農業法人 Vol.2 農業ビジネスをはじめるまでの大まかな流れ

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

~農業ビジネスをはじめるまでの大まかな流れ~

こんにちは。農業専門コンサルタントの岩崎です。

前回のコラムでは農業ビジネスの可能性についてご紹介しました。

「中小企業のための農業生産法人のはじめかた 第1回」ご興味お持ちいただけましたか?

さて今回は、何も知らない中小企業が、農地を賃借して、野菜や米などの農産物を自ら生産するという場合、一体何からはじめればよいか?

農業ビジネスを始めるときの大まかな流れについてご紹介しましょう。

1.農地の探し方

農業ビジネスを始めるためには、当然ながら農地(田んぼ、畑)が必要です。

もしあなたの家族や親戚、友人・知人に農家がいて、農地を紹介してもらえるなら話は早いですが、農家と何のコネもない場合は、どこで情報収集すればよいでしょうか?

一般的には、行政窓口(農政課、農業委員会事務局など)や第三セクター系の農業支援相談窓口(○○県農業支援センターなど)には、地域の空き農地情報が集まります。

・農地情報提供システム(全国農業会議)
http://agri.nca.or.jp

現在、政府は小規模な農地を集約、大規模化して農業の競争力強化を進める農地中間管理機構(通称、農地バンク)を立ち上げ、各市町村単位で情報の集約化をはかっています。まだまだ個別の農地情報は不十分ですが、相談すればその地域の特性(○○地区は畑作に向いている、○○地区は災害に強いなど)を教えてもらえたりするので、一度は訪問されることをお勧めします。

・各地域の就農支援窓口(農水省)
http://www.maff.go.jp/j/new_farmer/madoguchi.html#madoguchi

また、地元の農協や不動産会社も地主さんとのつながりが深く、情報を持っています。さらに私が実際に行った空き農地調査事例では、インターネット地図(GoogleMAPなど)を使って、クライアントが希望する地域の航空写真を見ながら、農地をピンポイントで探したこともあります。慣れてくれば写真を見ただけで、そこが休耕地かどうかもわかります(^0^)V。

2.優良農地のチェックポイント

農地の情報が集まれば、次に実際に農地を見に行きましょう。

実は空いている農地というのは、当然ですが、空いている理由があります。

空き農地が出た場合、通常、良い条件の農地は、真っ先に地元のやる気のある農家さんが引き受けられます。ですから、あなたが見つけた空き農地は引き受け手がいない、すなわち何か問題があるかもしれません。

あなたが描いている農業ビジネスに適した農地なのか?それとも不向きな農地なのか?を判断するチェックポイントを知っておく必要があります。

まずは、日当たり・水はけ・土質(砂利、粘土、火山灰土など)・過去の栽培履歴のチェックから始まり、土地の形状(三角地は機械が入れにくい、傾斜があるなど)、侵入路や駐停車スペースの有無のチェックをします。

また、水源の確保(水田用の用水路の場合は、3月~9月までしか水が流れないこともあり注意が必要です)、獣害の有無も重要です。

さらに周辺農家の様子や周辺施設の様子(廃棄物処理場が近くにあるなど)も気になります。

重金属のチェックなど土壌検査も必須です。

すべてが完璧な優良農地はなかなか見つかりませんが、自分の農業ビジネスプランと照らし合わせて、優先順位をつけていくことが大切です。

農地も不動産ですから、家探しとよく似ています。

必ず自分の足で歩いて、複数の物件(農地)を見に行くこと。私もこれまで全国数百カ所以上の農地を見てきましたが、同じものはひとつもありませんでした。

とにかく多くの農地を見て回ってください。

3.農地の賃借手続き

良い農地が見つかれば、いよいよ賃借手続きに入ります。

実は農地の賃借は、様々な規制があり一般個人や法人には事実上無理でした。しかし、2009年(平成21年)の改正農地法の施行により一般個人や法人の参入規制が緩和され、農地の賃借が可能となりました。今後も参入規制はさらに緩和されるものと思われます。

農地を賃借する場合は、まず地主との間で、賃借の条件(面積、期間、賃借料など)を決めます。期間や賃借料については、地域の相場があるので、地元の農業委員会事務局で聞くのが確実です。

賃借形態については、農地法第3条によるもの(通称、3条申請)と、農業経営基盤強化促進法(通称、利用権設定)による2通りあります。

3条申請の場合は、貸し主から借り手へ使用収益権(永小作権、地上権など)の移転が伴いますが、利用権設定の場合は、文字通り利用権の移転のみが伴います。実際のところ、書類手続きも簡易な利用権設定の方が好まれるため、農家間でも7割以上が利用権設定による賃借とも言われています。どちらの方法を選ぶかは、地元の農業委員会事務局に相談し、先方の意向に従って進めるのが最もスムーズです。

地主の了解が得られ、賃借方法も決まると同時に、農業委員会の審査にかけられます。 農業委員会の審査に通過し、認可がおりれば、無事手続きは完了です。

ちなみに、農業委員会とは、地域の農業を守るために、市町村単位に設置される行政委員会で、地元の農業者の中から公職選挙法によって選ばれます。主な業務としては、農地法に基づく売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申、遊休農地の調査・指導などになります。農業委員会事務局は通常、地域の役場内の農政課に併設されています。

通常、この農業委員会の審査が農地賃借時の最大のハードルになります。 農業委員会の審査を通過するためには、営農計画の提出が求められます。 あなたのこれまでの実績や将来の展望を説明し、信頼を得る必要があります。

実績があれば話は早いですが、はじめて農地を借りる場合は、実績がありませんよね?

そんな時は、書類上の審査よりも、実際に地元の農業委員に何度も会って、熱意を伝えたり、社員全員で地元の農業用水路の掃除を手伝ったりと、誠意を見せることのほうが大切です。とにかく人対人の泥臭いコミュニケーションを通してしか信頼は成り立ちません。

私もこれまで様々な地域の農業委員会へ行って、集中砲火を浴びたこともありますし、機嫌を損ねて怒られたことも何度もあります。(笑)

しかし、そんな付き合いを繰り返していると、そのうち実績をつけるための研修先を紹介してくれたり、新しい農地を紹介してくれたりと、良い関係ができてきます。

これだけ成熟した時代に、なんと不合理で非効率な・・・と私も最初は思いましたが、結局、これから農業をはじめようという「覚悟」を問われているんだなと思います。

最後に

そんなこんなでまだまだ狭き門ではありますが、逆にこれだけ参入障壁があるビジネスも珍しいのでは?と思います。ぜひこの壁を乗り越えて、農業ビジネスの世界へ足を踏み入れてください!

次回は、農業生産法人の設立や気になる農業ビジネスのお金事情についてご紹介しますね。 お楽しみに。

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