この記事はに専門家 によって監修されました。

「店舗探しに失敗する」不動産会社社長が明かす4つのNGパターン

事業計画

執筆者: 井出 龍治

良い物件情報があったら教えてください。
これ、やってはいけません。

ただ、ほとんどの起業予定者はこれをやっています。
なぜか・・・それは相手(不動産業者)のことを考えていないからなんです。
本文で詳しくご説明しますね。

みなさん、こんにちは。ドリームゲート(以下、DG)アドバザーの井出龍治(いでりゅうじ)と申します。簡単に自己紹介をさせてください。

DG内では不動産&多店舗化支援部会の部会長を務めております。父が設計事務所を経営しており、物件探しから店舗工事までをワンストップで行えます。

私自身、不動産会社とは別に飲食店4店舗経営していますので、初めはみなさまと同じように不安な気持ちを抱えながら起業をいたしました。

では本題に入りたいと思います。
弊社は、起業支援・店舗開発に特化した不動産会社ですので、「飲食店用の物件を探して欲しい」や「倉庫用の土地を買いたい」など不動産に関する多くの相談が寄せられます。

ただ、物件探しの仕方や心構えによって、事業スタートまでの期間やその後の企業規模拡大スピードに大きな差が出ます。今日は、物件探しのポイントについてお伝えしたいと思います。

より実務に沿った内容をみなさまに分かりやすくお伝えするため、法律とは異なった見解やアドバイス、詳細の省略、業界では使わない言い回し等があるかもしれませんがご理解いただきたく思います。

「良い物件情報」はあなたのところに来ません

不動産業をやっていると、

○○駅で飲食店やりたいんです。良い物件情報あったら教えてください。

と言われること…ものすごく多いです。しかしこれ、あまり効果ありません。

「起業するかしないかも不明確で、一度も取引のないお客様に良い物件情報が提供されることはありません。」
厳しい話かもしれませんが、起業予定者様向けのセミナーでは必ず参加者様にこの説明をします。同様に、「安くて良い物件」の情報も起業予定者様には回ってきません。

なぜなら、「良い物件情報」は「確実に決まる企業」に優先して提供されるからです。
簡単に言えば、中堅企業や大手です。
審査も確実に通り、保証金の問題がなく、年間出店数が決まっていて、出店対象エリアが広い企業に物件情報を提供することが一番手っ取り早いからです。

また、家賃10~20万円という金額は初めて事業を行う方にとっては、大きな金額だと思います。しかし、不動産会社の売上高と考えると小さな金額です。
ですので、一般的な不動産会社では「手間もかかって、金額も小さく、いつ成約するか分からない人のために物件探しするのは面倒。」ということになってしまうのです。

では、どうすればよいのか。次に続きます。

「良い物件」ってどんな物件

まず、「良い物件」とはどんな物件なのか。私は、良い物件とは「利益が出る物件」とご説明しています。

出店立地のノウハウ本には、「角地」だとか「ランドマーク」だとか物件を選ぶポイントが書かれています。それも確かに間違いではありません。
しかし、一番重要なのは、「あなたの商売が活かせる物件」かどうかを見極めることです。

都内の駅徒歩1分で20坪路面店、間口が十分にあって人通りも多い物件があったとします。これは、誰がみても「良い物件」だと思います。
しかし、月額賃料が300万円だとしたらどうでしょう。保証金10ヶ月分だとしたら、物件取得費だけで4,000万円前後必要です。こうなると、ほとんどの方は候補から外れますよね。

ですので、大切なのは…
「良い物件情報」が欲しいということではなく、「あなたが必要としている物件情報」を詳細に相手に伝えることなのです。

伝えるポイントとしては以下の通りです。

  • 最低限の広さ(その理由も。)
  • 賃料の上限(その理由も。)
  • 対象エリア(路線や距離。その理由も。)
  • 階数(その理由も。)
  • すぐに動かせる現金(物件取得費としてすぐ動かせるかどうか。)
  • 借入の事前審査の有無
  • 保証会社の審査情報(過去に審査したことがある場合。)
  • 出店予定時期(いつまでに決定するのか。)
  • 出店しない可能性(その理由も。)
  • 決定権者(自分だけなのか複数なのか。)

これらをきちんと伝えて、期限を決めて物件情報を取得してみましょう。

紹介できる物件は誰かが失敗した物件

内見でよく聞かれるのが、「撤退する店舗はどんな業種で、なぜ撤退したのか。」という質問です。起業の方は、特に不安を払拭するために聞かれることが多いです。

しかし、この情報を基に出店するかどうかを決めてはいけません。

【理由1】

大家さん側の不動産営業マン(空き室に入居者を入れるのが仕事)にとっては、当然マイナス情報はできるだけ避けたいと思っています。ですので、入居検討者が納得してくれそうな理由付けをするケースも少なくありません。

【理由2】

「紹介できる物件は誰かが失敗した物件です。誰がやっても成功するような立地はそもそも空きません。」

 

これは、ものすごく当たり前のことなのですが、なかなかご理解いただけないこともあります。「誰かが失敗したのなら、私も失敗する可能性があるかも。」となってしまうのです。

「他の人は失敗したかもしれないが、自分のビジネスモデルならこの立地をこのように活かせる。」…という考え方が大切です。だからこそ、どんな時代でもどんな場所でも成功者が生まれるのだと思います。

言い方は悪いかもしれませんが…

どんなに周りに反対されても、「自分だけは大丈夫!」という根拠のない自信に満ちた人しか起業はできないのかもしれません(笑)

みんなで決めて、みんなで失敗

若い経営者さんでたまに見るパターンです。

「みんなで意思決定をする」というと、すごく良いことのように聞こえます。

友人や家族同士、スタッフと一緒に、外部から紹介された共同経営者となど、様々な起業パターンがあると思います。もちろん、これで上手くいくケースも多々あるのだと思います。

ただ、私はこれで一度失敗しました。そして、このパターンで失敗している方も数多く見てきました。これは物件探しだけでなく、店舗のコンセプトづくりでも共通します。
負っているリスクの大きさの違いによって、求める物件の要素が異なる」ことが原因のひとつだと思っています。

例を挙げて説明すると、

経営者:「集客できそうな立地が希望。」
従業員:「自宅から近い立地だと助かる。」

経営者:「客席が多く取れると良い。」
従業員:「休憩場所が広くてキレイだと良い。喫煙場所も確保して欲しい。」

このような意識の差が生まれます。

リスクを負っていない人がここまで率直に本心を言葉にしなくても、「う~ん、なにかイマイチですよね」などという意思表示をすることはあります。
はっきり言って、スタッフの喫煙場所は利益を生みません。仮に、それがあったとしても、スタッフのモチベーションが上がり売上も上がるなんてことは、まずないと思っています。

ですので、「誰が一番お金を出すのか」という一点で決定権者を定め、その人間が全責任を負うという覚悟で物件の選定をしていきましょう。

1店舗に全部の想いを詰め込まない

立地に合わせた業種業態での出店…ができればベストなのですが、大手でもないかぎりなかなかそうもいきませんよね。

A:時流に乗った儲かる業種業態で開業したい

B:思い入れや経験のある業種業態で開業し儲けたい

大手は常にAの発想で事業展開や既存店の業態変更を行っています。しかし、起業予定者はBの方がほとんどです。

「想い」がなければ独立は考えないと思いますので、悪いということではありません。ただ、スタート条件からして厳しい戦いに挑むということを認識してください。

そして、その中で利益を上げ続けるためには、利益を得る方法を店舗に組み込むことが大切です。起業の場合は特に想いが強すぎて、1店舗を完璧な店舗にしようとしてしまいます。一部は「自己満足では?」と思ってしまうような内容も。そして、実際にはそれを全て実現できる物件もほとんどありません。

オーナーにとって完璧な店舗であっても、売上が上がらなければ撤退することになります。逆に、「想い」を50%・「お客様の為」を50%で取り入れ、売上があがれば2店舗目の出店も可能になるかもしれません。オーナーとして1店舗目でできなかった想いを2店舗目で実現すればいいのです。

1店舗目は、自分の想いと売上確保のバランスを考えて決断していきましょう。

まとめ

以上のような、物件の探し方や心構えで進めていただくと、良い物件に巡り合えると思います。

みなさまの起業・商売発展を心より祈念申し上げます。

【おまけ】

前回コラムでご反響いただき、「この物件どうでしょう?」とご相談を受けます。ありがとうございます。しかし。弊社がアドバイス可能なのは、原則「内見をしていない物件」です。もしくは「物件探しの段階」です。気になる物件がありましたら、お早めにお声がけください。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 井出 龍治 オリエ不動産グループ代表 / 宅地建物取引士

2014年、オリエ不動産を設立。「借主のメリットに特化した不動産業」として埼玉県から創業促進支援事業として認定される。出店業務のアウトソーシングという新たな分野で、業務委託や顧問契約を中心に活動範囲を拡大。
多くの賛同者と共に、クリーンな不動産業界を目指し活動中。

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ドリームゲートアドバイザー 井出 龍治氏

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