1枚150円の「キャベツ焼き」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
価格の決め方につ いて、徹底的に学習しましょう。今回は1枚150円の「キャベツ焼き」をモチーフにして価格の決め方を学んでいきます。

 

もう一度、ビジネスプラン立案の基礎を

   その前にもう一度、ビジネスプランの立て方の根本を確認しておきましょう。忘れてしまった人もいるかもしれませんから。

 あなたが起こすビ ジネスは、「誰に、何を、どう売るのか?」この答えを確立することが、すなわちビジネスの基本プランの作成となります。基本プランが完成した後に、「い つ、誰と、どこで、いくら使って売るのか?」これらへの答えを考えていきます。こちらを実施プランと呼びます。言うまでもないことですが、先に実施プラン を決めて、後から基本プランを策定するようなことは不可能です。
 もちろん 、形のうえではそういう順序も成り立ちはしますが、やることを決めないで、やるための段取りをつけても、実際のところどうしようもありません。とかく、い つからやるか(→今年中にはやろうとか)、誰とやるか(→会社の後輩と一緒にやろうとか)、どこでやるか(→ターミナル駅の近くでやろうとか)、いくらで やるか(→退職金が300万円あるのでそれでやろうとか)、そういったことから独立準備を考えがちですが、それは、やることを決めてから考えるべきことな のです。

  誰に、何を、どう売るのかが決まらなければ、どれくらいの準備期間が必要なのか、どのような人員や関係者が必要なのか、どう いった地域や立地が望ましいのか、どれくらいの開業資金や運転資金を要するのか、その答えは出ません。

 
 起業・独立を考えたら、 まずは基本プランを立てること。つまり、誰を狙って、何を、どんな方法で提供するのかを考え抜くことです。

 

誰に、何を、いくらで、どう売るか?

  あらためてですが、価格を 決めるということは、「どんな方法で提供するのか」のなかの最重要項目となります。「誰に、何を、いくらで、どう売るのか」と課題設定してもかまいませ ん。とにかく、価格の決定はそれくらい重要事項ということです。

  さて、狙う相手を決めたら、その相手が望むものを、望む方法で、そして 望む値段で提供することが大切だと何度も書いてきました。その思考、その感覚が身につきました?

  今回紹介する事例は、まさに、相手が望 むものを、望む方法で、そして望む値段で提供した素晴らしいケースです。新潟県のある町で頑張っている青年の話。

 

大阪では当たり前でも新潟では画期的な食べ物

 青年は大阪出身者。たまたま会社から命じられた赴 任先が新潟県だったわけです。で、同地にキャベツ焼きがないことに気付いた彼は、新卒で入社した会社を1年で退職しアッという間にお好み焼きの店の開業を 決意します。お好み焼きといってもポピュラーなタイプのものではなく、キャベツ焼きと言われるやや小型で、キャベツをどっさり入れたタイプのものに特化し た店です。大阪方面の方はご存じですよね。でも、これ、驚くほど大阪以外では知られていない食べ物なんです。言うまでもなく、新潟県でもまず見かけること はありません。

 普通なら、200万~300万円はかかる店舗開業資金を、あの手この手で抑え、最終的には総額91万円でキャベツ焼きの店 をオープンします。彼が狙ったターゲットは高校生です。

 

青年は「買い食い マーケット」に狙いを絞った

  誰に何を売るか? 地元の高校生たちにキャベツ焼きを売る。いわゆる「買い食い」マーケットを狙った開業ですね。誰と何との関係は間違っていません。

  問題 はどう売るか? です。まずはどこで売るか。彼は、ある町の、ある道路沿いの、ある空き店舗に目を付けました。どうしてもその場所で店を開きたいと、当初はまるで貸す気の なかったオーナーに三顧の礼を尽くし、頭を下げ続け、やっとの思いで借りることに成功したのです。なぜ、そこまで彼はその場所にこだわったのでしょう?

   一つには、自分で見つけた物件ですから、その店に決まれば、通常、不動産業者に収める仲介手数料を削減できるというメリットがあります。でも彼は、それ 以上にこの場所にこだわる理由がありました。その町に3つある高校の生徒の大半が、この道路を使って通学していたからです。高校生にターゲットを絞れば、 その場所は駅前にも匹敵する好立地だったわけです。誰に売るのか? 高校生に売る。ならば、高校生が「買い食い」してくれそうな場所で、それも、すべての学校の生徒が通る道路に面した場所で売る。そういう答えが出てきてし かるべきです。

 

高校生向け立地戦略&価格戦略発動!

  そしてもう一つ、彼がこだわったのが価格です。キャベツ焼き1枚150円。これは決して無理な価格ではありません。大阪なら、1枚100円という店もあり ます。俗に言う「粉商売」ですから、製造原価は押して知るべし、です。

 とはいえ、彼がもし、開業資金額の決定に妥協して、通常どおり 200万~300万円をかけていたら、どうなったでしょう。初期投資の回収のために、キャベツ焼きの値段を上げざるを得なくなったはずです。1枚250 円、あるいは300円と。でも、それでは売れません。

 高校生が最低でも週に一度、できればそれ以上買い食いしてくれる価格と考えれば、や はり150円が限度なのです。限度であると同時に、100円台であることが魅力なのです。高校生が買える価格、高校生が買いたくなる価格。それを実現しな ければ、せっかく苦労して確保した通学路沿いの店も、宝の持ち腐れになってしまいます。だから彼はこの値段にこだわったのです。

 

顧客の人気獲得と小資金開業の一石二鳥

 高校生に売る。150円で売る。そのた めに開業資金額を抑える必要があったのです。もっとも、彼自身、社会人経験1年での起業でしたから、さほどの蓄えがあったわけでもなく、開業資金を抑えな いことにはスタートできないという事情もありましたが。

 ちなみに、彼はほとんどの道具を中古品でまかなっています。必要な工事も自分でで きるところは自分でやり、どうしてもプロにしかできないところだけを(徹底した合い見積もりを取った末に、さらに「負けてんか?」と頼んだ上で)プロに発 注したのです。しかも、その発注先に「開店祝いをくれ」と頼んで、いくつかの簡単な工事を無料にしてもらうという、徹底ぶりでした。こうした努力の蓄積 が、劇的な開業資金の削減を生み出したのです。

 さて、今回の結論です。狙った相手が思わず手を出してしまう価格。これを徹底して研究し、 何としてもその価格を実現すべく努力しましょう。そのために知恵を絞って初期投資(開業資金)を抑えることができれば、これは一石二鳥です。安く始めて、 しっかり売る。

 もう一度繰り返します。安く始めて、しっかり売る。この精神です。ぜひ新潟の青年に学んでください。
  ちなみにこのキャベツ焼きですが、高校卒業から30年を経た私でも、十分おいしくいただけます!

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める