起業アイデア 第5回 学習テーマ【事業計画書作成の目的】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

自分が「言いたいことより」、「相手が知りたいこと」を

解 説

【モデルケース】

大のペット好きの犬林素子さん(36歳・ 仮名)は、動物病院での治療費の一部を保障するペット共済事業を発案。先行企業はペットの種類や年齢による加入制限を設けているが、彼女は制限なしのサー ビスを考えた。このプランに意見をもらおうと、発案にいたる経緯からペット社会の理想像までを、びっしりレポート用紙につづって友人の経営コンサルタント に手渡した。ところが友人は、中身をろくに読むこともなく、それを彼女に突き返してしまった。なぜなのか? また、どのような書類なら、読んでもらえたの か?

【座学編で学んだこと】

「事業としてどうか」という意見をもらいたいな ら、レポートではなく、事業計画書を手渡すべきだったのだ。事業計画書とは、事業の内容、意義、魅力、進め方、実現性や採算性、成長性などを、明瞭・簡 潔・平易にまとめた書類である。書き方は、項目を立て、箇条書きを中心に、可能な限り数字を使う。当然、数字は表や図にまとめる。また、写真や図版などを 添付してもいい。要は読む人に、その事業の魅力を早く、正確にわかってもらうためのツールである。手紙のような書き方で、その目的を果たすことは難しい。

もっ ともレポート用紙を埋めつくす犬林さんの情熱は素晴らしい。だが、思いを事業にするなら、その思いを関係者が理解できるように伝える責任がある。その事業 について自分が言いたいことを言うよりも、その事業について相手が知りたいことに答える。そういう姿勢が大切だ。「人に見せ、理解してもらい、期待するア クションを起こしてもらう」。これが事業計画書作成の第1の目的である。

さらに重要な第2の目的もある。「自ら内容をチェックし、ブラッ シュアップし、事業実施の際のシナリオにする」。つまり、自分自身のために作成する。頭の中では「完璧な計画だ」と思っても、いざ書いてみると、問題点や 矛盾点、不明点などが山と出てくるもの。そもそも書けない項目があるかもしれない。事業計画書の作成に取り組むことは、「まあ、何とかなるだろう」という 甘さを、自分の中から排除することにもつながるのだ。

事業計画書は、考えながら書き、書きながら考え、書いては人に見せ、人に見せては書き 直し……というように、修正を繰り返して完成させるもの。一気呵成に仕上げるような書類ではない。いわば事業計画書は、「見た人がすぐにわかる知恵の集 積」なのだ。
 

【実践編で学んだこと】

そもそも事業計画の立案は必須か否かを 考えてみた。

事業計画の立案とは、端的に言えば、「どんな事業を起こすのか」と、その事業を「どう実現するのか」を計画すること。事業の 「基本プラン」と「実施プラン」を立てることと表現してもいい。「基本プラン」とは、「誰に、何を、どう売るのか」「なぜ売るのか、売れるのか」「売ると どうなるのか」などを示した計画。「実施プラン」とは、「いつから、誰と、どこで、どんなスタイルやルールで、いくら使って、いくらを目標にして売るの か」を明らかにすることだ。それらを書類化したものが事業計画書である。

このように説明すると、「どう考えても事業計画書は必要」と思える が、絶対ではない。事業立ち上げリスクがなく、一方で「競合が明日にも同様事業を立ち上げかねない」というような場合は、その事業を小規模に立ち上げ、運 営から得られる情報をもとに、改めて事業計画を立案していってもいい。また、「独立はするが、事業を起こすわけではない」というケースもある。業務委託契 約で特定のスキルを企業に提供するかたちでの独立や、フランチャイズチェーンに加盟する方法なら、事業計画書作成の必要性は低い。

しかし、 一から自力で事業を立ち上げようという場合は、やはり事業計画の立案と計画書の作成は省けない。これらの作業は難しく、手間もかかるため、しないで済ませ たい気持ちもわかる。だが、少しでもいいから着手してほしい。それだけでもメリットはある。たちまち、自分の甘さや曖昧さ、弱さなどを実感できるからだ。 事業計画書の作成は、何よりも「自分の現実を知る」絶好の機会になる。
 


【新たに学ぶ!今週のポイント】

計画書には、あえてリスクも記入せよ!

事業計画書とは、立案した事業の魅力を、読む人が、早く、正確 に理解するための書類である。したがって、そもそも誰も魅力を感じないような事業では、計画書を作成する意味がない。また、魅力不足を書類上の技巧で、あ たかも魅力があるように見せかけることにも意味がない。大事なことは、その事業を起こすことで喜ぶ人が間違いなくいること。また、喜んだことへの対価を間 違いなく支払ってくれる根拠があることである。

しかし、その事業には確かに魅力があるとしても、果して、魅力だけしかないのだろうか? 例 えば、その事業が稼動したせいで困る人が現れる危険性はないか? または、計画の一部に支障をきたしたために、事業の継続が危ぶまれることはないか? あ るいは、簡単に真似をされる危険や、すでに強力な同業者が存在する可能性はないか? 事業計画を立てる際には、どうしても自らに都合のいい面ばかりを見て しまいがちだが、どんな物事にも光と影はある。熱く理想を追求しつつ、冷静にリスクを把握することが肝心だ。

実は、「この事業には、こうし た種類のリスクがある」と、事業計画書に書いてしまうこともひとつの選択である。そして、実際に問題が生じた際には、「このような方法でそれをクリアす る」と書けばいい。それが実際に事業を守るための施策になると同時に、その事業の継続性にリアリティを与え、さらには起業家自身の危機管理能力や人間的な 誠実さまで伝えることができるのだ。「いいことばかりを言う人は信用できない」。それが社会の常識であることを、改めて肝に銘じてほしい。

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