起業アイデア 第7回 学習テーマ【業務システムの確立】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

誰が、何を、なぜ、いつ、どう作業するのかを考え抜け!

解 説

【モデルケース】

肺に良性の腫瘍が見つかったのを機に、寝 ズ甚八さん(仮名・37歳)は喫煙をやめた。だが、禁煙は想像以上につらかった。その体験にもとづき、禁煙を目指す人のために、彼はネット上に「禁煙グッ ズショップ」を開設。商品の豊富さと親身な対応が好評を得た。しかし労働時間は長く、徹夜も当たり前の状態に。寝ズさんは仕入れ、顧客対応、発送、メルマ ガ発行、すべてをひとりでこなしていた。使命感は理解できるが、今にも倒れそうでは何かが間違っている。どうすればいいのか?

【座学編で学んだこと】

今後、寝ズさんは仕事量を減らすしかない。そのためには作業を他人に任せ るか、業務自体を削減するかだ。まずは業務を細分し、それぞれごとにリスクが低いのは、他人に任せる方法か、業務自体を削減する方法かを検討する。結果、 どちらかを選択する、あるいはどちらも選択しないで頑張る、などの答えをひとつひとつに出していくことである。

要するに、事業の魅力を維持 できるギリギリのラインまで、自らの作業を減らすこと。オーバーワーク改善法はこれしかない。これを反対から言えば、かなりの作業を自分の手から放して も、事業の魅力は保てるということだ。あれもこれも自分でやらなければダメ。それもあれもやめるわけにはいかない。そういう思い込みこそが大敵である。

こ うした改善を繰り返しながら、抜本的な改革にも取り組みたい。寝ズさんが、この事業を自分ひとりで家業的に進めたいなら、相談に乗る相手を限定すること。 一方、この事業を伸ばし、広めたいのなら、「禁煙アドバイザー」を複数確保するシステムづくりが必要となる。もちろん、初めは一人でじっくりと取り組み、 段階を追って複数体制を構築するという計画でもかまわない。

準備段階で、「なぜ、何を、誰に、どう売るのか」を確立したら、次は、「誰が、 何を、いつ、どう作業するのか」という業務システムを練り上げることが必要だ。また、その事業をどう伸ばしたいのかを考え、成長に伴って業務システムをど う変えるのかもイメージしておくこと。「そんな先のことまで……」ではない。いい事業は、起業家自身が予測するより、はるかに早く発展することが多いもの だ。
 

【実践編で学んだこと】

酒寝ズさんの窮地を救う改善策を考えて みた。

起業とは文字どおり「業を起こすこと」。しかし、業にもいろいろある。自分自身や家族だけが生活していける規模の「生業」や「家業」 始めることも起業。一方、誰に、何を、どう売るかという仕組みを徹底的に練り上げて、将来、大きく発展するような「事業」を始めることも起業である。

寝 ズさんの仕事は、規模は家業レベルでも、実態は事業レベルなのに、本人にその自覚がないため、家業的な取り組みで業務をクリアしようとして窮地に追い込ま れたものだ。

したがってここは、出荷業務などを外部委託する。また、プログラムによって自動化できる作業はそうする。さらに相談への対応も ネット上にコミュニティをつくり、禁煙に成功した先輩たちをどんどん巻き込んで、コンサル代わりとなる協力者を獲得していく。こうした取り組みを推進する 必要がある。そうすれば、寝ズさんは健康を害することなく、事業を伸ばしていけるだろう。もちろん、必要に応じてスタッフの採用も検討していい。

自 分が起こそうとしているものは家業か事業か。そして起業・独立した後も、自分が実際に起こしたものはどちらか。そして今、営んでいるものはどちらか。さら に、自分が本当にやりたいのはどちらなのか。これらの認識と判断が常に行っていくことが大切だ。
 


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急成長企業は、スタッフにビジョンを!

市場ニーズを的確につかんだビジネスは、超短期間に業績を拡大 させていくことがある。「狙いが間違っていなかった」という意味では喜ばしいが、毎日のように、対処・対応しなければならない業務の「量」や「質」が変化 していくことは、経営においてはむしろ危険な状態である。チャンスの拡大はリスクの拡大を意味する。

こうした状況をクリアすべく、人員を確 保し、組織化を図っても、若い企業においては、幹部の退職やマネジメント人材の不足、セクション間の対立などで、いとも簡単に成長が阻害される事態が起き る。こうした困難を突破する最大の力は、その事業を起こした起業家自身のビジョンである。「自分たちは何のために頑張っているのか」「頑張ることで何がど う変わり、どう素晴らしくなるのか」。この将来像を、まさに目に見えるようなかたちで組織の隅々にまで伝えていくこと肝要だ。

だが、現実に はトップのビジョンが正しく全員に伝わることは難しく、伝わっても、即それが、各人に求める行動となって表れるかどうかもわからない。こうした状況におい ては、むしろトップダウンとは反対のアプローチが有効だ。つまり、組織の各人に自分の人生のビジョンを描いてもらうのである。そしてそのビジョンと企業の ビジョンとの重なりあう部分を発見し、自分の将来へのこだわりが、結果、企業の成長を支えるという図式を選ぶほうが近道である。

「ビジョン の共有」はもちろん正しいが、急成長している企業にあっては、「ビジョンの共存」が、より現実的な組織力強化の方策である。

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