人生100年時代!!シニア起業のススメ。
〜家事・子育て・家計管理、主婦経験が起業のための武器になる理由〜

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 松延 健児
「シニア起業のススメ」の第1弾コラムをアップしてから約2年が経ちました。その間マスコミほか各方面からさまざまなお問合せを頂き、一番多かった質問は、国や自治体もシニア起業を全面的に支援する中「シニア起業に注目が集まっていますが、何が決め手になるのでしょうか?」でした。その中で「長年企業で蓄積した経験、スキル、人脈が定年後のシニア起業に多いに役立ちますよね?(なぜか男性サラリーマンだけが対象となっている)」という回答コメントを、引き出そうとする質問には少なからぬ違和感を感じたのです。

ここ数年シニア女性起業家が増加傾向にありますが、数字以上に女性パワー(特に主婦発の)が沸騰していることを、シニア起業アドバイザーとして活動する中、肌感覚として実感しています。今回のコラムは「主婦が備える秘めたチカラ」に焦点を当て、シニア起業(プレシニア起業も含め)について考えてみたいと思います。

女性のシニア起業の世界を興味深く観察していると、主婦の強みが見えてきます。特に金銭感覚は顕著に表れます。身近な事例としては、毎日スーパーで5円、10円単位の節約術はたいていの主婦は普通に身に付けている訳で、これが起業の重要なマネジメント力に通じます。起業後間もない時期はどうしても売上は上がりません、そんな時は小さな財布(一般管理費)で、それなりに遣り繰りする創意と工夫が身に付いている主婦はおのずと有利になるのです。また売上アップで収益が確保できるステージになっても浪費はせず、貯蓄や将来の投資に回すファイナンシャルプラニングのバランス感覚もあり、心強い限りです。
シニア起業の多くは年間数百万円の売上サイズが主流で、その単位は家計(年収)のサイズと似ています。つまり現役時代に、数千万・数十億円単位のビジネスで成功を収めたという元企業戦士のノウハウは、シニア起業においては必ずしも有利な経験とは言えないのです。過去のビックビジネスの成功体験を上から目線で振りかざすシニアの方、周囲から煙たがられる傾向にありますのでご注意くださいね(笑。

また家事においても同様で、洗濯・掃除・買い物・料理などすべてをこなすには、曜日別・時間帯、スケジューリングをする段取り力(計画)、その計画を突然の来訪や天候等の不確定な要因も含めて柔軟に変更実践する即決力は、主婦の持つ貴重なスキルと言えるでしょう。
子育て経験も起業の武器の一つになります。子育ては日々問題山積で、食事、友達関係、学業、部活、塾、習い事、病気などなど次々に問題を解決してゆかねばなりません。常に即断即決力が求められます。「上司に相談してから検討させて頂きます」という思考回路では、間に合わないことも多く、問題の先延ばしは命に関わることさえあるからです。そして親としてブレない姿勢、子どもと正面から向き合い、眼を見て話すことで、愛情豊かで心配りのあるコミュニケーション力も身に付きます。これらは人間力として表情や品格に現われ、ビジネスの世界では力強い武器となることでしょう。

生活者目線のマーケティング力という武器

一般的に、家庭における消費の決定権は女性が7割と言われていますので、主婦兼女性起業家は、自らが生活者でありサービス提供者になる訳です。「自分は〇〇に困っている」「自分なら〇〇をして欲しい」「友達の〇〇さんの困りごとは自分なら解決できる」というような生活者視点の起業ができますし、多くの女性起業家の事例があります。そんな起業の種を探す基本になるのが好奇心です。子育て中の主婦は何かと家庭を優先せざるを得ませんが、子育てが落ち着くと社会との接点を求め始めますし、見るもの触れるものに素直に感動し興味を覚え、吸収しようとする意欲が旺盛になってくることが多いと感じています。

さらに自分が感動したことを誰かに伝えたいと欲するクチコミ力は女性がもつ大きな特徴と言えます。人的ネットワークが構築される環境として、ママ友、PTA活動、地域コミュニティ、ボランティアサークルなど多くの所属団体があり、肩書不要の場での交流や活動を通して人間力が育まれます。このことはサラリーマン社会の期間限定的になりがちな人脈とは異なり、人生100年時代の長期に渡る信用信頼の絆という安定的な武器となり得るでしょう。

実際に自分の困りごとを克服した体験プロセスや、趣味や得意分野など身近で生活に密着したテーマで起業する方が増えています。「自分の妊娠体験の困りごとから妊婦サポートの事業に」「慢性的な腰痛を克服できた施術メソッドを習得し、慢性腰痛に悩む人に施術サービスを提供する側に」「お片付けの段取りをノウハウ化した片付けコンサルタント」「得意料理を活かした出張料理人サービスやデリバリー事業」「子どもにお菓子づくりを通して食の大切さを伝える教室事業」「英語力を活かしたスピーチコンサルタントや独自メソッドの英会話スクール」「作文ノウハウを活かしたお受験用の履歴書作成や試験対策の指導」「趣味のフラワーアートの作品販売や受注製作」…などなど書き出すとキリがありませんね。要するに、身近な生活の中に起業のヒントはたくさんあり、ビジネスの種になる可能性があるということです。

SNSを当たり前に使いこなすコミュニケーション力は最強の武器

私はご縁があって、故日野原重明先生(享年105歳生涯現役医師)のFacebook担当を6年務めさせて頂きました。また2018年からFacebook Official Partnerとしてシニア向け伝道師活動をしている関係もあり、50代〜90代の多くのFacebook友達と繋がっています。そんな私がいつも関心するのは、女性たちがSNS(Instagram、LINE、Facebookなど)を実に楽しそうに使いこなしていると言うことです。

テレビ埼玉「ニュース930〜シニア起業家特集(2018.9.14放送)」

SNSの中でも、完全実名制のFacebookは、元々クチコミ力の高いシニア女性からも信頼されやすく人気が高いようです。シニア女性のFacebook活用には、次のような傾向がみられます。
➀自分らしい言葉でわかりやすく表現しているので心に刺さる投稿が多い
➁人を褒めることが上手なので、投稿内容にとても好感がもてる
③コメントに対して丁寧に返信している(一期一会を大切に)
④人への配慮、気遣う心を備えている発言が多いので信頼される
➄良いと思った友達の投稿をシェアすることが多い

SNSの世界になるべく早く参加し、慣れ親しみながら自己免疫力(対SNS)を高め、リテラシー能力を身に付けることで、安心安全に使いこなしましょう。SNSやソーシャルメディアは基本的に料金無料のツールです。この最強のデジタルツール利用無しにビジネスを展開することは、お客様や応援ファンとのコミュニケーション機会を自ら狭め、便利で効果的な営業ツールを放棄しているのと同じことです。今や起業時のロケットスタートには、SNSは不可欠なツールになっているといると言っても過言ではないのです。2020年からスタート予定の5G(第5世代通信環境)へのインフラ移行期を迎えると、単なるスピードだけでなく濃密なコミュニケーションの世界も期待することができるでしょう。

主婦兼女性起業家の事例

そんな主婦の武器を駆使して起業した女性起業家事例をご紹介しましょう。

伴克子さん(福岡市/56歳) 合同会社TANOSEAT 代表社員

Fukuokaオトナ塾を主宰★楽しい集めて 楽しめば 楽しい呼んで 楽しい拡がる★、自分が共感した人やモノを博多っ子に紹介するプロデュース事業を展開。ワクワクする世界観から博多っ子仲間の間では「スズラー」なる流行語も生まれるなど、楽しさいっぱいの盛り上りを見せ、アラカンパワフル女性のネットワークが急拡大している。
https://www.fukuoka-otonajuku.com/

林しおりさん(埼玉県川口市/60歳)  家族共同経営でレストランバル「Oh!GOD!」2016年開業

埼玉高速鉄道「戸塚安行」駅から徒歩2分。戸建てを改装したレストランで、スモーク料理や札幌本格ラーメンなどオリジナル料理で賑わうお店。地域で子育てボランティアサークル20年、大人が気軽に集える地域コミュニティ拠点づくりのために、飲食業経験のある次男と共に発案。長男がデザイナーとしてサポート、夫が土地購入資金と開業資金提供と経理総務を担当、まさしく人生100年時代の新しい家業スタイル。健康生きがいづくりアドバイザーの資格を生かしてシニア世代に発信している。
http://r.goope.jp/ohgod

神林浩子さん(東京・秋葉原/57歳)  一般社団法人日本テーブル茶道協会 代表理事

50歳子育て卒業を機に「テーブル茶道教室」で日本文化を世界へ発信したいと、秋葉原にサロン開設。最近は在日外国人向け講座もスタート‼テーブル茶道を通して和文化の伝承と人と人とが真の絆を持ってつながる場の提供を目指して、目標は日本初のテーブル茶道サロンの全国展開。女性チャレンジ制度最優秀賞、セカンドライフビジネスコンテストなどビジネスコンテストの入賞経験も多数あり。
https://japantablesado.com/

中島かおりさん(東京・豊島区/47歳) 一般社団法人にんしんSOS東京 代表理事

第2子出産をきっかけに、助産師を目指して首都大学東京健康福祉学部に再入学。病院・助産院を経験後、女性の側に寄り添う助産師でありたいと同志7名で「にんしんSOS東京」を設立。2016年一般社団法人を設立し代表理事に就任。2017年「漂流女子(朝日新書)」を上梓、妊娠に関するすべての「困った」「どうしよう」という声に耳を傾けている。2018から埼玉県の「にんしんSOS埼玉」運営も受託。スタッフ数は29名、現在までの相談者数1800人を超え、延べ相談件数は9600件以上にのぼる。
https://nsost.jp/

井手口雅恵さん(東京・新宿御苑/49歳) ASHITA・STYLE株式会社 代表取締役

12歳で「外反母趾」と診断され、体調不良と闘いながら過ごした青春時代。結婚後自身の体質改善と「足とからだの研究」に10年以上取り組む。2013年外反母趾やすべての不調の改善に成功し独自メソッドが誕生。新宿御苑に「ASHITASTYLE®(アシタスタイル)」サロン開設、主要都市での出張講座、オリジナルシューズの開発などなど、全国・海外からも注目を集めている。
https://ashitastyle.com

すべての事例に共通しているのは、お客様との接点には「Face to Face のコミュニケーション」があると言うことです。前述した主婦の武器が遺憾なく発揮されていますね。しかしアナログ一辺倒のビジネスと言うことでもなく、SNS等の通信技術や業務プロセスの省力化・効率化のためのコールセンターシステムや顧客管理など最新のツールも当たり前に取り入れており、アナログ+最新技術のハイブリッドなビジネススタイルは、第4次産業革命が進行中の現在、ロボットやAIが台頭してくる社会においても、強みのあるビジネスモデルと言えるのではないでしょうか。

人生100年時代‼多世代共生社会と台頭する女性パワー‼

1990年代から男女雇用機会均等法、男女共同参画など日本の男女差別は解消に向かって進められてきていますが、これからの時代は男性が優位とか女性が優位とか関係のないフラットな社会になるでしょう。右肩上がりの高度成長の時代はすでに終焉しており、次に迎えた成熟期の社会は、生活により密着した知恵や創意工夫が活きる時代でもあります。

もちろん主婦起業には弱点もあります。社会経験の少なさに起因した企業社会の慣習やルールなど、常識的な情報量不足は否めないところだと思います。しかし起業し経営経験を積むうちに、小さな失敗や問題などを繰り返し解決し、乗り越えることで自然と解消されてゆくハズです。またそれをスピーディに克服するための手段としては、多世代のコラボレーションを実践することだと考えます。女性起業(主婦の武器)+シニア男性(経験、スキル、人脈)+若者(柔軟な発想、ITに強い、フットワーク)など各世代の強みと弱みを補い合いながら行う多世代ビジネスは、人生100年時代のシニア起業にとてもマッチした経営スタイルと言えるでしょう。

もったいない事に、本コラムで前述した限りない可能性について、当事者である主婦の方々の多くが気づいていないのです。「私は働いたことがないから起業なんて無理」「やりたいことはあるけど、夫が絶対反対するから…」「会社なんてやったことないから…」などよく聞くフレーズですね。起業というと「会社設立」という大上段なイメージがありますが、個人事業主やフリーランスからのスタート、仕事やアルバイトとの兼業副業など、国や自治体の手厚い支援もあり、起業のハードルはとても低くなっています。ヤル気さえあればいつでも税務署に「開業届」と「青色申告承認書」を提出するだけで簡単にスタートが可能なのですから、ぜひチャレンジして欲しいものです。

まずはイキイキと活躍されている起業家の皆さまの人生に触れてみて、感じてみてください。

起業体験ストーリーのレポート「起業!決断の瞬間」
https://www.exa2011.net/mebius/

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 松延 健児氏
(株式会社エクサネット 代表取締役)

1984年学生時代にマーケティング会社共同創業以来、新規事業一筋でニュービジネスや新しい商品・サービスの開発などに取り組む。
30年以上ベンチャービジネスで培った経験を活かし、シニアや女性の起業を支援するサービスを展開。ビジネスを通じての社会貢献に積極的に取り組む。

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