狙う市場を徹底的に細分化する

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ターゲットなる市 場をしつこすぎるほどに追求する姿勢。そこを、書籍のタイトルを例にあげ、狙う市場を細分化し「誰に売るのか」を決めるおさらいです

 

ターゲットは「臆病者」!?

 ネット書 店で株式相場関連の本を検索していたら、めちゃくちゃイケてるタイトルが見つかりました。『臆病者のための株入門』。いやあ、これはうまい!

 

  もっともこの本、リアル書店の店頭で購入するのは、ちょっと恥ずかしいかもしれません。「私は臆病者です」と、販売員に宣言しているようなものですから (笑)。でも、ネット書店での購入なら、そんな心配もいりませんよね。

 

 かくいう私も、時折、市場から株を購入するのです が、正直ビビリます。むろん、それなりの根拠があって買おうと思うわけですが、それでも「想定外」のことは起きますから。それで悶々とした揚げ句に買いを 見送った銘柄が、後々値上がりし続けた時などは、「この臆病者が!」と、自分を罵倒したくなります(笑)。そんな私のために書かれた一冊?

 

  きっと、私のように「これはまるで自分のために書かれたような本だ」と思う人は、少なからずいることでしょう。

 さて、あらためて「誰に売 るのか?」の話です。

  

狙う市場を徹底的に細分化する

  引き続き書籍をモチーフにして話をします。株式の本にかかわらず、世には多彩なジャンルの実用書が存在します。この実用書と呼ばれる本を購入する人は、主 にどういう人でしょう?これは簡単ですね。

 

 「そのテーマや分野に関して、今後(あるいは現在)何らかの行動を取ろうと思 う(取っている)ので、その世界のことを知っておきたい」と考える人たちです。したがって、すでにその世界に精通している人は、あまり実用書を必要としま せん。だから、実用書には「○△入門」のようなタイトルが付くことが多いのです。

 

 冒頭で話題にした本も『~~株入門』で す。したがって、この本のターゲット(購入させたい相手)は、「株式投資に興味がある人」で、なおかつ「入門」と言っている以上、「初心者」ということに なります。しかし、この本はそこからもう一歩踏み込んで狙う相手を設定しています。

 

 考えてみてください。「株式投資に興 味のある初心者」といっても、そのなかにもさまざまなグループが存在するはずです。女性だとかサラリーマンだとか、理科系だとか中小企業の経営者だとか。 あるいは、こういう分類もあります。「いつかは株をやってみたいと思っている人」とか、「近々やってみたいと思っている人」とか、「もうすでに始めた人」 とか、「昔、少しだけやったが今はやっていない人」とか。さらには次のような分類も可能でしょう。「どうしたら儲かるのか知りたい人」、「どうしたら損を しないで済むのか知りたい人」、「ほかの金融商品とどう違うのか知りたい人」…。

 

 前回も書 きましたが、起業を準備している人の多くが、狙う相手についての研究や分析をないがしろにしています。その結果、きわめて大雑把な繰りで進出する市場をと らえてしまうのです。株の本でたとえるなら、「ターゲットは株に興味のある人。以上」と言っているようなものです。これではダメですよね。

 

  狙う市場を細分化すること。これが「誰に売るのか?」の正解を得るための最初の作業です。上記した「株式投資に興味のある初心者」の細分化の例にならっ て、あなたが進出を考えている市場の買い手たちを細分化してみてください。ちなみにこうした作業を「市場セグメンテーション」、あるいは単に「セグメン テーション」と呼びます。

 

どの「セグメント」に照準を合わせるのか

  10とおり、20とおり、30とおりと、グループが浮かび上がってくるはずです。このようにセグメンテーションによって得られたグループを「セグメント」といい ます。さて、ここからが大事です。仮にセグメントが20あったとします。あなたは、そのなかのどのセグメントを狙ってビジネスを起こすのかを決めなければ なりません。

 

 一つだけを選んでもいいし、2つ、3つを選択してもかまいません。大企業などの場合、20セグメント全部を 相手することもあります。ただし小さな企業がいくつものセグメントをターゲットにすることは容易ではありません。売る相手が20とおりいるなら、「何を、ど う売るのか」も、それぞれのセグメントに応じて20とおり構築しなければならないからです。これは机上では可能ですか、実際にそれぞれを展開していくとなれ ば、並外れた体力(ヒト、モノ、カネの豊かさ)が必要になります。

 

 そこでまずは、たくさんあるセグメントのなかから 「もっとも優良なセグメント」を一つ選び出し、その人たちを徹底攻略することが現実的な作戦となります。その後、事業の成長に合わせて別のセグメントにも アプローチしていくという判断はあってもかまいません。

 

優良セグメント、4つの 条件

 では、「もっとも優良なセグメント」とは、どういうものでしょう。それは以下の4点をクリアしている セグメントのことです。

  

 ● 競合がまだ発見・着手していないグループであること

 ● 上記にもかかわらず市場において「少数派」ではないこと

 ● なおかつ、購買意欲が低くないこと

 ● そして、自分がそのグ ループを満足させられること

 

 「そんな都合のいい相手がいるのだろうか」と思いますか? そう思うのなら、どうぞ、自分に とって都合の悪い相手と商売してください(笑)。

 

 確かに金の鉱脈は簡単には見つかりません。でも、それを発見してから掘 り出しにかかるのと、未発見のまま、世界中の地面を掘り返すのと、どちらが成果に結びつくのでしょうか?よいセグメントを見つけられないまま起業すること は、後者と同じです。

 

「臆病者」は新たに登場した優良セグメント

  さて、ここでまた例の本の話に戻ります。『臆病者のための株入門』。この商品を上記した4点でチェックしてみましょう。「臆病者」とは、「儲けたい。で も、損もしたくない」という両方の気持ちのせいで、結局、一歩を踏み出せない人のことでしょう。日本人には多いですよね、こういうタイプ(私も人のことは 言えませんが)。

 

 ちなみに『初心者のための~』という文言をタイトルに入れた株の入門書は以前から何冊も出ています。で すから「株初心者」というセグメントは、もう、先発組に抑えられていると考えるべきです。

 

 ところが「臆病者」は、「初心 者の予備軍」とでも言うべきグループであり、株式投資が個人にも身近になってきたことを背景に、急速に登場してきた新セグメントなのです。「預金よりも株 のほうがよさそうだ。でも怖いからなあ…」と「臆病風」に吹かれている人が相当数いることも想像にかたくありません。そして、こういう人たちは、その悩み の解決を書籍に求めたがるものです。したがって「臆病者」は、未発見、かつ多数派、かつ購買意欲の高いセグメントと評価できるのです。

 

  仮に先行企業や競合企業が未発見・未着手のセグメントだとしても、そのセグメントが少数だったり、購買意欲が低そうだったりする場合は、いいセグメントと はいえません。ここを注意してください。たとえば「彫刻家のための株入門」。これでは厳しいですよね(個人的には立ち読みしてみたいですが)。繰り返しで すが、まだ人が見つけていない「金の鉱脈」を一生懸命探すことが大切なのです。

 

 もっとも私はこの本を手に取って読んだわ けではないので、中身のことは何とも言えませんが、狙った相手を満足させる執筆者や編集者が確保できたとすれば、この本を出した出版社は、素晴らしいセグ メントを獲得したことになります。

 

もう一度、「誰に売るのか?」

 最 後におさらいをしておきましょう。

  

 1. 誰に売るのかでビジネスの成否が決まる

 2.狙った市場を細分 化(セグメンテ―ション)する

 3.セグメントを評価する

 4.もっとも優良なセグメントをめがけて起業する

  5.もっとも優良なセグメントとは、「未発見」「多数派」「高い購買意欲」「得意な相手」のことである

 

 「誰に売るの か?」はいったんここまでにして、次回からは「何を売るのか?」に移ります。

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ここにあります。

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