企業会計 Vol.16 資本金1000万円のアブナイ会社

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

会社を設立するときにいろいろなところからお金をかき集めて資本金にする方も多いと思います。いったん会社に入ったお金は勝手に引き出せないはずなのですが、なぜか何度も増資している方がいます。よっぽどお金があるのか、裏技があるのか本当のところを知りたいですよね。

 

資本金が大きければ安心

 17_1

 資本金が大きい会社は、やはり安心感があるものです。資本 金が1000万円を超える会社数は少ないですし、資本金も大きいのでちょっとやそっとの赤字でも持ちこたえそうです。そして、何よりもお金をきちんと持っ ているはずですので、貸し倒れの心配もなさそうです。

 

資本金が預金通帳に残っているわけではない

 

 

 最近は通帳のコピーで増資ができてしまうので、きちんと振 り込みさえすれば難なく資本金を増やすことができます。しかし、その預金残高がそのまま残っているのかというと、そういう保証はまったくないのです。なぜ なら仕入れや経費の支払い、固定資産の購入などで預金がさまざまなものに形を変えながら動いているのが普通だからです。

 

当然こんな事を考える人が出てくる

 17_2

 例えば、種銭として1000万円用意して会社を設立して、 すぐに代表者である自分にお金を貸し付け、そのお金でまたすぐに増資し、また自分に貸し付ける。この流れを何回か行えばあっという間に資本金1億円の会社 をつくることすらできてしまいます。会計上、資本金は増えますが、本来増えているはずの現金預金が増えずに、代表者への貸付金という資産に変わってしまっ ています。もちろん借りたお金はいつか返さなければいけないですし、きちんとお金を貸してくれた会社に利息を払わなければ税務署に怒られます。

  また、そもそも返済の見込みのない貸し付けをしてしまうと、ほかの取締役たちも責任を問われることがあります。場合によっては税務署に全額役員賞与とされ てしまい、多額の税金を納めなければいけなくなるおそれも出てきてしまうのです。

 

ここまで来ると即違法

 

 まず事前に、会社ができあがったらすぐにお金を返す約束をします。そのうえで、銀行から 1000万円を借りて同一銀行の口座に入金してもらい、そのお金を資本金として会社を設立したとします。この場合は会社に一切お金が入ってこないわけです し、銀行のなかで一時的にお金が動いただけで会社を創ることができてしまいます。よってこれは即犯罪です。

 また、そこまであからさまでな くても、出資をする方がどこか別の金融機関などからお金を借りてきて、払り込みをした後、すぐに会社の口座から全額引き出して返済してしまうような場合、 これも会社にお金が入らないことが明らかですし、払り込み自体を偽装したと考えることもできます。後になってから、払り込み自体が無効になってしまった り、損害賠償責任が発生してきたりすることがあり得ますので、無理をして違法すれすれの取引をすると後が怖いですよ。

 

コメント

 

 資本金だけを見てとても安定した会社に見えても、ふたを開けてみたら火 の車ということがあります。くれぐれもこんな会計上のトリックに引っかからずに、自分の目で取引先の信用力を見極める目を養いましょう。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める