お店をたたむ時にハマる「解約告知期間」の罠と回避ワザ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 井出 龍治

「お店を辞めたいのに辞められない…」

これから、こんな人が増えてきます。

 

みなさん、こんにちは。ドリームゲート(以下、DG)アドバザーの井出龍治(いでりゅうじ)と申します。簡単に自己紹介をさせてください。

https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/orie2013

DG内では不動産&多店舗化支援部会の部会長を務めております。父が設計事務所を経営しており、物件探しから店舗工事までをワンストップで行えます。

私自身、不動産会社とは別に飲食店4店舗経営しています。

また、不動産を所有し賃貸業も営んでいます。ですので、借りる側・貸す側の立場に立って実務的なアドバイスができるのが強みです。

では早速本題に入りたいと思います。

※より実務に沿った内容をみなさまに分かりやすくお伝えするため、法律とは異なった見解やアドバイス、詳細の省略、業界では使わない言い回し等があるかもしれませんがご理解いただきたく思います。

解約告知期間とは

飲食店への協力金がなくなり、客足は期待していたほど戻らず…これから半年間ほど閉店ラッシュが続くと思います。

そこで問題となるのが解約告知期間。

ギリギリまで頑張って「来月でお店を辞めよう」と思っても、なかなかそうはいきません。

解約告知期間とは、「退去する○ヶ月前に貸主に通知してください」という期間です。

契約書に解約告知期間が3ヶ月と記載されていれば、少なくとも3ヶ月間は借り続けなければいけません。

事業用(特に店舗)では、3ヶ月・6ヶ月が一般的です。

最近増えた転貸(サブリース)物件ですと、7ヶ月や8ヶ月なんて物件もあります。

ですので、経営者が11月に閉店を決意しても、実際に出ていけるのは来年の夏ごろ…なんてことも起こりえます。

退去前の課題

退去を決意してから、実際に行動に移せるようになるまでの時間が長いと、様々な問題が出てきます。

従業員に伝えるべきかどうか。また、どこまで伝えるか。

少しでも早めに伝えてあげることが従業員にとってプラスであることは間違いありません。しかし、店舗運営を考えるときれいごとでは済まない部分もあると思います。

伝えた場合、実際に退去できるタイミングまで全ての従業員が残ってくれるとは限りません。そうなれば、店舗運営ができなくなる恐れがあります。

伝えなかった場合でも、「店舗が無くなることを(社長ではなく)他の人から聞いて知った」というトラブルが発生するかもしれません。

通常営業で赤字が続く場合、賃料のみを支払って営業を終了させるかどうか。

解約告知期間というのは、「営業をし続けなければいけない」ということではありません。「賃貸借契約を解除できない」という期間です。ですので、一般的な契約書には「残り期間の家賃を支払うことで解除することができる」という条文が含まれています。

しかし、ここも悩みどころです。

長期的にみた場合、「業績が回復する」ということもあり得るからです。また、今回も度々ありましたが、緊急事態宣言が再発令され、再度協力金が支給されることもあるかもしれません。

そのような場合でも解約通知は有効となりますので、解約を撤回できるかどうかは貸主の判断に委ねられます。

数ヶ月分の賃料を支払える資力があるかどうか。

前述の「賃料のみ支払い営業をやめる」という選択肢を検討するには、「そもそも支払えるお金があるのか」という問題が出てきます。

多くの飲食店は仕入れや人件費の支払いが1ヵ月後ですので、営業を止めた瞬間に支出が収入を大きく上回るという状態になります。そこからさらに家賃を支払い続ける必要が出てくるのです。

借入金がある場合、返済をどのようにするか。

企業規模や借入額にもよりますが、金融機関は回収に動きます。

例えば、商品を作るための設備があって、それがないと売上が立たないとします。しかし、「設備を売った方が少額だが確実に回収できる」と判断された場合、そのような流れになるかもしれません(金融機関が勝手に売ることはしませんが)。

設備がなくては営業ができませんので、結果として収入ゼロで残りの期間の家賃を支払うだけという状態になります。

対策と注意点

しかし、この「解約告知期間」を実質的に減らせる可能性があります。

それは、「次の入居者を探すこと」です。

解約告知を出さずに次の入居者を自分で探すことによって、「入居者の入れ替え」が可能になります。当然、貸主の許可が必要ですが貸主や管理会社にもメリットがあるため、承認していただけるケースが多いです。

[貸主・管理会社のメリット]

  • 貸主は引き続き安定した家賃収入を得られる。
  • 内装等は現状渡しとなることが多く、原状回復トラブルが発生しにくい。
  • 契約の巻きなおしとなるので、保証金償却や礼金の収入を得られる。
  • 管理会社は募集の手間なく仲介手数料が得られる。

入居者を独自に探す際、真っ先に頼るのは同業のネットワークでしょう。

しかし、お互いに不動産知識がないため、トラブルが起きるケースも少なくないです。

特に重要なのは、「どのタイミングで管理会社や貸主に伝えるか」と「新入居予定者との間でどこまで話を詰めておけばいいのか」という2点です。

ここは、不動産業界の流れや法的な知識がないと難しいと思います。

次に考えられるのが、居抜き系のポータルサイトを利用する方法です。

「内装造作物を売却できる」という部分に魅力を感じて登録する方も多いのですが、最終的に多額の手数料を取られるケースが多いです。

多くの会社は、旧借主(造作譲渡物売主)と新借主(造作譲渡物買主)の双方から売買手数料を受け取ります。

例えば200万円の造作譲渡で双方20%の手数料とすると、ポータルサイトの手数料収入は80万円になります。

旧借主・新借主にとっても大きなマイナスです。

現在の取り組み

宣伝になってしまいますが、現在弊社は「撤退する方と新しく始める方をお繋ぎする事業」に注力して取り組んでいます。そのためのシステム開発も準備しています。(事業再構築補助金採択済み事業)

私も若い頃に一度会社を潰した経験があるので、店舗経営者が再起できる土台を作りたいと真剣に考えています。

なにかあればお気軽にご相談ください。

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その他 退去時によくあるトラブル

保証金の償却

保証金について、契約書には「償却20%」などと記載されています。これは単純に「保証金の額の20%が無くなります」ということです。ここをきちんと理解されていない方も多く、「なぜ全額還ってこないのか」や「原状回復費用に充てられるものだと思っていた」というトラブルが発生します。

また、「更新時10%償却。償却分補填。」というケースもあります。デメリットが大きいので、このような契約があれば事前に弊社にご相談ください。

原状回復の原状とは

ほとんどの店舗物件は、居抜きで借りたとしても「スケルトン状態」にして明け渡す義務があります。居抜き物件の場合、契約時に詳しく説明する不動産会社がほとんどなので、借主も「スケルトンにしなくてはいけない」ということを理解しています。

しかし問題は、「スケルトン(原状)」というのは具体的にどこまでの状態にするのか明確な合意が取れていない場合があります。

その結果、借主は「原状回復工事をした」と主張しても、貸主が「原状に戻っていない。この部分は元々は○○だった」などというトラブルが発生するのです。

事前に工事内容などを確認し、「この状態にする」という合意ではなく「この工事を行うことによって原状回復義務を果たしたとする」という合意を取りましょう。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 井出 龍治 オリエ不動産グループ代表 / 宅地建物取引士

2014年、オリエ不動産を設立。「借主のメリットに特化した不動産業」として埼玉県から創業促進支援事業として認定される。出店業務のアウトソーシングという新たな分野で、業務委託や顧問契約を中心に活動範囲を拡大。
多くの賛同者と共に、クリーンな不動産業界を目指し活動中。

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ドリームゲートアドバイザー 井出 龍治氏

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