2/15正式決定!事業再構築補助金について、資金調達のプロが解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

コロナ禍で事業転換・再構築を考えざるを得ない事業者に向けて、政府はこの度、追加経済対策の一環として「事業再構築補助金」の導入を正式決定しました。

今回は令和3年3月に公募が開始予定である事業再構築補助金についてまとめました。事前に用意が必要なものがあります。公募開始より前に申請の準備を進めておくことをおすすめします。

※注意
この記事は2月18日時点の情報をもとにしています。現在は公募開始に向けて調整中であり、内容が変更される場合があります。最新の情報は下記経済産業省のHPよりご確認ください。

経済産業省 事業再構築補助金
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的」として創設された補助金です。

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どのような人が申請できるのか?申請要件

売上が減っている

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年また又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。

認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

・事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関※と策定する。
補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。

・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。

※認定経営革新等支援機関とは、中小企業を支援できる機関として、経済産業大臣が認定した機関です。全国で3万以上の金融機関、支援団体、税理士、中小企業診断士等が認定を受けています。中小企業庁のホームページで、認定経営革新等支援機関を検索することが可能です。当社、株式会社SoLabo(ソラボ)も認定支援機関として登録しており、事業再構築補助金のご相談を承っております。

筆者の村野氏に無料でメール相談する>>

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

どのぐらいの補助金が出るのか?予算額、補助額、補助率など

令和2年度第3次補正予算にて、1兆1,485億円が計上されることが決まりました。補助金の公募は1回ではなく、令和3年度に複数回、実施される予定となっています。

中小企業

通常枠:補助額 100万円~6,000万円 補助率 2/3
卒業枠※:補助額 6,000万円超~1億円 補助率 2/3

※卒業枠とは、
400社限定で、事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠です。

中堅企業

通常枠:補助額 100万円~8,000万円 補助率 1/2(4,000万円超は1/3)
グローバルV字回復枠※:補助額 8,000万円超~1億円 補助率 1/2

※グローバルV字回復枠とは、
100社限定で、以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠です。

① 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。

② 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること。

③ グローバル展開を果たす事業であること。

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予算額、補助額、補助率(通常枠の加点と緊急事態宣言特別枠)

緊急事態宣言により深刻な影響を受け、早期の事業再構築が必要な中小企業等については、「通常枠」で加点措置を行います。さらに、これらの事業者向けに「緊急事態宣言特別枠」を設け、補助率を引き上げます。

「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、通常枠で再審査されます。

通常枠の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が対象となり、要件に合致すれば地域や業種は問われません。

中小企業の範囲

中小企業基本法と同様となり、以下の範囲です、

製造業その他:資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業:資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人
小売業:資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業:資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人

注意1:大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。

注意2:確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく、中堅企業として支援の対象となります。

注意3:企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う等の要件を満たすNPO法人も支援の対象です。

中堅企業の範囲

中堅企業の範囲は、現段階では調整中ですが、中小企業の範囲に入らない会社のうち資本金10億円未満の会社となる見込みです。

補助対象となる経費の例

事業構築補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。設備費のほか、建物の建設費、建物改修費、撤去費、システム購入費も補助対象です。

また、新しい事業の開始に必要となる研修費、広告宣伝費・販売促進費も補助対象です。

補助対象経費の例

【主要経費】

  • 建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費

【関連経費】

  • 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
  • 研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
  • リース費、クラウドサービス費、専門家経費

注意: 「関連経費」には上限が設けられる予定です。

補助対象外の経費の例

  • 補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
  • 不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
    ※自動車やバイク等の車両本体は、補助対象外ですが、キッチンカーに載せる設備は対象となり得ます。
  • 販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

事業計画の策定

補助金の審査は、事業計画を基に行われます。採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。

事業計画は認定経営革新等支援機関と相談しつつ策定することを求められ、認定経営革新等支援機関には事業実施段階でのアドバイスやフォローアップも期待されています。

事業計画に含めるべきポイントの例

  • 現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
  • 事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
  • 事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
  • 実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)

→具体的な審査項目は公募要領に掲載予定です。事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性、地域経済への貢献、イノベーションの促進などが審査項目となる可能性があります。

※事業再構築指針については公募開始前に公表することが予定されています。

※認定経営革新等支援機関とは、中小企業を支援できる機関として、経済産業大臣が認定した機関です。全国で3万以上の金融機関、支援団体、税理士、中小企業診断士等が認定を受けています。中小企業庁のホームページで、認定経営革新等支援機関を検索することが可能です。当社、株式会社SoLabo(ソラボ)も認定支援機関として登録しており、事業再構築補助金のご相談を承っております。

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補助金支払までのプロセス、フォローアップ

補助金は、事業者による支出を確認した後に支払われます。概算払制度を設ける予定ですが、補助金交付要綱等に基づき、使途はしっかりと確認することとなります。

事業計画は、補助事業期間終了後もフォローアップします。補助事業終了後5年間、経営状況等について、年次報告が必要です。補助金で購入した設備等は、補助金交付要綱等に沿って、厳格に管理することとなります。

補助事業の流れ

経済産業省 事業再構築補助金の概要より引用

事業終了後のフォローアップ項目の例

・事業者の経営状況、再構築事業の事業化状況の確認

※ 「卒業枠」では、事業計画期間終了後、正当な理由なく中堅企業へ成長できなかった場合、補助金の一部返還を求める予定です。

※ 「グローバルV字回復枠」では、予見できない大きな事業環境の変化に直面するなどの正当な理由なく付加価値目標が未達の場合、補助金の一部返還を求める予定です。

・補助金を活用して購入した資産の管理状況の確認、会計検査への対応

※不正、不当な行為があった場合は、補助金返還事由となります。不正があった場合は、法令に基づく罰則が適用される可能性があります。

事前着手承認制度とは

補助事業の着手(購入契約の締結等)は、原則として交付決定後です。

公募開始後、事前着手申請を提出し、承認された場合は、2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象となり得ます。ただし、設備の購入等では入札・相見積が必要です。また、補助金申請後不採択となるリスクがありますのでご注意ください。

通常の手続の流れ

経済産業省 事業再構築補助金の概要より引用

事前着手を実施する場合

経済産業省 事業再構築補助金の概要より引用

今から申請に備えて準備できることは?

公募開始は令和3年3月となる見込みです。申請は全て電子申請となりますので、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。

現段階で申請を考えている事業者は、事業計画の策定等の準備を進めることが可能です。

現段階で準備可能な事項

電子申請の準備

申請はjGrants(電子申請システム)での受付を予定しています。 GビズIDプライムアカウントの発行に2~3週間要する場合がありますので、事前のID取得をしておきましょう。

GビズIDプライムアカウントは、以下のホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送して作成することができます。 https://gbiz-id.go.jp/top/

事業計画の策定準備

一般に、事業計画の策定には時間がかかります。早めに、現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画などを検討しましょう。

認定経営革新等支援機関との相談

必要に応じて、早めに認定経営革新等支援機関に相談してください。

当社、株式会社SoLabo(ソラボ)も認定支援機関として登録しており、事業再構築補助金のご相談を承っております。

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中小企業庁 認定経営革新等支援機関
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

注意事項

内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能です。ただし、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできません。複数回、事業再構築補助金を受けることはできません。

不正、不当な行為があった場合は、補助金返還事由となります。不正があった場合は、法令に基づく罰則が適用される可能性がありますので、十分ご注意ください。

注意事項の例

事業者自身で申請する

事業計画は、認定経営革新等支援機関と作成することとなります。ただし、補助金の申請は、事業者自身が行う必要があります。申請者は、事業計画の作成及び実行に責任を持つ必要があります。電子申請について不明な点があれば、今後開設予定である事業再構築補助金のコールセンターに問い合わせましょう。

参考: 「GビズID」ヘルプデスク 0570-023-797、 「Jグランツ」経済産業省問合せ窓口 mail:jgrants@meti.go.jp

事業計画には審査がある

提出した事業計画を外部有識者からなる審査員が評価し、より優れた事業計画を採択しますので、不採択となる可能性があることにご注意ください。

悪質な業者への注意

事業計画の策定等で外部の支援を受ける際には、提供するサービスと乖離した高額な成功報酬を請求する悪質な業者にご注意ください

事業再構築の事例

飲食業での活用例(業態転換)

コロナ前:居酒屋を経営していたところ、コロナの影響で売上が減少

↓ 業態転換

コロナ後:店舗での営業を廃止。オンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始。

補助経費の例

  • 店舗縮小にかかる建物改修の費用
  • 新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用

小売業での活用例(業態転換)

コロナ前:紳士服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売上が減少。

↓ 業態転換

コロナ後:店舗での営業を縮小し、紳士服の ネット販売事業やレンタル事業に、 業態を転換。

補助経費の例

  • 店舗縮小に係る建物改修の費用
  • 新規オンラインサービス導入に係るシステム構築の費用

サービス業での活用例(新分野展開)

コロナ前:高齢者向けデイサービス事業等の介護サービスを行っていたところ、コロナの影響で利用が減少。

↓ 新分野展開

コロナ後:デイサービス事業を他社に譲渡。別の企業を買収し、病院向けの給食、事務等の受託サービス事業を開始。

補助経費の例

  • 建物改修の費用
  • 新サービス提供のための機器導入費や研修費用

製造業での活用例(新分野展開)

コロナ前:航空機部品を製造していたところ、コロナの影響で需要が減少。

↓ 新分野展開

コロナ後:既存事業の一部について、関連設備の廃棄等を行い、医療機器部品製造事業を新規に立上げ。

補助経費の例

  • 事業圧縮にかかる設備撤去の費用
  • 製造のための新規設備導入にかかる費用
  • 新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用

よくある質問が以下でまとめられていますので、合わせてご確認ください。

経済産業省 事業再構築補助金に関するよくあるお問合せ
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/qa.html

まとめ

事業再構築補助金は、コロナ渦で事業転換を検討されている事業者にとっては大きな助けとなるでしょう。まずは認定支援機関へ相談することで、補助金の概要から事業計画の策定まで、早めに準備することをおすすめします。

当社株式会社SoLaboも認定経営革新等支援機関として登録しており、事業再構築補助金のご相談を承っております。お気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 村野 智範
(むらの とものり) /株式会社SoLabo

資金調達支援を専門に取り扱う株式会社SoLabo(ソラボ)にて2,400件以上の融資実績を基に経営者の資金調達をサポート。
トップコンサルタントとして毎月30件以上の資金調達支援を実施。これまでに400件以上の経営者をサポートして参りました。創業者からベテラン経営者まで、事業をどう続けていくのか、中長期を視野に入れたアドバイスをいたします。

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ドリームゲートアドバイザー 村野 智範 

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