美容室の事業計画書フォーマットと作り方をわかりやすく解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 引地 修一

現在、美容室にお勤めの方の中には「自分の店を持ちたい」とお考えの方も多いと思います。その際に難題となるのが事業計画書の作成です。しかし、しっかり要点をおさえれば金融機関に評価される事業計画書を作るのはむずかしいことではありません。

あらかじめ書くべきポイント整理し、フォーマットなどを使えば、だれでも質の高い計画を作れます。

この記事では、美容室を開業予定の方が失敗のない事業計画書を作るためにすべきことを解説します。

事業計画書を書く前に注意すべきこと

事業計画書を作るうえで欠かせないのが「基本的なことを整理してから書く」ことです。

事業計画書で求められる項目は多岐にわたるため、いきなり書きはじめてしまうと、うまくまとめられなかったり、内容が重複してしまいます。

事業計画書を作る前には次の注意事項を確認したうえで、項目を整理してから取りかかることをおすすめします。

あなたの業種に合わせた事業計画書がつくれる!
  • 累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる
  • 12業種・4188社の経営者と比較し、あなたの事業計画の安全率を判定

なぜ、事業計画書が必要なのか?計画を作るメリットを知っておく

事業計画書とは「これから始めようとする事業の設計図」です。

頭にうかんでいるプランを計画として書き出すことで、不足している情報やあいまいな部分を明確にできるだけでなく、矛盾点やまちがいに気づくことができます。

また、よくまとまった計画は金融機関から融資を引き出すための強力な武器となります。

届出は、事業計画書の作成前に準備が必要

美容室を開業するには、およそ以下の手順が必要となります。

  1. 情報の整理と事業プランの作成
  2. 立地の確認と店舗の契約
  3. 必要な資金の見積もり
  4. 開業届や法人設立手続き、保健所などへの手続き
  5. 融資の申込み
  6. 開店準備(内装、スタッフ募集、設備や消耗品の購入、集客活動)
  7. 開業

※ これらの手順は、状況により入れ替わる場合があります。

美容室を開業するには、次の要件を満たさなければなりません。

  • 届出を出して、保健所による施設の検査を受けること
  • 従業者数が常時二人以上の美容所の場合は、管理美容師を置くこと
  • 管理美容師は、三年以上美容の業務に従事し、一定の講習を受けたものであること

美容室を開業する場合には保健所に「美容所の開設届」を提出し、所長の確認を受けなければなりませんが、この手続きは融資申し込み前に必要となります。

また、届出には施設の検査や一定の書類の提出が必要となるので、早めに準備しておきましょう。

確認を取らずに営業した場合、罰金や営業停止処分となることがあります。。

届出について不明点がある場合は、営業予定地を管轄する保健所や専門家に確認すれば、手続きの漏れや二度手間をなくすことができます。

美容室の開業に必要な資金と利益の目安

店舗を借りて美容室を開業する場合には、物件の取得費の他にも、さまざまな費用がかかります。小規模な店舗で開業する場合でも、まとまった資金が必要となるため、どの程度の費用がかかるのかを見積書の金額にもとづき把握しておきましょう。

美容室の開業資金の目安は、以下のとおりとなります。

<店舗面積約10坪の美容室(個人店)のケース>

引用:J -Net21業種別開業ガイド「美容院」

店舗の規模や立地にもよりますが、開業資金はおよそ6001,500万円ほど必要となります。

また、これ以外にも、開業から3ヶ月~半年くらいの運転資金も用意しておくとよいでしょう。なお、上記のケースをモデルにした損益の目安は、以下のとおりとなります。

<1ヶ月あたりの損益のイメージ>

従業員2名を想定(営業利益には個人事業主の所得が含まれる)

参考:https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/service/service13.html

設備資金、運転資金とは?

設備資金とは、事業で使用する設備の購入にかかる資金です。一時的に発生するのが特徴です。これには車両や内装費、什器の購入費などが該当します。

これに対して、運転資金とは、設備資金以外で事業の運転に必要となる資金です。継続的に発生するのが特徴です。家賃、人件費、仕入れ代金などがこれに該当します。

まずは、ワークシートを埋めてみましょう

まとまりのある事業計画書を作るには、ワークシートを利用するのが効果的です。

以下のワークシートでは、事業計画書の作成に必要な項目が用意されているので、まずは書ける部分から埋めてみましょう。

もし、まだ埋められない箇所がある場合は、そこがプランの弱点ですので、重点的にプランの練り直しをしてください。

https://www.dreamgate.gr.jp/entrya/format/sheet_I_2.pdf

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

創業者の借り入れには、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」がおすすめ

独立したての方は信用力が少ないため、通常の金融機関からの借入れが困難です。

しかし、日本政策金融公庫(公庫)の新創業融資制度は、創業者のみを対象とした融資制度で、多くの方が利用しています。

申し込みの要件も通常の融資より容易で、融資がスピーディーなどの特徴があるため創業者におすすめです。

公庫では申し込みの際に「創業計画書」の提出が必要ですが、業種に応じた創業計画書のテンプレートを用意しているので、そちらを使うと作成がしやすくなります。

「創業計画書」ではずせない3つのポイント

創業計画書をはじめてつくる方は、公庫の記載例を見ただけではなかなかイメージがつかみにくいかもしれません。ドリームゲートでは、記載項目ごとに詳しくその内容や書き方を紹介していますので、こちらの記事もあわせてご参考ください。

参考:https://www.dreamgate.gr.jp/contents/column/explanation-of-business-plan
参考:https://www.dreamgate.gr.jp/contents/manual/m-financing/38031

以下では、とくに創業計画書で重要となる3つのポイントについて解説します。

①経営者の略歴

創業者がこれまでどの程度の経験をしてきたかは、審査の上でも非常に重視されます。

望ましい実務経験の目安としては「6年以上」ですが、それ以下の年数であっても経歴内容によっては、融資を受けることは十分可能です。

ただし、この年数が1~2年などと極端に短い場合には、融資審査も厳しいものとなると考えた方がよいでしょう。

もし受賞歴や特別な経歴(チーフや店長として勤務したことがある)などがあれば、評価のポイントとなるので、忘れずに記載してください。

②取扱商品・サービス

この箇所では、取扱商品・サービスの内容/セールスポイント/販売ターゲット・販売戦略/競合・市場などについて記載します。

取扱商品・サービスについては、取扱予定の商品等の品目や名称、金額、数量などを記載しますが、以下の点にも注意してください。

  • サービスについて
    その内容や流れを図にすると理解してもらいやすくなります。
  • セールスポイントについて
    他と差別化できている部分やオリジナルの工夫などを中心に説明します。
  • 販売ターゲット・販売戦略について
    「●●地区に在住する30~50歳の男性サラリーマンで年収〇万円」のようにターゲットが明確にイメージできるように絞り込みます。
  • 競合・市場について
    文章で説明するだけでなく、営業エリアの地図に競合先を落とし込んだ資料を用意するなどすると、わかりやすいものとなります。

③事業の見通し(月平均)

通常は、創業〜1年目、1年目以降の2年分について損益の見通しを作成します。

主な項目は、売上高、売上原価(仕入高)、経費(人件費、家賃、支払利息など)、営業利益です。

実現性の薄い計画で無理に黒字の計画にするよりも、当初の期間は赤字でも整合性の取れた内容の方が評価されやすいといえます。

また、計画に記載する数値については、その根拠を明確にするための補足説明を入れるようにしてください。

損益計算のシミュレーション(単位:千円)

参照:https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/service/05028.html

創業計画書には、資金繰り計画もつけると説得力がUP!

創業融資で審査のポイントとなる項目には、「熱意が伝わる内容となっているか?」「不必要な資金はないか?」「売上げや利益に信ぴょう性があるか?」などがあります。

とくに資金繰りの箇所では「売上げの推移」や「経費・利益の内容」などが細かくみられるため、資金繰り計画も一緒に提出すると高い評価を得られやすくなります。

計画の作成には、公庫のテンプレート「月別収支計画書」の他、以下で紹介する事業計画書作成ツールなども活用できます。

参考:https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

説得力のある収支計画が作れる3つのステップ

事業計画書で収支の計画を作成する際に欠かせないのが、「売上げや経費の根拠」です。根拠のない計画では、実現性や信ぴょう性の乏しいものとなってしまいます。

説得力のある収支計画を作るには、1ヶ月単位で作成し、次のような方法で計算するとよいでしょう。

①客数を予測する

客数は、店舗の席数をベースにして、利用者が何回転するかを予測する他、同業種・同規模の店舗データを参考にして求めることもできます。

ただし、回転数は時間帯や曜日などで異なるため、昼や夜、繁忙時と通常時などのように、実態にあわせて算定することで、より正確な見込みを立てることができます。

これ以外にも、1人のスタッフがどの程度の人数に対応できるかなどからも算出することができます。

②客単価を予測する

客単価は、自店のメニューをベースに組み立てると誤差が少なくなります。

具体的には、カット、カラー、パーマなどよく利用されるオーダーを想定し、それぞれにメニューで定めた金額をかければ、およその客単価が算定できます。この方法ならば、「なぜこの客単価になるのか?」という質問に対しても根拠をもって答えることができます。

③利益を計算する

売上や利益は、それぞれ以下の方法で算出します。

  • 売上げ 「客数×客単価×営業日数」
  • 粗利(あらり) 「売上げ-原価(シャンプー、パーマ液代など)」
  • 利益 「粗利-経費(人件費、家賃、水道光熱費、広告費、月々の融資の返済など)

収支計画を作るうえで重要なのが、「返済利益の確保」です。

毎月の返済額が10万円の場合、利益が5万円しかなければその月は返済ができないということとなります。

手持ちのキャッシュで返済が可能ならよいのですが、これができない場合には返済ができない月が発生してしまうことになります。

このような計画は審査でも大きなマイナスとなるため、十分に気をつけてください。

美容室の融資で役立つ。無料の事業計画書作成ツール

美容室の事業計画書の作成では、以上のような点に注意する必要があります。

しかし、次のフォーマットを使えば、資金額を入力するだけで収支の目安がわかるため、簡単に事業計画書を作ることができます。

【無料】5分で診断!事業計画作成サポートツール
事業計画作成サポートツールとは?
  • 健全経営をしている先輩経営者と、あなたが作成した事業計画とを比較・判定できる
  • 開業資金と売上見込みを入力するだけで、あなたの事業計画の安全率を測定できる

さらに、作成した事業計画はCSV形式、Excel形式、PDF形式でデータをダウンロードでき、日本政策金融公庫の融資申請時の事業計画書としてご利用頂けます。
あなたの事業計画は成功する計画かどうか、ぜひチャレンジしてみてください。

売れる美容室にするために絶対しておいた方がよい3点

開業後も集客できる美容室とするためには、はじめによく考えておかなければならないポイントがあります。

これをしっかり作ることで、説得力のある事業計画書になるだけでなく、実際の経営を成功させるための重要な要素となります。

コンセプトを決める

事業計画書の作成は、コンセプト作りからはじまります。

まずは、セールスポイントとなる強みや専門とする技術など、価格以外の価値を見つけ、差別化できないかを考えましょう。単純な安売りや安易なプランは長続きしないだけでなく、他店との競争を引き起こす原因となります。

ターゲットを決める

ターゲットの設定では、自分の店にどんなお客が来てほしいかということを考えます。とはいえ、自身のコンセプトやターゲットからかけ離れた設定では、集客は困難です。ターゲットの設定にあたっては、どのような人がどのような過程で来店するのかといったストーリーをイメージすると作りやすくなります。

ターゲットの設定は、できる限り具体的に、かつ詳細に行いましょう。

また、これとあわせてどんな方法で集客するかを考えれば、より現実的なプランを作ることができます。

他の店舗を研究してみる

コンセプトや経営方針を考える際には、他店を参考にするという方法が効果的です。

できるだけ多くの店舗を見て、自分に取り入れられるものがないかを研究しましょう。

具体的には、他店のコンセプト、セールスポイント、集客方法、サービスの提供方法などを参考にすることで、さらに計画をブラッシュアップすることができます。

無料セミナー・オンラインセミナー多数掲載
【起業セミナー】で起業・経営を学ぶ

日本最大級の起業・独立支援プラットフォームであるドリームゲートが公認した、起業の専門家のセミナーを紹介しています。オンライン開催、対面型などさまざまな開催方法から選べます。

すべての起業・経営セミナーはこちらから>>

美容室の開業におすすめの本 厳選の3冊

事業計画を作るときには、書籍なども参考にすると、違った視点からさらに深い情報を得られます。ここでは美容室の開業の参考となる3冊の書籍をご紹介します。

決定版美容室の開業―3575軒の開業支援から導き出した店づくりの考え方

美容室に特化した事業計画書の書き方や税務の基礎知識、開業事例など、開業に必要な知識がまとまっています。また、開業スケジュール表や備品リストが付録でついているので、すぐに活用できます。

参考:https://www.amazon.co.jp/dp/490694180X/

美容室が10年後も変わらずに運営できているかはすべて開業時に決まる!

美容室経営の現状を踏まえ、長寿店舗にするためには何が必要かという視点から、物件探しから実際の経営の知恵までをまとめたもので、読者の評価も高い一冊です。

参考:https://www.amazon.co.jp/dp/4815007675

1人サロン経営で月額100万円を実現する7つの秘策

美容室に特化した内容ではありませんが、多くのサロンを成功に導いてきた著者による経営の実践的ノウハウが詰め込まれています。ターゲット・コンセプト・集客方法なども詳しく説明されていて、参考になります。

参考:https://www.amazon.co.jp/dp/486367497X

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

まとめ

美容室開業の場合、多くのケースでは融資での資金調達が必要となりますが、その際には事業計画書の内容が結果に大きな影響をおよぼします。金融機関に評価される事業計画書を作るには、熱意も必要ですが、その計画が現実的かつ実現可能であると納得させるものでなければなりません。そのためには、事業プランを見直す、資料などで計画の根拠を明らかにするなどの対策が欠かせません。また、計画を作るときには、公庫の記載例を参照するなどの他、こちらのようなツールを使うと作業を効率的に行うことができます。

【無料】5分で診断!事業計画作成サポートツール

●累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
●日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる
●12業種・4188社の経営者と比較し、あなたの事業計画の安全率を判定

これらの機能がすべて無料で利用できます!

執筆者プロフィール:引地 修一/Ichigo(一期)行政書士事務所

創業者と経営者の資金調達から事業再生、記事取材までを幅広くサポート。
保有資格:行政書士、事業再生士補、事業再生アドバイザー、宅地建物取引士、古物商

 

この著者の記事を見る

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める