その「節税」ホントに有効?社長の収入を増やす3つの対策

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 永田 智睦

中小企業の場合、銀行や税理士からの意見で個人の収入よりも会社の利益を重視している方も多いかと思います。そして次に重視しているのは税金をどれだけ払わないかと考えている方も多いでしょう。

確かに会社としても個人としても節税はキャッシュを残す意味で大切な要素です。

しかし、大企業と違って中小企業は何かあった時に重要になってくるのは社長個人の資産背景になります。担保、審査、キャッシュフロー…中小企業とはいえ、事業をおこなっている以上、誰も会社を必要以上には助けてくれません。

特に中小企業の財務諸表には役員借入金として代表者からの資金提供が多く見られます。役員報酬は経理上の数字だけで、実際はそこまで自分に取れずに会社にお金を残しているという社長も大勢いらっしゃるでしょう。

当然、資金繰りに詰まって一番大変なのは代表者ですから、会社を代表者が救っているということですね。万が一の時にそれができるようにしっかりと社長個人としての準備をしておくことが必要です。

今回はそのための手法をいくつかここでお話しようと思います。

①規定を整備する

初めに規定を整備するというやり方をお話します。規定を整備するというと事務的な内容に聞こえるかもしれませんが、会社のルールを整備することで社長の収入を増やせることがいくつかあります。

まず旅費規定というものをご存知でしょうか。最近は中小企業でも非常に多くの会社が取り入れるようになってきています。

一般的に旅費規定を作成すると、交通費、宿泊費、日当という3項目を整備していくことになります。会社の状況等によって適正額が変わるので注意が必要ですが、一番大切なのは社長や役員だけではなく従業員もちゃんと使える規程として整備することです。

きちんと旅費規程を整えると、日当などの支給額を支払う側の会社は全額損金ですが、受け取り側の社長は非課税で受け取れるようになります。 旅費規程を整えないでいることは大きな機会損失を生み続けています。

つまり節税をしながら社長の収入を増やすことができる数少ない手法の一つになります。

とはいえ、一般的には交通費や宿泊費(ここをもっと上手くできるというような方もいらっしゃいますが)は基本的に実費で処理し、日当として受け取るくらいにしておいた方が無難でしょう。節税というのはある意味、税務署との話し合いになる可能性が高いです。その時にあからさまな節税は相手方につつかれる要素を提供することになります。

また、事前確定届出給与(賞与扱い)を行うことで、社会保険料の負担を減らすという方法もあります。

これは健康保険料の計算上の上限573万円、厚生年金保険料の計算上の上限150万円というのを活用し、毎月の給与を低くして、賞与を上限以上にして社会保険料の負担を減らすということですね。

こちらは事前に日付と金額を厳守するというルールで税務署への届出を行うことで行うことができます。

とはいえ、あまりにも低い毎月の給与に設定したりするとあからさまなので、しっかり会社の状況を確認した上で設定しましょう。

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②法人から個人に資産を移転する

次に、今まで本当に多くのやり方が出ては消えてきたのが法人から個人へ資産を移転するというやり方です。

特に最近は保険について非常に厳しい通達が出ており、昔のように法人から個人に資産移転したところでメリットがあるようなことは少なくなりました。

また、減価償却を使った節税手法は今でも多くありますが、これは実際に減価償却できても収益を生むかと言ったら別問題のことが多く、さらに社長個人に何か収入等を残せるものではありません。

とはいえ、法人で使っていない資産を一旦個人に適正価格で売却することで、汎用性が高まることもあります。例えば、減価償却が終わった資産を個人が買い取り、個人で利用もしくは売却をすることで社長個人への収入にできるということです。

保険についても解約返戻率を活用した名義変更プラン等は原則もう以前のような活用はできませんが、通常の掛け捨て保険を名義変更することで将来の個人の保険に移行させることは可能です。

③個人と法人をきっちり分ける

そして何よりも中小企業で個人の社長の収入を増やすためにやっておきたいことは、個人と法人をきっちり分けることです。

これは逆じゃないかと思われる方も多いのではないでしょうか。分けないことで法人の経費を個人でしっかり使い、個人のお金を残すことができるんじゃないかと。

ここが実は多くの社長が一番勘違いをしているところです。

前述したように会社を大事にしすぎてもダメ、個人ばっかりもダメ、要するにきちんと両方とも管理できていないとダメということになります。

そのためには両者をきっちり分け、使えるところで会社のお金を使い、使わないところで使わない選択をしていくことが重要です。

両者をきっちり分ける会社のお金を管理する個人のお金を管理する使える方法を駆使して個人のお金を残す、というプロセスが必要です。

多くの社長はこのようなプロセスを踏まずに、税金を払いたくないからと個人にも残らないようなやり方で会社のお金を経費として使い、結果的に会社にも個人にもお金が残らないような形になってしまうのです。

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会社と社長、両方を成り立たせるのが重要

今回の内容はいかがでしたでしょうか。

知っている方もいらっしゃるでしょうし、内容的に耳が痛い方もいらっしゃると思いますが、そのような方は再度確認ができる機会にしていただけけたらと思います。

昔から行われている節税対策で社長の収入を増やすようなやり方は現在はほとんど通用しません。しかしながら、前述したように様々な方法としての社長の収入を増やすやり方は存在しています。

ただ、このような手法もあまりにも過激な流行りもののような形でやってしまうと後々大きな損失になることもあるので、税理士の先生や社労士の先生に確認を行いつつ、適度な形でおこなっていくと良いと思います。

まずはしっかりした会社運営を行い、その中で一番重要な存在である社長の収入を増やしていきましょう。

私が相談を受ける中で多く散見されるのは個人か会社のどちらかとして相談を受けるケースです。これは多分ですが多くの税理士の先生等は会社の相談を受け、金融機関等は個人の相談を受けているからでしょう。

つまり会社と個人を両方とも相談できるところがあまりないのではないかと感じています。

なので、社長をされている方が相談に来られたときは、どちらの入り口であっても会社と個人の両面のアドバイスをさせて頂いています。

サラリーマンの方と違い、社長と会社は一蓮托生です。どちらかではなく両方をしっかり成り立たせるような計画を立てていくことが重要だと思います。

もしこちらをお読み頂いて自分もそうだなと感じる方いらっしゃればぜひドリームゲート内よりお問合せください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 永田 智睦

会社のお金だけでなく事業主の個人のお金のサポートを手厚く行う永田アドバイザー。豊富な経験をもとに、中立的な立ち位置から的確なアドバイスをいただけるでしょう。

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