Vol.5 後悔しない物件選び。確認ポイントと契約

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
「えーっ!!  せっかくええ場所やのに、なんでこんな高いの?」「うわ、ほんまか?この建物、ガスないねんて」「解約の時もこんなにお金がいるん?そんなん聞いてへん かったー」などなど。賃貸物件に関しては、いろいろと問題はつきもんです。でも、契約してしまったら後の祭りっちゅーもんですわ、ほんまに。気いつけなあ きませんよ。契約っちゅーもんは。

交渉と契約は、納得いくまできっちりと

 ものすごく大阪的な考え方かもしれませんが、保証金や家賃はまず交渉しましょう。みなさんは起業家です。初めてであろうがなかろうが、起業家には違いないので、会社やお店を代表して、事業で利益を上げることは必ず必要です。

 一般論ですが、利益を上げるためにはできるだけ安く仕入れて経費を押さえ、できるだけ高く付加価値をつけたりして、商品やサービスを高く提供すれば儲かります。慈善事業でもない限り、仕入れたり、売ったり、借りたりする商取引には、交渉や契約はつきものです。
 
 物件に関わる交渉というのは、お店というカタチで起業する人にとっては、おそらく起業家としての初めての交渉ごとになるでしょう。大げさに言えば、これを乗り切らずして先はありません。まずは、目一杯交渉してみましょう。

 逆の立場に立てばわかることですが、ホントに無理な要求ならば、当然交渉ごとは決裂します。

 お店が開店してしまった後では、建物と内装にはかなりのお金をかけないと変更できません。ですから、慎重さも必要ですが、その交渉ごとの駆け引きというか、微妙なバランスを楽しみましょう。これぞ、起業家ならではのダイナミズムというものです。

 物件によっては、保証金は下げても家賃は下がらないとか、最初の保証金はものすごく高くても、長く入店していれば段階的に償却され、10年後には 80%返還という条件になっていたり、2年ごとに更新料がかかったり、リーシングなどという仕組みは時には複雑な条件になり分かりづらかったり、地方の慣 習や立地の特性などによってさまざまな契約条件がありますので、総合的によく考えて納得のいくまで交渉してみましょう。

 

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デザイナー(設計者)の立場から見た物件選びのポイント

 さて、私自身はひっそりとワンルーム暮らしをしていますが、仕事として目にする物件は、年間で100件は下らないと思います。そんな中で、物件 を見る時に注意すべき点をいくつか上げてみましょう。ただし、お店の基本デザインにより、物件の選択を決定づける要因はさまざまですので、今回は皆さんが多く 気になる施工費用にポイントに絞ります。

 ただ、飲食店であれば、後から設備のスペックオーバーで思わぬ費用がかかったり工事に不可能なことが出てきたりもしますので、仕事をお願いしようとしている設計者や施工者に同行してもらうことをおすすめします。よく相談しながら物件を検討しましょう。

 1.建築物の構造
  一般的に建築物は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3種類に大別されますが、私の場合、コスト優先で物件を考える時には居宅(住居)ではなく店舗ですので、築年数や構造よりも、これから創ろうというお店にいかに流用できるかということを考えます。
   ちなみに写真のお店はカフェですが、鉄筋コンクリートの壁面をそのままデザインに取り入れ、コストダウンを図っています。木造ならば古い柱や梁、天井を 利用するとか、鉄骨ならばALC(軽量気泡コンクリート板)をそのまま利用するとか、なにも床はエンビタイル、壁と天井はビニルクロスと固執する必要はな いと思いますので、最終的なデザインの方向性との兼ね合いも考えて、物件を決めることができればベストです。

 2.設備条件
  契約にも関わる部分ですが、ガス、水道、電気、通信設備の現状で、施工費用は大きく変わります。当然、室内にすべて引き込まれていれば、配管や配線経路が短くて済みます。
  例えば、焼肉店や中華料理店などの場合、ガスメーターを交換するのにとどまらず、道路を掘り起こし、本管まで差し換えた例もありますので、注意が必要です。
  水道もしかり。都心部では一般的に、トイレの汚水と雑排水(雨水も含める)は分流式といって別経路で排水しなくてはいけません。室内に設備がなければ外部から引き込んだり、場合によっては床を掘って会所を作ったりと大変です。
  電気は個別の分電盤の有る無しでも影響しますが、使用量(契約)に対しての引き込み線(あるいは幹線)の太さが規定されていますので、ビル内の電線を差し換えたり電柱から引き込んだりと、これまた大変です。特に設備に関しては、よく専門家に相談し検討しましょう。

 3.居抜きかスケルトン(建築構造体のみ)か?
  もし、思い描いているお店に近いレイアウトや造作なら、居抜きの方が断然安いに決まっています。各種設備や造作をさわらずに、内装のリフォームのみで済む場合も多々あります。素材にもよりますが、家具なども貼りかえるたり塗り足したりといろいろ考えられます。
  ただし、イメージがまったく違う場合は解体工事や廃棄物処理経費等で、かえって高くついてしまう場合がありますので注意が必要です。
  このように出店のコスト面から考えただけでも、チェックポイントはたくさんありますが、前述したように専門家からのアドバイスを参考にし、立地条件と物件の条件のバランスを考え、よく検討した上で契約したいものです。

 

いざ契約、大丈夫ですか?

 考えに考え、やっと理想の一件が見つかりました。さあ手付金、と。そこであわてて契約してはいけません。物件の最後のチェックポイントです。

  現状復帰の要件を必ず確認しましょう。実は私のお客様で2件程、これで後味の悪い思いをした実例があります。現在ではスケルトン(建築構造体のみ)渡しの スケルトン返しという物件がかなり増えてはいますが、いろいろな条件がかみ合って、内装仕上げの手前の段階で、プラスターボード(内装工事の建材で、一般 的に壁面下地などに用いられる石膏ボード)貼りまでの仕上げを要求されたり、事務所仕様にして返すとか、いわゆるC工事部分(大規模な地下街やビル等でテ ナント側が独自で工事する範囲)までは完全撤去など。やはり現状復帰の方法は建物によってさまざまです。

 また、借りる時は現状渡し、返す 時は家主さんの気分などという物件もあり、最初から双方の話し合いという物件もありますが、こういう場合は契約時にガイドラインを決めておけばトラブルも 防げます。家主さんも商売ならば、テナントとして入店する皆さんも商売です。お互いが納得するまで話し合い、合意しての初めて契約が成り立つのですから曖 昧にしてはいけません。仲介業者さんの立ち会いのもとキチンと書面にして残し、家主さんとも良好な関係で「流行るお店」を気持ちよくやっていきましょう。

 
 さて、みなさん。ここで疑問に思った方がいらっしゃるでしょう。「いったい契約っていつすればいいの?」という方のために、次回は「予定は未定!?開店までのスケジュール」をお届けします。

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