起業アイデア 第9回 学習テーマ【開業資金の調達】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
 

借りるなら、調達先と調達方法を調べぬけ!

解説

【モデルケース】

生協の学習会で食に関する勉強を深めたシングルマザーの餡藤優子さん(34 歳・仮名)は、おいしくて安全なアンパンを製造販売する「移動アンパン屋」の開業を決めた。だが自己資金はほとんどない。悩んだ末、子どものために掛けて いた生命保険を解約しようと、生保会社にその旨を告げると、担当者は「解約などせず、ウチから借りればいい。それに、あなたなら利用できる融資制度が他に もいろいろある」と教えてくれた。担当者の助言のおかげで餡藤さんは合計3ヵ所から300万円を借りることができた。3ヵ所のうち1ヵ所は生保会社。では 残る2ヵ所とは、どんな機関だろうか?

【座学編で学んだこと】

餡藤さんが活用 した借り入れ先と制度は次のとおり。生保の契約者貸付制度、自治体が設ける母子福祉資金の事業開始資金、そして中央労働金庫のカーライフローンだ。モデル の餡藤さんに限らず、こうした借り入れ先があることを知らない人は多い。だが、借りる人の属性や条件、予定事業の種類などによって若干の差はあるものの、 たいがいの人が10種類以上の調達先を利用できるのが事実。大切なのは、そうした多彩な調達先の中から、調達コストが低い、つまり、金利や返済条件が厳し くない相手を選び出すことである。

家族などは別として、調達コストが低いのは公的資金だ。具体的には国民生活金融公庫や沖縄振興開発金融公 庫などの政府系金融機関、または都道府県や市区町村など自治体の制度融資が代表的。これらは年利だけを見ても1~2%台で、実質年利が30%近くになる消 費者金融やカードローンなどと比べ、いかに有利な借り入れ先かわかるだろう。

また、生保や解約返戻金のある共済には、ほとんど契約者貸付制 度が設けられている。払い込んだ保険金が担保になるので、原則、無担保・無保証人で借り入れができる。さらに自治体の母子福祉資金の事業開始資金は、何と 無担保・無保証人に加えて無利子。一方、生協組合員なら中央労働金庫の活用も可能。ただしこの機関には開業資金の融資制度がない。そこで餡藤さんはマイ カー購入者のために設けられたカーライフローンを使って借り入れに成功した。このように事業用資金以外の融資制度を生かせる場合もある。

開 業に際して自己資金が不足すると、「身内に融通してもらうか、銀行から借りるか」といった認識にとどまる人が少なくないが、実際に使える調達先や調達方法 は数々ある。とくに公的融資は金利や返済の面で有利。ただし、これらの制度は「民業を圧迫しない」という原則から、積極的な宣伝は行っていない。なので、 自ら進んで調べることが肝心だ。

【実践編で学んだこと】

餡藤さんは、総額300 万円を借りて開業できることになっていたが、クルマの改造費にあと50万円かかることにし、その不足をどうクリアするかを考えてみた。

まず はその50万円がかからない方法はないか、最低でも減額する方法はないかを考える。ケースでは、改造費用が急きょアップしたわけだから、改造を行う業者と の交渉が必要。負けてもらう。分割にしてもらう。何らかのメリットを相手に提示してバーターしてもらう。もちろん「値上げは不当だ」と突っぱねてもいい。 自分や協力者で改造することもできる。また、販売だけに徹すれば、自動車ではなく、自転車でも営業は可能だ。

次に自己資金を増やす方法がな いかを考える。自分の持ち物を徹底的にチェックし、売れるものは売って自己資金を増額し、不足を補う。

上記の2つを追求しても、なお資金不 足なら、第3段階として、資金を借りずにクルマを用意できないかを考える。例えば、売り上げを前金で調達する。また、クルマを他社の広告メディアに活用す る、仕入れ先と提携して営業車を確保する、など。むしろこうした方法は、事業を大きく発展させる可能性すら含んでいる。ここまでやってもまだ、資金不足が 解決しない時に、新たな借り入れなどによる資金調達に取り組めばいい。

起業準備も大詰めに差しかかると、さまざまな支払いが発生する。すべてが 計画どおりに進めばいいが、時にはちゃんと試算し、見積もりも取ったのに……、という事態も起こる。だから開業資金には、予備資金を含んでおくことが大 事。餡藤さんの計画では300万円が開業に必要な最低額。であれば彼女は350万~400万円は用意しておくべきだった。反対に、用意できる資金の上限が 300万円なら、開業資金を250万円以下に収めるべき。予備は絶対に必要。何かあった時に役立つし、何かが起きた時に慌てなくて済む。
 


【新たに学ぶ!今週のポイント】

国民生活金融公庫を徹底活用せよ!

すでに何度も記してきたように、開業時には資金をかけすぎないこと が大切。だが、どうしても資金を借り入れたい時は、国民生活金融公庫を活用するのが一番。政府系金融機関である同公庫は、大々的な宣伝を行っておらず、起 業・独立を考える人の中にも、その存在を知らない人がいる。だが、同公庫は、開業後の運転資金や設備資金の融資はもちろん、開業のための資金の融資も行っ ている。しかも、低金利・長期返済であり、ほとんどの業種を融資対象にしている。さらに全国152 カ所に支店があり、利用面でも便利である。なお、沖縄県に関しては、沖縄振興開発金融公庫が同様の融資を行っている。

さて、一般に資金を貸 す側は、融資と引き換えに担保や保証人を要求する。だが、国民生活金融公庫には、無担保で融資を行う制度が充実している。さらに無担保に加え、無保証人の 「新創業融資制度」というワクまである。「画期的な事業プランを有しながら、保証人を確保できないために融資が受けられない」。こんな事態も同制度を活用 すれば回避できる。

何より、国民生活金融公庫の「いい点」は、「条件は良く、敷居も低いが、かといって、安易に貸し出すわけではない」こ と。同公庫から開業資金の融資を受けようと思えば、所定の開業計画書を提出しなければならない。その内容に無理があるようでは、融資は受けられない。つま りそれは、事前に、事業の成否をプロにチェックしてもらえるということだ。なまじ自己資金が潤沢で、誰にも相談せずに開業して痛い目に遭うことを考えれ ば、国民生活金融公庫の窓口に出かけ、相手が「貸しても大丈夫なビジネスだ」と、思ってくれるかどうかを確かめるほうが賢明である。起業家にとって大事な ことは、資金を調達することではない。事業を成功させることなのだから。

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