フリーランスや小規模事業者において、月収40万円前後の売上を安定して確保できている方の中には、
「今は免税事業者のままでも特に困っていない」
「インボイス登録は、もう少し様子を見てから判断したい」
と考えている方も多いのではないでしょうか。
確かに現時点では、免税事業者であっても取引が継続できているケースは少なくありません。
しかし、インボイス制度では制度開始当初から段階的に経過措置が終了していくスケジュールが定められており、2026年10月はその重要な節目にあたります。
今回は税理士の立場から、フリーランスや小規模事業者が2026年10月に向けてどのように判断・準備すべきか、制度の背景と実務への影響を踏まえて解説します。
- 目次 -
現状のインボイス制度と2026年10月以降の変更点
インボイス制度とは
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、
取引先(課税事業者)が消費税の仕入税額控除を行うために、一定の要件を満たした請求書(インボイス)を保存することを求める制度です。
インボイスを発行できるのは、税務署に登録した「適格請求書発行事業者」に限られます。
免税事業者のフリーランスは、原則としてインボイスを発行することができません。
免税事業者と登録事業者の違い
免税事業者のままの場合、取引先は支払った消費税の全額を仕入税額控除できないため、実質的な負担が生じます。
一方、インボイス登録を行えば、取引先は通常どおり消費税の控除が可能となり、取引条件上の不利を回避できます。
とはいえ、これまで取引先の負担額はそれほど大きくないため、実際免税事業者だからといって、取引停止にまでつながるケースは多くありませんでした。
しかし、2026年10月からは、制度開始当初から定められていた経過措置の期限が到来し、今まで80%控除可能だったのが70%へと変更になり、取引先の負担が増えます。(当初は50%への変更予定だったが、2025年12月発表の税制改正大綱により変更となりました。)
結果として、免税事業者との取引条件を見直す動きが、より現実的なものとなります。
免税事業者へ考えられる影響
この経過措置の縮小により、免税事業者と取引する発注者側の税負担は、段階的に増加していきます。ここでは具体例を交えて紹介します。
●発注者側の税負担と実務負担
発注者(課税事業者)の立場から見ると、免税事業者との取引には次のような負担があります。
- 支払った消費税を全額控除できない
- 実質的なコスト増になる
- 経理処理が煩雑になる
そのため、取引先としては免税事業者よりもインボイス登録事業者を優先する、免税事業者との取引の際は報酬条件を見直すという動きもでてかねないです。
そのため、税理士としてはこのタイミングで「インボイス登録」を検討されることをオススメ致します。
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インボイス登録のメリット
先程もご紹介したとおり、インボイス登録事業者へ仕事を発注し、支払をする取引先にとっては、インボイス登録事業者への支払った消費税については全額税額控除になるのに対し、インボイス登録のない事業者へ支払った消費税については、2026年10月以降70%と税額控除率が下がるため、支払者側(発注者側)にとっては、インボイス登録事業者への発注を好む傾向が強くなります。
(関連する税制改正の見通し)
2026年10月からこのインボイス登録のない事業者に対する80%の税額控除(80%控除)が50%に下がる予定であったため、よりインボイス登録のない事業者にとって取引上のデメリットになる予定であったものの、2025年12月発表の税制改正大綱より、2026年10月より2年間は70%に据え置きで、段階的に下がる予定に変更の見通しです。
参照:自由民主党・維新の会「令和8年度税制改正大綱」
インボイス登録のデメリット
消費税の免税事業者であったとしても、インボイス登録することで、強制的に課税事業者となり、消費税の確定申告・納付が必要となります。
そのため、これまで免税事業者だった方にとっては、確定申告がやや煩雑になるという可能性があります。
ただし、発注数が減ってしまうなど売上減少につながることを考えると、それを回避できるのならインボイス登録をされたほうがよいと思います。
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フリーランスのインボイス登録の動向
上述の通り、当初2026年10月を境に大きく変わる予定であった「2割特例(売上の消費税計算の特例)」や「8割控除(支払に係る税額控除)」については、いずれもゆるやかな改正に変更予定となり、急激にインボイス登録のない事業者が不利になるような流れとはならない予定です。
しかしながら段階的に経過措置が無くなっていくのは確実で、インボイス登録者の方が消費税上も取引上も有利な制度になっていくのが確実で、現状インボイス登録のない状態で取引が行えているフリーランスの方においても、社会情勢に合わせてインボイス登録が必須となっていくかもしれません。
すでにフリーランスの方や、新規事業者においては、従来免税事業者として消費税申告義務の無い開業後約2年間につき、インボイス登録によって即消費税の課税事業者となってしまう大きなデメリットはあります。
しかし今後のビジネスチャンスをより拡げるという選択肢を選ぶためには、消費税に係る税務を自身で勉強するか、専門家に依頼しながら、円滑な消費税の申告納付を目指すというプランを大いに検討する時期であると考えられます。
一方で、販売先がほぼ100%一般消費者(事業者ではない)業種や、医療機関などインボイス登録のメリットがない業種やケースもまだあるため、選択の適否を専門家にも相談しながら検討するのをおすすめいたします。
例)
・一般消費者への理美容代・・・・・インボイス発行不要の可能性大
・病院での診療代・・・・・・・・・インボイス発行不要の可能性大
インボイス登録で迷ったら税理士に相談
インボイス登録は、制度理解だけでなく、自分の事業に当てはめた場合の影響を具体的に把握することが重要です。
早い段階で税理士に相談することで、
・登録すべきかどうかの客観的判断
・実際の消費税負担額のシミュレーション
・特例措置の適用可否の確認
・登録後の申告・実務まで見据えた対策
を整理することができます。
同業者の話だけを鵜呑みにするのではなく、時には税のプロに相談することで、今後のビジネスをより良い方向に導くことも可能です。
初回の相談は無料で行っている税理士が多いですし、オススメとしては事業者登録を行っている場所から近いところで、気が合う税理士に相談することです。
まとめ|2026年10月は判断を先送りしにくくなるタイミング
2026年10月は、インボイス制度において、当初から定められていた経過措置が段階的に縮小される重要な節目です。
特に、月収40万円前後の免税事業者フリーランスや小規模事業者にとっては、今後の取引継続や収入の安定に影響を与える可能性があります。
インボイス登録は負担もありますが、制度を正しく理解し、早めに準備することでリスクを抑えることができます。
判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談し、ご自身の事業状況に合った選択を検討することをおすすめします。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
税理士加賀谷豪事務所
1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした起業者向け勉強会を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立

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