【2026年最新】年収2,000万超の個人事業主向け|役員報酬の扱い方と確定申告完全ガイド

この記事は2026/01/14に専門家 加賀谷 豪 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

年収が2,000万円を超える個人事業主のなかには、法人化を検討している方も多いでしょう。個人事業主の所得税率は高く、法人を設立して役員報酬を受け取ることで、税負担をおさえられる可能性があります。
本記事では、2026年の最新制度に合わせて、年収2,000万円超の個人事業主がおさえておきたい確定申告のポイントを解説します。控除漏れを防ぐチェックリストや節税テクニック、法人化を検討する際の目安までくわしくまとめました。
確定申告や法人化のタイミングで迷った場合は、ドリームゲートの無料相談がおすすめです。税理士や経営コンサルタントなど、各分野の専門家があなたの状況に合わせて最適なアドバイスを提供します。

【2026年最新】年収2,000万超の個人事業主向け|役員報酬の扱い方と確定申告完全ガイド

- 目次 -

個人事業主と給与所得者における役員報酬の扱い

給与所得者も年収が2,000万円を超えると、会社での年末調整がおこなわれず、確定申告が必要です。ここでは、確定申告が必要になる条件と、高額所得者がおさえるべき基礎知識を解説します。

個人事業主の役員報酬は法人からの給与所得扱い

法人から役員に支払われる給与として、役員報酬があります。あくまでも法人からその役員に支払われるものであり、本来個人事業主には役員報酬という概念がありません。ただ、個人事業主が法人の役員を兼務したり、複数事業を法人と個人で掛け持ちして役員報酬を得るケースも存在します。
役員報酬は法人からの給与所得として見なされ、確定申告の際には、個人事業の事業所得と合算して申告する必要があります

給与所得者でも年収2,000万円超だと確定申告が必要

給与所得者でも、給与所得や役員報酬などの年収が2,000万円を超える場合、確定申告が必要です。所得税法では、給与所得が2,000万円を超える場合は年末調整の対象にならないと定められています

2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません。

引用元:国税庁|No.2662 年末調整のしかた(最終閲覧日2025年10月27日)

また、給与所得以外の所得(副業・投資・不動産)が年間20万円を超える場合も、確定申告が必要です。個人事業主の年間収入が95万円(基礎控除最大額)でも、給与以外の所得として20万円を超える場合も該当します。

役員報酬2,000万円は注意が必要? 税務署が注目するポイント

税務署は高額な役員報酬に対し、適正さと実態を重点的にチェックします。税負担を減らす目的で、過大な役員報酬を設定するケースなどがあるためです。税務署に確認されやすいポイントは次の3点です。

  • 報酬額の妥当性:業務内容と報酬のバランス
  • 定期同額給与の原則:毎月定額で支払われているか
  • 源泉徴収の適正処理:源泉徴収票と申告内容の一致

上記のほかにも、役員報酬が損金算入要件(※1)を満たしているか、社会保険加入や各種届出、事前確定届出給与の手続き(※2)なども確認される場合があります。名義貸しも調査対象となるため、実態に即した管理が重要です。

※1 会社が役員に支払う報酬を経費として認めてもらうための要件
※2 役員に支払う報酬をあらかじめ届け出る手続き

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2026年確定申告の変更点と高所得者が知るべき制度

2026年(令和8年)の確定申告では、令和6年分に改正された税制が反映されます。定額減税の取り扱いや控除額の変更に加え、申告書作成コーナーの機能も大幅に進化しました。所得2,000万円を超える高所得者には、財産債務調書(※)の提出義務も発生します。
最新の制度変更を把握し、申告漏れを防ぎましょう。

※ 一定の基準(所得が2,000万円超、かつ所有財産が3億円以上など)を満たす高額資産の所有者が、財産や借金の詳細を税務署に報告するための書類

令和6年分の定額減税・控除額の改正

令和6年分から定額減税制度が導入され、所得税と住民税の負担が軽減されます。

令和6年度税制改正により、令和6年分の所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることになりました。

引用元:国税庁|令和6年分所得税の定額減税について(給与所得者の方へ)(最終閲覧日2025年10月27日)

物価高騰対策として、一定の所得条件を満たす納税者に対し、所得税3万円・住民税1万円の定額減税が実施されました。定額減税のくわしい内容は以下のとおりです。

項目 内容
対象者 令和6年分の所得税納税者で、合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合は2,000万円以下)
控除額(所得税) 1人あたり3万円(本人、配偶者、扶養親族1人ごとに控除)
控除額(住民税) 1人あたり1万円(本人、配偶者、扶養親族1人ごとに控除)
控除の適用方法 ・所得税は令和6年分の所得税計算時に特別控除として反映。
・令和6年6月1日以降は所得税の源泉徴収時に源泉徴収税額から控除。
控除額の上限 控除額の合計が所得税額を超える場合は所得税額が控除上限となる。
特例 子どもや特別障害者等がいる場合、所得金額の調整控除適用で控除対象の上限が2,015万円まで拡大。

ただし、年収2,000万円超の高所得者は対象外となっているため、ほかの控除を最大限活用し、税負担をできるだけおさえることが重要です

申告書作成コーナーの新機能とマイナポータル連携

2026年の確定申告では、国税庁の申告書作成コーナーが大幅に進化し、マイナポータル連携による自動入力機能が拡充されます。医療費や保険料、住宅ローン控除などの情報が自動取得できるようになり、入力ミスの防止や効率化が期待されます

新機能 内容
iPhone対応 マイナンバーカードの読み取りをおこなわずに、iPhoneで申告書作成・e-Tax送信が可能。
スマホ用電子証明書利用 マイナポータルアプリでスマホ用電子証明書登録後、生体認証(指紋・顔認証)でパスワード入力代替。
マイナポータル連携拡充 収入・控除証明書(生命保険契約一時金・年金、損害保険満期返戻金・年金など)が自動取得・自動入力。
書面データのAI-OCR(※1)読み取り開始 申告書や添付書類のAI-OCRによる自動読み取り・テキスト化(KSK2システム〈※2〉移行と連動)
収受日付印の押印廃止 申告控への収受日付印押印が廃止され、ペーパーレス推進。
申告書作成画面の利便性向上 画面デザイン・操作性が改善され、申告書作成がよりスムーズに。

※1 人工知能(AI)を活用した光学文字認識(OCR)技術
※2 国税庁が運用する次世代の国税総合管理システム

マイナポータルとの連携拡充により、次のような情報を取得できるようになり、確定申告がより便利かつかんたんになります。

  • 給与所得の源泉徴収票データ
  • 公的年金等の源泉徴収票データ
  • 保険料控除証明書
  • 住宅ローン控除証明書
  • 医療費通知情報(家族分含む)

情報は、マイナンバーカードによる本人認証後、マイナポータル経由で取得され、確定申告書や年末調整の申告書類に自動入力されます。マイナポータルとの連携手順は次のとおりです。

  1. マイナポータルにアクセスし、利用者登録・ログインをする
  2. メニューの「外部サイトとの連携」から「国税電子申告・納税システム(e-Tax)との連携」を選択
  3. 連携に同意し、e-Taxの利用者情報を入力・登録(はじめての利用者は新規登録)
  4. 連携したい証明書やデータ(給与所得の源泉徴収票、各種控除証明書など)を選択・取得申請
  5. 届いた情報の取得状況を確認し、連携済み後のデータを確定申告書作成画面へ反映
  6. 自動入力されたデータを確認・補完し、申告書作成を完了して送信

マイナポータル連携を活用すれば、年収2,000万円超の複雑な申告でも、入力時間の大幅な短縮が可能です。

所得2,000万円超なら必須の財産債務調書制度

所得2,000万円を超え、かつ一定の財産を保有する場合、財産債務調書の提出が義務づけられています。税務署が高額所得者の資産状況を把握し、適正に課税するための制度です。未提出の場合、加算税などのペナルティが科されるため、対象となる場合は注意が必要です
財産債務調書制度の概要については、以下の表をご参照ください。

項目 内容
制度の目的 高額所得者の財産状況把握による適正な課税をおこなうため
提出義務対象者 ・所得金額2,000万円超(退職所得除く)かつ、12月31日時点で総資産3億円以上、または有価証券等を1億円以上保有している者
・12月31日時点で財産10億円以上の者(所得不問)
提出内容 保有財産の種類・数量・時価や見積価額、債務金額などの明細
提出期限 翌年6月30日
ペナルティ ・提出義務があるのに未提出・申告漏れ:過少申告加算税・無申告加算税が5%加重
・期限後提出:加算税の軽減措置が受けられない場合がある
注意点 相続や遺贈により取得した財産は記載・判定対象外

記載が必要な財産や債務には次のようなものがあります。

項目 内容
財産 ・土地・建物(自宅・投資用不動産)
・預貯金・現金
・有価証券(株式・投資信託・債券)
・事業用資産(機械・車両など)
・貸付金・売掛金
・美術品・貴金属(時価100万円以上)
債務 ・住宅ローン・事業用借入金
・買掛金・未払金
・その他の債務

提出方法はe-TAXによる電子提出、または所轄税務署への郵送・持参の2パターンです。対象者は財産の棚卸しを早めにおこない、確定申告と同時に財産債務調書を提出できるように準備しましょう。

確定申告のやり方を3ステップで解説【初心者でもOK】

「確定申告は複雑」というイメージがあるかもしれませんが、手順をおさえれば初心者でも十分に対応できます。事前に必要書類をそろえ、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を活用すれば、よりスムーズな手続きが可能です。
ここでは、個人事業主や年収2,000万円超の給与所得者がおさえるべき確定申告の流れを具体的に解説します。

事前準備する書類一覧とスケジュール

確定申告をスムーズに進めるには、12月末を目処に必要書類をそろえておくことが大切です。収入・経費・控除に関する多くの書類が必要になるため、申告期限(3月15日)ギリギリで慌てないよう計画的に準備しましょう。
確定申告の準備から手続きまでのスケジュールは次のとおりです。

時期 やるべきこと 詳細
12月末まで 書類の整理・棚卸し 領収書・請求書・契約書の整理、財産債務調書用の資産確認。
1月中旬 源泉徴収票等の受領 役員報酬がある場合は会社から受け取る。
1月末まで 控除証明書の確認 生命保険料・地震保険料・小規模企業共済等の控除証明書を確認。
2月1日〜 申告書作成開始 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で入力。
2月16日〜3月15日 申告期間 e-Taxまたは税務署窓口で提出。
3月15日 申告期限 期限を過ぎると延滞税が発生。

確定申告に必要な書類一覧をまとめました。チェックリストとしてご活用ください。

項目 必要書類
収入関係 □ 青色申告決算書または収支内訳書
□ 源泉徴収票(役員報酬がある場合)
□ 支払調書(報酬・料金等)
□ 売上台帳・請求書控え
□ 通帳コピー(入金確認用)
経費関係 □ 領収書・レシート(1年分)
□ クレジットカード利用明細
□ 交通費記録(ICカード履歴含む)
□ 通信費・光熱費の明細書
□ 減価償却資産の購入証明書
□ 外注費の支払証明書
控除関係 □ 生命保険料控除証明書
□ 地震保険料控除証明書
□ 社会保険料(国民年金・国民健康保険)納付証明書
□ 小規模企業共済等掛金控除証明書
□ iDeCo掛金控除証明書
□ 医療費の領収書またはお知らせ
□ 寄附金受領証明書(ふるさと納税等)
□ 住宅ローン控除関係書類(該当者のみ)
その他 □ マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
□ 銀行口座情報(還付金受取用)
□ 前年分の確定申告書控え
□ 財産債務調書用の資産・債務明細(財産3億円以上の場合)

1年分の書類を一度に整理しようとすると煩雑になりがちです。月ごとにファイリングしたり、スマホアプリでスキャンして保存したりすることで、効率的に準備を進められます。不明点はリスト化して、税理士など専門家にまとめて相談するのがおすすめです。
書類準備は確定申告成功の鍵です。早めの準備を心がけ、期間中に余裕をもって申告しましょう。

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「確定申告書等作成コーナー」の使い方

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の指示にしたがうだけで手軽に申告書を作成できます。税額が自動計算され、入力ミスも防げるため複雑な申告でも安心です。
マイナポータル連携を活用すれば、さらに入力時間を短縮できます。確定申告書等作成コーナーで確定申告をおこなう手順は以下のとおりです。

  1. 「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
  2. 利用規約を確認し、同意して開始
  3. 「申告書・決算書・収支内訳書作成」を選択、内容に合った申告書の種類を選ぶ
  4. マイナンバーカード読み取りやe-Taxの利用者識別番号の入力など、本人確認をおこなう
  5. 収入・経費・各種控除・税額控除の情報を画面の案内にしたがって入力する
  6. マイナポータルと連携し、給与所得の源泉徴収票や控除証明書などを取り込む
  7. 入力した内容を確認・修正し、申告書のプレビューで内容をチェック
  8. 電子申告(e-Tax)で送信するか、印刷して税務署へ提出する方法を選択
  9. 送信完了後は受付番号を控え、控えの申告書や受信通知を保存

くわしい手順は国税庁の公式サイトに掲載されているので、あわせてチェックしてみてください。マイナポータルとの連携も活用し、効率化しましょう。

e-Taxで提出する場合の注意点

e-Taxによる電子申告なら税務署へ出向く必要がなく、24時間いつでも申告でき、還付金も早く受け取れます。書面提出と比べて処理が速く、最大65万円(e-Tax利用時)の青色申告特別控除を受けることも可能です
初回利用時には、マイナンバーカードとICカードリーダーの準備が必要です。e-Taxで申告する具体的なメリットは、以下のとおりです。

  • 自宅やオフィスから24時間いつでも申告可能で、税務署に行く手間が省ける
  • 添付書類の多くを省略でき、申告作業がかんたんになる
  • 還付金の処理が早く、紙申告より2〜3週間早く還付されることが多い
  • 申告後でも申告期限内であれば、かんたんに内容修正(訂正申告)ができる
  • 青色申告特別控除の控除額が最大65万円に増える(e-Tax利用が条件)

e-Taxでの申請に必要なものをまとめました。

必須・推奨 必要なもの・環境
必須 □マイナンバーカード(本人確認と電子証明に必須)
□利用者識別番号(e-Tax開始届出書提出後に税務署から取得)
□電子証明書(マイナンバーカードに組みこみ済み)
□ICカードリーダーまたはマイナポータル対応スマホ(マイナンバーカード読み取り用)
□インターネット接続環境
□申告内容に必要な所得証明書・控除証明書(源泉徴収票など)
推奨 □確定申告書等作成コーナーまたはe-Taxソフト(申告書作成ツール)
□青色申告決算書や収支内訳書など帳簿・経費関連書類(該当者のみ)
□銀行口座情報(還付金振込先)
□事前に申告内容を整理したメモや記帳データ

e-Taxで電子申請をおこなう手順は次のとおりです。

  1. 事前準備として、マイナンバーカード、ICカードリーダーや対応スマホを用意
  2. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」もしくはe-Taxソフトを使い、申告書を作成
  3. 申告書完成後、マイナンバーカードの電子証明書を使いe-Taxにログインし、本人認証をおこなう
  4. 申告書および必要な添付書類を電子データで添付し、電子署名を付与
  5. インターネット経由で申告書データを送信
  6. 送信後、受付番号が表示されるため控えを保存
  7. e-Taxのメッセージボックスで受信通知を確認し、申告が正常に受付されたことを確認

e-Taxの利用でよくあるトラブルと原因別の対処法をまとめました。

トラブル内容 原因 対処法
ログインできない ・パスワード入力ミス
・マイナンバーカード読み取りエラー
キーボード言語設定確認、パスワードリセット、カードリーダー再接続・再起動
電子証明書が使えない ・証明書の有効期限切れ
・カード読み取り不良
マイナンバーカードの有効期限確認、カード読み取り環境の見直し
申告書が送信できない ・ネット接続不良
・送信データの不備
ネット環境チェック、データ確認と修正、e-Taxソフト再起動
添付書類のアップロード失敗 ファイル形式やサイズの制限超過 ファイル形式・サイズの確認、画像の圧縮やPDF変換
還付金振込口座の誤記載 入力ミス 受付後速やかに税務署に連絡し訂正手続き
利用者識別番号・パスワード忘れ 紙の控え紛失、メモ忘れ 税務署窓口で再発行申請
申告期限に間に合わない 申告準備遅れ 延長申請の検討、早期準備と期限厳守を心がける

e-Taxは初回設定に手間がかかりますが、一度環境を整えれば翌年以降は10分程度で提出可能です。還付金を早く受け取れるなどさまざまなメリットがあるため、できる限りe-Taxを利用して申告しましょう。

年収2,000万円超の個人事業主がやりがちな確定申告の失敗例

確定申告の際に不備があると、大きな追徴課税を受ける可能性があります。控除の適用漏れや経費計上の誤り、法人化タイミングの判断ミスなど、高額所得者特有の落とし穴が存在します。
ここでは、じっさいによくある失敗例と、税務調査で指摘されやすいポイントを解説します。

控除漏れ・経費計上ミスによる追徴課税

控除の適用漏れや経費の過大計上は、追徴課税と延滞税の二重負担を招きます。年収2,000万円を超える個人事業主の場合、税率が高いため、わずかな計上ミスでも数十万円単位の税額差が発生しかねません
税務署は高額所得者の申告内容を重点的にチェックしており、不適切な処理は必ず指摘されます。よくある控除漏れの例と対策は次のとおりです。

控除名 よくある控除漏れの例 対策・注意点
医療費控除 医療費の領収書の入力漏れや家族分の医療費の申告忘れ。 領収書はまとめて保管、家族分も漏れなく集計。
ふるさと納税(寄附金控除) 寄附金の申告忘れ、受領証明書の添付漏れ。 証明書は必ず入手し申告に反映する。
雑損控除 災害や盗難による損害の申告漏れ。 損害額や支出は保険金差引後を計算し、確実に申告する。
配偶者控除 配偶者の所得要件を十分に確認せず、誤って申告。 配偶者の所得要件を正確に把握し、該当者のみ申告。
青色申告の損失繰越控除 損失申告の未申告により繰越控除ができない。 損失申告を期限内に実施し、損失繰越控除(※)を適用。

※損失(赤字)を翌年以降に繰り越して、将来の利益から差し引くことで税金を軽くする制度

控除漏れを防ぐためには、次のポイントをチェックしながら確実に申告しましょう。

▢生命保険料控除証明書は全社分そろっているか
▢配偶者・扶養親族の所得を正確に把握しているか
▢前年の確定申告書と見比べて抜けがないか
▢マイナポータル連携による自動取得に漏れがないか
▢医療費は家族全員分を合算したか

控除漏れと合わせて、経費計上も正確におこないましょう。経費計上ミスの典型例をまとめました。

ミスの種類 具体例 対処法・注意点
勘定科目の誤り 交通費を通信費に計上、消耗品費を交際費に計上など。 勘定科目の意味と内容を理解し、定期的な見直しをおこなう。
二重計上 クレジットカード明細と領収書の両方で経費計上。 証憑の管理を徹底し、入力前のチェックをおこなう。
私的支出の経費化 家族の個人的な飲食費を接待交際費に計上。 事業用と私用を明確に区別し、私的支出は除外。
領収書・証憑の紛失 経費証明書類の紛失による計上漏れ。 領収書はデジタル化や整理保管で紛失防止。
減価償却費の計算ミス 一括で全額経費計上。耐用年数の誤り。 国税庁の耐用年数表を参考にし、ソフト利用も併用。
期ずれ処理 当期に計上すべき費用を翌期に繰り延べ、収益認識もずれる。 発生主義原則に基づく正しい期ずれ管理をおこなう。
経費の計上漏れ 交通費や通信費など漏れて申告。 日常的に記録し、会計ソフト活用や定期的な確認をおこなう。
家事按分の計算誤り 家賃10万円を100%経費計上。 明確な按分根拠(床面積比、使用時間など)を基に経費分を計算。

控除の適用漏れや経費計上のミスがあると、次のような追徴課税が課される可能性があります。

違反内容 加算税率 延滞税 実例
控除の適用漏れ(自主修正) なし 年7.3〜14.6% 期限後1年で修正なら負担小
過少申告(税務署指摘) 10〜15% 年7.3〜14.6% 本税100万円→加算税10万円+延滞税
故意の隠蔽・仮装 35〜40%(重加算税) 年7.3〜14.6% 本税100万円→加算税35万円+延滞税

年収2,000万円超の場合、控除漏れや経費ミスの影響が大きいため、申告前に税理士のチェックを受けることもおすすめです。

法人化タイミングを見誤るリスク

年収2,000万円を超えている場合は法人化を検討すべきです。個人事業主の所得税率は最大45%(住民税を含めると55%)であるのに対し、法人税率は最大23.2%と低く、税負担を大きくおさえられる可能性があります
ただし、法人化には設立費用や社会保険料負担が発生するため、タイミングを見極める必要があります。個人事業主と法人の税負担をおおよその計算で比較しました。

年収 個人事業(所得税+住民税) 法人(法人税+役員報酬の所得税) 差額
1,000万円 約180万円(税率33%) 約200万円 個人有利
1,500万円 約330万円(税率43%) 約280万円 法人有利50万円
2,000万円 約560万円(税率50%) 約400万円 法人有利160万円
3,000万円 約1,010万円(税率55%) 約650万円 法人有利360万円

じっさいの税負担は控除の有無、役員報酬の設定、社会保険の状況、事業規模などで変わるため、税理士などにシミュレーションしてもらうのがおすすめです。法人化のメリットとデメリットもおさえたうえで、タイミングを検討しましょう。

項目 メリット デメリット
税制 ・法人税率は一定で、所得が増えるほど節税効果が大きい。
・経費にできる範囲が広がる(役員報酬、社宅の家賃など)。
・赤字の繰越期間が長い(法人10年、個人事業3年)。
・法人税や法人住民税の申告、納付義務がある。
・役員報酬に対して所得税、住民税がかかる。
社会的信用 法人の方が信用度は高い。
資金調達 株式発行での資金調達が可能。
責任範囲 有限責任で、出資額以上の責任を負わない。
事務負担 決算月を設定できるなど経営管理の自由度がある。 ・設立費用や登記費用、手続きなど初期コストがかかる。
・会計や税務申告が複雑になり税理士依頼等のコスト増加。
社会保険 社員・役員として社会保険加入が義務づけられる。 社会保険料の負担が増える(法人・個人双方)。
事業継続性・拡大 ・事業承継しやすい
・事業規模拡大や複数事業の同時展開がしやすい。

法人化すべきか、個人事業のまま継続すべきかの判断基準を以下にまとめました。

法人化すべき人 個人事業のままでOKな人
・年間所得が800万円を超える
・安定して3年以上黒字が続いている
・配偶者に役員報酬を払える状況
・設備投資・在庫を抱える業種
・取引先から法人化を求められている
・年間所得が500万円未満
・収入が不安定(年により大きく変動)
・事務処理が苦手で外注費をかけたくない
・社会保険料負担を避けたい
・将来的に事業を縮小予定

年収が増え節税効果を得たい、社会的信用や資金調達の面でメリットを活かしたい場合に法人化は有効です。一方で、事務負担や社会保険料負担が増え、設立コストも発生するため、利益規模や経営計画に基づいて判断するのが賢明です。

税務調査で指摘されやすい書類不備と対策

年収2,000万円超の高所得者は税務調査の対象になりやすく、書類不備があると追徴課税を受ける可能性があります。領収書・契約書・帳簿の不備は「故意の隠蔽」と判断され、重加算税(最大40%)を課される可能性もあります。
税務調査で指摘されやすい書類不備と対策は以下のとおりです。

項目 指摘されやすい書類不備例 対策
帳簿類 売上帳・経費帳・仕訳帳の記載漏れや記載不備。 取引の都度正確かつ速やかに記帳し、常に最新の状態を保つ。
領収書・請求書 領収書や請求書の紛失、日付や金額の不自然さ、整理不足。 すべての証憑を漏れなく保管し、時系列・分類で整理整頓。
銀行通帳・入出金記録 事業用口座と個人用口座の混同、不明瞭な入出金。 事業用・個人用口座を分け、不明な取引がないように管理。
給与関連書類 賃金台帳や給与明細書の未整備・不正確な記載。 従業員分は正確な給与明細と賃金台帳を作成・保存。
契約書 契約書の未整備・内容不明瞭。 すべての対外契約は必ず書面で保存し、内容を明確にしたうえで管理。
電子データの管理 電子帳簿保存法に準拠した保存がなされていない。 電子帳簿保存法に準拠し、必要なデータを適切にバックアップ・検索可能に。

加えて、以下の点も意識することで、より正確な準備ができます。

  • 書類の破棄は「意図的隠蔽」と疑われるリスクが高いので、「紛失」と説明し慎重に対応する
  • 預貯金情報は税務署がオンラインで照会可能なため、整理された記録が重要
  • 書類が不足しても納品書や銀行明細、取引メールなどで補完し、申告内容との整合性を示す
  • 税理士と事前に相談し適切な形で書類を準備することで、信頼度が上がる

日頃から帳簿と証憑類を正しく管理し、書類をすぐ提示できる状態にすることが税務調査での指摘を防ぐためのポイントです。

年収2,000万円超でも使える節税・控除の活用術

年収2,000万円を超える方でも、正しい節税対策をおこなえば税負担を大きく軽減できます。青色申告特別控除や医療費控除などの基本的な控除に加え、配偶者への所得分散や小規模企業共済の活用で、さらに効果的な節税が可能です。
ここでは高額所得者が使える控除と節税テクニックを、活用手順とともに解説します。

青色申告特別控除・医療費控除・寄附金控除

青色申告特別控除・医療費控除・寄附金控除を最大限活用することで、年間100万円以上の節税が可能です。とくに年収2,000万円超の個人事業主は税率が高く、控除を最大限活用して節税効果を得ることが重要です。

主な控除の適用要件と節税効果は次のとおりです。

控除名 適用条件 節税効果のポイント
青色申告特別控除 複式簿記の記帳、正確な帳簿および書類保存、青色申告承認申請書の提出。 課税所得から65万円控除。年収が大きいほど節税効果が高い。
基礎控除 合計所得2,500万円以下(超過すると段階的減額、2,695万円超は控除なし)。 最大48万円の控除。2,000万円超でも減額後も適用可能。
事業専従者給与控除 配偶者や家族が6ヶ月以上専従し、一定の要件を満たす給与支払の場合。 家族への給与を経費扱いとし、所得圧縮に利用可能。
社会保険料控除 じっさいに支払った国民健康保険料や国民年金保険料が対象。 支払額全額が所得控除になるため大きな節税効果あり。
小規模企業共済掛金控除 小規模企業共済に掛金を支払った場合。 支払掛金が全額所得控除。節税+将来の退職金や年金代わりにもなる。
生命保険料控除 生命保険契約に応じて一定金額が控除対象。 控除上限はあるが、所得税・住民税の負担軽減に役立つ。

所得が高額になると所得税率も40〜50%台に上がるため、上記の控除を活用して節税効果を高めましょう。

青色申告特別控除・医療費控除・寄附金控除を最大限活用することで、年間100万円以上の節税が可能です。とくに年収2,000万円超の個人事業主は税率が高く、控除を最大限活用して節税効果を得ることが重要です。
主な控除の適用要件と節税効果は次のとおりです。

配偶者への所得分散で税率を下げるテクニック

配偶者を青色事業専従者として所得分散することで、累進課税の税率を下げて大幅な節税が実現できます。年収2,000万円を一人で受け取ると税率40%ですが、配偶者と分散すれば各自の税率が下がり、合計の税負担が減少します
たとえば、配偶者と所得を分けることで次のような減税効果が得られます。

  1. 年収2,000万円を全額自分で申告すると所得税は約420万円
  2. 社長1,200万円・配偶者800万円に分けると、社長の税率33%・配偶者の税率23%となる
  3. 合計所得税は約260万円まで減り、差額160万円の節税となる

配偶者はじっさいに事業に従事する必要があり、業務内容に見合った適正額の給与設定が求められます。経理・営業サポート・顧客対応などの具体的な業務分担を明確にしましょう。配偶者への所得分散は強力な節税手段になります。

小規模企業共済やiDeCoで将来の備えも

小規模企業共済とiDeCoを活用すれば、節税しながら将来の資金を準備できます。

【小規模企業共済とは】

小規模企業共済とは、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、中小企業の経営者や個人事業主向けの積立による退職金制度。事業を廃業したり退職するときに、積み立てた掛金に応じてまとまった共済金が受け取れる。

【iDeCo(個人型確定拠出年金)とは】

自分で毎月一定額の掛金を積み立て、その掛金を自分で選んだ金融商品(定期預金・保険・投資信託など)で運用して、老後資金をつくる制度。

両制度とも掛金が全額所得控除の対象となり、年収2,000万円超の高所得者層ほど節税効果が大きくなります
たとえば、小規模企業共済に月額7万円(年間84万円)、iDeCoに月額6.8万円(年間81.6万円)を積み立てると、合計165.6万円が所得控除されます。税率33%で計算すると約54.6万円の節税です。さらに運用益が非課税のため、長期的な資産形成にも有利です。
掛金の全額控除と運用益非課税のメリットを活かし、将来の備えと節税を同時に実現しましょう。

確定申告を自力でやるか税理士に依頼するかの判断基準

年収2,000万円を超える方で、確定申告を自力でおこなうか税理士に依頼するか迷う人もいるでしょう。自力申告なら費用をおさえられますが、ミスのリスクもあります。一方、税理士依頼は安心ですが、年間30〜50万円程度の費用がかかります。
ここでは、自分に合った申告方法を選ぶ判断基準と、税理士選びのポイントを具体的に解説します。

自力申告に向いている人の特徴

取引がシンプルで経理知識がある人は、自力でも申告可能です。年収2,000万円超でも、収入源が単純で経費が少なければ、比較的かんたんに手続きできます。税理士費用を節約できる点も大きなメリットです。
たとえば、次のような方は自力での申告に向いています。

  • 取引先の数が5社以内で安定している
  • 収入の種類が事業所得のみ、または給与+事業所得
  • 領収書が月30枚以下
  • 簿記3級レベルの知識がある
  • 月1回の記帳時間を確保できる
  • 確定申告ソフトやe-Taxを使える

申告期限の3月15日に間に合わせるため、年末までに書類を整え、1月ごろから計画的に準備を進めることが重要です。不明点があれば税務署の無料相談も活用できます。シンプルな取引で計画的な準備ができる人は、自力申告で十分です。

税理士依頼を検討すべきケースと費用相場

取引が複雑で不備のリスクが高い場合は、税理士への依頼がおすすめです。年収が2,000万円を超えると税務調査の対象になりやすく、申告ミスによる追徴課税のリスクも大きいため、専門家のチェックがあると安心です
たとえば、次のようなケースでは税理士に依頼するほうがよいでしょう。

  • 取引先10社以上で記帳・請求管理が煩雑
  • 複数の収入源(事業+給与+不動産など)がある
  • 在庫・外注費があり、期末調整が複雑
  • 法人化を検討中でシミュレーションが必要
  • 税務調査経験があり、再発防止のチェック必要

年収2,000万円を超える方が、確定申告を税理士に依頼する際の費用相場は、15万円程度です。ただ、年商や帳簿の複雑さ、依頼する業務範囲などにより変動するため、事前の相談が欠かせません。

税理士選びで失敗しないチェックポイント

年収2,000万円超の案件経験が豊富で、相性のよい税理士を選ぶことが重要です。税理士によって得意分野が異なり、高額所得者の申告経験が少ないと適切なアドバイスを受けられない可能性もあります。
具体的には次のような観点で税理士を選びましょう。

チェックポイント 内容と理由
得意分野・業界実績 自分の業種・事業規模にくわしい税理士を選ぶ。専門知識がないと適切な節税や経営アドバイスがむずかしい。
価格と契約条件の明確さ 費用・業務範囲・報酬体系が事前に明示されているか。追加費用の発生を避けるため相談時に確認が必須。
コミュニケーション・レスポンスの早さ 税務調査が入った際のサポート体制が整っているか。調査の不安を軽減し適切な対応が可能。
最新の税制や制度の理解・対応力 弁護士や司法書士、社会保険労務士との連携があると、税以外の問題もワンストップで解決しやすい。
親身で柔軟な対応 親身な姿勢で、事業者の課題や意向に柔軟に対応してくれるか。
顧問実績・評判 類似規模・業界の顧問先が多く評判がよいこと。実績が安心材料となる。

事前に「得意分野・料金・対応力・最新税制対応・コミュニケーションの質」など基準を明確にして選ぶことが大切です
ドリームゲートでは、年収2,000万円超の個人事業主に強い税理士や経営コンサルタントへの無料相談が可能です。確定申告の悩みから法人化の判断まで、あなたの状況に合わせた専門家が最適なアドバイスを提供します。

2026年の確定申告を“確実に・無理なく”終わらせる

年収2,000万円を超える場合の確定申告は、正しい手順と控除の活用で税負担を大きく軽減できます。本記事で解説した書類準備、確定申告書等作成コーナーの使い方、節税テクニックを実践すれば、「自分でもできる」というイメージをもてるはずです。
判断に迷ったら、税理士への相談も検討しましょう。2026年の確定申告を確実に終わらせることで、事業に集中できる環境が整えられます。適切な申告と節税対策で、あなたのビジネスはさらに安定して成長していくでしょう。

起業した年の確定申告でできる節税対策は?個人事業主と法人で徹底解説

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
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