最近「FREE」というマーケティング書が売れているようですが、「無料で集客」というマーケティング戦略には、経営者の長期的な視野が不可欠であることを十分に理解してほしいと思います。自社の「何を無料」にして「何を得る」のか……「FREE」の本質をシビアに考えてみましょう。
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もしも新聞をタダにしていたら・・・

ここに目をつけ、一番初めにサービスを立ち上げたのは、リクルートでした。「タウンマーケット」 という名のサービスで、テレビ番組表と一緒に、住んでいる地域のチラシを毎週「無料」で届けてくれる、という画期的なサービスです。近年、若者世代では、新聞の購読率が著しく落ちています。ほとんどの報道記事がネットで読める昨今、テレビ番組表が手元にあれば十分なのかもしれません。ただ、そんな若者世代も、自宅周辺にある「お得な情報」だけは気になるようで、意外にも近所のチラシが欲しいという世帯が多いのだそうです。
エリアの世帯をどれだけ押さえられるかが勝負!

もっと言えば、地域の求人情報や不動産情報などを手広く扱っているのは、リクルートです(というか、もともとこれが本業ですから)。「チラシの無料配達」を武器に、同社が地域の良質なリストを集めることができたら、そこに向かってほかさまざまな新サービスを提供することも十分可能です。「チラシの無料配達」自体では収益を挙げることが難しくても、将来の新しいビジネスに向けてのインフラづくりだと考えれば、惜しくない投資なのでしょう。
前述したとおり、マーケティングの概念がない新聞社は気づいていませんでしたが、実は、新聞配達店は「毎朝お届け」という最強のインフラと、エリアに特化した顧客データベース持っているスゴイ存在だったのです。そこに気づいたリクルートが、今後どんなビジネスを仕掛けてくるか、注目しておくべきでしょう。
何を「無料」にして、どこで稼ぐか
最近「FREE <無料>からお金を生み出す新戦略]というマーケティング書が売れているようですが、今の時代、「価値のあるものがタダ」だからみんな喜ぶのだということを、経営者はよくわかっておく必要があります。「無料のおまけ」で人が喜んだ時代は、とうの昔に終わっているのです。
たとえば、最近人気の携帯無料ゲームは、本当によくできていて、大人でも普通にハマってしまいます。最初は無料で軽く楽しんでいるつもりでも、いつのまにか熱くなってしまって、それがあるとゲームが有利に進むという「有料のツール」を次々と買い集めてしまうみたいです(――;)。ここにはしっかり「儲ける仕組み」があります。ゲームにどっぷりハマった人たちは、間違いなく「優良顧客」ですから。こんなふうに、「魅力あるタダ」で、どんな顧客リストが集まるかが、極めて重要なのです。
先の事例で、リクルートが何年もかけて実験を繰り返したように、無料で集客するという作戦には、経営者の長期的な視野が不可欠です。その判断を誤ると、会社の収益性は著しくダウンしてしまいます。ぜひ、自社の「何を無料」にして、「どこで稼ぐか」をシビアに考えてください。そのマーケティングロジックなしに、成功はありません。私がいつも言うように、「世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている」のです。ぜひ、世の中の成功事例を参考にしながら、自社のマーケティングに磨きをかけていきましょう(@^^)/~~~。

