うさんくさい商売の原理原則

事業計画

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説:羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

http://www.als.co.jp/

 

前回のコラムで、「違い」を生み出すことがプレゼンテーションの鍵だとお話した。この原理原則から、多くの会社は自社商品の「違い」をマーケットに売り込む ことにやっきとなっている。しかし、自社商品の優位点を過剰なまでに売り込もうとすると、反対に消費者の信頼を失ってしまうことになる。今回は、起業間も ない会社が陥りやすい「うさんくさい商売」の原理原則についてお話してみたい。

私はアメリカから帰ってきた直 後、自分の開発した教育サービスを自宅近辺でテスト的に紹介してみることにした。これまで日本には無かったタイプの教育サービスであったため、どうやって 消費者に伝えていこうかと思いあぐねていた。そこでできるだけ魅力的に紹介してみようと、以下のようなキャッチフレーズでチラシを作ってみた。

「驚異の学習テクニック、ついに日本に上陸!」

ちらしをそこら中の郵便ポストに配り、電話を待ってみた。しかし、残念ながら電話は一件も鳴らなかった。知人にそのチラシを見せ、感想を聞いてみた。「そうですね、一言で言えばうさんくさいんじゃないですか?」

おっ しゃる通りである。しゃかりきになって売り込もうとするあまり、チラシには過剰な「売り言葉」がそこら中にちりばめられていた。確かにこんなものがポスト に入っていてもだれも電話したくはならないだろう。そこで、できるだけうさんくささを割愛し、信頼のおける雰囲気に作り直してみた。

「元ハーバード大学講師が直接指導する家庭教師!」

この新しいチラシを再度、郵便ポストに投げ込むと、その日から電話がガンガン鳴るようになった。

何 が違ったのか?「信頼」の度合いが違ったのだ。前者は、フレーズこそ過剰であったものの、消費者を信頼させる情報が何も無かった。それに対し、後者では、 「ハーバード大学」という誰しもが「信頼」できる情報を全面に押し出していたので、消費者の心をうまくつかむことができたのだ。

会社を立 ち上げ、ビジネスを始めたばかりの頃、多くの人が、私同様、過剰なまでに自社製品を売り込もうとする嫌いがある。何とかして消費者に選んでもらいたいとい う販売者意識が働くあまり、表現がどんどん過剰になってくるのだ。しかしその多くは失敗に終る運命にある。なぜか?ここに「うさんくさ商売」のメカニズム がある。

消費者は、同じ値段であれば、できるだけ質の良いものを手に入れようとする。それを知っている販売者は、当然、自社商品がどこよ りも優れているという点をアピールしようとする。しかし、立ち上げて間もない会社の商品であれば、世界的に有名な企業の商品などに比べ、質が劣る場合が多 い。そこで、起業後まもない会社は、以下の二つの手法のいずれかをとることになる。

まずは、自社商品の質を向上させることに努めるという 方法だ。質が低いのだから、その質を改善していくことで消費者に満足してもらおうという正当法だ。この方法のメリットは、実際に質を向上させているわけだ から、消費者の満足度も確実に上げられるという点にある。デメリットは、時間がかかるということだ。ある一定の結果を出すためには、永続的に自社製品の向 上に努めなければならない。その点に困難さを感じる人々が第二の方法、「うさんくさ商売」に走ることになる。

第二の方法では、質を改善す るよりも、商品のアピールに力を割くことになる。これは、正当法に比べ、速効性がある。中身がないものを言葉だけで顧客を獲得しようとしているので、おの ずと売り文句を過剰にせざるを得なくなってくる。結果、「驚異的」「絶対」「スーパー」といった、私が帰国後、最初に配ったちらしに満載してしまったよう な言葉が広告全体にちりばめられることになる。

そのような言葉がちりばめられている広告を見て消費者であるあなたはどう思うだろうか?

我々は消費者の立場である時はうさんくささを避けようとする。しかし、どういうわけか、自分が売り手の立場の時は、そのことを忘れ、できるだけうさんくさく宣伝しようと身構えてしまう。

「う さんくさ商売」は、一件、速効性があり、魅力的に見える。しかし、長期的視野に立つと、そのやり方を続ける限り、その会社は決して長続きしないということ がわかる。会社を成長させるためには、自分の会社の商品に価値を見出し、その商品を買い続けてくれるファンを増やすことが肝要である。しかし、うさんくさ 商売では、偽りの価値を与えることで、顧客を切り離すシステムになっている。うさんくさ商売を続ける限り、会社の発展はありえないということに気づかなけ ればならない。

ではあなたがすべきことは何か?自分の商品の質を常に向上させていこうという姿勢を強くもつことだ。顧客が求める以上の質 を提供しようとする気持ちを中心に据え、実際にそういった商品を提供し続けていれば、必ずその商品を買ってくれた人々が再びあなたの商品を求めるように なってくる。求めるべきは、飾りではない。中身なのだ。

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 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

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