外国人人材のキャリアパス支援で差別化!-人材不足の解消へ-

人事・労務

執筆者: 田村 徹

私が仕事の拠点を置いている大阪市内では、2025年開催予定の「日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)」に向けた準備が始まっています。
テーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」で、人工知能(AI)や仮想現実(VR)などを体験できる「最先端技術の実験場」にするというコンセプトが掲げられています。

1970年、アジア初かつ日本で最初の国際博覧会「大阪万博(EXPO’70)」が開催された当時、私は小学校2年生でした。
夏休みに訪れた博覧会会場では、〝太陽の塔〟のインパクトの強さに驚き、アメリカとソ連の二大大国を始めとした外国のパビリオン、経済成長の真っただ中で活力が漲っていた日本企業のパビリオン、そして、アポロ12号によって持ち帰られた〝月の石〟などの展示物に興奮しました。

また、〝世界77ヵ国〟から来日した様々な民族衣装をまとった人々が販売する人形や置物、カラフルなフードやスイーツにも、心を奪われました。
7歳の私は、「いつかはきっと、世界中の様々な国へ行ってみたいなぁ。」と心を躍らせていました。

2025年の大阪・関西万博では、〝世界150ヵ国〟からの参加を予定しているそうです。
国際色豊かで、多文化への理解を深められる未来志向の万博となることを楽しみにしています。

外国人採用をとりまく社会の変化

1.外国人住民の増加

現在、大阪市内に居住している外国人住民の出身国や地域は、〝世界139ヵ国〟にも及んでいます。
大阪市の「外国人住民数等統計」によれば、2018年12月末現在、大阪市内には13万7,467人もの外国人住民が居住し、全市民の約5.1%を占めています。
人口・比率ともに、政令指定都市の中でも、最多を記録しています。
そして、これらの外国人住民の63%強が、特別永住者を除く「中長期在留外国人」の方たちです。

法務省の報道資料によれば、2018年12月末現在、わが国に中長期在留者している外国人の数は、240万9,677人となり、過去最高を記録しました。
都道府県別では、上位5都府県が、総数の過半数を占めています。
東京都の56万7,789人を筆頭に、愛知県26万952人、大阪府 23万9,113人、神奈川県21万8,946人、埼玉県18万762人と、都市部への集中が顕著となっています。

2.在留資格「永住者」

中長期在留外国人を在留資格別で見ていくと、「永住者」が77万1,568人で最も多く、全体の28.3%を占めています。

これについては、意外に思われる方も多いのではないでしょうか。

永住許可を受けた外国人の方は、「永住者」の在留資格によって、在留活動、在留期間のいずれも制限されないことになります。
就労できる職種についても、ほぼ日本人と同等で、選択の幅が大いに拡大します。

「永住者」に在留資格を変更するための法律上の要件は、次の3つです。

1、素行が善良であること

→法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることの

ない生活を営んでいること。

2、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

→日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等か

ら見て将来において安定した生活が見込まれること。

3、その者の永住が日本国の利益に合致すると認められること

  1. 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
  2. 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
  3. 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
  4. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

在留資格を「永住者」へ変更するためのハードルは決して低くはありません。

現在、「永住者」に次いで多い在留資格は「留学」で33万7,000人、全体の12.3%を占めています。

在留資格「留学」で日本語学校:1年+大学:4年、そして「技術・人文知識・国際業務」で卒業後5年間以上の就労を経て、「永住者」の在留資格を手に入れる、というキャリアパスが、最もオーソドックスなコースとなっています。

この場合も、現在有する在留資格の期間が3年または5年であることが必要であったり、また直近3年間の各年の収入が約300万円以上(独身の場合)であることが一つの目安となっていたり、収入が安定していることなどを説明していく必要があります。

外国人人材を採用する企業においては、中長期的な視点に立って、それぞれの外国人人材の希望を考慮したキャリアパスを構築し、継続的にサポートしながら〝人を育てていく〟ことによって、人事政策による差別化を図っていくことが大切です。

3.外国人採用とその家族へのサポート

2019年6月21日に、国内で暮らす外国人への日本語教育の充実を促す「日本語教育推進法」が、参院本会議で可決、成立しました。

この法律には、国や自治体には日本語教育を進める責務が、そして、企業には雇用する外国人に日本語の教育機会を提供するよう努める責務があることが明記されています。
外国人人材を採用する企業においては、外国人人材とその家族に対する日本語教育の支援に力を入れていくことによって、そのコミュニケーション能力を高め、会社や地域の一員として安心・安全に生活を送れるように支援していくことが求められています。

また、2019年4月1日より、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号)についての見直しが行われ、改正されています。
労働関係法令等の遵守や公正な待遇の確保などによって、多様な外国人人材が安心してその有する能力を有効に発揮できる環境の整備が進み始めています。

外国人人材を積極的に採用し、継続的な日本語教育支援や労働環境の改善に取組んでいくことは、人材不足に悩む他社との差別化にも繋がっていきます。

2025年問題に備えて

わが国では、諸外国に例をみないスピードで、少子超高齢化が進行しています。
2025年には、現役引退後も第二のステージで頑張り続けていた団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が、75歳以上の後期高齢者となり、本格的なリタイアが始まります。

現在にも増して、人材不足が大きな経営課題となっていくことが予測されています。

これからの時代の起業家や経営者には、組織づくりにおいて、「ダイバシティ」や「多文化共生」といった新たな視点が求められる時代を迎えています。

外国人人材の採用やキャリアパス支援についてご関心のある方は、ぜひ、ご相談ください。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 田村 徹氏
(ICT法務サポート行政書士事務所 代表)

大学卒業から23年間、総合印刷会社にて事業の立ち上げやトップマネージメントを経験した後に独立。経営コンサルタントに転身し10年し、キャリアの中で行政書士資格を取得し5年の経験。
豊富なマネジメント経験と専門家としての適格なアドバイスが好評で、多くの中小企業の経営力を向上させた実績が豊富。

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ドリームゲートアドバイザー 田村 徹氏

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