Vol.9「売れる広告の作り方」広報も広告? どこが違うの?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 広告と広報は一般的には違いますが、集客や売上アップをしたい経営者にとって、用語の違いは重要な違いではありません。私は広報も広告活動だと考えています。逆に、広告も広報活動とも言えます。ただ数点だけ違う点があります。その違いから観える集客効果の違いとは。今回はそこをお伝えします。

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さて、広告と広報はどう違うのでしょうか?

広告の国際的に見た広告の定義は、この3条件を満たすものとなっています。

1.管理可能な広告媒体(広告主が宣伝しようとする場合、新聞記事やテレビ番組に取り上げてもらう管理不可能なパブリシティと区別するためである)

2.非人的メッセージ(個人が言うことなど人間に依存しない)

3.明示された広告主 (advertiser) が行う

 しかし、最近はe-mailとか、Blog、SNSなど個人的なやり取りに広告が入ってきたり、アフィリエイトなど消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をする手法も一般的になってきたため、「2.非人的メッセージ」というのは古い定義になりつつあります。広告に見えないような広告はステルスマーケティングと呼ばれたりもします。

それでは、広報の定義とは?

 wikipediaでは以下のように紹介されています。
“商業的な意味での広報活動は、情報を発信する側がメディアにお金を支払う必要のない宣伝のことです。メディアは情報を取り上げるかどうかは判断するだけ。極端に言えば、宣伝的な活動をタダでできるのが広報(PR)です“

 こちらも、情報発信側がメディアにお金を支払う必要がない宣伝となっていますが、ステルスマーケティングはお金を払わないで口コミとして広げられるケースもあります。そうなると、余計に、広告と広報の違いなんて、どこにあるのかわからなくなっています。

 ですから、10人以下の中小企業が、これは広報、これは広告などと分けて対応する必要はありません。そんなヒマもないのが中小企業です。大企業では、それぞれ部門があるかもしれませんが、小さな規模の中小企業ではすべての活動が社長を含めた全従業員の双肩にどっしりとのしかかっています。

 それだけに、すべての情報発信がどんな効果を狙っているのか。どんなところが注意点なのかを知っておく必要があると思います。広告と広報では効果にも差があります。そこをわかったうえで使い分けていただけたら、対費用効果の良い情報発信ができます。

 さて、先日、私はプレスリリースの講座に出席しました。このプレスリリース、またはPRと呼ばれるものが広報です。

 そこでも講師は、お金をかけずにメディアに出ることができることを強調していました。私もフジテレビ、日本テレビに出させていただいたことがあるので、その点は、そのとおり!と思います。

 中小企業は、広告費をかけたくてもかけられない時があります。事業が安定するまでは資金繰りとの戦いですもの。そういう時にプレスリリースは強い味方です。

 しかし、よくクライアントさんから泣きが入ります。たとえば、物販の会社の社長さんから、「目的の雑誌から取材が来たと喜んでいたのに批判されるような記事を書かれた」と言って泣きつかれたことがあります。全国誌に掲載されても酷評されたのでは、かえって売上が下がってしまいますから泣きたくもなるというものです。また、「丸一日撮影につきあわされたのに、映ったのは後ろ姿だけだった」とか、ひどい場合は「そのままお蔵入りとなってしまった」なんて場合もあります。

 飲食店や美容院は、「取材されて集客が成功して忙しくなりすぎて、メディア出演の効果が薄れたら既存客が離れ売上が激減してしまった」なんて話はザラにあります。中には、メディア出演だけ増えて、集客も売上アップもできないケースもあります。

 このように、“いつ、どこで、だれに、何を、どんな風に” がハンドルできないのが広報です。

 この“いつ、どこで、だれに、何を、どんな風に”をハンドルできるのが、広告です。
 自社のセールに合わせて折り込みチラシをするとしたら、曜日や地域、チラシの内容やデザインまで指定することができます。リスティング広告を出したら、○月○日の〇時から〇時まで、自社から5キロ圏内のモバイルを使用している人とまで指定できます。看板は、ずーっと出した場所にあります。リストがあれば、長い手紙のようなDMを個人に開いてもらうことも可能です。
 ですから、あなたの会社の強みやあなたの会社のイベントの良さなどを、あなたが伝えたいとおりの文章やデザインにしてお客様に届けることができるのが広告と考えてください。

 広報は、無料で広告できるけど“いつ、どこで、だれに、何を、どんな風に”がコントロールできない。

 広告はお金がかかるけど“いつ、どこで、だれに、何を、どんな風に”がコントロールできる。ここが最大の違いです。

また、広報と言われるプレスリリースが成功してメディアに出ると、マスコミや他人からの客観的な意見と受け取られるので内容への信頼度が高くなるが、広告は信頼度が高くない。プレスリリースは、取り上げられるために、話題性・公共性・時事性が必要だが、広告は公共性がなくても出すことができる。この点も違いです。

【広報と広告の3つの大きな違い】

  広報 広告
コントロール できない できる
信頼度 高い 高くない
公共性 ないと× なくても○

 ですから、その両方のできないところをできるようにして、良い点だけ残そうということで、e-mailとか、Blog、SNSや、アフィリエイトを使って消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をするステルスマーケティングが作られました。

 しかし、このステルスマーケティングも、コントロールしづらいことに変わりはありません。代表的なのが口コミですが、伝言ゲームを考えればわかるように、それぞれの人の価値観や表現によって30人過ぎると、まるで違う内容になっていることが多々あります。ブログに今なら、「韓国が好き!」と書いただけで炎上してしまう可能性があります(苦笑)。
 こういったコントロールできない点から観たら、ステルスマーケティングは広報です。

 そこで、このコントロールしづらい点をなんとかコントロールしようとして、会社内の人に社外の人間だと言ってコメントを書き込みさせたり、費用を支払ってタレントにブログで推薦させるという手法が使われました。

 こうしたことがお客様にばれてしまうと、騙された」、「裏切られた」という感情からファンであった顧客さえ離れてしまうという怖い結果になります。そのうえ、そのことがe-mailやSNSで拡散し、広報の良さである信頼度が一挙に下落して、集客や売上に悪影響が出てしまう可能性が飛躍的に高まります。

 それに加えて、この頃、ステルスマーケティングは、コントロールされた広告であるとの認識のほうが強くなっています。なので、ただ良いからと紹介したお店や本でさえ「アフリエイト?」と思われるようになってきました。

 ですから、今流行のステルスマーケティングは、費用面での負担が少なく影響力が大きいので、経営者にとって魅力的ですが、もろ刃の刃であることを考慮して行ってください。 間違っても大きく始めてはいけません。だって、口コミが最初から大々的に企画されるなんて、どう考えても変でしょう。こういった変なことをすると、隠し事がばれる速度が早くなっていますから、絶対に損です。しないでくださいね。

 さて、では広報と広告、ステルスマーケティングなどを、どうやって使いこなしたら良いかというと、私の考えでは、集客から販売までの仕組みをしっかり作っておいてから、使い分けることをお薦めしています。

 くれぐれも「お金ないから広報で集客」などと考えないでくださいね。

 全国誌に掲載されても酷評されたり、丸一日撮つきあわされただけになったり、メディア出演の効果が薄れたら既存客が離れ売上が激減してしまったり、メディア出演だけ増えて、集客も売上アップもできなかったりしたら、何のための広報かわかりません。

 宣伝は、お客様からどう観えるか、お客様がどう感じるか、お客様は行動してくれるかなど、すべてお客様の側から考えていくものです。広報も広告もステルスマーケティングも、このお客様側からの視点を持って、上手に使いこなしてくださいね。

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