2/5追記・特別枠が追加決定!「事業再構築補助金」について税理士が解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 中野 裕哲

※2021年2月5日に情報追加しました。この時点で発表されている情報をまとめています。最新情報は常に変わりますので、詳細は筆者にお問合せください。

令和2年度第3次補正予算での追加経済対策として新しい補助金が閣議決定されました!

コロナ後の中小企業の事業の再構築を支援する大型の補助金です。予算規模は1兆円を超えており、現政権のコロナ向け経済対策として、目玉となる政策となっています。

中小企業、ベンチャー企業にとっても、アフターコロナの事業の再構築のカギを握る大事な経営施策になると思われます。今から、情報を知っておきましょう。速報として、概要や事業者が準備すべきことなどをお伝えします。

事業再構築補助金の概要

まずは事業再構築補助金がどのような補助金なのか、概要をつかみましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響が⻑期化し、当⾯の需要や売上の回復が期待しづらいなか、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中⼩企業等の事業再構築を支援することで、⽇本経済の構造転換を促すことが重要です。

※2/5追記・事業再構築補助金に特別枠が創設されました。

令和3年2月4日、大きな改変が発表されました。事業再構築補助金に特別枠が創設されました。通常枠より補助率が引き上げられ、通常枠よりも迅速な審査・採択がされますので、状況がひっ迫している中小企業の方はぜひ検討してください。

中小企業庁 ミラサポPlusより

特別枠の要件

通常枠の要件に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1〜3月のいずれかの月の売上高が対前年(or対前々年)同月比で30%以上減少していること。

特別枠の概要・金額

  • 事業規模に応じて補助上限を設定した上で、補助率中小企業3/4(通常枠:2/3)、中堅企業2/3(通常枠:1/2)に引き上げ。
  • 通常枠より迅速な審査・採択を行うとともに、特別枠で不採択の場合でも、通常枠で再審査を受けることが可能。
従業員数 補助上限 補助率
5人以下 500万円 中小企業:3/4 中堅企業:2/3
6〜20人 1,000万円
21人以上 1,500万円

通常枠、特別枠ともに事業計画を認定支援機関(経営革新等支援機関)とともに作成する必要があります。筆者の運営するV-Spiritsも、認定支援機関です。相談は無料ですのでお問い合わせください。

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事業再構築補助金を創設する理由「なぜ支援するのか」「何をどう支援するか」

政府が事業再構築補助金を創設する理由は、もちろんコロナ禍対策ですが、その他にも、中小企業の生産性を上げる狙いがあります。

政府のなかで、単に中小企業を救済するのではなく、中小企業改革を進める必要があるとの認識が広まりました。中小企業がM&Aなどを通じて統廃合することで事業規模が拡大し、その結果生産性があがる、というわけです。

もちろん「中小企業を見切る」ことがあってはいけません。そこで中小企業をネガティブに統廃合するのではなく、ポジティブに再構築していくことにしました。事業再構築補助金は、それを支援するわけです。

事業再構築補助金は具体的には、新分野への事業展開、業態・事業・業種の転換などの取り組みや、事業再編またはこれらの取り組みを通じた規模の拡⼤、海外展開など、思い切った事業再構築に意欲を有する中⼩企業などの挑戦を支援するという補助金です。

事業再構築を通じて中⼩企業等が事業規模を拡⼤し中堅企業に成⻑することや、海外展開を強化し市場の新規開拓を行うことが特に重要であることから、これらを志向する企業をより⼀層強⼒に支援します。

成果目標

事業再構築補助金には成果目標が設定されます。事業終了後3〜5年で、付加価値額の年率平均3.0%(⼀部5.0%)以上 増加、または従業員⼀⼈あたり付加価値額の年率平均3.0%(⼀部 5.0%)以上の増加を⽬指します。

付加価値額とは

付加価値額は次の計算式で算出します。

  • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

さらに、従業員1人当たり付加価値額の計算式は次のとおりです。

  • 1人当たり付加価値額=付加価値額/従業員数

補助金の対象になる要件

補助金の対象となる要件は次の通りです。

1)申請前の直近6ヶ月間のうち、売上高が低い3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の売上高と比較して10%以上減少している中小企業等

2)自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定した中小企業

認定支援機関(経営革新等支援機関)とは

認定支援機関(経営革新等支援機関)とは、国が認定した中小企業などの経営支援を行う機関。専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する。金融機関、税理士など、令和2年12月18日現在約38,000機関が登録されています。

参考:中小企業庁HP

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小規模事業者や個人事業主も対象になる

事業再構築補助金は中小企業だけでなく、小規模事業者や個人事業主も対象になります。この補助金の支援対象となる中小企業の範囲は、中小企業基本法と同じになります。

中小企業(中小企業者)と小規模事業者(小規模企業者)の定義は以下のとおりです。

業種 中小企業者 小規模事業者
資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員の数 常時使用する従業員の数
製造業、建設業、運輸業、下記の業種以外 3億円以下 300人以下 20人以下
卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

補助金額・補助率

補助金額 補助率
中小企業(通常枠) 100万円以上6,000万円以下 2/3
中小企業(卒業枠)※1 6,000万円超~1億円以下 2/3
中堅企業(通常枠) 100万円以上8,000万円以下 1/2(4,000万円超は1/3)
中堅企業(グローバルV字回復枠)※2 8,000万円超~1億円以下 1/2

※1.中小企業(卒業枠):400社限定。

計画期間内に①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠。

※2.中堅企業(グローバルV字回復枠):100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。

①直前6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヵ月の合計売上高と比較して15%以上減少している中堅企業。

②事業終了後3~5年で、付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること。

③グローバル展開を果たす事業であること。
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補助対象経費はどのようなものか?

建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)などが補助対象経費に含まれます。

※補助対象企業の従業員の人件費および従業員の旅費は補助対象外です。

具体例「どのような事業が対象になるのか」

具体的に、どのような再構築が事業再構築補助金の対象になるのか紹介します。


(例1)⼩売店舗による⾐服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売上が減少したことを契機に店舗を縮⼩し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換。

補助対象経費の例
店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用など

(例2)レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少。店内での飲食営業を廃止。オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。

補助対象経費の例
店舗縮小にかかる建物改修の費用、新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用など

(例3)ガソリン⾞の部品を製造している事業者が、コロナ危機を契機に従来のサプライチェーンが変化する可能性がある中、今後の需要拡⼤が⾒込まれるEVや蓄電池に必要な特殊部品の製造に着⼿、⽣産に必要な専⽤設備を導⼊。

補助対象経費の例
特殊部品の設計、加工費、製造設備の導入費

(例4)航空機部品を製造している事業者が、コロナの影響で需要が激減したため、当該事業の圧縮・関連設備の廃棄を行い、新たな設備を導⼊してロボット関連部品・医療機器 部品製造の事業を新規に⽴上げ。

補助対象経費の例
事業圧縮にかかる設備撤去の費用、新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用など

(例5)コロナ禍で宿泊が激減し、稼働率が低下しているホテルが、客室の一部をテレワークルームに改装。

補助対象経費の例
テレワークルームに改装するための改装費やシステムの導入費用など

(例6)一般客が減った美容室が、インターネットを活用した着付けレンタル事業に参入。

補助対象経費の例
新しいシステムの導入費用など

(例6)受注が減った金属加工の町工場が、抗ウイルス製品の開発、製造に参入。

補助対象経費の例
生産ラインの増設などの設備費用など

募集時期など、事業再構築補助金のスケジュール

事業再構築補助金の受付開始は、2021年1月中に関連予算が成立すれば、2月か3月ごろになるといわれています。

仮に3月に受付が開始されると仮定し、過去に実施した他の補助金の実績から予想した事業再構築補助金のスケジュールを紹介します。

2021年2月 事業再構築補助金の内容がを公開されます(事業者が詳しい内容を知ることができます)
2021年3月 事業再構築補助金の募集が開始されます
2021年3〜5月 受付期間
2021年5月 募集が締め切られます
2021年5〜7月 審査されます
2021年7月 採択結果が公表されます
2021年8月 交付が決定されます
2021年8月〜2022年7月 補助対象期間(事業者が補助金対象の業務を行います)
2022年8月〜9月 事業完了を報告をします
2022年9月〜10月 事務局が事績報告の内容を検査します
2022年11月 補助金が振り込まれます

補助金の振込は、補助金対象の事業を行ったあとになります。つまり、先に経費を支払い、あとからその経費を補填するお金を入手することになりますので、資金繰りには十分注意してください。

融資や資金繰りとの関係

基本的に補助金や助成金は、先にお金を使って、半年後~1年後くらいにやっと受給できるという性質のものです。今回の補助金は、金額が大きいため、先に支出する分の資金について融資や出資などもカギとなってきます。いまから戦略を練っておきましょう。

他の補助金・助成金との関係

経済産業省の予算案などを見ると、2021年(令和3年)の補助金は空前の当たり年になると予測できます。事業再構築補助金の他にも、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の募集も予定しています。その他にも各都道府県の補助金や厚生労働省の助成金もあります。

ただ、基本的に補助金や助成金同士で対象経費がカブるのは禁じ手です。いろいろな補助金や助成金を最大限受給するには、全体を俯瞰してみながら、対象経費を上手にズラしていくことがコツとなります。ここを意識して、準備を進めましょう。

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補助金を受けるための準備

事業再構築補助金の受給を希望する事業者は、今から準備に取り掛かりましょう。

 事業計画書に記載する内容を決めておく

事業再構築補助金を受給できるかどうかは、事業計画書にかかっているといっても過言ではありません。以下の内容を確認しておき、すぐに事業計画書をかけるようにしておいてください。

  • 過去2期分の決算書
  • 取り組む事業のコンセプト、ターゲット、提供するサービス・製品、その特徴
  • 取り組む事業の経費、何にいくらくらい使うのか
  • 自社の強み
  • 経営者のキャリアや実績
  • 会社の歴史と実績
  • 売上の見込み
  • 利益の見込み

事業再構築補助金の申請に必要となる資料

事業再構築補助金の申請をするときは、「事業計画書」「経理関係書類」「経費区分別実施内容を明らかにする資料」が必要になります。

「事業計画書」は、応募時に必要になるので、早期に準備することになります。

「経理関係書類」は、補助金の交付が決定してから必要になります。契約書や注文書、注文請書、見積書、仕様書、納品書、請求書、振込控などが対象になります。事業再構築補助金関係のこれらの書類は、普段の経理業務で使う書類とは別に保管しておいがほうがよいでしょう。

「経費区分別実施内容を明らかにする資料」も、補助金の交付が決まってから必要になります。対象となるのは、購入した物品などの現物の写真や関連資料です。その他、ソースコードや画面キャプチャー、チラシやパンフレット、制作物なども保管しておいてください。

GビズIDを取得しておく

事業再構築補助金は電子申請となる可能性が高くなっています。電子申請には、国が運営する電子申請システム「jGrants」を利用することになるでしょう。jGrantsの利用には「GビズID」という専用のIDが必要です。

GビズIDの登録完了は2週間程度かかるので、今からGビズIDの登録に取り掛かることをお勧めします。

事業再構築補助金の採択率

事業再構築補助金の初回申請時の採択率は、過去の他の補助金の実績から類推すると60~80%ほどとみられています。予算が1兆円確保され、補助金の平均額が500万円であれば、20万社が受給できます。

かなり希望が持てる数字といえるでしょう。

事業再構築補助金についてのQ&A

事業再構築補助金にはまだ細かいルールがありますのでQ&A方式で解説します。

Q:「コロナ以前」や「コロナ禍の期間」とはいつのことか
A:経済産業省は、今後詳細を提示するとしています。下記のサイトを参考にしてください。https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/

Q:「任意の3カ月」は連続していなければならないのか
A:連続していなくてもかまいません。

Q:事業再構築として過去に行なったものは、今回の事業再構築補助金の対象になるのか。A:現在のところ未定ですが、対象になるかもしれません。

Q:事業再構築補助金の額は、売上に応じて変わってくるのか、上限はあるのか
A:現時点ではその点についてのアナウンスはありません。会社の規模に見合った事業投資をしたほうがよいでしょう。

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とはいえ、情報の収集や分析は難しいもの。迷ったら、経済産業省系や都道府県の補助金、厚生労働省の助成金、それと融資など、資金調達全般を俯瞰してアドバイスできるプロの専門家に一度、相談してみることをおすすめします。ドリームゲートの無料相談をフル活用しましょう。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 中野 裕哲(なかの ひろあき) /税理士/行政書士/社会保険労務士

起業コンサルV-Spiritsグループ代表。ドリームゲート起業面談相談9年連続日本一。多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。

プロフィール | 無料オンライン相談受付中

ドリームゲートアドバイザー 中野 裕哲氏

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