発に取り組むわけだが、それには時間もコストもかかるし、失敗もある。それらのリスクを回避して新たな価値を提供するのが「代替・転用発想」にもとづく事業であり、すでに世の中に出回っている物や事を、一般に認知されている使途や用途とは異なる使い方を見いだす発想法である。

 この発想法は2つの方向から着手することができる。当該プランを例にすれば、「運転代行の随伴車に代替するものはないか」という発想と、「折り畳み式バイクを趣味以外の目的で使う方法はないか」という発想である。古民家がしゃれたカフェに転じたりするのもこの発想法がもとになっている。つまり「飲食店を始めたいが、通常の店舗物件に代替する建物はないか」、あるいは反対に「古い建物を持っているが、住居以外に使い道はないか」ということである。実は「代替・転用発想」にもとづくビジネスは相当数、世の中に存在している。みなさんの身の回りにもたくさんあるはずなので、ぜひ見つけてみてほしい。

 なお、この発想法をいかすためには、「代替すべきものの存在を知っている」ことが前提となる。私はこのプランに出合うまで、折り畳み式バイクの存在を知らなかった。ということは、私にはこのアイデアを発想することはできないことになる。実際、折り畳み式バイクの国産品はほとんど出回っていないし、世界中を探してもそう見かけるものではない。提案者の森さんは鹿児島大学理工学研究科の学生さんだが、趣味なのか、あるいは研究の中で出合ったのか、いずれにしても知識が生かせた好個の例である。
 

増田からアドバイス

 「代替・転用アイデア」で発想を進めていく上で大切なことは、可能な限り数多くの代替手段や転用先をリストアップすることである。実際、当該プランの場合、随伴用自動車に代わるものは折り畳み式バイクだけではないだろう。折り畳み式自転車もある。

 提案者は「あまり長距離の運転代行の場合は、従来通り自動車を使用することも考えられる」と提案書に付記していた。その逆で「あまりに短距離の場合」であれば、バイクではなく自転車を使用できるのではないか。自動車よりバイクのほうが燃料費を削減できるわけだが、自転車であれば燃料費はゼロになる。短距離・中距離・長距離とメニューを分けてそれぞれ自転車・バイク・自動車というふうに「武器」を使い分けてもいいかもしれない。

 反対に、提案者は「大量生産されていない折り畳み式バイクを有利な条件で入手できる権利を持っている」と仮定すれば、運転代行の道具としての使途以外に何か有効活用できる道はないかと考えてみてもいい。実際にみなさんも考えてみてほしい。

 仮に私が1台所有しているとしたら、おそらく出張先に宅配便で届けておいて現地で自在に乗り回すだろう。宅配業者が扱ってくれて、なおかつ送料がレンタカーを借りるよりもはるかに格安であれば、だが。そんな身近なところから発想を広げていくうちに、ビジネスの芽に出合うものである。

 

 

(このアイデアは、2007年1月に行われたドリームゲートグランプリ九州大会の応募アイデアです)

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