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経営見える化 Vol.1 損益分岐点を明確にしよう!

経営改善・成長戦略

執筆者: ドリームゲート事務局

Vol.1 損益分岐点を明確にしよう!

起業の志す皆様、経営者の皆様

経営管理指標の作成や数値管理にお困りではありませんか?
数値は会社の全てを教えてくれる経営のパートナーです。このコラムでは、Excelで実現する「経営見える化」について説明します。経費を可視化し、損益分岐点を明確に把握しましょう。最低限追わなくてはならない売上・利益が常に可視化されることで経営判断を行いやすくなります。(画像やサンプルファイルを使って解説します。)

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目次
1. 小さい会社だからこそ必要!経営可視化を実現し、質の高い企業経営を行うために
2. 経営者はなぜ「売上至上主義」になりやすいのか
3. 固定費と変動費、そして原価。最低限把握しておかなくてはならない経費について
4. 「売上⇔経費」ではなく、「粗利⇔経費」で把握する方が楽
5. 損益分岐点を明確に把握しよう
6. 頭の中に簡単な「物差し」を用意しておこう
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1. 小さい会社だからこそ必要!経営可視化を実現し、質の高い企業経営を行うために

起業し事業をスタートさせると、経営に係るさまざまな付帯業務が発生します。スタートアップからある程度の期間を経過し、会社が立ち上がって業務が組織分化されている場合は良いのですが、実際始めたばかりの小さな会社では、経理処理や経営管理は代表者が自分で行っていることが大変多いと思います。

・売上を上げるための営業活動
・会社の経営業務
・人財の採用

その全てを社長がこなし、場合によっては商品やサービスの開発も社長自身、ということもあるでしょう。
そんな中、スタートアップ時にどうしてもおざなりになりがちなのが「経営業務・経営管理」です。
スタートアップ時はどんな企業であっても売上の獲得や企業、商品、サービスの認知活動に必死です。
中々管理業務に手が回らず、気がついた時には手を付けるのも躊躇するような領収証の束…
そのような経験を一度はされたことがあるのではないでしょうか。
恐らく経営者の方々は、このような状態であっても日々の資金の出入りからざっくりと自社の経営状態を把握はされていることと思います。
このような状態で1年を過ごし、決算期に帳簿業務を行って細かなことは税理士さんに依頼し、決算書ができてきた時に1年を振り返る…という事態は決して好ましくありません。
さらなる成長のステージへスムーズに向かうためにも、また、経営状態のアラートを早期に察知し、資金政策などをスムーズに行うためにも、常々自社の経営状態を可視化しておくことがとても重要です。
このコラムでは、小さな企業の忙しい経営者がわずかな手間で質の高い経営管理を行い、常に自社の経営状態を可視化できるようにするための方法や考え方をお知らせします。ややこしい、難しいことは一切書きません。
高価な会計ソフトなど持っていなくても大丈夫です。みなさんの目の前にあるそのパソコンと、Excel等の表計算ソフトだけで充分可能です。
会社のさらなる成長のため、少しだけ手間をかけて質の高い企業経営を行っていきましょう。

2. 経営者はなぜ「売上至上主義」になりやすいのか

企業経営において、「利益」が最も大切であることは誰でも知っています。
「そもそも儲からなくちゃしょうがないでしょ!」
しかし実際に企業を経営してみると、そう言っていたあなたもすぐに「売上至上主義」になってしまうかもしれません。
何故経営者は売上至上主義に陥りやすいのか、それは…
まず、経営者の頭の中は「資金繰り」のことで一杯だからです。
「売上」とは、会社に入金される「キャッシュ」そのものですね。
そして経営者の頭の中には、常に「今月いくらの支払いが発生するか」ということが渦巻いています。
「今月●●円の入金があって、そこから従業員の給与、取引先への支払、家賃…」となる訳です。
創業当初の企業において、資金がとても潤沢な状態というケースは少ないと思います。
そのため「得られた利益の額」よりも、「得られる入金額」に目が行きやすくなるのです。
売上確保は絶対に必要です。当座の資金確保のため、利幅が薄くても獲っていかなくてはならない案件も当然あります。
ただ、その一つ一つの状況をしっかりと可視化し、経営状態がどうなっているのかを常に把握できるようにしておくことにより「利益を確保できているのか」ということを知っておかなければなりません。

3. 固定費と変動費、そして原価。最低限把握しておかなくてはならない経費について

当たり前のことをあえて書きますが、企業経営を行う上ではさまざまなコストがかかります。
まずこのコストを最低限3つに分類して把握しておくことが必要です。
その3つとは以下の通りです。
・固定費
・変動費
・原価
あなたの会社でかかっている経費を、この3つに分類して管理をしておきましょう。

●固定費とは
その名のとおり、企業が今の形、状態で存続している限り、常に発生し続ける費用のことです。
人件費(正社員)、家賃、減価償却費などがこれにあたります。
●変動費とは
事業の展開や活動により、項目の数や金額が変動する費用のことです。
アルバイト人件費、派遣社員の業務委託料、各種支払手数料、旅費交通費、通信費、車両燃料費等、さまざまな費用があります。
●原価とは
あなたの会社の商品・サービスを生産したり、販売する商品を他社から仕入れたりする際に発生する費用のことです。

大まかに分類すると、あなたの会社のコストはこの3種類の費用で構成されています。

会社の利益構造とはざっくりと下図のようになっています。

上図のように大まかに費用を3種類に分けて可視化するだけでも、事業の利益構造を常に把握することができるようになります。

【図1】大まかに捉えた会社の利益の構造

4. 「売上⇔経費」ではなく、「粗利⇔経費」で把握する方が楽

簡単な経営管理・可視化の視点で考えると、「売上⇔経費」ではなく「粗利⇔経費」で考える方がよりシンプルになります。あなたの頭には、恐らく「この商品は●●%儲かる」と入っているはずですね。
ただ、この場合の「儲かる」は多くの場合、「粗利」です。
「粗利」とは売上から原価を引いたものであり、商売において
「この商品の売値はいくらで、仕入れはいくら。だから儲けはいくら」
という計算と直結している訳です。
ただ、仕入れ以外にもあなたの会社では経費が掛かっています。
常に利益志向を持って事業に取り組むためにも、「得られた粗利から経費を引くと、【会社の儲け】はいくら」という考え方をプラスする必要があります。

【図2】会社の「儲け」は、粗利⇔経費で考える方がシンプルで簡単です

会社の「儲け」がどのようになっているのかを、常に把握する習慣をつけましょう。

5. 損益分岐点を明確に把握しよう

ここまで、経費を3つに分けて管理すること、会社の大まかな利益の構造についてのお話をしました。
このことを明確にしていくと、あなたの会社の「損益分岐点」が明確になります。
「えー、そんなの知ってるよ!」という経営者の方もいらっしゃるとは思います。ですが、意外とちゃんと把握できていらっしゃらない方が多いのも事実。
何故かというと、「損益分岐点は会社の活動状況によって移動する」からなのです。
先程ご説明したとおり、会社の経費は大きく分けて3種類あり、そのうちの2つは企業活動の状況によって変動します。
経費をどんどんかけながら仕事を取っていくスタイルの事業構造を持っていらっしゃる経営者の方で、実際の会社の利益が肌感覚とずれることがある方は、損益分岐点を常に明確にしておくことでそのずれをなくすことができます。

図解すると、会社の損益分岐点は以下のようになります。

【図3】企業活動の状況により、損益分岐点売上高は変化していきます

上図のように、企業活動の状況により損益分岐点売上高は変化していきます。経費のライン(赤の線)は、固定費があるのでゼロからのスタートではありません。そして活動状況によって使用される原価や変動費が上乗せされ、上昇していきます。この経費の上昇線を、売上額が追い越すポイントが「損益分岐点売上高」です。この損益分岐点売上高を明確に把握しておくことで、利益志向を持った企業経営を行うことができるようになります。

6. 頭の中に簡単な「物差し」を用意しておこう

このような数字の把握をし、可視化をしても、忙しい経営者の方はじっと事務所の中でパソコンとにらめっこしている訳ではありませんね。
そこで、簡単な「物差し」を頭の中に入れておくととても便利です。先程ご説明した通り、経費はざっくり3つに分けて管理をします。
その上で、以下の3つの計算をしてみましょう。
1つ目 : 固定費 ÷ 売上(もしくは粗利) × 10,000
2つ目 : 変動費 ÷ 売上(もしくは粗利) × 10,000
3つ目 : 営業利益 ÷ 売上(もしくは粗利) × 10,000

こうすれば、売上(もしくは粗利)10,000円あたりの
・あなたの会社の固定費
・あなたの会社の変動費
・あなたの会社の営業利益
がわかります。

少なくとも、この案件で獲れる「粗利」が、あなたの物差しの2つ目、売上10,000円あたり●●円の変動費を上回っていれば、会社に利益が入り、固定費の支払いに充てることができます。

このような簡単な「物差し」を持ちながら日々の商談を行うだけでも、会社の利益構造は可視化され、経営品質が大きく向上します。

次回のコラム「経営見える化 Vol.2 予算を立てよう!」では、予算を立てる際の注意点や考慮すべきポイントを解説します。

バックナンバー

経営見える化 Vol.1 損益分岐点を明確にしよう!

経営見える化 Vol.2 予算を立てよう!

経営見える化 Vol.3 日次決算を取り入れよう!

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