監修:中野裕哲氏(税理士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®)
決済代行会社「全東信」が破産したことで、この会社を通じて売上金を受け取っていた加盟店では、入金が遅れたり、予定どおりに届かなくなったりする可能性があります。
こうしたとき、まず動くべきことは次の3つです。
- 自社に入るはずだった金額と、契約内容を確認する
- 今後の資金繰りを、週単位・日単位で見直す
- 公的な融資制度や、今ある借入の条件変更を早めに相談する
「様子を見る」だけで時間が過ぎると、対応が後手に回ります。判断に迷うときほど、早い段階で専門家に話を聞くことをおすすめします。
本記事では、「全東信」の破産による加盟店への影響や入金遅延の可能性、公的な資金繰り支援制度、経営者が今すぐ確認すべきポイントについて、税理士監修のもと詳しく解説します。
無料メール相談 | プロフィールを見る>>
全東信破産に伴う資金繰りの相談はこちら>>

- 目次 -
この記事の要点まとめ
- 決済代行会社「全東信」が破産したことで、加盟店の売上金の入金が遅れる、または入金されなくなる可能性がある
- とくに影響を受けやすいのは、日々の入金をあてにして支払いを回している小規模店舗
- 破産手続きの初期段階では、自社が受け取れる金額はまだ確定していない
- 資金繰り対策として、公的機関の融資制度や、既存借入の条件見直しが選択肢になり得る
- どの対応が正しいかはケースごとに変わるため、早めの専門家相談が安心につながる
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる
- 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
- 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
- ブラウザに一時保存可能。すべて無料!
全東信とは?
全東信は、加盟店に代わってクレジットカード決済分の売上入金業務を行っていた決済代行会社です。カード会社からの入金を待たずに、先に加盟店へ売上金を渡す仕組みを提供しており、飲食店を中心に多くの店舗が利用してきました。今回、この全東信が破産したことで、利用していた加盟店の資金繰りに影響が及ぶ可能性が出ています。
何が起きているのか|全東信破産と加盟店への影響
決済代行サービスの多くは、お客様がクレジットカードで支払った金額を、カード会社からの入金を待たずに、先に店舗へ支払う仕組みを取っています。この仕組みのおかげで、加盟店は入金を早く受け取ることができていました。全東信では、こうした加盟店への売上入金業務をカード会社に代わって行っていました。
ところが、この全東信自体が破産すると、話が変わります。先払いをしていた会社の経営が止まるため、次のようなことが起こり得ます。
- これから入るはずだった売上が、予定どおりに入らなくなる
- 入金が大きく遅れる
- お客様がすでにクレジットカードで支払った売上についても、予定どおり入金されない、または一部しか回収できない可能性がある
毎日の入金を仕入れや人件費、家賃、リース料の支払いに充てている店舗ほど、この影響を強く受けます。
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる
- 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
- 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
- ブラウザに一時保存可能。すべて無料!
加盟店のお金は戻ってくる?
「すでにお客様が支払った分は、もう戻ってこないのか」という不安を持つ経営者は少なくありません。
結論から言うと、現時点では「戻る・戻らない」を断定できません。 破産手続きが始まると、会社の財産は破産管財人が管理し、債権者への配当という形で清算が進みます。どのくらいの金額が、いつ配当されるかは、手続きが進まないと分かりません。また、事業の一部を他社が引き継ぐ(事業承継)ケースもあり、その場合は対応が変わることもあります。
大切なのは、「全額戻ってくる」とも「全く戻ってこない」とも決めつけず、手続きの進捗を確認しながら、自社の資金繰りを別に組み立てておくことです。
※V-Spirits Group運用Youtubeチャンネル「爆アゲ税理士の起業経営チャンネル」より引用
なぜ全東信の加盟店ほど影響が大きいのか
決済代行会社の中には、入金までのサイクルが短いことを特徴にしているところがあります。全東信も、比較的短いサイクルで加盟店へ入金するサービスを提供していました。入金サイクルが短いサービスは、資金にあまり余裕がない個人経営の店舗から選ばれやすい傾向があります。
影響を受ける店舗では、次の2つが同時に起こる可能性があります。
- すでにクレジットカードで支払われた分が、回収できなくなるリスク
- ほかの決済手段を用意していない場合、お客様の支払い方法が減り、来店機会を失うリスク
また、全東信に対して債権を持つ取引先や金融機関についても、その債権が予定どおり回収できるかどうかを見極める必要があります。
破産の申立て時点で示される金額は、まだ確定した数字ではありません。担保の有無や、「相殺」によって、実際に受け取れる金額は変わることがあります。相殺とは、お互いにお金を請求できる関係にある場合、それぞれの債権を差し引いて精算する仕組みのことです。冷静に、事実だけを確認する姿勢が大切です。
今すぐ確認すべきこと|資金繰りチェックリスト
不安なときこそ、感情ではなく事実から整理しましょう。
入金予定と契約内容の確認
- 契約書や請求書をもとに、入るはずだった入金日と金額を確認する
- 契約を解除する場合の条件や、違約金の有無を確認する
- クレジット決済分のうち、まだ入金されていない金額を書き出す
資金繰り表の見直し
- 今後1〜3か月の入金と出金を、週単位で確認する
- 飲食店など、日々の現金の動きが大きい業種は、必要に応じて日単位でも確認する
- 入金がさらに遅れた場合を想定し、支払いの優先順位を決めておく
- 家賃や人件費など、止められない支払い資金を先に確保する
決済手段の見直し
- ほかの決済代行会社や、カード会社との直接契約を検討する
- 切り替えにかかる時間と費用を比べる
- お客様への案内方法(店頭の掲示やSNSなど)を用意する
ここまでの整理は、専門家に相談するときの準備としても役立ちます。状況が整理できていると、相談がスムーズに進みます。
資金繰りが不安なときに使える可能性がある融資制度
ここでは、代表的な公的融資制度のしくみを紹介します。制度名やURL、利用条件は変更されることがあるため、必ず公開前に公的機関の公式サイトで最新情報を確認してください。
セーフティネット貸付(日本政策金融公庫)
取引先の倒産など、自社に責任のない理由で経営が苦しくなった事業者向けの融資です。売上が一定以上下がっているなどの条件を満たすと、利用できることがあります。
出典:日本政策金融公庫 公式サイト「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」
※2026年7月13日時点の情報です。
セーフティネット保証(信用保証協会)
取引先の倒産などで影響を受けた中小企業を対象に、信用保証協会が通常より手厚く保証してくれる制度です。市区町村からの認定が必要になる場合があります。
出典:中小企業庁 公式サイト「セーフティネット保証制度」
※2026年7月13日時点の情報です。
既存の借入について条件を見直す相談
すでに借入がある場合は、返済の条件を見直す「リスケジュール(返済条件の変更)」を金融機関に相談する方法もあります。新しく借りるより、早く動ける場合があります。
これらの制度は、対象になる条件や必要な書類がケースによって違います。「自社が対象になるかどうか」の判断は、経営者だけで決めるのが難しいところです。
経営判断で迷いやすいポイント
受け取れる金額がまだ決まっていないとき
破産手続きの初期には、自社にいくら戻ってくるか分かりません。「戻ってくる前提」で資金繰りの計画を立てると、計画が崩れる恐れがあります。まずは「戻ってこない」と考えて資金繰りを組み、実際に戻った分をあとから上乗せする考え方が安全です。
決済手段を切り替えるタイミング
すぐに切り替えるべきか、しばらく様子を見るべきかは、業種やお客様の層によって答えが変わります。クレジット決済を使うお客様が多い店舗ほど、早めの切り替え検討が必要になりやすい傾向があります。
追加融資を受けるかどうかの判断
資金繰りを安定させるために追加融資を受けると、将来の返済の負担も増えます。「今回の入金遅延が一時的なものか」「この先も資金繰りが厳しい状態が続くのか」によって、取るべき対応は変わります。この見極めは、自社だけで判断するのが難しい部分です。
専門家へ相談した方がよいケース
次のようなときは、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 入ってこない金額が大きく、来月以降の支払いに影響しそうなとき
- どの融資制度が自社に合うか、自分では判断がつかないとき
- 既存の借入について、金融機関との交渉に不安があるとき
- 決済手段の切り替えと、資金繰り対策を同時に進めたいとき
こうした場面では、中小企業の支援に詳しい専門家に相談することで、状況の整理から実際の対応まで、まとめてサポートを受けられます。特に、資金繰り表の作成や金融機関との交渉は、専門家が入ることで選択肢が広がるケースもあります。
ドリームゲートの経営相談では、資金繰りや資金調達に詳しい専門家に無料で相談できます。 ▶ ドリームゲート専門家相談はこちら
まとめ
決済代行会社「全東信」の破産は、この会社を利用していた加盟店の資金繰りに、直接影響する可能性がある出来事です。大切なのは、不安なまま様子を見続けることではありません。事実を確認し、使える制度を調べ、必要であれば早めに専門家へ相談することです。
「このまま様子を見るべきか」「融資を検討すべきか」「金融機関へ相談するべきか」など判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することで、取るべき対応を整理できます。
本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。制度の内容・URL・条件は変わることがあるため、公開前に必ず各公的機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。
無料メール相談 | プロフィールを見る>>
全東信破産に伴う資金繰りの相談はこちら>>
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは、経済産業省後援のもと2003年に誕生した日本最大級の起業支援プラットフォームです。起業アイデアの整理から事業計画書作成、資金調達・融資支援まで、実務経験豊富な専門家が起業家一人ひとりの課題に寄り添い、実現までをサポートします。(運営:株式会社プロジェクトニッポン)
Facebook | X(旧:Twitter)




