質問
現在、小規模M&Aによる店舗取得を検討しており、譲渡価格500万円のBAR案件についてご相談です。本件は、運営会社(法人)の株式取得ではなく、店舗の資産や権利を買い取る「事業譲渡」のスキームを想定しています。
【対象店舗の概要】
- 立地・賃料:中野駅徒歩6分 / 賃料約6万円
- 業態:音楽(ジャズ)特化型バー(8~15席)
- 収益:営業利益 年間500万~1,000万円
- 譲渡希望額:500万円
【ご相談事項】
- 提示価格の妥当性と投資回収の目安
- 「事業譲渡」において、不動産賃貸借契約や取引先との契約を引き継ぐ際のリスク(COC条項等)
- オーナー交代による収益性の毀損リスクと回避策
- 買収時に別途必要となる費用(保証金の積み増し等)の考え方
専門家による回答: 譲渡価格500万円のジャズ特化型BAR案件における投資妥当性と買収時の留意点について (回答者:起業家道プロデューサー・価値診断士® 曲尾 悟志氏)
「新しいモノの見方はギフト」を強みに、起業支援、M&A活用、経営戦略まで幅広く対応。28年で50以上のビジネス経験とドリームゲートNo.1実績を活かし、成功・失敗体験に基づく「起業家道®」の実践的助言を提供している。
利益水準に対して譲渡額500万円という条件は、数値上は非常に魅力的ですが、「事業譲渡」特有の実務リスクを慎重に見極める必要があります。
1. 価格妥当性と投資回収
営業利益500万円に対し譲渡額500万円であれば、利益倍率は1倍。小規模M&Aの基準(3〜5倍)と比較しても非常に割安です。ただし、この「利益」がオーナーの属人性(人脈)によるものでないか、再現性の確認が不可欠です。
2. 事業譲渡における最大のリスク「契約の巻き直し」
本件のような事業譲渡では、個別の契約をすべて「巻き直し(再契約)」することになります。ここで最大の壁となるのがCOC(チェンジ・オブ・コントロール)条項に準ずるリスクです。
・不動産賃貸借契約:
オーナーが変わることで、家主から再契約を拒否されたり、賃料の値上げを要求されたりするリスクがあります。
・保証金の再差し入れ:
事業譲渡の場合、前オーナーの敷金・保証金を引き継げず、新オーナーとして別途保証金を差し入れる必要が出てくるケースが大半です。譲渡額500万円とは別に、数百万円単位のキャッシュが必要になる可能性があるため、資金繰りに注意してください。
・許認可・取引先:
飲食店営業許可や酒類販売免許の再取得、仕入れ先との契約変更がスムーズにいくか、事前に確認が必要です。
3. 従業員と顧客の離反リスク
小規模店舗では、従業員(1〜4名)との雇用契約も巻き直しとなります。
・従業員の残留意思:
オーナー交代を機にキーマンが離脱すると、運営が立ち行かなくなります。
・常連客の離反:
音楽特化型という趣味性の高い業態は、前オーナーの「顔」で持っているケースが多いです。SNSの引き継ぎや、現オーナーによる一定期間の並走期間(引継ぎ期間)の確保を契約条件に盛り込むべきでしょう。
4. まとめとアドバイス
本案件は「買い」の条件が揃っていますが、譲渡契約を結ぶ前に必ず「家主が契約継続を承諾するか」「保証金はいくら必要か」を確定させてください。
「安く買えるか」だけでなく、「不動産や従業員との契約を無事に引き継ぎ、収益を維持できるか」という実務面にリソースを割いてデューデリジェンスを行うことを推奨いたします。
他にも検討すべき課題
事業譲渡時には、以下のような追加課題も出てきます:
- 「事業譲渡時に発生する諸費用のリスト」
保証金、仲介手数料、礼金、許認可申請費など、譲渡額以外にかかる費用の目安 - 「家主交渉のタイミング」
どの段階で家主に話を通すべきかという実務フロー
何かお困りごとがあれば、いつでもご連絡ください。
小規模M&A・事業承継のご相談はこちら
起業家道プロデューサー・価値診断士®の曲尾悟志が、28年で50以上のビジネス経験とドリームゲートNo.1実績を活かし、小規模M&Aの投資判断から事業譲渡の実務リスク、買収後の運営戦略まで実践的にサポートいたします。
「この案件は買いか判断したい」「事業譲渡の契約リスクを知りたい」という方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
※全国対応・オンライン相談も受け付けております


