消費税におけるインボイス制度とは?4年後に日本にも導入される可能性が!支払領収書等に注意!

会計・ファイナンス

執筆者: 加賀谷豪

今年10月より消費税率が10%となる見込みとなっておりますが、それに伴い、2023年10月を目途に、段階的に「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」という制度も導入される見込みとなっております。

この制度は、事業者が消費税の申告納付を行う際において、売上の消費税から控除できる支払に係る消費税額を厳格に定める制度で、より適正な領収書、請求書を保管していない限り、納税する消費税額が大きくなってしまう可能性があるのです!

消費税の納税額の計算方法とは?

まず、事業者様へのおさらいとして、事業者が納税する消費税は原則どのように計算されるのか、説明いたします。(簡易課税制度という消費税の計算方法は今回は割愛して、原則の計算方法をご紹介いたします。)

簡単に考えると、消費税の納税額は

売上に係る消費税から、支払等に係る消費税額を引いて、差額を納付する!

ということになります。

例えば、

売上10000円+消費税800円があり、仕入5000円+消費税400円を支払ったという取引の場合
800-400円=400円

と計算した、400円の納付が事業者に求められることになります。

この計算方法とともに、消費税法においては、この控除する支払に係る消費税につき、適正に記載された請求書等の保存が義務付けられているのですが、本改正により、さらに要件が厳格になるのです。

消費税率、消費税額のみならず、登録番号の記載も必要に?

軽減税率の適用により、今後消費税率が8%と10%が混在することになります。
そのため、事業者より発行される請求書等には、8%の消費税価額と10%の消費税価額を明確に区別できるよう、記載義務が求められます。

それに加えて、2023年より、当該請求書等に、課税事業者の登録番号等が記載されたインボイス(適格請求書等保存方式)に則った内容が記載されていない場合、消費税の申告において、売上に係る消費税額から、当該支払消費税額が控除できないことになるのです。

免税事業者はインボイスが発行できない!

このインボイス制度は、消費税の納税義務のある課税事業者が、税務署に届けて登録番号をもらって、その番号を請求書や領収書に記載して初めて、消費税の計算において利用できる請求書・領収書となるのです。

つまり

売上10000円+消費税800円があり、仕入5000円+消費税400円(登録番号が記載されたインボイスあり)を支払ったという取引の場合消費税の納税額は
800-400円=400円

となりますが、

売上10000円+消費税800円があり、仕入5000円+消費税400円(登録番号が記載されていない請求書等)を支払ったという取引の場合消費税の納税額は
800-400円=400円
ではなく、
800-0円=800円

となってしまうのです。

この登録番号が記載されていない請求書等というのは、例えば起業して間もない、消費税の免税事業者などが発行する請求書等が該当します。つまり、免税事業者は登録番号を発行してもらえないのです。

これは、免税事業者にとって大きなデメリットとなります。今までは、上記の例のように5000円+消費税400円の売上が上がった場合、免税事業者は消費税の納税義務がないため、消費税相当分の400円も実質「売上」となりました。

一方、5000円+消費税400円の支払いをした側は、支払先が課税事業者か免税事業者かに関係なく、支払った400円を消費税の計算において控除することができました。

しかし、今後は課税事業者に支払った400円は控除となる一方、免税事業者に支払った400円は控除とならないという現象がおきます。

支払った側としては、消費税の計算において控除できる方がよいため、自然と、登録番号のあるインボイスが発行される仕入先を選択するという効果が働きます。

結果、起業したばかりの免税事業者や、年間売上が1000万円以下の免税事業者は、消費税相当分の値引きなどをしてアピールや工夫をしない限り、取引において課税事業者より不利な立場となる可能性があるのです。

※消費税法上、2期前の売上が1000万円以下である事業者は、消費税の納税義務がない免税事業者となります。

本来、消費税としてもらった400円が免税事業者にとってそのまま売上になること自体が問題と言われてはいたのですが、インボイスを発行できるかできないかで取引の優位性に差が生じるため、免税事業者にとっては忌々しき問題となります。

カラの領収書等の発行などは厳禁!

そもそも、当該取引自体が違法行為に近いといえるのですが、たまに飲食店などで、勘定の際に「自分で領収書に金額記載しといてね」という意味合いで、お客さんに金額を記載しないまま領収書を渡すケースが見受けられます。

この場合、領収書をもらった側は、実際に支払った金額をそのまま記載すれば問題はないのですが、支払額より大きい金額を記載した場合、架空経費が成立してしまいます。

  • 飲み代で5000円を支払い、支払った側がカラの領収書に5000円を記載した場合→問題なし
  • 飲み代で5000円を支払い、支払った側がカラの領収書に8,000円と記載した場合→架空経費3000円分が生じてしまう

今までは、このような取引を行うことで実務上ペナルティを受けやすいのは、支払額より大きい金額を記載した側となっていましたが、インボイス制度が導入されると、状況が変わります。

インボイス制度が導入されることで、登録番号を通じて、インボイスを元に消費税を控除して申告した支払者側と、インボイスを発行した受領者側の取引金額が、税務署側のシステムなどで紐づけされることになります。

つまり、税務署にて支払側と受領側の消費税情報のつけ合わせがしやすくなることで、常態的にカラの領収書などを発行している事業者があった場合、税務署より処分を受ける可能性が出てくるのです。

上記のように、中小企業にとってインボイス制度の導入は取引に大きな影響を与えます。導入前に制度を充分理解し、対策を行っていく必要があるでしょう。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員

1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした起業者向け勉強会を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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ドリームゲートアドバイザー 加賀谷 豪氏

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