起業アイデア 第9回 学習テーマ【開業告知・宣伝の方法】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ニュースになるように事業を計画する

解説

【まずは協力者たちがクチコミ作戦を展開】

同僚との会話からヒントを得て、「懐かしい料理」を 売り物にする創作料理店を開いた古代夏子さん。彼女はブログを駆使してそうした料理に関する情報を集めながら、ファンづくりにも注力。さらにお店がオープ ンすると、ブログ読者以外にも多くのお客さんが詰めかけた。広告はまったく行っていない。一体彼女はどうやって集客をしたのだろうか?

ひ とつはクチコミの威力。もちろんこれは、開業半年前からブログで「懐かしの味の店・開業準備日記」を公開してきた成果である。彼女が連日書き込む進捗状況 や悩みなどに、多くの人たちが共感やアドバイスなどのコメントを記入し、それにまた彼女が答えるという形式をとって、いわばひとつのコミュニティが形成さ れていたのだ。

「懐かしい味」というモチーフへの関心、「開業準備」という舞台裏への興味、さらにそれが日を追って進展していく日記ならで はの面白さ、そして、読者自身も店づくりの一端に参加できる手応え……。これらの要素が複合し、古代さんの店は開業前から「協力者軍団」をつくることに成 功していた。この協力者たちが「自分のこと」のように、彼女の店を宣伝しまわったのである。

【さ らに新聞や雑誌の記事にも登場】

もうひとつ別の顧客グループがある。新聞や雑誌の記事を見て来店した人々だ。古代さんはブログの公開とほ ぼ同時期に、つまり店のコンセプトを「懐かしの味の店」と決めた直後に、どうやったらマスコミが記事にしてくれるかを研究し始めていた。

「広 告費用がもったいないので、雑誌社に勤める友人に、安い広告はないかと相談したら、安いどころかゼロ円で宣伝できる方法があると教えてくれたんです」と古 代さん。それが新聞や雑誌の記事で店を紹介してもらうという方法だった。いわゆるパブリシティである。

パブリシティは広告掲載料や広告制作 料などのコストがかからないだけでなく、情報の信頼性や好感度という点でも広告以上の効果を見込むことができる有効な広報手段である。知名度や資金力に欠 ける創業期の企業や店舗が、この方法を使わない手はない。

もっとも、広告はメディアの一部分を購入することで、自分が伝えたいことを、その とおりに伝えることができる宣伝手段なのに対して、パブリシティはメディア側に主導権があり、記事に記者や編集者の恣意が入ることも少なくない。つまり、必 ずしも思いどおりの情報が掲載されるとは限らない方法なのだ。その点は了解しておく必要がある。

【パ ブリシティを成功させる 3つのポイント】

とはいえ、新聞社や雑誌社にいきなり電話をして、「取材に来てほしい」と言ったところで、「は い、わかりました」というわけにはいかない。記事に取り上げてもらうためには、マスコミ側が「記事にさせてほしい」と思うように、ことを運ぶ必要がある。

そ うなるためのポイントは 3つ。大前提とも言うべき 1つめのポイントは、その事業や店舗、あるいは製品などにニュース性や話題性があること。新聞社や雑誌社は読者に驚いてもらえたり、喜んでもらえたり、感 動してもらえたり、役立つと思ってもらえたりする記事を配信するのが使命。だから、ありきたりのビジネスでは記事にならないのだ。

古代さん は「料理の味には自信があるが、それだけではオープン当初の集客をスムーズには行えない」と思い、どうしても話題性が必要だと考えていた。こうした発想が そのままパブリシティにも生かされたわけである。「他とは違う、あるいは、他にはない素敵さ」。こうした特徴を事業に付加できれば、記事にもなりやすい し、顧客の来店動機も形成しやすい。反対にそうした特徴がなければ、集客のハードルは高くなる一方である。

2つめのポイントは、各メディア の特性を把握すること。特に雑誌にはジャンルがあり、記事はそのジャンルに則した特集を中心につくられている。だから、自分の事業が取り上げられそうな雑 誌は何か、その雑誌はどういう特集をよく組むのか、また、その特集が決まるタイミングは雑誌発売のどれくらい前なのか、などを丹念に調べたうえで「ここ ぞ」という相手に「記事にしてほしい」と打診すべきなのだ。

3つめのポイントは、その打診の方法。ニュースリリースという文書を送るのが通 常だ。記事の骨格は「どこの 誰の 何が どう いいのか」というようにできている。したがって、それらの情報をコンパクトにまとめた文書があれば、記者 や編集者は大いに助かるわけだ。書き方を解説するWEB サイトや書籍があるので参考にしてほしい。

【相互活用で情報発信効果を高める】

このニュースリリースに、「懐かしの味の再現」という情報だ けでなく、それらを実現するために、「ブログを使って多くの人たちの協力を得た」という話題も付加した古代さん。「古いものが、新しい方法で再現され た」。この取り合わせの妙味が、雑誌だけでなく新聞も記事として取り上げる要因になった。

古代さんは、ブログとパブリシティというコストを かけない情報受発信手段を駆使して、店づくりから開業告知・集客までをやり遂げた。ここで注目すべきは、単に 2つの方法を使ったにとどまらず、それらを相互活用した点である。当然のことながら、店が記事として紹介されることは、ブログでもぬかりなく話題にしてい る。

 

今週のキーワード<好反応>

オープン時の集客の成功は第一歩にすぎない。その人々を再来店につなげ、さらには固定客に育てることこそが店舗経営の神髄である。そ
のためにも、新たなメニューや新たな顧客コミュニケーションの開発などを行って、たえずニュースを発信し続けていく必要がある。ニュースと
は、何より顧客の好反応を生み出す情報のことでなければならない。

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