有限会社でいる事のメリット、デメリット

この記事は2020/01/27に専門家 中野 裕哲 伊関 淳 藤井 和彦 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

Q.有限会社でいる事のメリット、デメリット

改正会社法施行により、有限会社から株式会社へ組織変更するのが簡単になったようですがあえて有限会社でいることのメリットを教えてください。またデメリットを教えてください。

A.回答

有限会社でいる事のメリット、デメリット

◆平成18年5月1日に改正会社法が施行されたことに伴う一番の変化は有限会社が新しく設立できなくなった事です。そして、法律上有限会社は株式会社とほとんど同じ扱いになっています。

今までは有限会社を組織変更して、株式会社にするには会社に純資産として金1000万円以上必要だったり、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要というハードルがあったのですが、それも無くなり、株式会社に移行する手続きが簡単になりました。

有限会社は株式会社にしてしまった方が良いのか?

結論から言うと、現状のままで会社運営をしていこうと思うのなら「有限会社」のままでいる事をおすすめします。
なんてたってもう有限会社は1社も新規設立が出来ません。
希少価値が出てくるのではないか、いぶし銀の魅力が出てくるのではないかと、思っています。

専門家からのヒトコト
逆に、役員を増やしたい場合は、株式会社の方が自由に機関設計ができます。また、会社を合併して大きくしたい場合は株式会社でしか合併できませんので、株式会社にする必要があります。
ドリームゲートアドバイザー 藤井 和彦

有限会社でいる事のメリット

1.法律上は「特例有限会社」という扱いになり、有限会社法も無くなりましたが商号として「有限会社」の文字を使用した商号の続用が認められています。
商号の変更をした場合、登記、諸届けなどの手続き、印鑑、名刺、看板ホームページの変更、挨拶状の発送などかなりのコスト、労力がかかります。有限会社として存続すればその負担はありません。

2.役員に任期がありません。
株式会社では役員には必ず任期があり(会社法332条1項、336条1項)任期が来れば役員構成が変わらなくとも、重任登記が必要です。
非公開の株式会社では、役員の任期を10年まで伸ばせますが、有限会社では任期自体がありません。役員が変わらない限り、重任登記の必要はありません。
登記手続きの煩雑さを避けられ、しかも重任登記にかかるコストがかかりません。

専門家からのヒトコト

特に許認可事業を行っている会社には、許可更新時に重任登記がなされていないと重任登記後でないと更新手続きができない場合があるので、意外に忘れがちな重任登記がいらないという点は目に見えないメリットといえるでしょう。

ドリームゲートアドバイザー 伊関 淳

3.決算公告が不要です。
通常の株式会社では、定時株主総会の終結後遅滞なく決算公告が必要です。
(会社法440条1項2項)
有限会社では決算公告の必要はありません。(会社法440条)

4.一見して社歴が長い印象
平成18年5月1日から有限会社は設立できなくなっています。という事は「有限会社」であることで、それだけでそれ以前から存続している事になります。一見して社歴が長い印象をもたれる可能性があります
「いぶし銀」の魅力が出てくるのではないかと思っています。

有限会社でいる事のデメリット

1.株主間の株式の譲渡制限
非公開の株式会社では株の譲渡をする場合には、取締役会の承認か株主総会の承認が必要です。
有限会社では株主間の株の譲渡は自由です。株主以外の者に株を譲渡する場合のみ、承認が必要です。
株主間の譲渡が自由であるということは、会社の関与が無く、株の持分比率、株主の支配関係が変わりうることを意味します。
こういうことに危険性を感じる方は、非公開株式会社に移行する必要があります。

2.組織再編行為の限定
有限会社を存続会社とする吸収合併や、有限会社を承継会社とする吸収分割は出来ません。(整備法37条)
また、有限会社は株式交換、株式移転が出来ません。(整備法38条)
つまり、有限会社は吸収合併などをされる側にしかなれません。する側にまわる場合は、先立って株式会社になる必要があります。

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この記事の監修者
中野 裕哲(なかの ひろあき)
税理士/行政書士/社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
起業コンサルV-Spirits 代表
ドリームゲート起業面談相談8年連続日本一。多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。
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伊関 淳(いせき あつし)
社会保険労務士/行政書士/DCプランナー
伊関行政書士・社会保険労務士事務所 代表
1000人以上の起業支援実績があり、具体的な会社設立手続き・助成金診断などを創業時からお手伝いしている。
著書「起業して3年以上続く人とダメな人の習慣」「サラリーマン3.0」
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藤井 和彦(ふじい かずひこ)
司法書士/社会保険労務士/行政書士
新宿西口総合事務所 代表
会社登記をメイン業務とし、「会社法に強い」司法書士事務所としてスタートアップから東証一部上場企業まで約800社の業務を手がけ、400社以上の起業を支援。
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