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元日本政策金融公庫・支店長が語る、審査落ちする3つの事例と解決策

資金調達

執筆者: 多胡 藤夫

日本政策金融公庫へ申込をして、面接審査が終わり、その後『ご期待には沿えません。』との通知が届くことがあります。いわゆる『審査落ち』です。その審査落ちの理由を公庫へ確認しないまま、「申込金額が多過ぎた」「自己資金が不足していた」「自己資金が1/3なかった」等いわれているようです。

審査落ちになる理由としては、「事業計画が甘い」「自己資金の裏付けがない」「総合的に見て、取り扱えない」等々、考えられますが、今回、申込む前に、審査落ちにならないための点検事項を取り上げてみました。

日本政策金融公庫を定年退職するまで、約63,000社の融資業務に従事した私が、3つのポイントに絞って解説します。

諸支払いの状況に問題はないか?

公庫では、面接調査時に預金通帳を確認します。これは、預金残高だけではなく、毎月の入出金の金額と平均残高および公共料金、家賃あるいは住宅ローン、クレジット等々の引落しが、約定通りに毎月できているかを確認しています。これらから、債務観念や資金管理に関して問題がないかといったことを判断します。

また、申込書記入の際に了解を得ている『個人信用情報』を活用しています。この情報において、不良のものがある場合や通帳の引落し状況がよくない場合は、融資として取り上げることができません。

さらに、審査担当者は申込人からの負債状況の説明と個信情報記載内容とに差異が出てくると不審感を抱きます。よく忘れがちなのが、奨学資金の返済や携帯料金の引き落としです。自己のローンやキャッシングに自信がない場合には、是非、自分で情報機関に文書照会をすることをお勧めします。

諸支払の状況が不良である人や、自己負債を把握していない人へ、融資に踏み込むのは難しいことが理解していただけるでしょう。

自己資本がマイナスではないか?

自己資本とは、総資産(現金、預金、保険積立金、株式、保証金、車、住宅等)から負債(車ローン、住宅ローン等)を引いた金額です。融資判断では、この自己資本がマイナスである場合、負債過多で倒産してもおかしくない状況と言えます。この場合は、審査落ちすることが多いです。

こうしたことから、資金調達の面で、友人・知人からの調達が、融資なのか、出資なのかで大きく異なってきます。友人・知人からの融資ならば、返済義務があり自己資本は変動しませんが、毎月の返済負担が発生するからです。
一方、出資ならば、資産の増加と自己資本の増加にもなります。いずれの場合でも、その資金の確認だけでなく、振込する人の資産の能力や振込する人の背景、融資・出資の現実性、具体性の確認が必要となります。

審査担当者が、投資や出資に確証が持てないと稟議書への記載が不明瞭になり、融資判断上マイナスとなります。

自己資本の点から、住宅を随分と前に購入し、時価評価が取得時よりも上昇しているとか、住宅ローンの残高が減少している場合は、自己資本が増加していることになります。

一般的に、事業計画や自己資金の拠出額とも関連して、最終的には融資額はきまりますが、自己資本が多いとその分、融資額も多くなる傾向があります。

資産・負債を現物資料に基づいて作成し、企業の体力を確認していくこととなります。


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事業計画以外の負担はどのくらい?

事業計画には、あまり問題がなさそうでも審査落ちになるケースです。一番わかりやすいケースは、創業する少し前に高級マンションを購入した場合です。資産としては増加してはいますが、高額の住宅ローン返済を抱えているケースです。ローン返済の観点から収支予想が甘くなっている。あるいは、ローンの返済財源が厳しくなると予想される場合です。

具体的に説明しますと、『創業事業計画書』の収支予想が、諸支払いの状況把握で確認した返済金額と個人の生活費両方をカバーしていることです。住宅ローンや個人の車ローンさらには生活費を賄える収支予想が肝心です。

事業計画書の収支予想に無理がないか(過大な売上予想、過少な原価率、過小な経費、生活費の未計上等)と同時に、個人の生活ぶり・返済負担も重要です。

まとめ

公庫では、創業時の自己資金の準備比率、自己資金の準備金額等の縛りはありません。さらに、申込金額が事業内容や事業体等からすると申込金額が多いと考えれば、減額のはなしをします。金額がまとまらないときや取り扱いできないときには、審査落ちの説明もします。

金融機関が、取引が無い、初めての人にどのように与信判断をしていくかと言えば、①客観的な資料としての『個人信用情報』が正常であること②負債過多ではないこと③提出される資料(通帳、支払状況等)が妥当であることが最低条件かとおもいます。

その上で、肝心要の『事業計画』の内容を企業体の財務内容等と総合的に検討し、融資の可否を決めていくことなります。『事業計画』では、企業の特性や収益方法、存続理由が明確になっていることと説得力が大事です。

申込をする前に、今回の内容を参考に、自己チェックしてみてはどうでしょうか。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 多胡 藤夫(日本生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R))
V-Spirits経営戦略研究所株式会社 取締役

日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)において約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職し日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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ドリームゲートアドバイザー 多胡 藤夫氏

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