Vol.2 営業のコミュニケーションスキル1~買うお客様に「イエス」と言ってもらえる言葉遣い

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

 「営業職というものは、天性ある一握りの人が成功するもの。若いときに芽が出なければ、一生うだつが上がらないか、途中でリストラされてしまうのだ。今まで、そう思っていました」

 これは、営業職採用で就職が決まっている学生さんが、私の営業セミナーを聴講した後にレポートに書かかれた言葉です。

 ビジネスの成否はどんな形であれ、営業(顧客の獲得)があってこそ成り立つものです。決して特別な職種ではありません。

ところがこの学生のように、いざ自分が営業に携わるとなると、悲観的な見方をする人は少なくないような気がします。

■人間関係のコミュニケーションスキルと、物を売るためのスキルは違う

 営業において必要なコミュニケーション能力は、元々その人に備わっている性格で左右されるものでなく、後天的に鍛えられていくものです。

 そうは言っても口下手な人にとっては、通常のコミュニケーションすら自信がないのに、どうしたら他人に「買う」という決断をさせることができるのか。そこに、「コミュニケーション下手」を自覚している人の悩みがあるのではないでしょうか。

 しかし、心配ご無用です。人間関係を円滑にするためのコミュニケーションスキルと、初対面の人にサービスや商品を購入していただくためのコミュニケーションスキルは別物だからです。

 そこで、3つのポイントに分けて、その違いを対比させながら紹介していきましょう。

 そもそも営業マンの役割は、お客様のニーズと、こちらが勧めるサービスや商品のベネフィット(便益)をマッチさせることにあり、そのためにコミュニケーションをとることが必要なのです。つまり、お客様と「仲良くなること」が営業におけるコミュニケーションの目的(ゴール)ではありません。

 しかし、誰もが営業マンに対して持つ「売り込まれたくない」という、“警戒心”をやわらげてもらうために、お客様に好感をもたれることは重要です。

■買ってもらえるお客様に「イエス」と言ってもらえる言葉を使おう

 1つ目のポイントとして、売れない人がつい何気なくやってしまう過ちを知っておきましょう。それは「買わないお客様に支持される言葉」を選んでしまうことです。

 本当なら、買ってもらえる可能性の高い人(潜在ニーズのある人)から「イエス」をもらうべきところ、買わない人が「イエス」と答えやすい質問をしているために、チャンスを逃してしまうのです。

 一体どういうことでしょうか。例を挙げて解説していきましょう。

 最近、小売店(スーパーやCVS、ドラッグストア等)では、レジでお金を支払う際に必ずと言っていいほど会員カードの有無を尋ねられます。未加入であれば、カードの新規作成を促すことが店(企業)のマニュアルとなっているようですが、この確認のための言葉を意図的にコントロールしている人は少ないようです。なぜなら、ほとんどの店員さんが、カードを作る気にならない言い方をしているからです。

それではまず、あなたが買い物をした店のレジで、店員さんに次のように質問をされたと、想像してみてください。

 「会員カードをお持ちではないですか」「お作りしなくてもいいでしょうか」

 どうでしょう。あなたにとって特に違和感がなかったならば、あなたは世の中に大多数いる(……と思われる)、「面倒だから、別に作らなくてもいいや」と思っている人です。

 もし私がこの店員さんの立場になりカード会員を増やしたいのであれば、こういった質問はしません。どのお客様に対しても、次のような質問にします。

 「会員カードをお持ちでしょうか」「すぐにできますが、お作りしましょうか」

 両方お読みになって、違いがおわかりになりましたか。
1.「お作りしなくてもいいでしょうか」
2.「お作りしましょうか」

 1.の質問の仕方は、「作りたくない」と考えている人にとって、「はい」と返事がしやすい問いかけになっています。

逆に、「作りたくない」と考えている人が、2.のように聞かれたとなると、「はい」ではなく、「いいえ、要りません」と言わなければなりません。1.への返事に比べれば、少し手間がかかる感じですね。

つまり、「作ってくれない人=顧客になっていただけない人」にとって返事がしやすいのが1.の質問です。会員カードを作りたくてたまらない人ならともかく、促さなければ作ってくれない人が世の中の大半を占めると思います。

ところが、1.のような質問をされたとしたら、わざわざ店員さんの問いかけを覆してでも、「いいえ、そんなこと言わずに作ってください」と、言ってくれるものでしょうか。なんとなく「はい」と返事して、作らず終いなのではないでしょうか。

「お作りしなくても……」と、否定語で聞いている店員さんも、初めからそうでなかったかもしれません。「いいえ」と言われることが続いたために、拒否を表す返事を受け止めるのがだんだんと苦痛になり、要らないお客様が「はい」と言う返事で済む質問の仕方に変わっていったのではないでしょうか。

■営業の場では、考えなしに言っていい言葉は1つもない

 こういうこと、営業の世界ではわりとあることです。実はセールストークの型は、買わないお客様の反応によって崩れていきやすいものです。自分の言葉が後ろ向きに変わっていったことに気づかずにいると、ますますお申し込みを獲得することができず、負のスパイラルに陥っていくのです。

 他にも、
・「ご興味なかったでしょうか」
・「いま、お忙しかったでしょうか」
という言い方にも、同じことが言えます。

 こういった言い方が癖になっている人は、お客様に「そうだね」と言われることで、無意識のうちにホッとしている傾向にあります。相手から断られるのではなく、自分から打ち切りにかかれば必要以上に傷つかずに済むからです。しかし、いつまでたっても成果が上がらず、達成感は得られません。

 営業シーンにおいては、考えなしに言ってもいい言葉なんて1つもありません。すべて効果を想定し、意図を持って言葉を選ぶべきなのです。

 買ってくださるお客様が、「イエス」と答えやすくなる質問になっているかどうか、いま一度あなたのセールストークを見直してみてはいかがでしょうか。

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