
事業計画を作成するときに一番大切なことは、その計画が本当に実現可能かどうかということにあります。実現性の高さを説明するのに、一番効果的な方法は「数字」を使って説明することです。事業アイデアのご相談を受ける際に、事業計画書の中にざっくりとしか数字しか書かれていないものを見ることがよくありますが、そのようないい加減な数字しか語れない経営者を投資家の方は信用しません。どこまでリアルに事業を予測し、きちんと考え数字を積み上げているかが実際の投資の現場では問われます。 それでは、事業計画の数字を組み上げる上でどうすればリアル感を出すことができるのでしょうか?
ポイントは「与件条件の設定方法」にあります。
新しい事業の計画を立案する際には、商品がどれだけ売れるのか、その根拠は何か、その売上を達成するために必要な資源・コストはどれほどか、計画を立てる上で、まずは想定しなければならない仮定の条件=与件を設定しなければなりません。この与件がリアルであればあるほど事業計画の数字の信憑性が高まります。また、事業計画の数字は原則として積み上げて算出することが求められます。ざっくりこれくらいと記載するのではなく、月次ベースで想定される売上、原価、販管費などをきちんと科目別に積み上げて、積算して算出するようにしてください。
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<POINT④>事業計画は数字が命。数字の根拠となる与件にリアル感があるかどうか。

そうしたテスト結果や実証結果は事業計画書を投資家に提出する際に参考資料として添付するようにします。実際の説明時間は短いのですべてを説明することはできませんが、投資家からある数字について聞かれた場合、そこに「なるほど!」と思わせる具体的かつ詳細な根拠がなければなりません。そのためにも前述のような検証作業は起業する前に行っておいた方がよいと思います。ビジネスアイデアの市場性を試すためのトライアルモデルのことを、私は「プロトタイプ」と呼んでいます。有効なビジネスプロトタイプを構築し、その結果を記録しておくことは、事業計画のリアル度を高める上でとても有効です。ぜひ起業前に自分のビジネスアイデアをある程度市場でテストする機会を設けるようにしてください。
<POINT⑤>そのビジネスが市場に受け入れられる具体的な根拠はあるか?
(マーケティングリサーチ・テスト販売・プロトタイプの構築など)
さて、ある程度リアルな数字が事業計画に記載されていて、ビジネスアイデアが面白ければ投資家は投資をするのでしょうか?いえ、そうではありません。さらにもう一つとても大切な要素があります。それは「成長性」です。
投資家の期待値はある事業に投資した資金が何倍にもなって自分の懐に帰ってくることにあります。当然資金が増えるためにはその投資した事業が成長しなければなりません。どんなに面白いアイデアであっても、誰かに簡単に真似できるようなものでは、将来の成長は見込めませんし、競合商品などがある場合にはなおさらです。投資家は事業計画を見るときに必ずその事業が将来どの程度成長するのかを必ず見極めています。逆に投資家に評価される事業計画では、将来大きな成長が見込めることを具体的な説明とともにきちんと説明しています。その商品やサービスの市場規模はどの程度か、市場ライフサイクルのどの位置にいるのか、競合や代替商品の状況はどうか等、さまざまな視点で自らのビジネスを評価し、その成長性についてきちんと説明を行うことが大切です。
<POINT⑥>高い成長性が見込める事業であるかどうか?またその根拠が明確であるか。
今回は事業計画の具体性、リアル感、成長性について記載させていただきました。
次回の「Vol.3 投資の実際の現場から」は、実際の投資の現場でのチェックポイントについて記載したいと思います。

