「原価+経費+利益=価格」は間違い

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
「100円ライ ター」は100円とは限らない!時には安く、時には高く。価格設定にはいろいろな観点が存在する。ターゲットが買える値段、かつ買いたくなる値段で売ると いうことです。

 

ライバルに勝つ!

  世の中には、あな たが開始する予定のビジネスと同じターゲットに、同じ商品やサービスをすでに売っている、あるいは売ろうとしている人がたくさんいるはずです。同業者で も、競合でも、競争相手でもライバルでも、呼び方は何でもかまいません。それらの相手に勝たねばならないというのが今回のテーマです。
 
  ちなみに、競争相手がたくさんいるということは、決して悪い話ではありません。それだけそのビジネスにニーズが存在しているという証拠ですから。
 

  半面、「私のビジネスはまだ誰もやっていないので、競争相手はいない」と考えている人がいるかもしれません。でも、同じことを考えている人は間違いなくい るはずです。考えてもみてください。発想のきっかけになったニーズ情報は、あなたしか入手できない内容でしょうか? そこにビジネスチャンスを見い出すセ ンスがある人は、世界であなたひとりだけでしょうか? そのビジネスを起こすために必要な資源は、あなたしか持っていないものでしょうか? すべてに yesと答えられる人は、まずいないと思います。起業家には絶対にライバルがいる、つねにそう考えるほうが賢明です。

 

「どう」売るかで、差別化を図る

  ライバルに、つまり「誰に」と「何を」の組み合わせの答えが あなたと同じ相手に、いかにして勝つか。そのポイントが「どう」売るのかです。「どう」売るのかの良し悪しが、最終的な成否を分ける、と言っても過言では ありません。

 「どう」売るのかは、ターゲットのニーズや特性を研究することで答えが見えてくるものですが、それを把握しただけではまだ 不十分。さらに、ライバルにはない魅力をどう付加するか、という視点が必要なのです。いわゆる「差別化を図る」取り組みです。

  

「価格」は差別化の重大ポイント

  ビジネスのあらゆる局面に言えることですが、正解はつねに ひとつではありません。ライバルがすでに実行していて、十二分な評価を得ている売り方が存在していたとしても、それがすべてではないのです。今回は差別化 の方法を、「価格設定」の面から見ていきます。価格は差別化を図るうえでの決定的要素ですから。
 
 価格を決めるということは、「誰に、 何を」売るのかを決めたうえで、「その相手に、その商品やサービスを、どのような値段で売るのか」を決めることです。自分の都合で決めるのではありませ ん。買う側の立場に立って決めるものです。

 買う側の立場に立って価格を決めるとは、ターゲットが「買える値段」であるかどうか、と同時 に、「買いたくなる値段」であるかどうかを徹底検証したうえで決めるということです。ターゲットが、「とても手が出せない」額は論外ですが、「手が出せる 範囲であればいくらでもいい」というものでもありませんし、無条件に「安いほうがいい」わけでもありません。

 時には安く、時には高 く……。そこにはいろいろな観点が存在しますが、最終的には、ライバルとの差別化という観点で、安くするなり、高くするなりを考えていけばいいのです。

 

「100円ライター」は1本60~400円

  わかりやすい例があります。通称「100円ライ ター」1972年にこの商品が登場した時は、世の中大騒ぎでした。それまでこんな低価格のライターはありませんでしたし、ライターを「使い捨てる」という こと自体、考えてもみなかったことだからです。それから34年がたちました。世間の大半の消費財が34年前の何倍もの価格に跳ね上がっているのに、100 円ライターは今でも100円です。と、言いたいところですが、現実の使い捨てライターの価格は多種多様。3本まとめて178円(1本60円以下)など、 100円を下回る商品もあれば、逆に1本150円や200円、あるいはそれ以上という商品も流通しています。
 
 こうした状況は、まさに 「価格による差別化」の結果です。先行する大手企業製品が100円というイメージを強く打ち出し、それが浸透している状況を前提にして、「100円でさえ 安いのに、さらに安くする」ことでさらなる、魅力を打ち出したのが「100円以下ライター」。反対に、「100円ライターの素っ気なさ」に着目し、形状や サイズ、デザイン、色彩バリエーション、使い心地などを改良し、その結果として高めの価格を設定しているのが「100円以上ライター」です。
 
  単に着火するためだけの道具であれば、100円より安いことが買い手にとっては魅力になります。反対に、買い手が「ライターは常に携帯するグッズである」 という認識を持った場合は、価格の安さより機能性やファッション性を重視し、それら付加価値の対価として、100円を超える価格を受け入れていくわけで す。中には、フタを開けた途端に装着された発光ダイオードが点滅を始めるというような、オシャレなのかオモシロなのか、微妙な感じの使い捨てライターもあ ります。価格は400円台。
 
 もしかしたら、もっと高額の使い捨てライターがあるかもしれませんが、どんなに高くても1000円はしな いでしょう。最初に書いたように、ターゲットが購入可能な価格であることが前提だからです。月に何本も使い捨てライターを購入する人が、1本1万円や2万 円という価格を受け入れるでしょうか。1本1000~2000円でも、まだ厳しいでしょう。正解は決してひとつではありませんが、「ストライクゾーンとそ れ以外」という線引きがあることも忘れないでください。

 

最初に価格ありき。利益 やコストはそこから考える

  さて、時折、ビジネス書などの中に、「価格は、原価や仕入れ値に必要経費をオンし、さらに一定の利益を乗せ ることで決めることができる」といった記述を見かけることがあります。実際に数字を入れてみましょう。ある商品の製造原価はひとつあたり90円。それに必 要経費分30円をオンし、さらに利益分として40円を乗せます。90円+30円+40円=160円。これがこの商品の価格になります。確かに、ものの価格 の内訳を示せば上記のように算式になるでしょう。
 
 でも、この商品が仮に「昔からある素っ気ないタイプの使い捨てライター」だったらど うですか?ライバルは同じようなものを60~100円で売っているのに、この商品は160円なのです。言うまでもなく、このライターは売れません。利益を 20円に下げたところでまだ140円。利益をゼロにしたところで120円ですから、話にもなりませんよね。 
 
 だから、価格は買い手の 立場に立って決めなければならないのです。初めに競争力のある価格ありき。その価格を前提にして、そこから利益を出すべく、経費や原価を設定していけばい いのです。
 
 原価+経費+利益=価格ではありません。利益=価格-経費-原価でもありません。価格=利益+経費+原価。この順序です。 繰り返しますが、「どのような値段で売るか」とは、ターゲットが買える値段で、しかも買いたくなる値段で、なおかつライバルよりも魅力的な値段で売るとい うことです。決して、原価ありきや利益ありきで決めるものではないのです。

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