Vol.2 温泉は医者いらず。それは湯温に秘密あり。

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

 神奈川県南足柄市に、「あしがらの森の温泉おんりーゆー」という日帰り温泉施設があります。ここは筆者が全体のプロデュースをした施設ですが、ホームページのトップ画面に出てくる「38度」という文字が示すとおり、湯温38度にこだわりを持っています。元々関西人(特に京都人)は熱いお風呂が大好きです。私も例に洩れず熱いお風呂が大好きでした。しかし、いかに高温の湯が体に危険かを専門家のお医者さんに教えてもらってから、一転38度~40度の風呂しか入らなくなりました。

 

温泉の適温はヌルめが良し

温泉イメージ 昔から湯温は42度と親に教えられました。しかし42度の湯温は最初は気持ちいいのですが、3分も入っていると熱くてすぐに湯船から出てしまいます。実はこれが問題で、ハンバーグの生焼けと同じ事が起こっています。外は焼けているが中は生肉の状態。皮膚の表面温度は上がっていますが、内臓は冷えたままなのです。本来風呂は内臓を温めるものです。言い換えれば内臓を温めることによって自然治癒能力は格段にアップし、病気などを治癒する効果が期待できます。
 いくら良質な温泉でも5分やそこら入っても何の効果も得ません。入浴は心身のリフレッシュであると同時に、医療行為でもあるのです。温泉は「湯が治すのではなく、湯で治す」と言われるように「湯治」という考え方から始まっています。
 湯で体(内臓)を温め、食によって栄養バランスを整える。江戸時代の銭湯文化もまさにそれを受け継いでいますね。、1階は浴場、2階は食事場所と休憩場所であったことからも理解できます。従って、温泉施設に湯と食を併設させることは論理的にも歴史的にも正しのです。
 38度の湯温は慣れないと少々寒い感じがしますが、30分以上入浴が可能な温度です。ゆっくりと時間をかけて体全体を温める。その際忘れてはならないのが水分補給です。風呂に浸かっているとわかりづらいのですが、相当な量の汗をかいています。体から水分が奪われると血液がドロドロになり危険な状況になるため、しっかりとその分の水分を補給しなければなりません。
 また30分の入浴は暇を持て余す為に読書や音楽といった仕掛けがあるといいのではないでしょうか。先述の温泉施設では露天風呂の脇に水分補給の水ガメが置いてあるのもそのためです。

 

海外の温泉は温水プール並み?

温泉イメージ2 ヨーロッパの温泉施設は非常に温度にこだわっていて、湯温は36度前後です。温水プールに毛が生えた程度の湯温でしかありません。そのため相当長い時間の入浴が可能となり、その温泉成分を充分に体に浸み込ますことができます。
 日本人には少し物足りないと感じる温度ですが、ヨーロッパでは温泉は医療行為であることが前提になっているので、湯温に徹底的なこだわるのです。また浴槽は長い時間を過ごせるように、湯船の中で読書ができる椅子が設置してあったり、チェス台があって、入浴者同士がお風呂で対戦できるようになっています。
 我が国においては、残念なことに高温をウリにしたり、実質的に高温の温泉がほとんどです。そのため長く浸かれないので出たり入ったりを繰り返すように勧めているのです。先述の南足柄温泉では確かに当初、お客様から風呂がぬるいとクレームを受けました。しかし、その理由を明確にし、根気よく説明を行った結果、今では38度がウリになっています。
 温泉ビジネスの基本設計は、湯治の研究を始めるのが良いのですが、経験的な理由や、温度・泉質による違いなど、すべてを理解するのはとても難しい。また本来、湯治は温泉である必要はありません。水ではなく体を温める湯であればよいことを知っておいてほしいと思います。

温泉ビジネスの肝は、癒しへのアプローチ

 温泉ビジネスの肝は、温度、泉質のほかに、様々な角度からの癒しへのアプローチ(照明、音、香、運動、食など)があります。すべて心と体の癒しへのアイテムと考えれば自ずと答えは出るのではないでしょうか。
 温泉ビジネスの収益源は、入湯料、マッサージなどのリフレクソロジー、土産物、食事に大別できますが、しっかりとした施設のコンセプトをすべてのアイテムにかぶせていかなければいけません。そうすることによって、こだわりと一貫性がはっきりとし、お客様に訴求できる空気感が生まれます。ターゲットとなる顧客層のセグメンテーション化を徹底的に行い、絶対的ファンを創造してリピーター客を囲い込むのが最も楽で効率的な経営ができることとは、誰でも容易に理解できるのではないでしょうか。
 いずれにせよ客志向などと言い、本来の意味を忘れ、見掛け上のウケ狙いは、最終的にお客様に害を及ぼす結果になる事を知らなくてはいけません。これからの温泉ビジネスは、その意味と目的をしっかりとコンセプトに反映させて貫いていくことこそ大切なのです。

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