IT業界で事業計画書の作成が必要な理由

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 引地 修一

これから事業を始められる方の中には、IT事業での起業をお考えの方もいると思います。しかし、一口にIT事業の起業といっても、幅が広く、事業の内容によりかかる経費にも大きな違いが生じます。また、融資を受ける際にも、金融機関に対して独自性や事業プランをうまく伝えられなくてはなりません。

この記事では、これからIT事業で起業する方が事業計画書を作る際に注意すべきポイントや、計画書を作るべき理由とともに、簡単に事業計画書がつくれるツールについてご説明します。

IT業界で事業計画書の作成が必要な理由とは

IT関連の企業では、事業内容が専門的かつ複雑となるケースが少なくありません。そのため、単に融資を得る手段としてだけでなく、事業内容を銀行へわかりやすく伝えるツールとしても、事業計画書の作成が必要となります。

融資を受けるため 

起業する方にとって、事業計画書を作成する最大の理由は「融資を受ける」ことにあります。日本政策金融公庫をはじめ、制度融資や市中の銀行等で融資を受ける際には、事業計画書の作成・提出が不可欠です。

事業計画書に書くべきことは、金融機関のフォーマットにより、多少の違いはありますが、基本的には「これまでの経歴や方針」と「収支の見込み」の2つの要素からなります。

しかし、IT関連の事業の場合には、そのアイデアや事業の仕組みをできるだけ、非IT業界の人でも理解できる、わかりやすい表現で作成する必要があります。

事業計画を客観視するため

事業計画書を作成するもう一つの大きな意味は、「自分の事業を客観的に把握できる」ことにあります。

自分の頭の中だけで考えた計画の場合、どうしても漏れや不十分な箇所が生じます。しかし、計画としてまとめた場合、矛盾する箇所や不足する箇所を見つけられるため、計画の内容を客観的に判断できるようになります。

なお、事業の分析には、業種についてまとめた記事を読むのも有効です。以下のような記事を活用すれば、IT事業に関する特徴や傾向を知ることができるため、今後の経営の参考にできます。

https://kaigyou.dreamgate.gr.jp/kaigyou-report/772/

事業計画書を作るさいに重要なのは、具体的な数値を用いながら、まとめるということです。たとえ仮の段階であっても、数字が反映されていない計画では、内容が明確ではありません。また、矛盾点などにも気づきにくくなります。もし、計画を「事業計画書」という形でまとめたのならば、他の人に見せて意見をもらうと、新しい発見や計画の見直しにつながります。

なお、はじめての融資については、日本政策金融公庫(公庫)の「新創業融資制度」がおすすめです。

この融資は、創業者の方を対象とした専用の融資であり、担保や保証人なしで借り入れができます。

申し込みには、一定の自己資金が必要となりますが、形式的な要件を満たすだけで申し込めるという特徴があるため、融資を受けた経験のない方でも、手軽に利用できます。

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はじめての融資は、日本政策金融公庫の「新創業融資」がおすすめ!

新創業融資制度は、低金利・長期返済・無担保無保証で最大3,000万円までの融資が可能な創業者向けの融資です。このようにメリットの多い融資ですが、創業後は事業開始から2年未満の方しか利用できないため、できるだけ、早い時期に利用することをおすすめします。

たった一枚!まずは「創業計画書」を書いてみよう

新創業融資制度の事業計画書は、記入用紙のフォーマットはA4用紙1枚だけとなっています。

公庫の創業計画書フォーマット(3番目)
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

この事業計画書で記入すべき主な項目としては、以下のものがあります

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴など
  3. 取扱商品・サービス
  4. 取引先・取引関係など
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し(月平均)

このうち⑧については、今後の収支計画を表す部分となります。

公庫のフォーマットでは、この部分について開業当初および6ヶ月経過後の収支見込みを記入することとなっていますが、これだけではその途中の状況や、6ヶ月以降の見込みがわかりません。そのため計画を作るときには、できるだけ下表のように毎月の売上げなどを12か月分記入することをおすすめします。

収支計画部分の例

1月 合計(1~12月)
前月繰越額 200,000 ~略~ 300,000
売上げ 400,000 5,000,000
原価 100,000 1,300,000
売上げ総利益(粗利) 300,000 3,700,000
経費(家賃、人件費、、支払利息、減価償却費等)

※うち減価償却費については3万円

150,000 1,800,000
経常利益 150,000 1,900,000
返済CF(経常利益+繰越利益-減価償却費) 380,000
元本返済額 50,000 600,000
最終利益 330,000 1,300,000

 

この表では、返済CF(キャッシュフロー)の箇所の金額38万円が融資の返済財源となります。(経費のうち3万円が減価償却費)

通常、金融機関では、「前月繰越利益+経常利益+減価償却費」を返済原資として認識しています。つまり、この表では「前月繰越利益(20万円)+経常利益(15万円)+減価償却費(3万円)」が返済原資に該当することになります。

なぜ、経費として一度差し引いた減価償却費を返済CFで再び加算するのかといえば、減価償却費とは会計の上でのテクニックであり、実際にキャッシュとして支出されるものではないためです。

そのため、収支計画では、返済CFが返済する額より低いものとならないようを注意する必要があります。

もし、いきなり創業計画書を書くのが難しい場合は、まずは次のテンプレートを埋めてみることから始めてみてもよいでしょう。

https://www.dreamgate.gr.jp/entrya/format/sheet_I_2.pdf

また、公庫のフォーマット「月別収支計画書」も参考になります。(5番目)

https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

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IT事業で融資に通りやすい事業計画書の5つの共通点は?

IT事業の方が作る事業計画書については、以下の5つのポイントが満たせていると、評価の高くなりやすくなります。

すでに受注が確定した案件を持っている

創業の成功と失敗を大きくわけるポイントとして、「すでに受注が確定した案件を持っているか?」ということがあります。

創業時には知名度や信頼度などの点から、安定して集客をすることが難しい場合が多く、そのため多くの創業者が顧客の獲得に苦労しています。

しかし、事業の開始時に受注ができている、確実な見込みがあるなどの場合は、早期に経営を軌道に乗せることができるだけでなく、審査の上でも大きなポイントとなります。

すでに受託案件等があるような場合には、必ずその案件や見込額を事業計画書に記載するようにしましょう。

十分な経験がある・知名度の高い案件に関わったことがある

日本政策金融公庫の新創業融資制度では、これから起業する業界での勤務経験は6年以上が推奨されています。

これはあくまでも推奨であり、事業経験の内容がシッカリしたものであれば、3~4年程度の経験でも、十分融資を受けることは可能です。

しかし、経験がまったくない、極端に少ないという場合には、審査ではかなり不利となってしまいます。

もしそのような場合には、直接の経験がなくとも、それに近い経験や経営に役立つ経験(例えば経理や総務など)、弱みを補填する別の経験などをできるだけ事業に生かすような形でアピールすれば、認めてもらいやすくなります。

また、以前に知名度の高い案件に携わった経験などがある場合には、これについても評価の対象となります。

メンバーの経歴やITスキルなどがわかる

代表者やメンバーの経歴は、できるだけ詳しく記入しましょう。前職での開発経験やスキルなどでPRできるものがあれば、積極的に記入するようにします。

また融資の担当者はIT業界などに詳しくないことがほとんどなので、専門用語はなるべく使わずに、できるだけわかりやすく表現することをおすすめします。図表や写真などの資料を活用するのも効果的です。

事業がスモールスタートである

一般的に「小さく事業を始める」のがおすすめです。

なぜなら、その方が少ない経費で始められるだけでなく、万が一、事業に失敗した場合の負担も少なくて済むからです。

通常、IT事業の創業で必須となるのは、パソコンとネット環境、外注費などのため、あまり経費がかからないのが普通です。そのため、事業の規模に比べて過大な申込額とならないようにした方が融資の成功率が上がりやすくなります。

事業計画書の数値に根拠がある

事業計画書の審査で、金融機関がとくに注意するのが「返済の可能性」と「資金の使い道(資金使途)」、「それらの数字の根拠」です。

返済ができる計画になっているのは当然ですが、どのような目的で資金を使うのかが明確となっている必要があります。資金使途には、設備資金と運転資金の2種類がありますが、それぞれについて金融機関が考える必要性や妥当性が異なるため、しっかりと内訳を明記してください。また、これらの記入をするうえで、使われている数字にどれだけ具体的な根拠があるかということも重要なポイントとなります。

売上げ見込み額や利益については、自分で想定したものだけでなく、公的なデータや他社事例、過去事例などで裏付けをすると、さらに信ぴょう性が増した内容となります。

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IT業での起業におすすめの補助金

IT関連の事業で起業する場合、以下のような補助金が使える可能性があります。補助金の申請には、共通した注意点があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

補助金申請のポイント

補助事業にかかる経費は事業者が先払い

補助金は「先支払い、後受給」が原則です。事業者が補助事業をするさいには、事業にかかる経費をいったん先払いして立て替える必要があります。そのため、通常の経営に必要な資金も含め、最後まで資金繰りができるかに注意する必要があります。なお、実際に補助金が支給されるのは、確定検査に合格した後となります。

補助金の申請では資金調達の見込みも重要

補助金の申請では、技術的なことだけでなく、補助事業にかかる経費の準備が見込めているかも審査の対象となります。調達の方法は融資などでも問題ありませんが、実現可能性の低い内容では審査に通らない可能性があります。

補助事業の着手は交付決定後から

補助事業などは、基本的には交付決定日以降にしか着手できません。そのため、もし交付決定日以前に事業に着手している場合にはその経費が支払われないことがあります。

交付決定額がかならずもらえるわけではない

補助金の審査に合格すると、交付決定が行われます。しかし、この交付決定で通知される金額は最大のものであり、必ずこの金額がもらえるわけではありません。補助金では、事業完了後に確定検査が行われますが、この検査で確定した金額が最終的な支給額となります。そのため、この検査で目的外の支出や正しくできていない処理が発覚した場合には、補助金が減額されることがあります。

審査で加点の対象となるものがある

補助金には、審査での加点が得られるケースがあり、この加点がある場合には採択がされやすくなります。この加点の対象には、比較的簡単に得られるものもあるので、まずは加点の対象とできるものがないかを検討してみてください。

IT導入補助金    

本補助金は、中小企業等がIT導入支援事業者の協力を受けて、生産性の向上に資するITツールを導入するための事業費などの一部を補助するものです。

通常枠A・Bの他、低感染リスク型ビジネス枠C・Dがあります。

なお、原則として、IT導入支援事業者が提供し、かつ本事業において登録されたITツールのみが補助対象となります。(C・D 類型については、一部例外あり)

『補助金額』

  • A類型   30万円~150万円未満
  • B類型   150万円~450万円以下
  • C-1類型  30万円~300万円未満
  • C-1類型  300万円~450万円以下
  • D類型   30万円~150万円以下

【A類型】
1種類以上の業務プロセスを保有すること

【B類型】
4種類以上の業務プロセスを保有すること

【C類型】
2種類以上の業務プロセスを保有すること。複数のプロセス間で情報連携し複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を可能とするもの。

【D類型】
2種類以上の業務プロセスを保有すること。テレワーク環境の整備に資するクラウド環境に対応し、複数プロセスの非対面化を可能とするもの。

『補助率』

  • A類型、B類型 1/2以内
  • C類型、D類型 2/3以内

『対象となる経費』

IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用が補助の対象となります。ただし、内容や機能によっては、対象とならないものもあります。

『その他』

  • 本補助金の申請では、中小企業者等であること、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うことなどの要件を満たす必要があります。
  • 国の推進する関連事業の実施、国が推進する「クラウド導入」への取組み、インボイス制度の導入などをしている場合には、審査で加点 がされます。ただし、過去3年間に、類似の補助金の交付を受けた事業者は、審査上の減点措置の対象となります。
  • https://www.it-hojo.jp/
  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること
  • 地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
  • クラウドを利用したITツールを導入すること
  • テレワーク対応したITツールを導入すること
  • インボイス制度対応したITツールを導入すること
  • 以下の要件をすべて満たす事業計画を策定し、従業員に表明していること
  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金   (ものづくり補助金)  

本補助金は、中小企業等が今後に直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

また、通常枠については、別途、優先的に支援される特別枠として「低感染リスク型ビジネス枠」が新たに設けられています。

『補助金額』

  • 一般型 100万円~1,000万円
  • グローバル展開型 1,000万円~3,000万円

『補助率』

  • 一般型 [通常枠]  1/2 小規模企業者・小規模事業者 2/3
  • [低感染リスク型ビジネス枠特別枠]  2/3
  • グローバル展開型 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3

『その他』

  • いずれのタイプにおいても、単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要となります。
  • 以下の補助事業実施期間に、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了する事業であることが必要となります。
  • 一般型:交付決定日から10か月以内(ただし、採択発表日から12ヶ月後の日まで)。
  • グローバル展開型:交付決定日から12ヶ月以内(ただし、採択発表日から14ヶ月後の日まで)。
  • 経営革新計画承認書や事業継続力強化計画認定書などの提出ができる場合には、審査において加点がされます。
    https://portal.monodukuri-hojo.jp/

まとめ

IT事業での起業は、店を構える飲食店などと比較して、低コストではじめやすいといえます。

しかし、事業の内容や仕組みを金融機関に十分理解してもらうためには、事業計画をわかりやすく説明する、専門用語を使わない、売上げの見込みを立てるなどが成功のカギとなります。また、補助金との相性もよいため、積極的に活用すれば、資金繰りを楽にすることができます。

なお、計画の立案や事業計画書の作成について専門家のサポートを利用したいという場合は、ドリームゲートのアドバイザーに「無料」で相談ください。

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さらに、作成した事業計画はCSV形式、Excel形式、PDF形式でデータをダウンロードでき、日本政策金融公庫の融資申請時の事業計画書としてご利用頂けます。
あなたの事業計画は成功する計画かどうか、ぜひチャレンジしてみてください。

執筆者プロフィール:引地 修一/Ichigo(一期)行政書士事務所

創業者と経営者の資金調達から事業再生、記事取材までを幅広くサポート。
保有資格:行政書士、事業再生士補、事業再生アドバイザー、宅地建物取引士、古物商

 

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