ビジネスプラン作成術 Vol.06 未経験のビジネスでの起業を考えているあなたへ。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
投資家や金融機関が会社を信用するひとつの見方は「あなたの経歴との整合性」。「私だからできる」と言えれば最高。言えないときはチームの組成を考えましょう。そして「私たちだからできる」と言う。でもチームを作るときは慎重に。

「私だからこのビジネスができる」とはっきりと言えますか?

 そもそも、創業する前や創業直後は対外的な信用はほとんどありません。特に投資家や金融機関。ある意味「当たり前」のことです。この先どうなるかは分かりません。

 では投資家や金融機関は何を信用するのでしょうか。それは、「あなた」だけです。ですから、創業時に融資をしてくれる日本政策金融公庫は審査としてあなたの個人情報に関する資料を求めるのです。

 とはいえ、そもそも個人の信用情報とビジネスの成功確立は無論、別物です。したがって次の段階で投資家が見るのは「あなたのこれまでの経験」です。起業後のビジネスとこれまでの経歴との整合性。これをかなり重視します。

 実際には、これまでの経歴が素晴らしいからといって、その経歴を活かしたビジネスで起業したから成功するとは限りません。私の知り合いの社長はIT企業ですが、ほとんどITの経歴は持っていません。全く違った経歴のほうが、業界のしがらみに囚われず新しい発想ができるので、ビジネスがうまくいくことも多々あります。

 しかし、投資家や金融機関は過去の経歴にこだわります。理由はシンプルで、「不確実性100%よりも90%を選ぶ」ということ。ビジネスモデルがすばらしくて社長の経営能力が高くてもいまひとつ反応が悪いというとき、相手の頭の中にはこんな?があるのです。

「なぜ経験のないあなたにこのビジネスができるのですか?」

そんなときはこう言って切り返すことができたら強い。

「私にはこのビジネスの経験はありませんがメンバーの○○は非常に優れた経験を持っているんです。」

これが「お金を呼び込むかどうか」の分かれ道です。

周りの人は「あなたが倒れたら」を考える。

 多くのベンチャー企業はそもそも良くも悪くも社長に「おんぶにだっこ」。社長が営業、資金調達、人材確保、その他ほとんどのことをやっているケースがほとんど。でも投資家や金融機関は必ずしもそれをポジティブには見ません。社長一人で経営している会社よりもチームで経営している会社を評価します。

 何故か?これも答えはシンプルで、「社長が倒れた時点でその会社は終わってしまう」というリスクを考えてしまうからです。チームでやっていることが安心感であり、ひとつの保険。 必ずしも社長がすべてをやる必要はありません。ある社長がこんなことを言っていました。

「社長はスーパーマンである必要はない。自分の足りないところは誰かにやってもらえばいいんだ。」

 これまでコンサルティングをしてきた経験上、社長が一人でほとんどをやってしまう会社は成長していかないことが多いです。最初はいいけれど、会社が大きくなって人数が増えてくると成長が止まっていく。社長のキャパシティがオーバーする一方で、社長の代わりに経営を考える人間がいない。

 ある会社は、CFOを入れて管理面を統括させてから成長が加速しました。CFOが資金調達や経理、人事等を一手に引き受けたために、社長は負担が減って営業に注力することができたためです。金融機関やベンチャーキャピタルの相手もCFOが窓口となり、逆に信用(安心感)が上がりました。今や一部上場企業です。

 チームを作ることは、対外的な信用が上がるだけではなく、会社の成長を加速させるメリットもあるのです。

 

「集めればいい」というものでもない、経営の難しさ

 このようなことを申し上げると、「チームを作らなきゃ」と思って人をかき集める人がいます。あるいは、どこかのビジネススクールの出している本(欧米ではチームの重要性を唱える本が多い)を鵜呑みにして、「チームは大切だから」と言って「共同経営者」にしてしまう人がいます。しかも株式の割合を 50:50にする。これが落とし穴です。

 共同経営者でうまく行っているケースは非常に少ないように思います。ほとんどのケースで仲間割れしてどちらかが会社を去ったり、意見が対立して派閥ができたりします。ここでは深く説明はしませんが、会社は議決権を過半数超持っている人がいろんなことを決められるので、50:50だと何も決められなくなります。社員からすれば、どちらの意見を聞けばいいのか分からなくなり、混乱を招きます。銀行はどちらかを連帯保証人にすることがほとんどです。そもそも人を動かしビジネスを動かすにはリーダーシップが必要。共同経営は実に難しいのです。

 もうひとつ。「三人寄れば派閥ができる」という、ある政治家が言った有名な言葉があります。会社でも、三人のメンバーの場合二人がくっついて一人が「あぶれる」。あぶれた一人のモチベーションが下がって会社を去ったり反乱分子になったりするのは、よくある話です。

 「ではチームは何人が最適なんだ。」と思われるでしょう。実際のところ、二人でも三人でもいいのです。ポイントは、「力関係を明確にする」ということ。それは株の持分もそうだし最終意思決定もそう。個別分野(営業、管理、オペレーション等)では個々に責任の所在は持たせるけれども、全体の最終決定は代表取締役社長が決める。その体制は崩さないでください。

 

人は「みずもの」。今すぐ準備しましょう。

 

 創業前後である意味一番苦労するのが「人」です。そもそも先の見えないリスクだらけの会社に入ってくれる人なんてそんなに多くはありません。多くの人が「うまく動き出したら参画しよう」と思います。いろんな会社を見ていますが、強く大きくなっている会社ほど、辛く苦しい時代にチームメンバーがいます。一番の例がホンダの本田氏と藤沢氏の関係でしょうね。

 いいチームを作るためには、自分から動くしかありません。時間がかかることが多いので、起業を考えたらすぐに準備をしましょう。チームメンバーを想定し、自分の考えを話し、誘う。知り合いから紹介を受ける。 今までのありとあらゆる資源を使って動いてください。

 

 いいチームができたとき、対外的な信用は変わってきます。そしてなにより、自分の支えになりビジネスの成長が加速する可能性が高まります。「あせらず地道にアンテナを張って」いきましょう。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める