農業法人 Vol.1 中小企業のための農業生産法人のはじめかた

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

こんにちは。農業専門コンサルタントの岩崎です。

もともとはIT社長でしたが、心機一転、2007年に農業ベンチャーを設立しました。5年間で全国80カ所の農場を運営しておりました。現在は、新たに社会人向けの農業学校を設立し、延べ100人を超える農業起業や栽培技術指導もしています。

ドリームゲートをご覧の皆さん、特に経営者の方々に向けて、「中小企業のための農業生産法人のはじめかた」と題してコラムを書かせて頂きます。

農業ビジネスの現状。日本は世界5位の農業大国って知ってましたか?

 さて、日本の農業は、低い食料自給率や農家の高齢化などにより、衰退産業の代表格として取り上げられて久しいです。

ニュースでもたびたび取り上げられているTPPによって、さらに国内農業が悪化するのでは?と思われてもしかたがないところです。私のところへ相談に来られる方の多くも、開口一番「農業って本当に儲かるんですか?」と心配そうに聞いてきます。

しかし、農業ビジネスを表す指標である「農業総産出額(農業生産活動による最終生産物の総産出額)」を見ると、日本は8兆2463億円(平成23年度)!

この金額、実は中国、米国、インド、ブラジルに続いて世界第5位です。日本は農業大国なんです。しかも、この狭い国土で、高品質な農産物を作れる技術は、世界からも高く評価されています。

今後、TPP問題や減反政策廃止など大きな混乱を予想される市場だからこそ、危機ではなく、機会と捉えて、多くの株式会社の農業ビジネス参入を期待したいところです。

とはいえ、農業ビジネスといっても、そもそも閉鎖的な業界で、一般人には情報がなかなか届きません。農水省の統計データや大手シンクタンクの情報も、農業現場の実際とは乖離していることも、多く中小企業にとっては役には立たないものです。

なので、農業ビジネスに興味はあっても二の足を踏まれている中小企業経営者も多いのではないでしょうか。

そこで、このコラムでは、実際に私がこれまで約7年間にわたって、農業ベンチャーや農業生産法人等を起業、経営する中で、地主や農業委員会、農協との交渉、農作業経験など、現場でリアルに学んできた経験をもとに、中小企業の農業ビジネス参入の可能性を解説していきます。

多様化する農業ビジネス。作るだけが農業じゃない!

農業ビジネスと聞くと多くの人が、米や野菜を生産し、市場へ販売するイメージを持たれていると思います。確かに農業総産出額のうち、約7割が野菜と米などの耕種系農産物(耕して種をまくタイプの農産物をこう呼びます)が占めます。残り3割は畜産系です。

しかし、耕種系の農業には米・野菜の他にも、果樹、工芸作物(油・染料、茶など)、飼料作物、花き園芸作物などがあります。

さらに野菜の生産農家だけをみても、コンビニおでん用大根生産農家、ポテトチップス用ジャガイモ生産農家といった具合に栽培品目に特化する農家、イタリアンレストランだけを対象に年間何十種類もの色とりどりの洋野菜を栽培する農家、種採り専門農家、家庭菜園用の苗生産農家、独自の堆肥や肥料、土壌改良材を生産する農家のように、様々な特徴を持つ農家がいます。

最近は農業技術の発展により、コンピューター制御を前提とした、水耕栽培や植物工場といった特殊な栽培方法に特化する農業者も出てきました。遺伝子組み換え作物の開発や農薬開発も市場規模からみても今後大きな農業ビジネスになっています。

さらに、従来の農業は一次産業、つまり「モノ作り」だけを行っていたが、2011年(平成23年)3月1日から通称「六次産業化法」が施行され、農業者が自ら加工(二次産業)、流通・販売(三次産業)までをてがける農家の六次産業化がはじまりました。

例えば、トマト農家がトマトの栽培だけでなく、自社でトマトケチャップに加工し、ブランド化しネット販売するといった事例があります。

農水省も補助金をはじめ、200億円規模のファンドを創設するなどここ数年、力を入れています。

さらに最近は、「農業サービス業」と言われる分野が急速に伸びています。

「農業サービス業」というのは、従来からある果樹のもぎとり観光農園や市民農園を筆頭に、初心者でも田植えや野菜栽培が体験できる体験農園、加工品販売に加えて、動物とのふれあいができる複合レジャー型農園、ITを使って農業者と消費者をつなぐマッチングサービス、畑付き住宅や畑で行う婚活など、様々なサービスが生まれています。

特に農業体験ができる市民農園は地方公共団体や農協が正式に運営するものだけで3968箇所(平成23年度)もあります。これに農家や一般企業が独自で行っているレジャー型農園などを含めると、かなりの成長分野といえます。

中小企業の農業ビジネス参入3つのポイントとは?

では、これから農業ビジネス参入を考える中小企業は、どんな農業ビジネスをはじめればよいのでしょうか?

そのヒントになる3つのポイント紹介します。

1.【既存事業×農業】既存事業の強みから考える

一つ目は、既存事業の強みを活かす方法です。

例えば建設業者であれば、資材組み立てや機械操作、メンテナンス能力を武器に、高齢化が進む地域の耕作代行を請け負ったり、農業設備組み立て支援サービスや、既製品資材のカスタマイズサービスといった他農業者を相手にしたサービスに展開できるかもしれません。

2.【自社課題×農業】自社が抱える課題から考える

二つ目は自社が抱える課題を農業で解決できないか?と考える方法です。

例えば、高年齢者雇用安定法の施行に伴い、高年齢社員の活躍の場が課題になっています。その場合、自社で農業生産法人を立ち上げ、高年齢社員を中心に野菜生産を行い、社内販売するといった仕組みができますよね。

通常、生産者の手元に残るお金は小売り価格の3割程度です。しかしこの仕組みであれば、市場を通さず直接社内販売ができるので、生産者側は市場価格より高く売ったとしても、購入者側は市場よりも安く購入することができます。売り手にも買い手にもメリットが大です。

3. 【地域貢献×農業】地域貢献の視点から考える

三つ目は地域貢献の視点から考える方法です。

中小企業にとって、地域密着、地域貢献は大事なキーワードです。例えば地域住民との交流機会を増やし、自社への理解を深めたいと思う場合、地域のあれた農地(耕作放棄地)を使って体験農園を開設し、地域住民と自社社員が頻繁に交流できるコミュニティスペースとしての農業を考えてみてはいかがでしょうか。

農地の荒廃を防ぐとともに、地域住民との密接な絆づくりが実現できます。

最後に

以上、中小企業の農業ビジネス参入の可能性について簡単ですが書かせていただきました。

農業は1万年まえから続く産業であり、人間の根本である衣食住を支える原点です。

インターネット産業がインフラとしてあらゆる産業とつながり、発展したように、農業ビジネスも人間が生きるうえでのインフラとして、あらゆる産業と接点を持てる可能性があり、そこに農業ビジネスの魅力があります。

少しでも興味をもっていただけましたか?

さて次回は、農業ビジネスを始めるまでの大まかな流れについて解説したいと思います。 乞うご期待!

バックナンバー

農業法人 Vol.1 中小企業のための農業生産法人のはじめかた
農業法人 Vol.2 農業ビジネスをはじめるまでの大まかな流れ
農業法人 Vol.3 株式会社の農家は過去3年で倍増。その理由とメリット、そして中小企業農業に新規参入する際の平均投資額について
農業法人 Vol.4 中小企業の農業は儲かる?儲からない?

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