公募要領には書かれていない、事業再構築補助金で採択される3つのポイントとは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 小西 薫

間もなく第3次公募が始まる事業再構築補助金ですが、採択率が他の補助金に比べて低く、ハードルは高めになっています。

私が事業再構築補助金、ものづくり補助金など、中小企業の補助金申請をサポートしている中で、今回の補助金申請において感じた「公募要領には書かれていない採択される3つのポイント」についてご説明します。

これから事業再構築補助金の申請にトライしようとされる方にとっての参考になれば幸いです。

事業再構築補助金の公募要領に書かれていること、書かれていないこと

事業再構築補助金の公募要領はA4で33ページ、ほぼ文字ばかりなので、こういった資料に慣れない方が読み解くにはなかなかハードルの高い資料となっています。

お世辞にも分かりやすい資料とは言えませんが、応募時に必要かつ重要な情報が網羅されており、実際に申請される方は必ず読むべき資料です。

とはいえ、最初にすべてをしっかりと読む必要はありません。

申請しようかどうか迷っている、という段階であれば、前半の5ページまで読めば、対象者やスケジュール、補助金額などの概要が記載されているため、十分だと言えます。

6ページ目以降には、実際に申請を決意した段階で把握する内容となっており、その目次は下記のような構成となっています。

  1. 事業の目的 ……..6
  2. 補助対象者 ……..6
  3. 補助対象事業の類型及び補助率等 …….8
  4. 補助対象事業の要件……..10
  5. 事業のスキーム…….. 16
  6. 応募手続き等の概要…….. 17
  7. 補助対象経費……..18
  8. 事前着手申請の手続き…….. 22
  9. 補助事業者の義務 (交付決定後に遵守すべき事項)……..23
  10. 事業計画作成における注意事項…….. 24

前半は、概要の補足的な内容として、補助対象者や補助対象事業の要件などの詳細が記載されており、申請時に満たすべき最低限の内容となっています。

提出された補助金の申請書は事務局により採点が行われ、その点数が高い事業者から補助金を受け取ることができるのですが、第1次の申請では要件を満たさない申請が緊急事態宣言特別枠で16%、通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠で12%もありました。

要件を満たしていない申請書は内容が良かったとしても、採点対象外となってしまいます。

今回の補助金申請では認定支援機関による助言・支援・確認書発行が必要ということになっていますが、はじめて、かつ緊急性の高い補助金であったため、十分な確認が行き届かなかった例もあるようです。

せっかく時間と費用をかけて申請するものですので、最低限の要件については、ぜひご自身でダブルチェックするようにしてください。

とはいえ、最低限の要件を満たしただけでは補助金を獲得することはできません。

より評価の高い申請書を書くために重要なのは、後半に記載されている内容となります。

後半には審査項目や加点項目などについて記載がありますので、ただ申請するだけではなく、採択される確率を上げるためにはとくに重要な情報となっています。

このように補助金申請のために必要不可欠な情報が記載されている公募要領ですが、他の申請書と差をつけ、採択される確率を上げるためには公募要領に記載が無い事項にも配慮が必要になってきます。

私がとくに重要だと考えているポイントは下記の3つです。

  1. 申請書はだれが採点するのか?
  2. 採択される申請書は他と何が違うのか?
  3. 申請でつまずくポイントはどこか?

この3つのポイントについて、私が第2回の申請時に学んだことをご紹介させていただきます。

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事業再構築補助金の申請書は、だれが採点するのか?

選ばれる申請書、相対的に高い点数を得る申請書を書くためには、その採点者を意識することが大事になってきます。

強みと弱みを整理する

補助金獲得のために重要な鍵を握る採点者ですが、実は、その多くは中小企業診断士の方々です。

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行うために、法律上の国家資格を得た専門家です。

診断士の方々は「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」を主な業務とされていますので、そういった方が読みやすい、気になるポイントを意識して丁寧に書くことが重要です。

つまり、この事業計画書を書いた人は、強みと弱みが整理されており、かつ業界の動向についても正確に把握し、事業計画に盛り込まれているだろうか?というような視点で評価されます。

採点項目と加点項目を分かりやすく書く

また、基礎となる採点項目と加点項目は公募要領に記載されています。

ですが、どんなに優れた事業計画だったとしても、採点者に対して、採点項目、加点項目を満たした内容であることが伝わらなければ、残念ながら得点は得られず、採択される確率も低くなってしまいます。

採点者の中には申請締め切りから約1ヶ月の間に約100件の事業計画書について採点を担当した、という話を伺いました。

事業再構築補助金の場合、一次では22,231件の申請がありました。

限られた人数の採点者で決められた期間内に採点するため、一人で多数の企業を採点することになります。

採点者も人間ですので、多くの事業計画書を見続けると、どうしても疲れてしまいます。

そのため、採点者が疲れた状態でも、採点項目や加点項目に合致していることが判断できるよう、過度な言い換えはせず、極力、公募要領に記載されている文言をそのまま流用したり、図などで見やすい資料にすることも高得点を狙う上で大事なポイントだと言えます。

事業再構築補助金で採択される申請書は、他と何が違うのか?

採択される申請書は他と何が違うのか?を一言でいうと、本気度が違います。

補助金の財源は税金であるため、無駄遣いは許されません。そのため、採択される事業計画書には成功してもらう必要があります。

そのため、「補助金がもらえたらやりたいな・・・」程度の気持ちで作成した事業計画では、本気度が伝わりません。

1次で採択された事業計画書を見せていただくと、

  1)補助金が出ようが出まいがやることは決定している。

  2)そのためにしっかりとした準備をしている。

というものばかりでした。

とくに集客に関しては、「これくらい集客できたら採算が取れるな」という数値を当てはめただけの「絵に描いた餅」になっていないか?が重要です。

自社の既存顧客が新事業の顧客として想定できたり、国勢調査などによって顧客のニーズが顕在化していることなどが、貴社の事業を知らない採点者が見ても、納得できるだけの裏付けとして感じられることが必要になります。

もちろん、本気度が高い事業計画になっていたとしても、補助金ありきの計画になっており、補助金が取得できなかったら成り立たないような事業計画となっている場合も、計画中の事業自体について収益性に対する疑問が残ってしまうため、高得点を狙うことは難しいようです。

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事業再構築補助金の申請で、つまずくポイントはどこか?

最後に、申請でつまずきやすいポイントについてご紹介します。

今回の補助金申請では、電子申請で手間取る方が意外と多いようです。

2020年から補助金電子申請システム「jGrants」が運用開始され、国が実施する補助金の申請(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金など)は、原則として電子申請となりました。

電子申請システムが導入されたことで、24時間365日、いつでも・どこでも申請が可能になりましたので、移動や郵送等のコストがかからなくなったことは大きなメリットです。

また、法人情報や過去の申請情報を自動転記することにより、入力の手間も削減できるようになっています。

様々なメリットが受けられる電子申請システムではあるのですが、以外な落とし穴もあります。

その1つめが、GビズIDです。

電子申請システムの利用に必要なアカウントの名称なのですが、申請から取得まで2~3週間を要しますので、締め切り直前にIDが発行されていない、となったらもう間に合いません。

取得は無料で可能ですので、補助金申請をお考えの方は、公募開始前からのご準備をおすすめいたします。

2つめは締め切り直前の電子申請システムへのアクセス集中です。

電子申請となったことで、紙の申請書では考慮していた郵送に必要な期間など、締め切り前にあったスケジュールのバッファがなくなりました。

また「締め切り直前に事務所に直接持ち込む」という最終手段も使えなくなりました。

締め切り時間ギリギリまで事業計画をブラッシュアップできるようになったことは、確かにメリットではあります。

ですが、その反面、締切直前に電子申請システムへのアクセスが集中する傾向にありますので、締切当日はサイトにつながりにくくなり、スムーズな電子申請ができない場合がありました。

また、システム障害が発生することもありましたので、申請手続きは余裕を持って行う計画とし、くれぐれも締め切り当日の申請とならないようにご留意いただければと思います。

電子申請はシステム上に下書き保存が可能となっておりますので、添付書類の準備など、電子申請に必要な情報は五月雨式に締め切りの10日から1週間前くらいには入力を開始いただくことをおすすめいたします。

直前になって資料の不足に気づいたとき、自分で作成できる資料であれば徹夜対応で作成することも可能かもしれませんが、税理士さんに依頼が必要な資料が揃っていなかった、など、自分ではどうにもならない理由で申請を見送らざるを得ない事態になってしまった事業者も存在します。

さいごに

事業再構築補助金の事業計画書作成と申請にあたっては、公募要領の記載事項だけでなく、今回ご紹介した下記の3つについても、ぜひご確認ください。

  1. 申請書はだれが採点するのか?
  2. 採択される申請書は他と何が違うのか?
  3. 申請でつまずくポイントはどこか?

とはいえ、今回の補助金申請では、認定支援機関とともに作成することが求められており、専門家にサポートいただくことが可能ですので、一人で作成するわけではありません。

そういう意味では、信頼できる認定支援機関に出会えるかどうかが、採択率を上げる一番のポイントだと言えるかもしれません。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 小西 薫(こにし かおる) / 株式会社ニコプロダクション

『起業Q&A回答者 総合ランキング』第1位!どんな質問にも即日回答。【UI/UXデザイン】を専門に、webにおけるマーケティング、ビジネスモデル構築に特化したアドバイザーです。さらに事業再構築補助金、ものづくり補助金など、中小企業の補助金申請もサポート。

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